●信濃毎日新聞(1月15日)掲載記事

 



板絵 「橅植える」   

   




■有賀在館日の変更

  下記在館予定日のうち7月31日(金)はキャンセルいたします。仕事の都合で美術館には参れません。
あしからずごご了承ください。申し訳ございません。


■有賀忍展 駒ケ根高原美術館 KOMAGANE KOGEN ART MUSEUM
  5月1日(金)~8月31日(月) 10時~16時30分  入館は15時30分まで
  

 ●5月  1日(金)  2日(土)  16日(土)  29日(金)  30日(土)
 ●6月  6日(土)  20日(土)   27(土)
 ●7月  11日(土)  18日(土)  25日(土)
 ●8月  1日(土)  9日(日)  10日(月)  22日(土)  31日(月)

 ※予定です。ご確認ください。赤字は追加です。




■新装版『こんなこいるかな』出版記念 絵本原画展
   ●会期:3月7日(土)~20日(金)
   ●会場:ジュンク堂書店・池袋店8F

     

■新装版『こんなこいるかな』出版記念 絵本原画展
   ●会期:3月7日(土)~20日(金)
   ●会場:ジュンク堂書店・池袋店8F



■3月3日は ひなまつり

■おふろって いいね


■きみが いるから おもしろい![こんな こ いるかな]12人のなかまたち

《ふねが でるよー!》

■バレンタインデー  chocolateだいすき!!!!

■板絵『あげる』  F3号


★★★メリークリスマス★★★

★ アトリエだより / 絵本的生活

★〈こんなこいるかな〉が復刻出版決定!
          

■2014年■  個展開催します

 

 ●有賀忍個展「幸せの在りか」

 会期  2014年11月29日~12月25日
 会場  ホテル日航東京 
      (ゆりかもめ・台場駅直結)

父、母の子どもへの慈愛を描きます。“待つこと”をテーマに制作した
一双の作品『心急く』『心逸る』をご高覧ください。



2年ぶりのHPの更新です。ご無沙汰いたしております。
もっぱらフェイスブックで遊んでおりました。
FBのariga shinobu も、お訪ねいただけたら幸いです。





2月のアトリエだより

■二十四節気 <雨水>    七十二候 (四候.五候.六候)

   雨水は2月19日           (3月6日は啓蟄)

・四候 (2月19日)  ・つちが うるおいおこる
              土が湿り気を帯びてくる

・五候 (2月24日)  ・かすみ はじめて たなびく
              春霞がたなびき始める

・六候 (2月29日)   ・そうもく もえうごく
              草や木が芽吹き始める



  

■ゲージを作る

   
・ゲージ(型紙)6個    ・ゲージを使って切った牛乳パック    ・ミルクカートンキューブ(未完成品)7×14 / 7×7

 小学校の図工展(開催前日の教員お披露目日)を見る。小学校の図工の教諭の解説を聞きながら会場を回った。
一年生から三年生までは、自由に制作した後がはっきり表現に現れていた。
一年生の自分の等身大の体を模造紙に描いたものは、本当にすべて子どもが独力でやったかどうかと、
首を傾げさせるくらいの迫力。それにしても、余りに整いすぎているのが気になって仕方なかった。
 同じテーマで描かせた絵でも、バックの処理が均一化。ベタ塗りが徹底しており、白い紙そのままが
全くないのも不自然。指導の難しさをあらためて考えさせられた。小学生全員の旗が校庭に翻っていたのはよかった。
また、寄席小屋が設けられていて、落語を数名が演じるとのこと。これは凄い自己表現!是非とも聴いてみたいところだが、
今日は一般公開前日であり叶わず、残念だった。

 研究室に戻り、寸暇を惜しんでミルクカートントイ製作のためのゲージを作った。演習室の机の数に合わせて6個。
牛乳パックは素材としてよく用いるが、様々な玩具等製作の時間を効果的に使うため、ゲージが必要となる。
今日作ったのは7×14センチのキューブブロック製作のためのゲージ。これがあれば、大量のキューブを簡単に
作ることが出来る。カットした時間は創作表現のほうに活かす。学生に言い続けていることは「何でも大量に作ってみろ!」
一個や二個じゃだめ。ぼくは”馬力”をもって演じてみせる。「このおじさん、何、力んでいるの!」冷ややかな視線を
感じないわけではないが。そんなこと、どうでもいい。ぼくは作ることが好きだから、全く苦にならない。


 

■二十四節気<立春>  七十二候(一候.二候.三候)

●立春は2月4日             (雨水  2月19日)

・一候 (2月4日)  ・とうふう、こおりをとく
              春風が吹き氷を解かす

・二候 (2月9日)  ・うぐいす、なく
              鶯が鳴き出す

・三候 (2月14日) ・さかな、こおりにあがる
              魚が氷の間から姿を現す

・枯れ葉は腐葉土作りに利用する。円形の井戸囲いの中に放り込んでおく。井戸枠の下に設けた
取り出し口からは、真っ黒いいかにも養分たっぷりの腐葉土が顔を見せている。
・今日買ったもの:  ジャーマンカモミールの苗20鉢(一鉢80円、寒風の下では、誰も見向きもせず)
             植物名札製作用木っ端(何かを切り抜いた後の半円形の廃材。一束10枚120円を5束)
             小鳥の水飲場用鋳物容器

・今年はモグラが我が物顔であちこち土の山。モグラ退治機の電池は切れていた。電池はあっても、そう効果は
 なかったけど。悩まされるのは、ヘビ(ヤマカガシ。以前マムシも出た。アシナガバチに、さらには恐いスズメバチ……夏の
招かざる客だ。)小鳥の声の中に身を置くのも、恐々……ということも。

■額を製作

 10号二枚、4号一枚つくる。サンダーをかけ、ペイントは10回重ねた。10号一枚は絵も完成しており、完全に乾燥し次第額装する。
  
・写真手前の丸太は、新しいもの。3個は大学の研究室で使用中。  ・小石に顔を描いた

■鳩山枯野原、ロウバイ蕾を開き北風の中、黄色を誇っている。

    
・ロウバイ。質感は蝋細工!  

                             ・ブナの木が好き。葉をなかなか落とさない。
                              今、冬芽鋭くとがり、春の準備中。


                           

                            星の道   (91×91) SHINOBU ARIGA
1月のアトリエだより

■二十四節気  <大寒>      七十二候  (七十候.七十一候.七十二候)

二十四節季の大寒。七十二候の末候は文字どおり七十二番目、おしまい。めぐる季節。時の流れの早さよ。
一分一秒の無駄も許されない。内省の日々だが、見つめて、突き詰めて、出来る限り正直に、自己表現。
”出来る限り”に甘さが露呈。ただ、「純度がすべて」……この尺度は、脳裏にはびこる”監視人”が常に攻め立てることにより、
かろうじて「思いの羅針盤」として機能している。

 

●1月2日は大寒

・七十候 (1月21日)    ・ふきのはなさく
                 蕗の花が咲く

・七十一候 (1月25日)  ・みずさわあつくかたい
                 沢の水も寒さに氷る

・七十二候 (1月30日)  ・にわとりとやにつく
                 鶏が卵を抱く
     

■卒論指導①

 卒論指導に時間をとられる。テーマが絵本制作ということで、ゼミ生ではない学性の指導がぼくに回ってきた。絵本を
卒業研究に選ぶ学生は他にもいるが、実際に制作となるとしり込みをしてしまうのだろう。ただ絵本を制作するのなら、
受けなかったかもしれない。”子ども参加型絵本”に挑戦したいといわれ、アイディアを提案。紙芝居形式にパネルシアターの
要素を加えた、おもしろい仕掛けの作品制作をめざした。肝心のお話は「食育」。勿論面白くなければ意味がない。”学び”の
部分は表に出さず、楽しめる内容であること。学生のやる気に期待したが、就活で、取り掛かったのが遅く、時間との戦いとなった。

■二十四節気  <小寒>     七十二候  (六十七候.六十八候.六十九候)

●小寒   1月6日

・六十七候 (1月5日)  ・せりさかう
                  芹が青々と生える

・六十八候 (1月11日) ・しみずあたたかさをふくむ
                  泉に温かさが残っている

・六十九候 (1月16日) ・きじはじめてなく
                  雉がメスを求めて鳴く
      

キャンパスの銀杏並木。とうに葉は散り落ち、梢が空にくっきり。彼方を雲が流れていく。枝間を過ぎるのを見ていた。首が痛い。
足元には、今まだ落ち続けているギンナンが転がる。ほとんどは容赦なく潰されていくけれど。学生は避けて通ることもしないのか。
晦日の頃、すっかり降り止み、ギンナンはすべて落ち尽くしたかと思った。そう言えば、昨年も一昨年もそうだった。枝から容易に離れず、
ずうっと、”へばりついて”がんばるギンナンがいた。ギンナンの塊が、梢の先で震えている。今日は、ことし一番の冷え込みだ。

授業開始。「絵画造形活動Ⅱ・応用」  課題 「11片タングラムの自由表現」。時間があれば「絵変わりカード」アイディア研究。

              2012年 迎春

                  佳い年になりますように

12月のアトリエだより

■鳩山は冬景色。枯れ葉で埋め尽くされる

 アトリエの周りはすべて枯れ葉で覆われた。この間まで鬱蒼と茂っていた木々は裸。空が広がり明るくなった。
ブナの木だけが薄茶色の葉をまだ落とさずにいる。風に飛ばされまいと、しわしわの葉の塊がしがみつくように付いている。
枯葉を集めて井戸を改造した腐葉土枡へ運ぶが枡はすぐ満杯。諦めた。「一面枯葉の野」に与すパワー不足だ。
創作行為とはことなるが、草取りや枯れ葉集め……これらは、妙に楽しい。いえ、楽しいとは違う。何も考えない時間を
すごす嬉しさかなあ。

■二十四節気 <冬至>  七十二候 (六十四候.六十五候.六十六候)

 ノロウイルスか、風邪か。張り切ろうにも力がでない。普段から低体温で、一寸でも熱っぽいと頑張ろうにもだるさには抗えずダウン。
今年も無事に乗り切ったかと油断したわけではないけれど、この暮れ、最後の仕事にブレーキがかかる。とはいえ、しがみつくように
ダラダラと作業。   熱が引いて、即コートへ。鈍った体に喝を!荒療治!………無謀なり。

    12月22日は冬至         (1月6日は小寒)

・六十四候 (12月22日)      ・ふゆ しょうじ なつかる
                      冬生じ夏、枯る

・六十五候 (12月27日)     ・しか つの おつる
                      鹿角落つる

・六十六候 (1月1日)       ・ゆき わたりて むぎ のびる
                      雪下りて麦のびる

■二十四節気 <大雪>   七十二候 (六十一候.六十二候.六十三候)

 師走になり、日が過ぎるのが一入早く感じられる。毎年のことだが……。追いかけられているようだ。追いかける位の
心の余裕がほしい。アクセク、バタバタ、アタフタ……で、今年も暮れそうだ。 嗚呼。

      12月7日は大雪         (12月22日は冬至)

・六十一候 (12月7日)      ・そら さむく ふゆと なる
                      天が塞がり冬となる

・六十二候 (12月12日)     ・くま あなに こもる
                      熊が穴に入って冬眠する

・六十三候 (12月17日)      ・さけ うお むらがる 
                      鮭が群れをなして朔上する

■寒さものともせず(ウソ、大強がり)テニス

 昨日は冷たい雨。幼稚園講演会。会場は100名を越し満員だったが、冷え冷えとしていた。終了後のサイン会では、足元が冷たく
膝をすりあうようにした。寒かった。
 今日は曇り。オムニコートは湿っているだろうが打ちに行く。メンバーはぼくより高齢な方が多い。それも、週一のぼくと違って、
週三、四回はプレーしている兵ばかり。捻られるのを覚悟の上参戦!ただ時間を気にせず打ってみたい。忙しないなあ。

■鳩山は落葉の季節。”目の幸せ”紅葉もおしまい

 モミジは峠を越えた。サクラはすべて葉を落とした。ブナの茶葉、カシワ、モクレンの薄茶色……、あたりは茶色に染まっている。
中で鮮烈な赤色を留めているのがハゼだ。植えてよかった。来年はもっと植えよう。ローズヒップ、ブルーベリーの葉も。
雨に洗われて秩父の山並みがくっきり見える。日差しも柔らかく、のんびり……としたいところだが、仕事仕事!
描いている10号の絵を二枚直しをいれる。フレームの製作にも着手。手を洗う間もなく車上の人。慌しい。よくないなあ……。

■師走……キャンパスを走る……アタフタ アタフタ

 授業はいつも時間が足りない。演習科目のつらいところだ。準備や試作で休む間もない。研究室に来訪者があれば、昼飯抜きとも
なり、空腹と戦いながらの教室。この季節も汗びっしょりで、キャンパスの風が一入冷たく感じる。気力で持っているのだろうが、
おかげでメタボとも無縁、カゼ菌も寄り付かず元気。(多分に、やせ我慢)

■小石に絵付け 3

     
・ジェッソ(下地剤)を塗り描く。顔、顔、顔……   ・人面石   ・拾った(顔が描かれていた)石

11月のアトリエだより

■小石に絵付け 2

  
・《おにぎりん》増えた増えた!   ・石の表情が、それだけでおもしろいものには絵を付けない
  

 紙芝居《やさしいこころ》に添えて配ろうと、小石に登場人物”おにぎりん”の絵を描いた。

 今日の授業は先週に続きPEEK A BOO……「いないいないバー」は幼児が好む遊びの一つ。紙一枚で2場面、4場面
変化するカードを制作した。仕組みは簡単。学生は思い思いのイラストを描く。シンプルなものほど応用性がある。遊び方も
工夫できる。スイッチを入れたらお終いのICを使った高価な玩具より、やはり手づくりだ。工夫の余地があるかないか。
想像力と創造力を育む遊び、玩具とはどんなものかを学生には考えさせたい。

■二十四節気 <小雪>   七十二候 (五十八候.五十九候.六十候)

     11月23日 小雪            (12月7日 大雪)

・五十八候 (11月23日)      ・にじ かくれて みえず
                      虹が見えなくなる

・五十九候 (11月27日)     ・きたかぜ このはを はらう
                     北風が木の葉を吹き払うようになる

・六十候 (12月2日)        ・たちばな はじめて きばむ 
                      橘の葉が黄葉し始める

 アトリエまで、今日は関越高速を使わず川越街道を走る。三芳あたりのケヤキ並木の紅葉が目当て。春から夏、
街道を覆い隠すほどだった緑のトンネルは葉を落とし秋空をのぞかせていた。今年は遅いのか。黄色、茶色、赤色……の
紅葉はまだだった。このあと、一気に紅葉、黄葉がはじまり、嵐のように葉を落とすのだろう。残念だが見られそうもない。
アトリエの庭のハゼは鮮やかな紅色。ブナは茶褐色、桜、モミジ……冬の入り口、風に震え、舞い落ちる……色の饗宴、
静かな時間、心穏やかなる一時。

■小石を拾う……形を楽しみ、絵をつける

    
・中央の石には、顔が描かれていた    ・<おにぎりん>の顔   ・色々なものが生まれる  

 校内の駐車場の脇で小石を拾う。一つ一つ形を吟味しながらビニール袋に入れるぼくを、学生や教員が怪訝そうに見ている。
20個、30個、相当な重さだ。洗って改めて形を眺める。石に絵付けをするのだが、なんと”先客”がいた。顔が描かれた楕円形の
小石があったのだ。小学部もあり、子どもが描いたのだろう。見つけたときは、思わずにっこりだ!嬉しくてねえ。描かれた目、鼻
、口はかすれてはいたが白色が美しかった。これを描いた子と会いたいなあ。

 紙芝居『やさしい こころ』を制作した。少年と作業服を着た工事現場のおじさんが登場するお話。そのおじさんの顔がおにぎり
そっくりで、少年は<おにぎりん>と呼んでいた。少年は図工の時間、小石に絵を描いた。ペンギンやカメや自動車などいろいろ。
<おにぎりん>もね。 中央の写真はぼくが作った<おにぎりん>。おにぎり形の小石は結構多い。幾つか作って、紙芝居を演じる
方に差し上げようと思う。”実物”を見て、子供たちが、自分でも作ってみようと言う気になったらうれしい。

■二十四節気<立冬>、  七十二候(五十五候 .五十六候. 五十七候)


     11月8日は立冬      (11月23日   小雪)

・五十五候 (11月8日)      ・つばき ひらき はじめる
                     山茶花の花が咲き始める

・五十六候 (11月13日)     ・ち はじめて こおる
                     大地が凍り始める

・五十七候 (11月18日)      ・きんせんか こうばし
                     水仙の花が咲き始める

■赤い実の季節

鈴なりの渋柿が熟して枝を撓らせている。ナツメが落果。サルナシも柔らかに……、
カマツカの暗紅色、カラスウリの朱赤……陽に照り映え、今 秋真っ只中。

      
・ズミ             ・ナツメ                 ・ウメモドキ

  

    

・ドッグローズ              ・カマツカ         ・サルトリイバラ(蔓を切り撮影)

 面白い実を見つけた。見たことのない形、蔓に二十数個の赤い実の塊まりが10センチおきについている。蔓は「長い。引っ張り手繰って
根元まで近づこうと試みるが、山の斜面が崩れやすいこともあって難儀。根は深く、球根を持っていた。わがアトリエの庭で育ててみたくなり
図鑑で調べた。サルトリイバラ……ユリ科の多年草。実もそうだが、葉の脇に一対の髭があり、この特徴からすぐ名前が解った。
 細いさつまいも状の球根は漢方薬「山帰来」となる。北斜面の日当たりの悪い茂みの中で育ったサルトリイバラ……大事に、といっても
似たような場所に移植、根付くよう祈った。

10月のアトリエだより

■二十四節気 <霜降>   七十二候 (五十二候.五十三候.五十四候)


   10月24日は霜降     (立冬……11月7日)

・五十二候 (10月24日)     ・しも はじめて ふる
                     霜が降り始める

・五十三候 (10月29日)     ・こさめ ときどき ふる
                     時雨が降るようになる

・五十四候 (11月3日)      ・もみじ つた きばむ
                     紅葉や蔦の葉が黄ばむ

 24日は二十四節季の霜降なれど、汗ばむほどの陽気。現代童画展審査に臨んだ。25日は一転襟を立てて歩く寒さ。終日、
審査会場に詰めていて分からなかったが、木枯らし一番が吹いたのだそうだ。賞の決定、推挙会議と慌しかった。
 『現代童画展』第37回!ぼくも、まあよくも出品し続けたものだ。本年の目玉は、過去の大賞作品を集めての特別展示。
ぼくは第3回展で大賞を受賞したが、その作品も久しぶりに”お披露目”。ただ、会場が狭いため、『星の海』一点のみ。
『花の野』が飾れないのは残念である。
 本展出品作は『星の道』。 7月の選抜展で発表した”『沈黙の闇』の後”を描く。 選抜展をご覧下さった方は、
イメージを重ねていただけたらと思う。

 鳩山アトリエ、秋真っ最中。ハゼの紅葉がはじまり、パンパスグラスに絡むカラスウリが風に揺れている。こっちに一つ、あっちに一つ……
濃い朱赤が目の奥に染み込んでいく。雑草に負けずに蕾を抱いたニオイスミレを見つけた。数株集め周りを煉瓦で囲い”スミレの園”に。
 イーゼルから作品を降ろし車に積み込んだ。いつもながら、アトリエ立ち去りがたし。


■二十四節気 <寒露>   七十二候 (四十九候.五十候.五十一候)

  10月9日は寒露          (10月24日は霜降)

・四十九候 (10月9日)     ・がん きたる
                    雁が飛来し始める

・五十候 (10月14日)     ・きくの はな ひらく
                    菊の花が咲き始める

・五十一候 (10月19日)    ・キリギリス とに あり
                    キリギリスが家の中で鳴く

 現代童画展は東京都美術館が改修工事のため、本年も上野の森美術館で開催される。会場壁面の都合で30号とサイズも
制限される。大作に臨みたい気持ちも強いが、この春以降モチーフが少し変わってきており、画面の小ささはさほど気にならない。
 今まで <心のふるさと……懐郷の詩> <親子・父と母・父性・幸福感>を描いてきた。今回の作品も底辺に流れるものは、
そう変わらないが、さりとて明るいものでもない。春は『沈黙の闇』。今仕上げの段階にあるのが『星の道』。絶望感の中に一筋の
光明……出発だ!それも力強く、頼もしく、矜持を……ぼくは描く。是非ともご高覧あれ。
                                                          (展覧会詳細については後日)

■キャンパスのイチョウの木、銀杏落ち始める

 教室の机の間を歩き、いや小走りで回っている。コマネズミの譬どうりチョコチョコ忙しなく。声がかからずとも、その人その人
描き出すものの、ユニークな点、おもしろい所を見つけようと。見逃すまい、学生は気が付かない線の流れ、動きを。
 教室の暑さは一頃とくらべ過ごしやすくはなったが、ばくは汗びっしょりだ。授業を終え研究室に戻るまでの僅かな時間、
秋の風を満喫。深呼吸して歩く。銀杏を踏まないように避けて、コマネズミは時間を惜しみながらゆっくり歩く。

9月のアトリエだより

■二十四節気<秋分>   七十二候(四十六候、四十七候、四十五候)

                     9月23日は秋分  (10月9日は寒露) 

・四十六候 (9月23日)    ・かみなり こえを おさむ
                    雷が鳴らなくなる

・四十七候 (9月28日)     ・ちっちゅう とを とざす
                    虫が地中に巣籠りする

・四十八候 (10月3日)     ・みず はじめて かる
                     田の水を落として稲刈りの準備をする

■鳩山、冷え込む!長袖で板絵に向かう

★山葡萄、ナツメ、サルナシ 今年はみな元気に実をつけた.柿はこれから。栗は昨年並みか。

     

・山葡萄                   ・棗(ナツメ)                  ・サルナシ

 秋の始まりだ!

 二日間、板絵に取り組む。
アトリエから一歩も出なかったと言うのはうそで、体、殊に目を休めるために鬱蒼としげる葉を掻き分け栗の木まで進む。
まさにジャングルを”進む”感じ。栗を拾おうにも腰高の草が邪魔して、落としても見つけるのが大変。それでもビニール袋は直ぐ
いっぱいになった。
 幾種類か植えた萩は雑草に覆われてしまい目を凝らさねば小花が見えない。
自然に生えた道路沿いの柿の木には青い実が枝を撓らせている。大豊作だが残念ながら渋柿。辺りにフジバカマが咲いている。
紅葉は”ハゼが一番”と植えた苗木は雑草に囲まれながらも育っているが、葉の色はまだ緑。アトリエの窓からは見えないが、
工作部屋のわきの山葡萄の房が膨らんでいた。昨年、一昨年と実がつかず枯れたのかと……、今年ヤマブドウの苗木を求め、
近くに植えたのが良かったのかもしれない。ナツメもサルナシもよく実った。マタタビ、ムベ、アケビは葉を茂らせただけで終わった。
アケビは花を沢山咲いたので、実りを待っていたのだが……(アケビの皮のバターソテーは好きな酒肴)

 「30分だけ」と予定しても、庭に出れば一時間くらいすぐ過ぎてしまう。制作に没頭も集中力のなせる業だが、自然に実を置くのは
もっともっと自然体。自分の素を丸出しにするという点で、自然に身を置くことと創造の世界に住むことは似ている。

 下の田圃の主、石井さんが新米と玄米を届けてくださった。
軽四輪の助手席にはいつも満面の笑みの奥さん。アクをすくい、すくい丁寧に煮あげた栗の渋皮煮、栗の形をきれいにそのまま留めた
上品な味、見事な”作品”を持ってきてくださった。石井さんの前で、ぼくは二つもペロリ!美味い!感謝感謝!

 秋の味覚、贈り物が嬉しかった。 気力充填して、仕事に戻る!




■二十四節気<白露>   七十二候(四十三候、四十四候、四十五候)

 鳩山は大気澄み星が降るようだ。今晩は星の瞬きを妨げるような明るい月夜。十五夜だ。中秋の名月、観月のゆとりもなく、
アトリエでパネル作り。プリンター置き台も製作する。工作は性に合っており楽しくて、なかなかその後の、“本来の”制作に
はいれないで困る。
 もろもろの教習、講習会も終わり、秋学期が始まるまで制作に没頭する。時間がなくあせりながら……いつものことだが。
ナツメが赤く色づき始めた。サルナシが頭を下げねばアーチをくぐれないほどたわわに実った。栗の実はやたら降り落ちている。大粒だ。
 地域物産販売所でアスナロの幼木を見つけた。“明日は檜になろう”から翌檜と書く。百円!。植木鉢代にもならないだろうに。
勿論買って、杉の木の根元に植えた。吾、アスナロと思ったことなし。今思えども、もはや遅し!

9月8日 白露        (秋分は9月23日)

・四十三候 (9月8日)    ・くさつゆ しろし
                   草の葉に白い梅雨が宿る

・四十四候 (8月13日)   ・せきれい なく
                   セキレイが鳴くようになる

・四十五候 (9月18日)    ・つばめ さる
                    ツバメが 南の国に 去って行く

8月のアトリエだより


■二十四節気<処暑>  七十二候 (四十候、 四十一候、 四十二候)

    8月23日は処暑 

・四十候 (8月23日)     ・わたの はなしべ ひらく
                   綿を包むガクが開き始める

・四十一候 (8月29日)    ・てんち はじめて さむし
                   天地の暑さがようやく収まる

・四十二候 (9月3日)     ・いなほ みのる
                    稲が実る

■楽しきかな、ブリコルール!

 牛乳パック、ペットボトル、ガムテープや食品ラップの巻き芯などの山に埋まる生活をしている。図工の先生方の研修会に
ブリコラージュを基本テーマに選んだ。(ブリコラージュ人間をブリコルールという) 廃物を活用しての造形遊び。遊びといっても、
楽しめるだけではなく、美しくて飾っておきたくなるようなもの、かなり雑に扱っても壊れない頑丈なものの考案だ。遊戯性と造形美!
 工作は楽しいが、わが渋谷の狭き仕事場は、ゴミ箱と化している。フローリングや空間はいつになったら、再び現れるのだろう。

■鬱蒼と生い茂る鳩山の庭……ハチとの戦いはじまる

  鳩山のアトリエで教員研修会の“メニュー”作りをしている。最近、わが鳩山町は熊谷に次ぐ暑さで
、テレビに地名のテロップ流れる始末。地形が似ているのだろうか。暑い!でも夜は東京より涼しく感じられる。
土と緑のおかげだ。伸び放題の木々、背丈を越える雑草にも感謝だ。
 喜んでばかりはいられない。誰も踏み込まないのをいいことに、ハチが我が物顔で飛び交っている。
デッキを補修、ペイントしようとして蜂の巣を発見!ご飯茶碗ほどもある。スズメバチなら手の負えないから業者に
頼むが、幸いにもアシナガバチだった。防護服でいざ戦!二挺拳銃よろしく両手に防虫スプレー、棒で巣を掻き落とした。
アシナガの群舞は恐ろしいほどだ。巣がなくなっても、ハチはどんどん集まってくる。ペイント作業は中止だ。 
 階段下の薪置き場にもう一つ、アシナガバチの巣を発見。これも退治。仕事どころではない。いま、巣作りの季節だ。
取っておかないと大変なことになる。昨年はスズメバチに悩まされた。そういえばミツバチがいない。アトリエの壁の間に
巣作りし蜜を部屋に滴らせたミツバチは何処に消えたのだろう。


■二十四節気 <立秋>  七十二候 (三十七候、三十八候、三十九候)

8月8日は立秋  (処暑は8月23日)

・三十七候 (8月 8日)    ・すずかぜ いたる
                   秋風が吹き始める

・三十八候 (8月13日)    ・ひぐらし なく
                   蜩が鳴く

・三十九候 (8月18日)   ・のうむ まとう
                    濃い霧が立ちこめる

■大学のオープンキャンパス 《子ども教育学科》受講生みな熱心!

 
今年のオープンキャンパスはティーチングアシスタントに大学二年生三名を起用。万全の態勢で臨んだ。
一時限の授業で、早朝からの出席を心配したが、生徒がつめ掛け満室状態。アンケートでは「満足」が多く、
アシスタントと喜び合った。三名には、月末に行われる教員研修会でも、手伝ってもらう。彼女らがいると、
教室が明るくなる。
 研修会が終わる間もなく、幼稚園教員指導が待っている。園児が作って遊べる、“凄くおもしろい”おもちゃを
披露しようと今、試作を繰り返している。仕事場は雑然!がらくたの山だ。本来の絵画活動が
疎かになっている。制作に入れるのは9月になってからか。目の前の仕事が多すぎる!


■ホップの間に植えたもの

 珍しいものを植えた。日差し避けにゴーヤや朝顔が話題になっているが、ぼくは野ブドウを植えた。
ホップの苗が育ち、180センチのトレリスから蔓が巻きつくところを探して揺れている。そのホップの間に
これまた蔓性の野ブドウ。
 山葡萄はある。枯れかけたが今年見事に再生、今小さな固い実をつけている。
山葡萄の掌より大きい葉っぱと違い、野ブドウは小さいが形が美しい。野ブドウは食べられないが
葉を見ているだけで、何だか嬉しい。この炎天下、根が着くか心配だ。



■二十四節気 <大暑>  七十二候(三十四候、三十五候、三十六候)

  7月23日は大暑       (立秋は8月8日) 

・三十四候 (7月23日)    ・きり はじめて はなを むすぶ
                   桐の花が実を結ぶ

・三十五候 (7月28日)    ・つち うるおいて むしあつし
                     大地が熱を持ち蒸し暑くなる

・三十六候 (8月 3日)     ・たいう ときどき ふる
                    大雨が時々降る

■ミルクカートンTOY 

   
 ・(左)3単位体  テーマ クリスマス菓子  ・(左上) スイーツ ・(右上) 泣き笑い
 ・(右)1単位体  こんなこいるかな      ・(下)  こんなこいるかな

  
・ペロ&ミャー

 今回の廃物利用ミルクカートンTOY。牛乳パックを開き裏返してカット。三枚組み合わせたものが1単位体。
その単位体を三個単位でつなげて行く。学生は時間の関係で2単位体の構成がやっと。ぼくは3単位体構成、
4単位体構成の作品を見せた。一単位体で12面ある。それらすべてに絵を描くか、切り抜いた写真を貼る。
6面が泣き顔、6面が笑い顔……、コツが解れば絵変わりもスムーズにできるが、初めての人は面食らうだろう。
面白いキューブパズルだ。学生は思い思いの動物や表情豊かなお化けの絵をつけて、友と交換しては楽しんでいた。
遊びを通じてのコミニュケーションも狙いの一つ。時に”学び”は楽しさの中で行われる。


7月のアトリエだより


■二十四節気<小暑>      七十二候(三十一候、三十二候、三十三候)  

 7月7日   小暑           (7月23日 大暑)

・三十一候 (7月 7日)    ・おんぷう いたる
                   暑い風が吹くようになる

・三十二候 (7月13日)    ・はす はじめて ひらく
                    蓮の花が咲き始める

・三十三候 (7月18日)    ・たか わざを ならう
                    鷹の子が巣立ちの練習をする

 7日は<小暑>。《温風至る》だが、熱風の”風”さえ吹かず。教室も節電のため空調の温度設定厳しく汗まみれの授業だ。
新校舎は”モダンデザイン”で窓が開かない。暑さには強いぼくも閉口の日々。絵の具を乾かすためドライヤーを使うときなど、
もう炎熱地獄。我慢我慢。

■現代童画会 選抜展開催中 

 現代童画会 選抜展が只今開催中。 (銀座アートホール10日まで)
板絵『沈黙の闇』を出品しております。ご高覧ください。”蒼”の表現に悩んだ作品です。

■リンドグレーン展
   
・イングリッド・ヴァン・ニイマン「長くつしたのピッピ」1945  ・ローレン・チャイルドの塗り絵本


 アストリッド・ リンドグレーン展(世田谷文学館)   《長くつしたのピッピ》《やかまし村シリーズ》《ロッタちゃんシリーズ》原画を見る。
子どもの時代、子どもの世界を生き生きと描いたリンドグレーン。見慣れた挿絵から、現代のアーティストのイラストまで多数展示。
 中では、ローレン・チャイルドの《長くつしたのピッピ》。一目でわかる、キュートな表情。目が強い。
ローレン・チャイルドの塗り絵本(ペーパーバック)を持っているが、塗り絵には否定論者であるぼくも、この絵本には魅力を感じている。
ただ塗るだけのカラーリングブックではなく、自由に描きこめ、またそのリードして行くネームが効いている。塗り絵本は数々あれど、
このようなものがもっとあったらと思う。

6月のアトリエだより

■二十四節気 <夏至>     七十二候(二十八候、二十九候、三十候)



   6月22日 は夏至            (7月7日/小暑)

・二十八候 (6月22日)     ・だいとう かる
                     夏草が 枯れる

・二十九候 (6月27日)      ・しょうぶ はな さく
                     菖蒲の 花が 咲きはじめる

・三十候  (7月 2日)       ・はんげしょうず
                     からすびしゃくが 生える                     

■スタンピング……葉脈の美しさ……人工物との組み合わせ



     
トチ、サンショ、トチュウ(杜仲)、ウメ、  クヌギ、ムベ、ベイ、リンデン、メープル、ブナ、ナナカマド、オニグルミ

 絵画造形表現活動基礎Ⅰの授業。オートマティック技法(モダンテクニック)。要は子どもの造形表現遊びの基本。
デカルコマニー、フロッタージュ、スパタリング、ウオッシング、コラージュに続いて、今回はスタンピング。自然物(葉っぱなど)と人口物を
ペタペタ押して再構成。こらー^ジュ作品の制作。
 鳩山で葉っぱを採取。形の面白いもの、葉脈が鮮明に写し取れそうなものを選ぶ。3クラス分を冷蔵ボックスに詰める。


 クヌギ、山葡萄、菩提樹、桑、サンシュユ、ハナミズキ、オニグルミ、オオシマザクラ、イチョウ、モミジ、サトウカエデ、山椒、
ブナ、トチ、トチュウ、ワイルドストロベリー、ヤツデ、ミニチュアローズ、ローズゼラニウムなど。学生には植物の話(名前の由来、エピソード)も
聞かせた。ローラーを転がし刷り取った者をカットし台紙に再構成する。楽しめたようだ。

 ウオッシングについで面白かったとの声も。演習は先ず楽しむこと。楽しんでこそ学習となる。みんな、始めはインクが手に付くのを
嫌がっていたが、仕舞いには指紋どころか手にローラーを転がし手形をペタペタ押していた。
 とにかく夢中にさせること。集中させること、これに尽きる。
ローラーやインクバットを洗ったり、葉っぱの始末など後片付けが大変だが、学生の”満足感”が、ぼくの疲れを軽減させてくれる。
 次回は墨流し、マーブリング。ぼくは市販のマーブリング剤やセットになったものは使わない。墨のマーブル模様の美しさ、そして
油絵の具を溶いたものを掬い取るカラー版にTRYする。出来合いのマーブリング液を使えばきれいでかんたんだが、それでは
力がつかない。すべて作る。大事なことは、「これがなければ出来ない、これが揃ってないとダメ……」ではなく、応用力、創意工夫する心。
 表現とはそういうものだ。準備万端、用意周到からは生まれない。不自由なくらいがいい。足りなくてちょうどよい。恵まれすぎは、
想像力や創造性を培う環境によろしくないとぼくは思う。




■木っ端で名札を作る

       
 ・木っ端 (切り抜かれた円形の上部)  ・両端をカット (ステインを塗ったもの)   ・黒ペンキで名前を書いて完成

 地域の産物の即売所ができた。米、果物、野菜の農産物が主だが、植物を売るコーナーもあって、鳩山に行くときは
必ず寄ることにしている。都会の園芸店では見られない面白いものがあって楽しい。キンズ、カマツカ、ヤブコウジ、ハゼ、
マートルの苗木はみなここで買った。一鉢500円~800円と安い。アトリエの畑に茂るムベやサルナシも珍しいと思っていたが、
これらも売られていたからびっくりだ。
 即売所には木工製品もある。まな板や鍬の柄。ぼくが買うのは木っ端の束。何かを切り抜いた残材、10枚束ねたものが、何と120円!
昨年は100円だった。これをぼくは名札に利用している。もう数十枚は作っただろう。ブナやクヌギ、昨秋植えたオオシマザクラなど
樹木の苗木が主だが、まだまだ足りない。販売物にはすべて生産者の名前が記されている。木工製品も然り。○○清作……。
 この木工の主はどんな方だろう。
このなだらかな山型の木っ端は何を作った後の物なのだろう。大量に出るから不思議だ。「清作さん」に聞いてみたい。


■二十四節気  <芒種>  七十二候 (二十五候、二十六候、二十七候



    
6月5日は芒種6月6日               (夏至は6月22日)

・二十五候 (6月 6日)    ・かまきり しょうず
                     カマキリが姿を見せる

・二十六候 (6月11日)    ・ふそう ほたるとなる
                     腐った草が蛍に姿を変える

・二十七候 (6月16日)    ・うめのみ きばむ
                     ウメの実が黄色に色づいてくる
                     

 ■板絵「沈黙の闇」制作没頭。

  夜来の雨があがり鉛色の空、水田は天を写す鏡だ。周辺緑一色の中で銀色反射、”何も無い美しさ”だ。小鳥もまだ訪れず
静寂そのもの。幾度も深呼吸をしてアトリエに入る。
 このところ週末は板絵に取り組んでいるのだが、モチーフが<哀しみ>そのもの。描いていても辛くて苦しくて感極まってしまい、
「これではいかん」、冷静に冷静に……言い聞かせながらの作業。
 顔の色が出来ない。塗っては「違う」、塗り重ねては「違う」の繰り返しだ。絵が重く暗い。描けなかった時から、絵筆を
取る、表現する気力漲るまで時間を要した。『哀しみの船』、『悲泣の丘』以来だろう。胸が塞がる思いの制作は。

■茶の木を探す

 今年も茶の木の新芽を摘んでフリッターにして食べた。香りがよい。もちろん酒の友。制作の後の「反省の酒」だが、目一杯
表現出来さえすれば美酒となる。なかなか、そう美味くはいかない。
 Sさんが、茶を育てたいと言う。苗木を差し上げたが、楽しみにしていた新芽が何者かに採られてしまった(消えてしまった
そうな)と、がっかりしておられた。そこで今回は少し大きめのものを用意した。零れ種からあちらこちらに発芽しているが、
適当なサイズのものを選ばなくてはならない。植木鉢がSさんの自転車の篭に収まらなくてはならないから。
 新芽は手もみ茶に、おひたしに、天ぷらに……、すくすく育ちますように。

■学生の習作を発表する場がほしい

 子ども教育学科には、ほぼ隔月発行の『ミンミン新聞』があるが、学生の制作物が発表できるページの余裕はない。
絵本でも数冊、ペーパーカッティング「シンメトリーデザイン」や連続模様制作でもかなりの秀作があった。講評して返却するのだが
何とも惜しい。作品を並べて見せるが、他のクラスの学生には鑑賞させられず残念だ。創作する一方、良い作品を見ることも大事だ。
 一部修整、補作し学生に”作品集”として配布することにした。学生は色んな紙で(薄い色など)自由に制作するから、
版下にするには墨画線に置き換えなくてはならない。一昨年も作ったが、この作業は時間がかかりめんどうくさい。
 「素晴らしい作品を作った」……学生に自信をもって貰いたい。園や学校の現場でも制作のヒントに資料としてきっと役に立つだろう。

5月のアトリエだより

■二十四節気<小満>  七十二候(二十二候、二十三候、二十四候)

ホップを植える! 実を何に使おうか……早すぎる夢想……



    
 5月21日は小満          (芒種/6月6日)

・二十二候 (5月 21日)    ・かいこ おきて くわを くう
                     蚕が桑の葉を食べるようになる

・二十三候 (5月26日)     ・べにばな さかう
                     紅花の花が咲き乱れる

・二十四候 (6月1日)      ・ばくしゅういたる
                     麦が育ち、麦畑が黄金色になる
                   

 アトリエ周辺の田圃は田植えが終わり人影なし。水面を横切る鳥の影。静寂の中に時おり鳥の声。「ホーキョ」「ホーキョト」……
下手だったウグイスも「ホーホケキョ」。すっかりうまくなった。
 東北の被災地では作付けを諦めた水田が多いという。緑の苗が黄金の稲穂に変わるまで、ずーっと惨い災厄が頭から
離れないだろう。
 絵を描いていても、テキストを作っていても、お話を書いていても、胸は重苦しく、気が晴れない。集中力乏しく苛立ちを覚える。
創作はいつだって厳しいものであるが、これほどキツイとは……。
 気分転換のテニスも楽しめない。”逃避”だからであろう。大分前のことだが、サッポロビールが運営していたクラブでプレーした
ことがある。このコート脇のフェンスで、さすがビール会社だ、ホップを育てていた。ホップが高さ10メートル以上も薄緑のカーテンを
作っていた。今ゴーヤなど壁面緑化が話題になっているが、あの、コートを覆い隠すようなホップは見事だった。
少し失敬してきて、ホップのリースをつくったこともあったっけ。
 そして、とうとうホップの苗を手に入れた。野生のものではないが、自然に還したいと、竹やドクダミやスギナの生い茂る土地を耕し
腐葉土を敷き詰め苗床を作った。トレリスを立て水を遣る。
しっかり根付きますように!少しだけ、ほんの少しだけでも実をつけますように。

■二十四節気 <立夏>   七十二候 (十九候、二十候、二十一候)

                 5月6日は立夏  (5月21日は小満)

・十九候  (5月 6日)    ・かわず はじめて なく
                   蛙が鳴き始める

・二十候  (5月11日)    ・みみず いずる
                   ミミズが姿を見せ始める

・二十一候 (5月16日)   ・たけのこ しょうず
                    筍が生ずる

■アトリエのフェンス倒壊す

 筆を取る、板に向かう気力興らず。胸は塞がったままだ。それでもアトリエに入れば……と、久しぶりの鳩山詣で。だが、
それどころではなかった。地震か強風か、フェンスが倒れていた。フェンスと言っても三寸の角材を組み合わせた頑丈なものだ。
それが、道路に沿って横倒し!滅多に人が通る道ではなく事故に繋がらなかったのは幸いだった。連休中だが、設計図をひき
工務店を呼んで交渉した。

■今年はミツバチ大丈夫…………か。

 昨年は全国的にミツバチの姿が消え、何が原因かもわからず問題になった。わが鳩山の庭でも明らかにその数が減少した。
それまでは乱舞する大群、母屋の壁の間にも巣を作り蜜をたらすミツバチだったのに。今年は大丈夫……かもしれない。
花の間を忙しく飛び交っている。カマツカの小さな花から、アケビやムべの花、少し前までは、ミツマタ、杏、サンシュユ、
プラムなど、花の季節をミツバチは我が者顔だ。


    
・百花繚乱……ミツバチの季節       ・アケビの花(五つ葉)            ・カマツカの花

  

・ムべの花 花弁に見えるのはガク。 ・たった一輪咲いたリンゴの花(ヤーノシュの絵本『おばけりんご』の一ページを彷彿) 
乳白色で内部には紅の線

4月のアトリエだよりエだより


■二十四節気<穀雨>     七十二候(十六候、十七候、十八候)

      4月20日は穀雨         (立夏は5月6日)

・十六候 (4月20日)    ・あし はじめて しょうず
                  葦が生え出す

・十七候 (4月25日)    ・しも やみ なえ しょうず
                  霜が止んで稲の苗が生長する

・十八候 (5月1日)    ・ぼたん はな さく
                  ボタンの花が咲く

 新学期が始まった。『実践遊び学』3クラス。『絵画造形表現活動・Ⅰ』3クラス。昨年よりパワーアップした授業展開をしたい。
具体的にはカリキュラムの調整以外に、『実践遊び学』では殆ど毎回、”おまけ”と称してごく簡単にでき、子どもをアッと言わせる
楽しい造形手遊びを紹介していく。そして『絵画造形表現活動』では、”帽子百貨店”と題したクラフト製作を、今まで十数点だった
ものを、今年は創作5点追加、学生にはかなりハードな作業(時間がタイト・集中力勝負)となる。

 月曜日『実践遊び学』第一回は、鏡面紙を用いたシンメトリー図形遊び(製作・発見)および万華鏡考察。製作だった。この時の
”おまけ”は、「紙一枚(A4大)左手のひらに穴を開ける」法………というものであった。紙をクルクルまるめ円筒形にする。これを
用いて掌に穴を開けるには、さてさてどうする?(授業では万華鏡作りに用いる紙筒でやらせた)
 「あっ、あいた」「穴が開いた!」「向こうが見える!なに、これ!」「わあー!」教室がどよめいた。
「穴があかない」「えー、穴、見えない!」何人かは、始めうまくいかず、とまどっていたが、学性同士教えあって全員、手に穴が
開いたことを”確認”した。一体、どうやって手のひらに穴を開けたのでしょうか?

■二十四節気<清明>   七十二候(十三候.十四候.十五候)

杏の花が咲いた。明るい青色の空のもとでミツバチを誘っている。ミツマタ、サンシュユの黄色
土佐ミズキの淡い黄、レンギョウも。やはり杏がいい。杏の白を際立たせるかのように、空には雲がない。
遠慮してくれているかのようだ。杏は梅の花をふっくら大きくした感じ。清らか。
穏やかな日和、春景色。平安なれど、このところの心中、苛立ったまま。
オニグルミ、カマツカ、ブナ……まだまだ、芽は堅い。ときおり吹き来る(荒れる)冷たい風が木々を揺らしている。
ケキョ…ケキョ… ウグイスの囀りトレーニングも始まった。   さあ、我も始動!!!

  4月5日は清明         (4月20日は穀雨)

・十三候 (4月5日)   ・つばめ きたる
               つばめが南から渡って来る

・十四候 (4月10日)  ・がん みずへ かえる
               がんが北へ渡って行く

・十五候 (4月15日)  ・にじを はじめて みる
               虹が見え始める


3月のアトリエだより

■二十四節気 <春分>   七十二候 (十候.十一候.十二候)

板絵 『おやすみの前に』 完成!

    3月21日は春分     (4月5日は清明)

・十候 (3月21日)    ・すずめ はじめて すくう
               雀が巣作りを始める

・十一候 (3月26日)   ・さくら はじめて ひらく
               桜の花が咲き始める

・十二候 (3月31日)   ・かみなり こえを だす
               雷が鳴り始める

 天変地異、大震災。胸塞がる。
 4月4日開催の現童春季展出品の作仕上げ作業中だった。言葉を失う。筆は止まる。
父と母と子の関係を描いた 『おやすみ前に』 は、もっとも心やすまる刻の物語。でも、
むごい光景を映像を見、今や表現の気力失せる。
何としても描かねば、表現せねば……。無力感。

己が抱えた悩みに埋もれているうちに世界は大変なことに。

厳しい便りもいただいた。その方は体の不調にもめげず”感謝の念”を
語っておられた。なんという心の広さ、包み込む温かさを感じ、
自分の甘えを情けなく思った。。厳しさ、苦しみの深さは人それぞれでも、みんな、みんな大変なんだ
……当たり前の事……、自戒自省。

■二十四節気 <啓蟄>   七十二候  (7候.8候.9候)

   3月6日は啓蟄         (春分は3月21日)

・七候 (3月6日)    ・すごもりの むし とを ひらく
               冬眠していた虫が動き始める

・八候 (3月11日)   ・もも はじめて さく
               桃の花が咲き始める

・九候 (3月16日)   ・なむし  ちょうと  かす
               菜の虫が羽化して蝶となる

過去はなし。未来も定めなし。あるは今のみ。脚下照顧。拘りから離れられれば活路もあろうというもの。が、その拘り
だらけで(雑事が人生ではなかったのに。いや人生は雑事の中にあるのかも)忙殺される日々。このところ寒暖の差が大きい。
それでも北風が止むと春を思わせる日差しが。春三月。怠惰の我が身に、鞭をくれねば!

■二十四節気<雨水>   七十二候(四候.五候.六候)

    2月19日は雨水       (啓蟄 3月6日)

・四候 (2月19日)  ・つちが うるおいおこる
              土が湿り気を帯びてくる

・五候 (2月24日)  ・かすみ はじめて たなびく
              春霞がたなびき始める

・六候 (3月1日)   ・そうもく もえうごく
              草や木が芽吹き始める

 激しかった夜来の雨嘘のように上がるもわが心、暗闇にあり。仕事に逃げ込む不埒な心を嗤い、
見張りの「もう一人の自分」が攻め立てる。手は止まり作業も捗らず。我慢……しかない。

■二十四節気<立春>  七十二候(一候.二候.三候

●2月4日は立春             (雨水  2月19日)

     ・一候 (2月4日)  ・とうふう、こおりをとく
                    春風が吹き氷を解かす
・二候 (2月9日)  ・うぐいす、なく
              鶯が鳴き出す
      ・三候 (2月14日) ・さかな、こおりにあがる
                     魚が氷の間から姿を現す

 鳩山の枯野。寒空、一切の葉を落とした木々の枝がくっきり。常緑樹も萎れ勢いは無い。ロウバイの香しさが消え、梅がプチッと
はじけ始めていた。幾分か柔らかになった光の中に春の訪れを感ずる。が、ぼくの心は今や冬真っ只中。芳しくないこと、
身に降りかかる哀しいこと……、暗澹たる思いに沈み、浮き上がる気力もなし。制作空間に身を押し込めて自ら鞭打つしか、
癒しはあり得ない(かった)ことはぼくの人生経験上の結論なのだが……。それさえも……今は。

1月のアトリエだより

■二十四節気 <大寒>   七十二候 (七十候.七十一候.七十二候)

●1月20日は大寒

・七十候 (1月21日)    ・ふきのはなさく
                 蕗の花が咲く

・七十一候 (1月25日)  ・みずさわあつくかたい
                 沢の水も寒さに氷る

・七十二候 (1月30日)  ・にわとりとやにつく
                 鶏が卵を抱く
     


 明けましておめでとうございます
 穏やかな一年で ありますように

      平成23年元旦

    [日々新生 日々創造]


■現代童画展出品作 (上野の森美術館)


   
・PAPA'S VEHICLE              ・MOTHER'S VEHICLE

■二十四節気 <小寒>  七十二候 (六十七候.六十八候.六十九候)

●小寒   1月6日

・六十七候 (1月5日)  ・せりさかう
                  芹が青々と生える

・六十八候 (1月10日) ・しみずあたたかさをふくむ
                  泉に温かさが残っている

・六十九候 (1月15日) ・きじはじめてなく
                  雉がメスを求めて鳴く
      


12月のアトリエだより

MERRY CHRISTMAS

   

 師走でなくとも、アタフタ……。安らぐ時なきまま歳が暮れようとしている。嗚呼………。
 [日々新生・日々創造]  を胸に抱き歩むも、我が羅針盤、現実路線に針路。頑な。
 ”静かな創作の日々”は夢か!今年、描いた板絵の少なさよ……情けない。
  自省自戒の念で多分また大晦日の深酒……。進歩ないなあ。

■二十四節気 <冬至>  七十二候 (六十四候.六十五候.六十六候)

    12月22日は冬至         (1月6日は小寒)

・六十四候 (12月22日)      ・ふゆ しょうじ なつかる
                      冬生じ夏、枯る

・六十五候 (12月27日)     ・しか つの おつる
                      鹿角落つる

・六十六候 (1月1日)       ・ゆき わたりて むぎ のびる
                      雪下りて麦のびる


■『紋型切り紙』の研究   『紋型』から『切り紙』へ

 江戸時代は寺子屋でも教えていた紋切り型あそび。明治、大正、昭和……小学校の図工教科書で
どう取り上げられて来たかを調べている。(昭和30~60年代は盛んだった)平成の教科書ではごく小さく載っている程度。
姿が消えたも同然だ。
 紙を折りはさみで切る。開くときの驚き、ワクワクする遊びだ。壁面装飾、カード、モビールにと使い道は多く、折り方の
工夫やカットの技術、ポンチの活用など奥が深い。1回折から4回折まで、サンプル作品を100は作ったか。
 今回は1、2、3、4回折りまで学生に試させたが、蛇腹折り(屏風折り)は連続模様として別に時間を設け制作させる。
時間があれば切り絵にも挑戦させたい。例としてデンマークの童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの切り絵でも
見せようか。学生に思う存分自由に紙を切らせてみたい。


・創作切り紙
 中央の「二つの馬蹄に挟まれた四葉のクローバー」は、明治39年1月1日小山内薫がドイツから
森林太郎に宛てた年賀状にあった図案をもとにデザインした。
 上下の作品は、切り紙「一回折り」で制作

■二十四節気 <大雪>  七十二候 (六十一候.六十二候.六十三候)

       12月7日は大雪         (22日は冬至)

・六十一候 (12月7日)      ・そら さむく ふゆと なる
                      天が塞がり冬となる

・六十二候 (12月12日)     ・くま あなに こもる
                      熊が穴に入って冬眠する

・六十三候 (12月17日)      ・さけ うお むらがる 
                      鮭が群れをなして朔上する


11月のアトリエだより


■二十四節気 <小雪>、 七十二候 (五十八候.五十九候.六十候)

   11月22日は小雪           (大雪は12月7日)

・五十八候 (11月22日)      ・にじ かくれて みえず
                      虹が見えなくなる

・五十九候 (11月27日)     ・きたかぜ このはを はらう
                     北風が木の葉を吹き払うようになる

・六十候 (12月2日)        ・たちばな はじめて きばむ 
                      橘の葉が黄葉し始める

 冷たい雨。キャンパスの舗道にイチョウの葉が張り付いている。踏みつけられ潰れた銀杏も。研究室、先生の在室ランプも
殆ど消えた9時半、大学を出る。寒い。ノートパソコンと大量の制作教材の入ったバッグを肩に、傘を風に飛ばされないように
傾げ持ち駐車場まで歩いていく。

 自分の制作が出来ない日々を送っている。このところ学生に見せる教材サンプル作りに明け暮れている。が、これはこれで面白い。
「PEEK・A・BOO(いないないばー)」カードのアイディアを考え、試作するのだが、1枚の紙の可能性追求でもあり、奥が深い。
基本形は裏、表の変化。回転(たとえば、こぶた→たぬき→きつね→ねこ)。めくり。折りなど。 今回は”めくり”に挑戦させる。
 「カーテンの向こうは?」カーテンを開けるとどうなるか……。
この制作と遊びは、想像力を鍛えることになる。学生は日頃、「正しい答え」を求めて学習する。自らの考えを述べたり、表現したり
する機会は少ない。造形表現活動を通じて、答えのない世界もあることを、その大事なことを解ってもらう……それも狙いだ。
(NOV.22)

 ■ 現代童画選抜展 (地方巡回)作品戻る

  
・どんぐり嵐 (F30号)

 現代童画展選抜展は銀座アートホールで開催後、四国、関西を巡った。
今年の出品作は「どんぐり嵐」  鳩山のアトリエに埋めたクヌギのドングリ(近くの公民館の庭で拾った)はあちこちで
芽を出し、今漸く腰の丈。
 昔からあったマテバシイは剪定の失敗からか元気がない。毎年降るようにドングリを落とすが今年は地面にパラパラ
見かけるくらい。マテバシイのドングリでドングリ煎餅を焼いたことがあるが香ばしくてうまかった。クヌギのドングリは
食べられないけれど、ヤジロウベイやコマが作れる。なんといってもあの形が良い。
 我がクヌギがドングリをつけるのは、ずうっとずうっと先のことだろう。下草を狩り、水を遣り幼木を育てる……”夢見”が楽しい。

■二十四節気 <立冬>  七十二候 (五十五候.五十六候.五十七候)


    11月7日は立冬    

・五十五候 (11月7日)        ・つばき ひらき はじめる
                       山茶花の花が咲き始める

・五十六候 (11月12日)      ・ち はじめて こおる
                       大地が凍り始める

・五十七候 (11月17日)       ・きんせんか こうばし
                       水仙の花が咲き始める

■「紋型切り紙」を見直そう。けっして”紋切り型”のつまらぬ造形ではない

 仕事場は紙くずの山。このところ「紋型切り紙」の原稿書きで色紙を折っては切る、折っては切る……。1回折りから5回折まで、
様々なモチーフをデザインしている。「紋型切り紙」は江戸時代は寺子屋でも教えていた。紋所を染めたり、商売でも子どもの遊び
でも紋切り型はポピュラーなものであった。明治大正、そして昭和の20年頃までは図工(当時は手工)の教科書にも載っていた。
”自由な制作”が教科書の編集方針に変わるとともに、紋型切り紙は姿を消した。昔からある紋や、定番の梅や桜や桃の花を切っ
ている限りでは”紋切り型”の名の如く、創造性、独創性は無いとの謗りは免れないだろう。が、日常性(紙一枚、ハサミがあれば
出来る)伝統の美しさ(継承)、幾何学性、手技の練磨(微細な運動----右脳の活性化)、コミュニケーション能力(教えあう母と子、
友達)など、得るものは多く、肝心の創造性に於いても、自由な造形をテーマにすれば、幾らでも独創的な、たった一つだけの作
品が出来るわけで、子どもに是非ともやってもらいたい造形表現の一つといえる。

 1枚の紙でどれだけ遊べる?表現できるか? ……ゲーム機世代の子ども達を導くのは、大人の責任だ。素材の可能性を
最大限に引き出せるか否かは、想像力と創造力それに感受性次第。生きることはそれらを磨くことと考える。

■第36回現代童画展(上野の森美術館)

  今年と来年は東京都美術館改修工事のため、会場が上野の森美術館となります。お間違えにならないように。

 詳細は「展覧会」のページをご覧下さい

■ 『相生祭』にて講演します  -----きみはやだもんを しってる?-----

 相模女子大学FDグループ企画 「こんなこ いるかな」のすべて
 「やだもん  もぐもぐ  たずら  ぶるる」ファンも、「こんなこ」を知らない方も、どうぞお越しください。

 11月3日  1時~1時40分  於 : 相模女子大学7号館723教室

 
   
なぜ、今 『こんなこ いるかな』 か………

   

10月のアトリエだより

■現代童画展(上野の森美術館)

 出品作の板絵が完成した。東京都美術館が改修工事のため、《現代童画展》は今年と来年、上野の森美術館で開催される。

■二十四節気 <霜降>   七十二候 (五十二候.五十三候.五十四候)


   霜降は10月23日     (立冬は11月7日)

・五十二候 (10月23日)     ・しも はじめて ふる
                     霜が降り始める

・五十三候 (10月28日)     ・こさめ ときどき ふる
                     時雨が降るようになる

・五十四候 (11月2日)      ・もみじ つた きばむ
                     紅葉や蔦の葉が黄ばむ

■講演会準備に資料整理、パワーポイントつくり……時間が足りない

 11月3日は《相生祭》。FDグループ主催の講演会で、ぼくは『きみは、やだもんを しってる?』と題して話す。
制作の裏側のすべてをラフ(下書き原画)などを展示しての講演。『こんなこいるかな』は、1986年から十数年にわたり放送され、
絵本も数多く出版された。現役の学生も、当時母親だった年齢層の方も聞きに来ていただけたらと思う。
 ただ“可愛い”だけではないキャラクターの制作意図、NHKの教育目標、制作上悩んだ点、、そして何故今、”こんなこ”なのか?
など色々話したいことは多い。

■仕事の合間、息抜きは大好きな「工作」

   
 ・メモボード完成。さあ、何を何を書き込む?  ・上部には鉛筆刺しの穴   ・左の改良型 垂直鉛筆スタンド

     

・ダボでの接木……この辺りが自慢! ・ステンシルの授業で学生に見せたサンプル ・左の跳ね上げ式バインダー金具のものは機能性抜群

 板絵の完成が近づいた。筆遣いが細かくなり遅くなった。今日は終日雨。時おり雨脚が激しくなる。息抜きに外にも出られない。
そこで”工作”。"図工少年"だったぼくは絵描きか大工さんになりたかった。その大工仕事を楽しむ。あり合わせの材料を使って
メモボードを作った。今までいくつも作っており、渋谷にも自宅にも大学の美術室や研究室にも置いてある。が、又一つ拵えた。
 いいアイディアが浮かんだら即書き付ける……為だが、肝心のアイディアがそうそう浮かんでこない。
もっぱら忘れ物対策に使われている。情けないなあ。
 ステイン塗料を刷り込んで完成。早速、完成間近の板絵を眺めつつ、作品タイトルを練る。メモボードの重量感が心地よい。
これで、「この絵には、これしかない」と思えるようなタイトルが浮かべば万々歳だが……。
(Oct.9)

■ハローウインをモチーフに切り紙トレーニング……学生の積極性、応用力を感じた

 絵画造形表現活動応用の授業。保育、教育現場で図画工作、クラフトに使う、使える紙の説明とサンプル帳を作らせる。ラシャ紙、
エンボス紙、カラーケント紙、ミューズコットン紙、マーメード紙、レザック紙、上質紙、工作紙、波ダンボール紙、LKボード、
でんぐり紙等二十数種類切ったり破いたり描いたり、紙の特性を考えながら台紙に貼り付けていく。

 …………紙の基礎知識も。「紙って、そもそも何?パピルスは”紙”ではない」「紙が現れる前は何に書いていたの?」
「紙のサイズにA版、B版があるのは何故?」「紙の裏表の見分け方」「ティッシュペーパーが水に流せないわけ」
「コート紙は”化粧”しているって本当?「奉書、麻紙、杉皮紙など和紙について」「紙の原料は?」「牛乳パックは何から
出来ている?」等等。

 それだけではつまらないので、実習はハローウイン飾り作り。  紙を蛇腹折にして、ハローウインの”主役達”、パンプキン
{ジャックオーランタン}、コウモリ、魔法使い、ゴースト、ネコなどを切っていく。何体も連なるかぼちゃやコウモリに学生は
大喜び。型紙を渡しての制作だが、各自自由に切り出すから頼もしい。提供した魔法使いの型紙はお婆さん姿だが、ある学生は
「紋形四ツ折り」を使って5人の魔法使いのサークルを作った。それもお婆さんではなく可愛らしい少女のサークルだ。応用力の
芽生えが嬉しい。夢中になっての制作は必ずや身になるであろう。
 

■二十四節気 <寒露>   七十二候 (四十九候. 五十候. 五十一候)

10月8日は寒露      (10月24日霜降)

・四十九候 (10月8日)     ・がん きたる
                    雁が飛来し始める

・五十候 (10月13日)     ・きくの はな ひらく
                    菊の花が咲き始める

・五十一候 (10月18日)    ・キリギリス とに あり
                    キリギリスが家の中で鳴く  

  現代童画展出品作制作のため鳩山詣が続いている。鳩山では終日描くのみ。外に出て萩の花を愛でるゆとりも無いのが
 残念である。白萩、宮城野萩、だるま萩……花のトンネル?………が出来ているはずであった。ところが、雑草刈を依頼して
 おいたシルバーさんが、萩の木も殆ど刈り取ってしまっていた。かろうじて茶の木の間から伸びた萩が花を風に揺らせている。
 萩、薄(ススキ)、桔梗、撫子、女郎花(オミナエシ)、葛、藤袴   秋の七草……このうち、野で桔梗は見かけない。絶滅危惧種と聞く。

  絵は完成が見えてきた。絵柄は板絵の性格上(彫が施されているため)大きな変更は出来ない。色だ。色でもって情感の表現をするのだが、
 塗り重ねによって絵の表情はがらっと変わる。好ましい、望ましい心象風景が現れるまでひたすら塗り続ける。描く行為はイメージが画面に
 現出するまで停まらない。

9月のアトリエだより

■秋の収穫を喜ぶ


  
・クルミ(今年の6月撮影)      ・実をもぎ皮を剥いた       ・胡桃の実(中央2個)
 
・柚子も沢山実をつけている        ・栗は拾う時間がなくて残念

 2,3日前は30度。今日は十数度の涼しさ。朝からアトリエに籠り板絵を制作する。今年は猛暑のせいかハチが増え
飛び交っている。スズメバチにアシナガバチ。多くて恐いほどだ。アトリエにも舞い込んでくる。ラケット状の電池式蚊取り器で
退治するのだが、空振りすると大変。ハチは攻撃されたと思い攻めてくる。今日もそうだった。一匹見事命中と思ったら、背後から
耳をかすめるように別の一匹が飛んできた。二匹部屋に入っていたのに気づかなかったのだ。危ない危ない!
 先日地塗りを終えいよいよ”描ける”。好ましい状態になるまで幾度と無く色を塗り重ねる。ぼくの唯一の贅沢か、絵の具のチューブが
いくつも空になって行く。下層に沈んでいく色は決して無駄ではない。重層的に”我が望みの色”をかもし出してくれるのだから。
この”色遊び”は小学時代の絵の時間、ワクワクして描いた、あの楽しさと同じだ。仕上げるのが目的ではなくそのプロセスが
幸せな心持にしてくれる。この時のぼくは多分、最高に生き生きしていると思う。

 「気、澄み渡る……」秋晴れ。台風が来ているそうだが、鳩山は嘘のように上天気。ヒガンバナの群生、原色の赤が目に痛いほどだ。
自分では為し得ずシルバーさんに頼んで刈り取ってってもらった野に出れば、木の葉はも早散り始めていた。栗の実も鈴なりだ。少しだけ
叩き落して集める。石造りの釜で新聞紙を燃やして焼き栗。3つぶほどだが、初物の熱々を味わう。これも我が贅沢。
 胡桃も気になっていた。昨年は収穫時期を逸してしまった。今年こそはと、来るたびに注意していた。いつ、もいで良いのやら……。
木の根元に一粒落ちていた。果肉からクルミが露出している。今が収穫時と判断。収穫といっても6粒のみだけど。クルミは
仲良く二粒ずつ寄り添うように成っている。上の写真(中央)は果肉を半分取り除いたところ。胡桃の殻を一粒一粒取り出すのは
大変だ。この後、割る工程があるし……。食べるのは簡単だが……恵みには感謝しよう。
(Sep.25)

■二十四節気 <秋分>   七十二候 (四十六候、四十七候、四十八候)

  秋分は9月23日 

・四十六候 (9月23日)    ・かみなり こえを おさむ
                    雷が鳴らなくなる

・四十七候 (9月28日)    ・ちっちゅう とを とざす
                   虫が地中に巣籠りする

・四十八候 (10月3日)    ・みず はじめて かる
                    田の水を落として稲刈りの準備をする

 HPの更新もままならず。慌しく活動の日々。落ち着いて制作なんて夢のまた夢。心やすまる時なし。情けない。

 渋谷の仕事場→テニスコート(午前中二時間)→大学(レジュメ印刷)→自宅(今、HP更新)→鳩山アトリエへ。
創作に割り振る時間はまったくなし。嘆かわしい!明日は12時間はアトリエに籠り絵を描く決意。

創作といえば、紙皿で天使を作った。ペーパープレートクラフト、。そのゲージも学生の数分だけ用意(レジュメは豪華カラー版)したから
時間が足りなくなるわけだ。真っ白い紙皿の天使はシンプルで清らかだ。学生はきっと喜んで制作すると思う。手を使う。作って作って……
学生は体験を通じて何かを学ぶだろう。

■二十四節気 <白露>   七十二候 (四十三候、四十四候、四十五候)

     9月8日は白露        9月23日は秋分

・四十三候 (9月8日)     ・くさつゆ しろし
                   草の葉に白い梅雨が宿る

・四十四候 (9月13日)    ・せきれい なく
                   セキレイが鳴くようになる

・四十五候 (9月18日)    ・つばめ さる
                    ツバメが 南の国に 去って行く

 第三回『子ども教育学会』出席後、鳩山へ。板絵制作に集中する。このところ頻繁にアトリエを訪れるが、
それでも進行遅く焦る。眠る時間以外は彫っている。なんとか地塗りまで済ませた。この後も、塗っては彫る作業が続く。
板絵のしんどさは、終わりの時間が分からないところだ。今やっと”キャンバス”状態。やっと”描き”に入れる。”やっと……”の
ところまで漕ぎ付けたのに、アトリエを出なくてはならない。大学の仕事が待っている。
 秋学期まで一週間。すべての時間をその準備のために使うが、それでも寸暇(あるだろうか)を見つけてアトリエに
向かうかもしれない。頭の中に作品の”骨格”がデーンと存在し、板絵作業の続行を促している。

 栗の実が落ち始めた。古い木は元気ないが(2本は切り倒した)10年ほど前植えた3本は今年も”豊作”だ。 残念だが、
栗拾い(実際には口を開けたイガを叩き落す)する暇さえない。少しだけでも拾おうか……。
 クルミは繁る葉の間から2個見えていたが、かき分けてみると5個!暗緑色の7~8センチ大の堅いボールが枝に
突き刺さるように付いている。昨年は収穫する前に落果したのか、動物に食べられたのか姿が消えてしまった。

 この次鳩山へ来たときに実をもごう。クルミはいつ収穫してよいのかタイミングが分からない。表面の緑が段々黒ずんでいくが、熟れる
果実と違い大きな変化が無いから。いつもは袋で買うクルミ(カリフォルニア ウオルナッツ)だが、木に実るその姿は愛おしい。
割って「ウイスキーの友」に……、ゆとりのない日々の生活、夢想がしばしの慰めだ。

■《防災の日》はスズメバチ退治!


    
 ・写真には写っていないが、消防署の車の前には物々しく救急車が待機  ・防護服でいざ出陣! ・スズメバチが飛び交う中、駆除開始
   
・戦果……6層のスズメバチの巣  ・不気味に口を開けたチャンチンの老木(巣が大きかったことを物語る)

 アトリエのシンボルツリー、チャンチンの老木(香椿)が枯れた。朽ち果てる寸前の幹にスズメバチが巣を作った。アカゲラが開けた穴が
日ごとに大きくなっていく。獰猛なスズメバチと、すぐ分かったがタカをくくっていた。いや、恐くて近づけなかったのだ。数百匹と群がる
スズメバチの大群、見るに見かねて役場に駆除を頼んだ。

 消防署の車に、救急車。総勢8名。防護服に着替えた隊員2名。3名はバドミントン(?)のラケットを持って構える。ハシゴを架け
ほこらに薬品をぶち込む。窒息死させるのだという。そのあとバールで穴を大きくし巣を破壊、取り出した。何と6層も!
作業員は「これは大きいほうだ。巣に戻ってくるハチがいるから、暫くは近づかないように」。救護員は「今までに刺されたことは
ありますか?二度目なら死に至ります(ショック死)」と言い残し、引き揚げていった。スズメバチは恐い。
刺されて命を落としたというニュースも耳にする。   ふー、これで一安心だ。役場の方々、消防隊員に感謝感謝。

 アトリエに入っても気になって仕方ない。デッキに出て、壊した巣の後を双眼鏡で見る。隊員が言った通りだ。スズメバチがまた群がって
きている。巣がなくなったことを諦めきれないのか、穴から出たり入ったり慌しい。大丈夫だろうか?又巣を作らなければ良いが。

 板絵制作に入ったのは夕方。有線放送の『元気に遊んでいる良い子の皆さん、暗くならないうちに帰りましょう』が聞こえてきた。
「カラスウリの花が開くのを見たいなあ……」、「ビール&読書もいいなあ……」  ダメダメ!仕事仕事!、集中せねば……誘惑に蓋を
して……このところの低下した気力にカツを入れるべく水風呂、ねじり鉢巻! さあ、やるぞー!!!!
(Sep.1)

8月のアトリエだより

■《愛媛の酒を楽しむ会》

 京王プラザホテルで開催された蔵元18社出展の《愛媛の酒を楽しむ会》。畏友の杜氏、宇都宮君もブースを構えると言うので
出かけた。「千鳥」とならんで「月の滴」も展示されていた。「月の滴」はぼくの板絵(同名のタイトル)をラベルに用いた大吟醸酒だ。
会場はほぼ満員の盛況。利き酒しながら酒造主や日本酒党との歓談を楽しんだ。案内状通りの”ビュッフェディナー”だったが、
ぼくはテーブルから動かず、じゃこ天をかじったのみ。客の応対に忙しい宇都宮君とは一言二言話したのみ。握手して会場を後にした。

 9月には大学。秋学期が始まる。その準備。板絵制作もある。造形遊び本の原稿も。明日は鳩山だ。アトリエの掃除も終わらせなくては
ならない。暑さで気力が萎えている。巻き返さねば!

■二十四節気 <処暑>   七十二候 (四十候、四十一候、四十二候)

  8月23日は処暑  (9月8日白露)

・四十候 (8月23日)     ・わたの はなしべ ひらく
                   綿を包むガクが開き始める

・四十一候 (8月28日)   ・てんち はじめて さむし
                   天地の暑さがようやく収まる

・四十二候 (9月2日)    ・いなほ みのる
                    稲が実る

 暦の上では処暑なれども、炎暑衰える気配なし。鳩山も暑い。板絵制作準備に訪れたが、暑さで退散する羽目に。
それでも掃除ぐらいはと収納庫をあけて溜息!思っていた以上にパネルがカビだらけ。パネルのみならずシナベニア板
すべてに白や黒のかび。炎天に日干しをする。幾度もパネルやベニア板を運ぶ。布で拭き落としながらの作業に体中の水分が
なくなるほどの
汗を流した。
 胸が苦しい。深呼吸すると胸の上が板で覆われているような感じだ。カビを相当吸い込んだのだろう。なぜマスクを着け
なかった……、後悔しても後の祭り。いつもカビには悩まされているが、今回は大事だった。肺の中にカビ菌が育っている
のでは……ああ、胸が気持ち悪い!水道にホースを繋いで肺を隅々まで洗いたいなあ。

 

 パネルを道路にならべて、”熱消毒”。枚数100枚ほどか、裏返してカビを殺す。湿気対策の名案なく、毎年板の天日干しに
時間を取られている。進歩なし!創作欲が削がれるし時間の無駄だ。東京への帰路も、今日一日の働きの虚しさが頭にあり
情けない思いでハンドルを握っていた。
 我がアトリエが建つのは坂の下、更に半地下状態で湿気るのは仕方ないことだが、我慢我慢!贅沢を言うのはよそう。
”静かな小鳥の楽園”だ。「小鳥の帰る島」ではないか。   
                                          「小鳥の帰る島」は三十数年前現代童画展に出品した作品名


■交通渋滞覚悟で鳩山へ。



  
・「胡桃のヨットとブリューゲルの風車」    版画

 講演会では板絵作品も何点か提示する。『胡桃のヨットとブリューゲルの風車』もその一つ。
ネーテルラントの画家ブリューゲルは1560年、《子どもの遊技》に91種類もの子どもの遊びを描いた。ブランコや、水鉄砲、竹馬など
分かりやすい遊びから、樽揺らし(シーソー)、煉瓦積み遊び、指骨あそび、目隠し鬼のスリッパ取り、洗礼ごっこ、お粥のかき混ぜっ
ごっこなど、フランドル地方の風俗、習慣色鮮明なもまで。
 その中につくる遊びはただ一つ。「胡桃の風車」だけ。ぼくは絵を見て実際に作ってみた。それを板絵に描いたのが『胡桃のヨットと
ブリューゲルの風車』だ。10号Sサイズの小さなものだが、横浜の講演会で、胡桃の玩具ともども見せたいと思う。
 炎天下、テニス3ゲームの疲れた体で、交通渋滞を恐れての運転、炎暑!気温が高いというより、この蒸し暑さ!鳩山のアトリエに
着いても、頭がボーとして他の仕事できず。ただ作品を積み込み帰途へ。

 楽しみと言えば、庭で工事中の「井戸」の進行状況を確かめられたこと。誰も引き取り手が無いような巨大な砂岩の円柱形井戸枠を
破格の安値で購入。それを据え付ける土台工事を頼んであったのだ。井戸枠を何に使うか?地面を深く掘ろうとも、井戸が湧く保障もなし、
水をくみ上げる装置もないし。手押しポンプ設置も考えたが、これは井戸からの配管が必要で、大工事になる。そこで考えた。

名案浮かべり!!!!!この井戸枠の使途は?工事屋さんもぼくの描いた設計図を見て首をかしげた。構造を口で説明し、
わかってもらう。設置場所は庭の斜面だから、構造を描いた図面が理解できなかったのだろう。

< “名案”は工事終了後、この欄で答えを“白状” >   ヒント………枯れ葉を入れる=○○○作り


 工事は7割がた出来ていた。構造体はほぼ完成。煉瓦も積まれ後は配管と、井戸枠の運び込みだ。
 あちこちに蝉のぬけがら。ミンミンゼミの鳴き声が蜩に変わった。アトリエのシンボルツリー《チャンチン》が、枯れた。アカゲラだろうか、
突いた穴が二つ寂しそう。主は見えず、チャンチンは今、アシナガバチの城となっている。ヤマカガシも手入れの無い庭で我がもの顔だ。
仕方ないことだが……。
(Aug.15)


■板絵運搬、準備を考慮しホテルの予約を入れる

 18日の講演会会場はは横浜のホテル。当日車で行くつもりだったが、板絵、絵本、レジュメ(かなりの重量)の運び込みなどを
考え、前日宿泊することにした。『表現する喜び』と題し2時間の講演。一部<板絵の仕事>二部<絵本・雑誌の仕事>。いま資料
整理に忙しい。秋の現代童画展出品作(上野の森美術館)にも取り掛からねばならない。その前に、造形遊びの
指導本の原稿も。明日は大学へ。
 風邪は何とか治まりそうだ。さあ、またフルスロットルで走らねば……。暑さにめげてはいられない!
(Aug.11)


■夏風邪!熱がある。仕事、スローペースにダウン!

 疲れが溜まっていたのだろう、風を引く。頭痛が続き仕事ストップ!それでも、講演会の準備はしなくてはならない。
パワーポイントに板絵作品や絵本を取り込む作業。レジュメが先だが、今、考える力は無い。
 講演会には板絵も持参して行こうと思う。その作品の決定は迷ったが、『いこい』『たたかい』(F50 1981)とする。
20年も前の作品だ。100人レベルの会場での可視性を考えると、”大柄”が良いだろうと。近作の小品も2~3点加える予定。
  


■二十四節気 <立秋>   七十二候 (三十七候、三十八候、三十九候)

 立秋は8月7日  (処暑は8月23日)

・三十七候 (8月 7日)    ・すずかぜ いたる
                   秋風が吹き始める

・三十八候 (8月13日)    ・ひぐらし なく
                   蜩が鳴く

・三十九候 (8月18日)    ・のうむ まとう
                    濃い霧が立ちこめる

■鳩山アトリエは伸び放題の木々に隠れる

 雑草生え放題、手入れする暇なく荒れ果てた鳩山のアトリエの庭。庭と言うより原野かジャングルか。それでも、植えまくった
果樹、花木が育っている。”植えまくった”というのは、畑にない樹木の苗木を見つけると、手当たり次第手に入れ植えていった
ということ。柿、リンゴ、スモモ、キウイなど果樹のみならず、ユズリハ、クロモジ、リンデン(西洋菩提樹)、イタリアンパイン、メープル、
それに後先考えずに(大木になったらどうしよう)ブナやトチに、ヒノキやケヤキまで植えた。紅葉が好きだからモミジもハゼも。
 この間は大島桜も植えた。桜は昔からある山桜、それに、染井吉野が昨年から咲き出した。大島桜の”ねらい”は花より葉っぱだ。
この葉で桜餅をつくろうという算段。二本植えた大島桜(知人が種から育てたものを移植した)が楽しみだ。
 ナツメ、サルナシ、山葡萄は放っておいても育つが、心配はナナカマド。一本を枯らし、昨年植えた二本も危やしい。
ナナカマドの赤い実を小鳥にとの思いは今秋も叶いそうもない。

■夏風邪?鼻クシュンクシュン……

 オープンキャンパスで張り切りすぎたのか(満員御礼、大盛況)、雨の中のテニス(サーブ打ち込み200球)が
ハードだったのか、はたまた熱中症か、鼻水が止まらない。夏は大好きで暑さにも強いぼくも、”35度”には閉口!
只今ギブアップ状態。それでも休めず動き回っております……。○○○○、暇なしか!

■クレヨンまるDVD <ハーブおばさんのスイカのパラソル>

 『幼稚園』(小学館)9月号付録に「夏チャレンジDVD」がついている。アンパンマン、ドラえもん、お話、歌、水族館に行こう、
忍者修行など盛りだくさんの120分。その中に「クレヨンまる」も納められている。まだワルズーやミイラばあや、それにチェリーや
ふるもとくんなど友達が登場する前の、最初期の作品。「ハーブおばさんのスイカのパラソル」の再録。

 ここ2~3年前から、幼児雑誌にDVD(その前はVHSビデオ)がつくことが多くなってきた。”お得感”はあるが、その分雑誌の
ページ数は減っている。本文が充実してこその雑誌だ。
 毎号付く”本物付録”(表紙にもこの文言が載っている)も、手替え品替えのアイディア玩具ではあるが、創造性を育むような物は
少ない。雑誌の黄金期70~80年代の付録と比べると、見た目の豪華さとは裏腹に、<創意工夫>する心が育つとは思えないような
ものばかりだ。
 キャラクターを付けた刺激的な玩具(多くはICやボタン電池を使っている)は子どもには魅力だろうが、その興味は長続きしない。
持っているだけのもの、あるいは遊び方を限定する玩具に想像性、創造性がないからだ。

■2010 オープンキャンパス・模擬授業・アリガクン参戦!


  

 8月1日は相模女子大学のオープンキャンパス。真新しい建物、マーガレット本館5F2152教室でぼくは授業を行う。
昨年も一昨年も満員の盛況ぶり。補助机を出して対応した。当節の風潮として保護者の方々もお見えになる。ご父兄をも
納得させる講義でなくてはならず、頭をいためるところだ。(本来は制作を通じて自己表現し、体感が人間の底力を培っていくものだが)
 今回はアシスタントの三年生が5名参加の強力体制だ。高校生諸君に「作る喜び、表現の素晴らしさ」を教えたい。

7月のアトリエだより

■夏の法要は大変だ!寺は、今話題の植物園の傍らにあり

 連日35度以上の「猛暑日」。先日は文京区にある寺で法要がありでかけた。本堂での僧侶の読経の後、炎熱の墓へ。
参会者はみな汗を滴らせている。お坊さんも配慮して短めの念仏。くらくらして倒れそうな暑さ、代わる代わる墓に水を
かけたが、かけた途端から乾いていく。
 墓石には、○○家ではなく、倶会(旧字)一拠(旧字)と彫られていた。
 寺から程近くに東京大学附属小石川植物園がある。いま、世界最大の花ショクダイオオコンニャクが開花し、大賑わいとの
報道。一万人以上が訪れ入園券の販売をストップしたとも。目と鼻の距離まで来ており、見ていこうか迷ったが、この暑さに
退散。 それにしても集まった10000人……。話題性……、本当に前々からこの植物に興味を持っていた人はどれくらい
いたんだろう? いろいろ考えてしまう。

■二十四節気 <大暑>  七十二候(三十四候、三十五候、三十六候)

暑中お見舞い申し上げます。 23日は大暑! ”文字通り”を越していますよね。でも、
暦では大暑の次は立秋…………、”りっしゅう”の語感はいいねえ。暑さに負けませぬように、ご自愛専一に。

  7月23日は大暑    (立秋は8月7日) 

・三十四候 (7月23日)    ・きり はじめて はなを むすぶ
                   桐の花が実を結ぶ

・三十五候 (7月28日)    ・つち うるおいて むしあつし
                     大地が熱を持ち蒸し暑くなる

・三十六候 (8月 2日)     ・たいう ときどき ふる
                    大雨が時々降る

 猛暑日!夏が好き、熱さには強かったぼくも流石に閉口!先週まで頑張っていた”金曜テニス”も断念する。行かれないことも
ないが、コートに誰も集まらないだろうし。明日は法事がある、黒服の準備をする。汗だくだ。

 HPの更新もできぬまま、8月1日のオープンキャンパスの用意、18日の講演会の準備に明け暮れている。講演会は長時間だから、
パワーポイントも活用する。そのためのデータ取り込みに大わらわ。

 演題は『表現する喜び』一部は<板絵・版画……三つ子の魂、何とやら>で「幼少期の先生との出会い、環境、素材について」から現在に至る
表現人生を話す。 二部は<絵本の現場から>と題して、まず 「こんなこいるかな」誕生エピソードを。NHK2歳児テレビ番組研究会の教育目標などを紹介しつつ話す。これはぼくの基本的考え方、すなわち「色んな個性、それぞれを認め、一人ひとりを伸ばす」と、思いは一緒だから。
 研修会は全国から集まる図工美術専門の先生方だから、絵本の様々な作法、制作技法も。更には小学校の先生方が受け持たれる子どもが、どのような環境に置かれて育ったのか、「月刊幼児雑誌の変遷」から見る試みも。30年間の幼児雑誌の本文はもちろん、殊に付録に着目。付録は
おもちゃだから、子どもに一番身近なもの。その変わり様から様々なことが見えてくる。大量の雑誌や付録の実物を提示しながら”驚くべき実体”を
知ってもらおうと。

 大学の授業も大詰め。セメスター制は???だ。半年15回の講義(演習)では物足りない。いきおい詰め込むことになるが、学生が深く考え、自主的に制作するまでには至らない。学生は頑張ってついては来ているが、「これでもか、これでもか」と言うくらいやらねば力にならないと考えるぼくには
不満が募るばかりだ。”思いっきり””徹底的”にやりたいなあ……、学生には学ぶ時間が足りなすぎる。嗚呼。

■おでかけクイズ絵本『グー・チョキ・パーのいじわる魔女を追いかけろ』表紙初校あがる

 『グー・チョキ・パー』はお話とクイズ満載の絵本。<おまけクイズ>のボリュームもたっぷり。子どもを
長い時間楽しませたい。何度も絵本をめくって、隠されているものを探す楽しみも。
グー・チョキ・パーは腕白三人組。描いた絵から可愛らしい女の子が飛び出してくる。名前は『おやつちゃん』。
いじわる魔女『ズルーイ』との知恵比べ!乞うご期待!
(Jul.15)


■二十四節気 <小暑>  七十二候 (三十一候、三十二候、三十三候)

 7月7日 は小暑           (7月23日は大暑)

・三十一候 (7月 7日)    ・おんぷう いたる
                   暑い風が吹くようになる

・三十二候 (7月12日)    ・はす はじめて ひらく
                    蓮の花が咲き始める

・三十三候 (7月18日)    ・たか わざを ならう
                    鷹の子が巣立ちの練習をする

 現代童画選抜展終わる。今年は会場に行かれず仕舞い。出品作『どんぐり嵐』はこの後、坂出市民美術館展、神戸展で
展観される。お近くの方はご高覧を。
(Jul,5)

6月のアトリエだより

■現代童画会選抜展が開催されます

 「現童選抜展2010」開催。6月28日(月)~7月4日(日)
                        銀座アートホール
 詳しくは展覧会のページをご覧下さい。

■古いスケッチブックが大量に出てきた 厚手の粗紙


  
・粗紙32枚のスケッチブック。 27×34cm  POLARPUBLISHING/FINLAND

 絵本の原画やイラスト(教科書、雑誌、レコードジャケット、広告パンフ、百貨店ポスターなどに使用したもの)を捨てる。
ぎっしり詰まった紙袋を”仕分け”もせずに、幾つもゴミ置き場へ運んだ。見れば捨てるに忍びなくなるのが分かっているから。
版木の類もイラストを彫ったものから、版画作品まで山のよう。取っておきたい気も山々なれど、どこかで処分せねばと一大決意。

 大量の和紙や紙類はカビや黄変したものを除き取っておく。中に写真のスケッチブックの束があった。数十冊、購入は
40年程前だろう。なぜ買ったのか?おそらくスケッチブックの粗い紙質が気に入ったのだと思う。ザラザラしていて厚さもある。
真っ白とはお世辞にも言えないが(藁半紙か馬糞紙の趣)、風合いが良い。一、二冊使った記憶もあるが、戸棚の奥に眠った
ままでいた。ツルツル、すべすべのコート紙や白い紙が当たり前の子ども達に、この”自然な紙の色”を見せてやりたい。
クレヨンの”塗り””滑り”が全く違う。”粗末な”ザラザラ画用紙の復活を望む。

 何でも手に入る、恵まれすぎからは創造性は育たない。無いから工夫する、やっと手に入れたから大事にする……想像力と
創造力、この二つのソウゾウリョクは環境、人(導き)、そして素材(材料)で培われる。粗末なスケッチブックの山を見て
思った。物が無い時代に育ったぼくは幸せだったと。
(Jun.25)


■二十四節気 <夏至>  七十二候 (二十八候、二十九候、三十候)



    夏至は6月21日   (小暑は7月7日)

・二十八候 (6月21日)    ・だいとう かる
                     夏草が 枯れる

・二十九候 (6月27日)    ・しょうぶ はな さく
                     菖蒲の 花が 咲きはじめる

・三十候 (7月2日)      ・はんげしょうず
                     からすびしゃくが 生える
                     

■いつも、アップアップ。切羽詰っての仕事……ゆとりがないなあ。

 毎週木曜日は「自分の仕事日」としている。絵本制作、文書き、絵、研究といくつもメニューが多すぎて、大抵は
うまく行かない。時間を決めてやることを変えようとするのだが、仕事が不満足、区切りまで届かず延長となってしまう。
欲張り過ぎだが時間が足りないので仕方ない。睡眠時間も少なくてフラフラ状態……良いことではないなあ。
 今日は絵本から入ろう。原稿書き(草稿)、それにやはり気になるレジュメ資料を作り直さねば。講演会の演目コンテンツも
考えたい。オープンキャンパスのメニューも、その他もろもろ、一つ一つ片付けてとは思うのだけれど、その一つが重たくて……。
 昨日は小雨の中、キャンパスの植物の葉を採取した。キウイ、ドクダミ、ヤツデ……。「絵画造形表現」授業、スタンピングのためだ。
学生も色々な葉を持ち寄った。桜、銀杏、紫陽花、トマト、ヤマノイモ、柏、中に睡蓮なんてのもあった。残念ながら睡蓮は葉脈が浮き
出ておらず、スタンピングしてには向かないのであるが。
 学生は自然物(葉など)と人工物(キャップ、容器)のスタンピングを楽しんだ。7色のインクをローラーに付け素材を写し取る作業に
夢中……、そしてその”転写コレクション”をコラージュする。自由に再構成する。完全自由を与えられた学生の表現は光った。いくつか
目を見張る出来栄えの物があった。
 学生が制作自体を楽しんだ、その痕跡が作品なのだ。概念や意図しない無意識下のデザイン技法(AUTOMATIC……デカルコマニー、
フロッタージュ、ウオッシング、スパッタリングなど)を学んだ後の授業に、ぼくはスタンピングを選んだ。幼児造形教育の版画の元になる
スタンピングに、学生は時間を忘れて没頭した。その姿は無邪気に遊ぶ子どもと同じだ。幼児保育に携わらんとする者は子どもの心を
知らねばならない。作業に集中して子どもに還っている学生……、ぼくは学生が先生になって子どもに囲まれている情景を想像していた。
(Jun.24)

■リンデン(西洋菩提樹)の花にミツバチが……良い写真が撮れた

  
・リンデン(西洋菩提樹)の花の蜜を吸うミツバチ

 「絵画造形表現活動」の今回のテーマはスタンピング。あらゆるものにローラーでインクを付け写し取ろうというもの。
自然物は葉っぱなど。学生は思い思いの葉っぱを集めてくることになっている。ぼくも葉脈のはっきりしたものを用意する。
桜、イチョウ、ヤツデなどはキャンパスにある。珍しいところで、杜仲茶、サンシュユ、ローズジェラニウム、ワイルドストロベリー、それに
きれいな形の”定番”モミジ。ハナミズキもアイビーも葉脈が美しく出る。全部で20種類くらい保冷材を敷いたバッグに詰めた。

 リンデン(西洋菩提樹)の葉も珍しかろうと採取しようとして手を止めた。いまや激減、姿を消し問題となっているミツバチが、花の蜜を
吸っていたのだった。リンデンの花の蜜は最高と言われるが、一体このミツバチは何処に帰るのだろう?
 アトリエを建てた頃は、ミツバチの大群の羽音うるさい群舞が見られたものだ。確かにここ、鳩山でもミツバチは減っている。
 大急ぎでカメラを取りに。ピンとあわせに一苦労したものの何とか姿を納めた。

■クワノ実、グミ取り放題!ビワの実、甘露!

  
・甘い桑の実             ・とろけるようなビワ            ・これからが楽しみ……オニグルミ

 アトリエに籠りっぱなしは体に毒と、外に出る。荒れ放題の庭(庭と呼べないほど雑草が茂っている)、赤い実が目に入る。鈴なりの
グミ、ギッシリ密着する桑の実だ。どちらもいい具合に熟れて今食べごろ。口に含めば、かまずにとろける柔らかさだ。甘い。そう
たくさんは食べられないが、もいで食べるのは格別美味しく感じられる。びわの実も20粒ほどだが実を付けている。先週はまだ
固かったが、こちらも食べごろ。吐き出した種は辺りに埋めた。芽を出してくれるだろうか?忘れた頃、「あっ、あのときのだ!」
幼木を見つけられたら嬉しいだろうなあ。

■2010現代童画会選抜展搬入日迫る    (展覧会詳細は別項)

 毎年この時季恒例の「現童選抜展」も間近。銀座アートホール展示のあとは四国坂出、神戸と巡回する。作品の保護箱を
製作したが、利用していたホームセンターが閉鎖し材料の手当てが容易ではない。時間もなく、ありあわせの板で間に合わせた。
 肝心の作品、タイトルは『どんぐり嵐』。毎年車の屋根に振り落ちるマテバシイのドングリが意識のベースにあった。それと、
旧作『どんぐり広場』だ。いま、種から芽を出したクヌギが育っている。”どんぐりの木”は種類が多いが、風に飛ばされてくるのか、
自然に生えてくるから嬉しくなる。ドングリノ木だけではない。サンショウ、ナツメ、スイカズラ、アケビ、モミジ……邪魔者扱いの杉も
あちこち芽を出して困る。さてさて『どんぐり嵐』の出来栄えは如何に……。
(Jun,22)

■「幼稚園実習」学生への試練……。耐えて超えてほしい。

 昼休みのオフィスアワー(学生が質問等に自由に研究室を訪れる)に幼稚園で実地研修中の
学生が駆け込んで来た。園の先生から「責任実習」の制作物について厳しい指摘があったという。
廃材を用いての幼児の工作遊びで、学生は条件の一つ、「季節感を出す」から、カエルをテーマ
に選び、工作二種を用意した。新聞紙をまるめ先っぽにカエルを止らせゴムで“発射“するおも
ちゃ、 もう一つは、ティッシュボックスの中にカエルを4匹入れたもの。 蓋をあけると勢い
良く飛び出すおもしろい工作だ。 
 それが、「年長にはもう少し凝ったものを」「壊れにくく、長く遊べるもの」「カエルは4匹
いらないのでは」など等、相当言われ落ち込んでしまった。
”4匹”が面白いのに。学生がかわいそうになった。一匹しか入らない箱をわざわざ作るより、
4匹入るに越したことはない。カエルは3匹でも2匹でも自由だ。スペースを一匹用に限定して
しまえば、その後の遊びが広がらない。ぼくには何だか先生のアドバイスが”言いたい放題“に
思えてならなかった。

 制作物をみてぼくは首を傾げた。いずれも問題はないと思えたから。「色んな見方があるんだね
この工作、子どもたちきっと喜ぶよ。頑張って!」ぼくも二点制作したものを見せたが、学生ので
十分行ける!「もっと自信を持っていいよ。」……励まして帰した。
 聞けば、その園はセロハンテープ、ガムテープ類は一切使わせないという。段ボールを使う大形
おもちゃを作るときやペットボトルを束ねるとき等クラフトテープやビニールテーが重宝するのに、
すべて禁止とはなあ。先入観だ。そのくせ園児には英語を学ばせているという。何か偏ってる。ホチ
キスだって何だって危険視して使わせないのでは創造性は育たない。環境、素材(材料)それに、
やはり指導員だなあ。
 子どもの感受性の萌芽期の立会人、極めて重責だ。

Jun.14

■実践遊び学……「連続模様切り紙あそび」

   
 先週は江戸時代、寺子屋で盛んだった「紋型切り紙」を演習。昭和20年頃までは図工の教科にあった。3回折り、
4回折りを数多く制作。今回は「蛇腹折りの連続模様」。学生は思い思いのモチーフで数点の作品を仕上げた。
写真2枚

はそのレジュメ。右はデザイン参考資料1~3。このあと学生は”完全創作”に挑戦する。宿題にしたから、次週が
楽しみだ。自主性を喚起したい、いや何より制作”量”を求めたい。今は”質”ではなく、量だ。飽きるほど制作して初めて
身につくのだから。
 毎回レジュメはこの調子だから、時間がかかる。今回は作りためた連続模様(すべて大型サイズで制作済み)その数40点。学生はこの40個を馬鹿馬鹿しいと思うのでなく、「だったら1個くらい作るぞー!」と発奮してほしいのだ。
 (Jun.7)

■鳩山のアトリエ……目を休めに庭に出る。鬱蒼とした茂みに実りを見つけ嬉しくなる

  
・ビワの実                 ・びっくりグミ
 
・オニグルミ                ・キウイの花

 週末は鳩山の生活が続く。現代童画展選抜展出品作の制作に入った。「アトリエだより」更新も儘ならぬ状態だ。

板を彫る手を休めて庭に出れば、嬉しい発見が!伸び放題のびた木々が実を付けていた。ビワはもうすぐ食べられそう。
サルナシはまだまだ小さいが、今年もどっさり実ったので楽しみ。グミは大粒が取りきれないほどだ。桑の実は口に含めば酸っぱく、甘くなるまで待とう。気にしていたオニグルミは(昨年はたった一粒しか生らず、それも収穫前に落ちてしまった)十個ほど実を付けた。クルミは信州で育った子ども時代の思い出があるので、何としても育てたかった。根元を虫にやられ穴が
開いてしまい心配していた。薬を塗布しロール布で養生する。

■二十四節気  <芒種>  七十二候 (二十五候、二十六候、二十七候)



    
  6月6日は芒種              (6月21日は夏至)

・二十五候 (6月 6日)    ・かまきり しょうず
                     カマキリが姿を見せる

・二十六候 (6月11日)    ・ふそう ほたるとなる
                     腐った草が蛍に姿を変える

・二十七候 (6月16日)    ・うめのみ きばむ
                     ウメの実が黄色に色づいてくる
                     

5月のアトリエだより

■二十四節気<小満>  七十二候(二十二候、二十三候、二十四候)



    
5月21日は小満          (芒種/6月6日)

・二十二候 (5月 21日)    ・かいこ おきて くわを くう
                     蚕が桑の葉を食べるようになる

・二十三候 (5月26日)    ・べにばな さかう
                     紅花の花が咲き乱れる

・二十四候 (5月31日)    ・ばくしゅういたる
                     麦が育ち、麦畑が黄金色になる
                   

 2限3限授業の間に昼食をとるのだが、片付けがあったり、学生の質問などに時間を要し満足に食べられたためしがない。
10分くらいで立ち食い……出来ればいいほうだ。今日は昼飯を食べに研究室に入ったのが12時35分。そこへプロジェクト活動研究の
指導を求めて学生三名がやってきた。プロジェクト活動研究は学生が(教室外で)自主的に表現する科目だ。仕掛け絵本を作って、
幼稚園児の前で演じたいという。残念なことに、この学生達はぼくの「絵画造形表現Ⅱ応用」を受講していない。講座のコンテンツには
仕掛けを使っての「グリーティングカード制作」もある。ポップアップを中心に数種類の仕掛けを研究制作する。勿論カードのみならず絵本にも
応用可能だ。学生に授業で使った「仕掛けのゲージ」を貸し、コンセプトの再確認(仕掛けのおもしろさが狙い?しっかりした絵本?子どもたち
への読み聞かせが主?……いずれも大変なこと、中途半端にならぬように)をしてくるように言った。三人は仕掛けの習作を見せた。
すべては”ヤル気”だ。熱いエールをおくった。
 先週は「なぜ絵が嫌いになったのか?いつごろから図工をしなくなったのか」アンケート調査をするという学生が訪ねてきた。文献を貸せと
いう。問題に即答といったものが簡単に手に入るわけが無い。子どもの絵、評価、造形表現等の資料として数冊渡したが、いずれもヒントには
なっても直接回答を求める者には不満だろう。考え迷い悩む……、研究する姿勢を見たい。
 仕掛け絵本制作にせよ、アンケート調査にせよ、自主的活動の”芽生え”は素晴らしいこと。嬉しい。昼飯にありつけない日が続きそうだ。
(May.24)

■久しぶりの鳩山。雑草に庵埋もれそう。チェーンソーで木を切る。ブンブンゴマを作る。

 多くの田圃で田植えが終わっていた。それも昨日か一昨日か、苗が植えられたばかりであることが直ぐ分かった。
鳩山には板絵制作用の木製パネルの在庫を見に来たのだが、アトリエに近づけないほどはびこる木の枝落としや雑草取りに
日がな格闘、板絵どころではなかった。
 演習科目「コマの回転円盤デザイン制作」の前に見せる”伝承玩具”「ブンブンごま」を数個作った。ブンブンごまは回転するとタコ糸が指に食い込み引きちぎれるくらい引っ張られる。ブオーン ブオーンの音もダイナミックだ。ボール紙、ボタン、木片……何でも使える。昔は牛乳瓶のキャップで作ったものだ。路傍でメンコや釘刺しをして遊んだ少年時代、ぼくは毎日
何かを作っていた。このブンブンごまもその一つ。現代の子どもに糸巻きタンクなどと一緒に伝えたい遊びである。
(May.23)

■ウタリ神社の経木の風車を修理する


・全国郷土玩具中、一番の美しさの呼び声高いウタリ神社のかざぐるま。写真左は、竹笛を吹くと紙製の桃太朗が
太鼓を打つ玩具。ポンポンと小さな音が耳に柔らかく響く。
風車の6枚の羽根には五穀豊穣、家内安全ほか(俵を模している)祈りが込められている。風車が廻ると、後の円筒形の
入れ物に入っている小石がコロコロ心地よい音を出し何とも愛らしい。経木の羽根の回転もゆったりして温かみがある。

 今年度の実践遊び学では4枚羽根に加えて8枚羽根の風車を制作した。紙製の風車以外にポリエステルベース
のものも学生に見せた。要は応用力だ。授業の始めには郷土玩具の「経木製の風車」も紹介したが、”経木”を
知る学生は皆無。「昔は肉屋でも魚屋でも包むのに使ったんだ。ほら、八百屋や魚屋の店先にあるだろう。あの墨で
値段を書いてある薄いやつだよ」……、そんなこと、いくら言っても無駄。隔世の感あり。
(May.22)

■子どもの造形遊びに「タイヤチューブプリント」を!

 材料はたっぷり与えよう!「あれはいけない、これはやめよう」一切なしで、自由な「ペッタン遊び」を!


  
・自転車のタイヤチューブ(左)と長方形版材   ・円形版材とプリントしたもの(ローラープリント)

 幼児や子どもの絵画造形は創造性を育む遊びだ。自由な造形をさせるには好奇心の喚起、環境、材料が必要。
環境は(お片付けのルールを教えるのは別)整理整頓された”キレイな場所”ではなく倉庫のような、思う存分”汚せる”空間がのぞましい。材料も高価な物や手に入れにくいものをちびちび”大切に使う”のではなく、身の周りに当たり前にある廃品利用、それも大量に与えることが肝要だ。壊したり、組み合わせたり、素材を本来の用途以外に応用する。正に想像力は創造力を育てることになる。
 自転車のタイヤは廃棄物だ。入手簡単、大量に準備できる。絵画造形の素材にうってつけ、利用しない手はない。ゴムのチューブを木片に両面テープで貼り付けるだけで版材ができる。チューブ版画が幼児にも向くのは、彫刻等を使わないこと。
はさみ(カッターナイフの指導も)で簡単にカットできる。木版画、芋版画など、多くの版画は彫りミスしないよう神経を使うが、
チューブプリントは、粘着シートにチューブ片を貼り加えていくのだから、その心配はない。最も簡単な版画表現の一つと言える。
 学生には、演習の前に版画の種別(凸,凹、平、併用版、モノプリント)の説明と、遊びの魅力を話した。が、何より大事なのは、造形教育に当たる者の”姿勢だ”。自らが楽しむ、目一杯遊ぶ、作る喜びを感じる……これらがなければ子どもの心は
捉えられない。「先生が、あんなに夢中になってる。おもしろそう!」教える側は”教える”のではなく、演じるのでもなく、楽しさを伝えられたら良いと思う。
(May.21)

■おでかけ絵本 愉快な三人組み『グー・チョキ・パー』制作順調

 今月号で予告した、「ワン・パー・クー」は、ゆかいな三にんぐみ「グー・チョキ・パー」と名を変えた。クイズ、パズルを
どっさり盛り込む構成を楽しみながらやっている。<たぬき>クイズ……は、”た”抜きクイズ……”タ”の文字を消していくと
お菓子の名前が次々でてくる……、これは残念ながらカット!チョコレート、ドーナツ、ポテトチップス、キャンディー、
ビスケット、キャラメルなどカタカナが多く、編集部より幼児向きではないとの指摘。”狸クイズ?”の、ボケも入っているし
楽しめるのになあ。これに代わる面白い食べ物クイズを今考えている。もちろん絵本だから視覚的遊びの要素が大事……。
(May.16)

■クレヨンまる最終回!!掲載誌『おひさま』発売!!

 クレヨンまる連載第155話「バイバイ クレヨンまる!」 いよいよ最終回です。
『おひさま』は本日発売されます。クレヨンまるの結末をお楽しみください。
(May.15)

■クイズ、パズル満載絵本の構想を練る
ゆかいな三にんぐみ グー・チョキ・パー
いじわる魔女を追いかけろ!

「おでかけクイズ絵本」のアイディアをまとめ,ダミーを制作する。意地悪魔女ズルーイが出す難問に、
腕白三人組グー・チョキ・パーが答えていく展開。描いた絵から飛び出てきたゲストキャラクターの
おやつちゃん”が、それに絡む。

 ことば遊び、迷路、シルエットクイズ、塗り分けパズル、形態パズル、絵探し、数遊び、本物探し、記憶クイズなど
満載予定だが、選択に頭を悩ましている。ボリュームたっぷりだが、読み終えても再びページをめくってクイズに
再度挑戦したくなる「おまけクイズ」付きだ。今は絵を描くというより、ゲーム的展開に頭を使っている。
スムーズな流れであるか?クイズは幼児に難しすぎないか?おやつちゃんの奪われたバッグの中身の秘密で、
ラストまで引っ張れるか?………キャラクターも(描いて描いて描いて)育てなければならないし、
ああ時間が足りない!今日は母の日。記憶の底から浮かび上がる母の微笑み……「ばかったいのを作りな!」
(“ばかったい”は母の口癖だった。非日常のおもしろさ、意外性、頓珍漢などを含めた、独特のニューアンス。
否定ではなくむしろ褒めことば)形式、常識、秩序、概念からフリーになるのがアーティスト!
母は厳しく、優しかった。 

(May.9)



■移植したフキが根付き育った

   
 ・酒の友にキャラブキ……      ・蕗の薹(写真は昨年のもの)

 テーブルソーやボール盤、ジクソーなどを備える作業小屋を建てた。用地はフキ畑。フキの根を少しだけ移植した。
芽は出したけれど、摘み取るには忍びず、蕗の薹はおあずけだった。来春が楽しみだ。その前にキャラブキという”手”もあった。
どうにも酒肴が頭から消えない。飲兵衛は春夏秋冬、恵みに感謝!
(May.5)

■おでかけ クイズ 絵本のタイトル決定!愉快な三人組『グー・チョキ・パー』のいじわる魔女を追いかけろ!
  <おやつちゃん>て、何者?

 キャラクター三人の名前、<ワン・パー・クー>、<ジャン・ケン・ポン>、<イチ・ニ・サン>、<ピー・カー・ブー>などの候補の中から、
<グー・チョキ・パー>に決めた。いたずらっ子が描いた絵から<おやつちゃん>も登場する。敵役のいじわる魔女、その名も<ズルーイ>。
いじわるクイズを連発する。<ズルーイ>は<おやつちゃん>のポシェットを奪って逃げる。<グー・チョキ・パー>は<ズルーイ>のだす
クイズを解きながら追いかけて行く。無事ポシェットは取り返せるか……?ポシェットの中味は……?

 何度でも遊べるような仕掛けも。巻末には「おまけクイズ」を用意する。このノウハウは『こんなこいるかな』(知恵遊び絵本版4冊)で
用いたもの。楽しめる絵本にしたい。
(May.4)

■二十四節気 <立夏>   七十二候 (十九候、二十候、二十一候)

5月5日は立夏        (小満は5月21日)

・十九候 (5月 5日)    ・かわず はじめて なく
                   蛙が鳴き始める

・二十候 (5月11日)    ・みみず いずる
                   ミミズが姿を見せ始める

・二十一候 (5月16日)   ・たけのこ しょうず
                    筍が生ずる

 久々のテニス。準備体操ももどかしくラリー。結果散散!右ふくらはぎの肉離れ。以前やったところだ。運動不足の鈍った体に
急激な刺激、”故障”は目に見えているのに。おお馬鹿者だ。足を引きずって歩く羽目に。
よって、また机に向かう生活と相成った。渋谷の仕事場からは中学校の校庭が見える。少年野球の練習試合が白熱を帯びている。
飛び交う声で分かる。皆、戦いに夢中だ。シップ薬を貼り、ぼくも絵本作りに精をだす。
(May.4)

■ペッタン、コロコロスタンプ   廃物利用による,幼児のための造形表現ツール

   

     テニスボールやボール缶の蓋を
                                                        使ったコロコロ造形ツール

 ペッタンコロコロスタンプは造形表現遊びの一つ。幼児は出現する轍の跡に目を輝かせる。型押し遊びの専用スポンジも市販されて
いるが、身の回りの物を活用することが、”応用する心”を育てる。手づくりした物は市販教材の完成品に、想像=創造……に至らせる
点で優る。材料は不要になったテニスボール(ゴミ処理に頭を悩ますクラブからは、いくらでも貰えるだろう)、クリーニングハンガー、
ペットボトルのキャップ。テニスボール缶キャップ(下段作品)いずれも廃物の再利用。
 上段の針金ハンガーに通した二つのペットボトルキャップは頼りない装着に見えるだろうが、この”あそび”が大事。ボールをスムーズに
回転させるために必要なのだ。写真のほかにも数点試作した。転がした”おもしろ軌跡”は?また後日……
(May.2)

■鳩山は芽吹き……緑噴く。山笑う。春爛漫!

     
 ・五つ葉アケビ  雌花雄花    ・月桂樹の花   ・ダイコンの花群生

 3本ある姫リンゴの木がいずれも白花満開。剪定を怠り屋根に届く高さに伸びた月桂樹も白黄、薄茶の細かな花を
ギッシリつけている。五つ葉アケビは至る所に育ち、赤薄紫の花を揺らせている。雌花、雄花が寄り沿うようで可憐だ。
今年色味がやや薄い紫モクレンははや散り始めている。ハナミズキが満開だ。手をかけて上げられないから、どれも伸び放題。
この間まで枯れ木同然だったブナが若緑の葉で覆われている。一番気にしていたメープルや(病気の)オニグルミも若葉を茂らせている。
一安心だ。白色、黄色、桃色……とりどりの色が咲き競うように乱舞。中で目に飛び込むのはダイコンの花の紫。何年か前までは
菜の花だった。隣地といっても境界もわからないような荒れ野原だが、今はダイコンの花で埋まっている。離れて見れば緑のなかの
紫模様のカーペット。
 風もない穏やかな日和。日がな眺めていたいがそうもいかない。仕事に来たのだった。冷え冷えしているアトリエに入る。
目が慣れるまで闇だ。幼児造形教育のための教具教材作り……これはこれで楽しい。小鳥のさえずりを聞きながらアイディアを
考える。小さかったころから今に至るまで、ぼくは工作少年だ。
(May.1)
 

4月のアトリエだより

■大学の研究室で仕事に没頭。先生の在室ランプも点灯まばら、訪れる者なし。静寂……わが天国!

 先日学生がゴールデンウイークの過ごし方を聞いた。「どちらに行かれるのですか?」「仕事だよ。」
「えー、うっそー!」と言う具合。休日明けの授業のレジュメを準備し、さて我が仕事に取りかかる。

 やっと取りかかれる。「おでかけクイズ絵本」の制作に入った。暖めていたアイディアをサムネールにおこし、
ネームを書き込んでいく。ダミーを作る。一冊36頁にストーリーを組み様々なクイズをちりばめる作業クイズや
パズルの考案、レイアウトなど楽しくもかなりハードな仕事ではある。    


 何より話が面白くなくてはならない。クイズやパズルを満載といっても、話の流れに不自然さがあってはならない。
頭を悩ませ、ため息をついては、それを打ち消すように、“面白く、楽しく”を念頭に……。
ぼくの“ゴールデンウィーク”は仕事三昧週間となる。

(Apr.30)


■一分間は楽に回り続けるコマを制作

   
・CDコマ            ・色円盤(右上の2枚はベンハムゴマ、右下は色円盤に乗せる)

 身の回りにある廃物品の利用。今回はCD。どこの家庭にも一枚や二枚はあるだろう不要になったCD(CD・R、DVD)を
使ってのコマ作り。材料はCD一枚とビー玉。ビー玉をCDに接着するだけの簡単さ!誰にも出来る!これが実に優れもの。
よく廻る。一分間は当たり前に廻り続ける。。色紙を貼り合わせたり、模様を描いた回転円盤をセットすれば更に楽しい。
 学生は回転円盤のデザイン(同心円、渦巻き、放射、格子、ドット、イラスト…・等)を多種制作させるが、コマ本体は
市販の物を使う。ただ、いつものことであるが「応用力」は要求する。身近なものを使ってのコマ遊びを考えさせる。これが
大事。その一アイディアとして「CDゴマ」を紹介する予定。
(Apr.25)

■晴れた!久々、光が目映い。風が香しい……かざぐるま  かざぐるま  かざぐるま…… 

 
     
・8枚羽根かざぐるま      ・でんでんだいこ     ・大型とミニサイズ(胴はテープの巻き芯)

 観測史上でも珍しい低温が続いたが、今日ようやく晴れ間が広がった。春風が気持ちよい。
風車をかざす。クルクル音もなく回る。幾つか並べて廻す。何てことないが、ホットする。知らず知らず幼き頃を想っている。

 四枚羽根と8枚羽根を制作。8枚羽根(写真左)は、学生に型紙を提供するため、その準備も。風車をとめるピンやビーズや
丸棒も仕入れた。100人分、助手がいないのだから全部ぼく一人でやるしかない。準備がいつも大変だ。紙のカットや
組み立てはもちろん学生だが、配色やサイズなどでオリジナリティを演出してもらう。

 {伝承工作}かざぐるまの次はでんでん太鼓だ。その準備もしなくてはならない。この一年、ほんの少し時間が空けば何か
作っていたが,でんでん太鼓も増えに増えた。その数数十個!ガムテープ、大小のセロハンテープの巻き芯、6Pチーズや
チョコレートのパッケージが溜ると気になり”でんでん太鼓化”したのだ。所狭しと吊るしてある。一つ一つみな音色が違う。
軽く重く小さく大きく、それぞれが愛らしい音を響かせる。「でんでん手遊び」は、仕事の合間の息抜きに一役買っている。

 机の傍らにほんの小さなでんでんを一つ置かれたら如何だろう。ミニサイズは読書の妨げにもならない。耳を傾けたくなる
ような穏やかななんとも懐かしい音だから。

(Apr.24)

■二十四節気<穀雨>  七十二候(十六候、十七候、十八候)

   4月20日は穀雨            (5月5日は立夏)

・十六候 (4月20日)    ・あし はじめて しょうず
                  葦が生え出す

・十七候 (4月25日)    ・しも やみ なえ しょうず
                  霜が止んで稲の苗が生長する

・十八候 (4月30日)    ・ぼたん はな さく
                  ボタンの花が咲く

 このところ震える寒さだ。校庭の桜はまだ散りきらない。駐車場の片隅、風に集められた
桜の花びらの山があちこちにできている。しゃがんで一掬い。ひんやり、しっとり……手に意外や、重みを感ずる。
ぼくは急に小人になる。花びらの褥に体を横たえ、埋もれるように花びらの間から空を見上げる。薄青の天、柔らかな日差し。
 花びらの山を凝視している自分と中で休む自分。不思議な思いだ。日々の忙しさ、時に流されるわが身を
一瞬間蘇生させてくれた春よ、風よ,恵みをありがとう。
(Apr.20)

■子ども教育学会紀要扉絵


・胡桃のヨットとブリューゲルの風車

 子ども教育学会の紀要が発刊された。創刊号の扉絵は『FATHER’S LETTER』
今回第二号は『胡桃の風車とブリューゲルの風車』。この愛らしいヨットも、風車も実際に
つくってみた。ヨットはアトリエに転がっている。風車は大事に飾ってある。父と子が物づくりを
通じて得るものは計り知れない。通い合う心……夢中になって遊ぶ……いつ何処で見ても
いい情景だ。幼き日の思いでは一生心で輝く宝。
(Apr.18)

 

■現代童画春季展出品作「harbor」


    
・harbor (隠れ家)         ・春風ブランコ <ブランコは漢字>10年ほど前の同展出品作

次回の発表は選抜展。乞うご期待。
(Apr.16)


■「こんなこ」工作。「二人は仲良し、いつも一緒」

 『こんなこいるかな』コーナーに「★玩具を作ろう!⑦二人はなかよし いつもいっしょ」工作掲載。
次回は「スルスル シューTOY」を予定。  ★こんなこ いるかな のページへリンクできます
(Apr.11)

■現代童画春季展、(銀座アートホール)明日終了

 明日11日、「現代童画春季展」最終日。一ヶ月の制作も、あっという間に展示期間が終わる。この次の展覧会は「選抜展」。
時間がなく制作も儘ならない状況だ。アイディアのラフスケッチだけでもと心がけてはいるが、思うようには行かない。
 12日からは大学の授業が始まる「実践遊び学」「絵画造形表現活動Ⅰ基礎」。昨日は10時まで演習室、研究室でレジュメ制作。
一日の予定仕事分量の三分の一位しかできないもどかしさ。が、もう泣き言は言うまい!三年目、パワーアップして臨みたい。
(Apr,10)

■「ノビル畑」つくって、どうする!

   
 ・ノビルは固まって生える      ・小さな白い”ツブ”はピリッと辛い    ・相模女子大学の校花 マーガレットも植えた

 春だ!でも鳩山の山桜の蕾は未だ固い。野原でノビルを見つけた。絡むように固まって生えるノビルを根こそぎ頂く。
幾塊ものノビルをアトリエ脇のヒイラギの根元に移した。ノビルには小さいころの思い出がある。引き上げ後、亡くなるまで
寝て過ごした父さんに、ノビルを摘むのがぼくの”仕事”だった。親父は医者から禁止されても酒をやめなかった。酒肴は
何でもよかったが、ノビルのヌタを好んだ。
 「ノビルの畑」……記憶を蘇らせる場所を作った。

■二十四節気<清明>   七十二候(十三候.十四候.十五候)

  4月5日は清明         (4月20日は穀雨)

・十三候 (4月5日)   ・つばめ きたる
               つばめが南から渡って来る

・十四候 (4月10日)  ・がん みずへ かえる
               がんが北へ渡って行く

・十五候 (4月15日)  ・にじを はじめて みる
               虹が見え始める

 金曜日は週一テニスの日なのだが、生憎小雨、風も強く仕事日となった。天が仕事を命じたのだと観念し、新学期のレジュメを
考える。新たに「8枚羽根かざぐるま」「変色コマ」「切り絵連続模様」のレジュメを制作しなくてはならない。今日は風車だ。
紙皿、紙コップ、ペットボトルを使っての風車作りは制作見本を見せるに留め、今期は学生に基本形の4枚羽根の風車と、配色を
楽しめる8枚羽根の風車を作らせる。その試作を行った。型紙を起こし、形や色を変え5個作ってみた。さらに学生に貸す(時間
節約のため)型紙(ゲージ)をテーブル数×3=18組、一組2枚構成だから40枚近く白ボール紙から切り抜いた。デザインナイフを
握る右手親指は痛んだが、仕舞いには感覚がなくなり、指先が凹んだまま戻らなかった。そうまでしてと、いつも思うが、90分授業で
出来る限りたくさんの課題をやらせようとすると、ゲージを用意するしかないのだ。学生は簡単に「このゲージください」という。それでは
なんにもならない。同じものをたくさん作るとき、ゲージがあったら如何に便利かを分からせるためでもあり、幼児保育、子ども教育の
現場で、自ら”できる”力を養って欲しいから、「型紙は自分で作りなさい」と言う。かざぐるまのレジュメは型紙を入れて4枚になるが、
本日完成せず。ぼくは、”試作”を楽しみすぎるキライがあるようだ。
(Apr.2)

3月のアトリエだより

■板絵 『 harbor 』描きあがる   日暮れまでナツメの木の移植に精を出す

 28,29両日は寒の戻りか、冷たい北風が吹き荒れた。裸木立の枝が折れて飛ばされる強風だ。ぼくは鳩山のアトリエで
ストーブにしがみ付くようにして絵を仕上げていた。完成!いつもより少し色合いが生っぽいか。子どもへの”童画”然だ。
今回の作品は「harbor」=隠れ家で遊ぶ父子を、想いをこめて描いた。小学3年生のころ、ぼくは隠れ砦を作った。その記憶、
ワクワク感が筆を進めさせた。感動は創作の原動力だ。

 額装が終わり、初めて外へ出た。まず深呼吸。そして日が暮れるまでの短い時間、何をしようか考える。やることは山のように
あるけれど、欲張ってもはじまらない。春、新芽が吹き出す前に済ませたいこと……、今は枯れ木にしか見えないナツメの木を移植
することに決めた。ナツメは実が落ち、あちらこちらで育っている。土が合っているのか、サンショウや迷惑なスギ同様増えて
困るほどだ。一年目ものは未だ良いが、3年、4年たった木は、棘はともかく根が張っていて掘りあげるのに一苦労。
10本掘れば、もうお手上げ。このまま大きくなれば、実を付けるけれど、通路を塞ぐ枝の棘が厄介だ。
掘り残した分はハサミでカット。かわいそう、もったいないけれど、鳩山にそうしょっちゅうは来られないから仕方ない。

 ナツメの親木の勢いに負けて山葡萄が元気がない。去年も一昨年も実がならなかった。ナツメの移植より、こちらの方が
心配だ。酸っぱい山葡萄の実を煮詰めてシロップを作ったことがある。あの喜びをまた味わいたい。大匙数杯分しかできなかった
貴重なシロップを”大事に”口に含んだときの気持ち……嬉しさを再び。
(Mar.29)

■桜咲くキャンパスに人影まばら

 子ども教育学科新入生に配る画材、用品の袋詰めをする。14アイテムを110セット。昨年は二人でおこなったが、
今年はもう一人助っ人を加えたから、まだ明るさが残る時間に終了した。
 大学には「100年桜」の老大木があるが、校舎からはやや離れている。桜を見て帰りたかったが、今日は断念。
それでも幾本もの桜が咲き始めていた。3分咲きくらいか。美しい。ぼくは冷たい風に震えながら佇んでいた。

 ふと足元を見れば、しぼんだ銀杏の実が幾つか。梢につかまっていたものが、ようやく落ちたのだろう。ぼくは
銀杏並木が好きで、秋の終わりにはキャンパスで銀杏を拾う。ぼく以外には誰も拾う者はいない。果肉を洗い落とし
乾燥させるのだが、土に埋けて果肉を腐らせ取り除く手もある。そこで植木鉢に埋めておいたのだが、何と十数本が
発芽してしまったのだ。
 今は、20センチほどの”枯れ枝”にしか見えないが、しっかした芽をつけている。植木鉢は大振りだが、”枯れ枝”には所狭しだ。
春になったら、鳩山に移植しよう。鳩山にもイチョウの木はあるが、実が成らない。大学の鈴なりのイチョウの子どもだ。あやかって
銀杏を雨のように降らしてくれるようにならないかなあ。
 (Mar.26)

■アケビ棚を補強……石井さんにまたまた、大感謝

  
・アケビの花芽         ・杉木立に鳥の巣を発見

  杭を打つ音で目が覚めた。わがアトリエは訪れる人は稀なので、あわてて外に飛び出した。
石井さんだった。昨日はヨモギ餅を持ってきてくれ、今日は、倒れそうに大きく傾いているアケビ棚を
直しに来てくださったのだ。石井さんは先日、杉の木を剪定してくれたのだが、そのとき、アケビ棚が
壊れそうなのが気になったのだという。四本の足に角材を打ち込み補強、古い蔓も取り除いてくれた。
「花芽は残してありますからね。今年は実が成るでしょう」……と。人の佳い石井さんのとびきり上等の
笑顔に、ぼくの制作が捗ったのは当然のことであった。深謝。今回は二日間のアトリエ生活。明日からは
渋谷の仕事場に戻って働くことになる。
(Mar.23)

■出来立てのヨモギ餅をいただく

 昨晩の強風(東京では瞬間最高風速20数メートル)鳩山の庭も多くの枝が折れていた。
プラムやすももは蕾をつけた枝が……。相当強い風が吹き荒れたのだろう。

  

・おいしいヨモギ餅。左の植物がヨモギ(新芽数センチを採取) ・使われないまま、傷んできた野外コンロ

 アトリエ北側の田圃の主、石井さんがヨモギ餅を届けてくださった。朝作ったばかりの出来立て。
越辺川で摘んだ蓬、自家産の上新粉(都幾川村で精米))、小豆もすべて石井さんの収穫品だ。ヨモギの香りが
鼻腔をくすぐる。口当たりの良い適度の柔らかさ。美味い!餡と黄な粉で二つペロリ。
 毎年、この時季きまって春の味覚の贈り物。嬉しくて、でも秋にいただく栗の渋皮煮や、採れたての
米、それにぼくの大好物の玄米(これと梅干さえあれば、おかずが要らぬほどだ)など、いつも頂いてばかりで
心苦しい。アトリエに車が停まるのをみて軽四輪でおいでなさる。ありがたい。手を振り頭を下げ、見送るが
お礼に何も差し上げられず何とも申し訳ない心持だ。ご好意に感謝。
(Mar.22)

■二十四節気 <春分>   七十二候 (十候.十一候.十二候)

今年の春分は3月21日   (清明は4月5日)

・十候  (3月21日)   ・すずめ はじめて すくう
               雀が巣作りを始める

・十一候 (3月26日)   ・さくら はじめて ひらく
               桜の花が咲き始める

・十二候 (3月31日)   ・かみなり こえを だす
               雷が鳴り始める

 17日の当欄、ミツマタの花の写真を掲載したが、ミツマタは沈丁花と同じ科だった。甘い匂いは同じなれど、ミツマタは
鼻を近づけ嗅がねば分からないほど”上品”。ミツバチが減って困っているというニュースをたびたび目にするが、
わが庭には、ミツバチが群がって飛び交っている。ミツマタの花の蜜を集めることに夢中で、ぼくの存在なんておかまいなし。
ミツバチの羽音を耳にぼくはミツマタの花に顔を埋めたていた。
(Mar.21)


板絵『harbor』制作進行中

  現代童画春季展(別項「展覧会」参照)に出品する板絵、作品タイトルを
harbor」と決め制作中。絵の具が乾く時間も絵から離れられない。額縁を
塗装したり絵皿を洗ったりもするが落ち着かない。完成が近づくといつもこうだ。
最後の筆を入れ、いすに座リ込むとき、時が止まる。まばたきさえ止まるくらい
集中して見入っているのだと思う。その後襲う疲労感でわかる。

  「harbor……父と子の遊び場所。内緒の(自分たち以外は誰も知らないと思っている)
隠れ家。想像力を全開させる、ぼくにとっての「板絵制作」同様、時間の止まる宇宙だ。
その宇宙を、今描いている。
Mar.21)



■紙芝居「だいじな たまご」出来上がる


    
・「だいじなたまご」①      いずれも画面はカットされています
   

 社団法人「小さな親切」運動本部製作紙芝居『心の教育プロジェクト』
……紙芝居で「豊かな心」を育てよう……    「だいじなたまご」が完成した。

紙芝居を用いた道徳授業のための指導資料もついている。視認

性を重視、太いシンプルなライン、色も
絞りスッキリさせた。せっかくもらったチャボの玉子が壊れて怒り、悲しむ主人公たっくん。たっくんの心情は
とらえたつもりだが、紙芝居は演者の力量による所が多い。持論「絵本も紙芝居も童話も面白くなくては」が、
今回は少々叶わなかった面もあるものの、ストーリーも絵もシンプルなだけに、授業展開に広く活用できると思う。

■伸びた蔓をグルグル巻いて……何のリースでしょう?

    
・キングサリの花    ・ブナの枯れ葉(新芽が堅く鋭く尖っている)   ・オリーブの木に

 リースなんて洒落たものじゃない。枝をグルグル巻いただけ。何の枝?ここがポイント!蔓は藤、アケビ…材料に事欠かないが、
今日は始めての蔓で制作した。キウイの棚に絡まっていく枝も長く伸ばしているマタタビ。花が咲き、実を期待させてはがっかり……の
マタタビの蔓が地面につくくらい垂れ下がっていたんだ。30分間のお楽しみさ。
 マタタビの冠は何で飾ろう。まず水仙、それからクリスマスローズにかけて見た。似合わない。キングサリの黄やオリーブの濃い
緑もマッチするが、やはりブナがいい。芽吹く前だというのに葉を落とさず寒風に身を震わしているブナがいい。マタタビのリースに
ブナの枯れ葉色……美しいなあ。30分の楽しみに幕を引き後ろ髪引かれる思いでアトリエに戻った。
 体は冷えたけど、嬉しさがねえ……。いい仕事が出来そうだよ。
(Mar.18)

■日がな一日板絵制作に没頭……


  
・ミツマタの花(木の高さ2メートル、殆ど花は白く見える  ・同、しゃがんで見れば黄色  ・沈丁花

 10時から7時までアトリエに籠る。いや、花の香りに誘われて一度外へ出た。
仕事場に甘い芳香が漂ってくる。沈丁花だ。朝東京を発ち鳩山に来たが、車を降りたときは気づかなかった。
満開。近づけばきつい位匂い発つ。沈丁花から数メートル先にはミツマタがこれまた咲き誇っていた。上から見れば
白(淡い黄色)、ちょっとしゃがんで下からのぞけば濃い黄色。ほのかに甘い香りがする。
 いつかミツマタの皮で紙を漉いてみたいと思う。早く成長して欲しいものばかり。メープルシロップをとりたくて
サトウカエデを、ブナ林を夢見てブナの苗木を、とちもちを食べたくてトチノキを、果実酒を目論んでナナカマドやサルナシや
マタタビを植えた。が、すべて夢の夢で終わるだろう。それでも、夢の種まきはやめられない。
 一旦外に出るとアトリエに戻りたくなくなるから困る。草木の息吹に気圧されそうだ。板絵に向えば、すぐ”復調”するから
未だ大丈夫だが。”大丈夫”はおかしいか。自然は敵ではないし……一体感。抱かれての仕事のはずだよね。
(Mar.17)

■タイトル決定!クレヨンまるファイナル「バイバイ クレヨンまる」

 春季展出品板絵の作品名は絵より先行したが、クレヨンまるは文・絵が完成してから考えた。タイトル案は数種。
でも、一番おとなしいものを選んだ。「バイバイ クレヨンまる」あまり強く内容を暗示させたり、
感情移入過多にならないように。

1996年1月号から連載開始、155話がファイナル。普段のアイディアとは違った、最終回の展開には頭を使った。
“読み聞かせお話雑誌”『おひさま』はこの春から隔月刊になる。クレヨンまるは、5-6月号(4月15日発売予定)
で、さよならする。意外な結末……!?    どうか、ご高覧あれ。

Mar.11

■これから制作する板絵の作品名を考える

 現代童画2010春季展(4月5日~11日 於・銀座アートホール)出品作の制作に入る。
と言っても、鳩山アトリエ初日は雪降りでクローズ。渋谷に戻りエスキスを取る。
と同時に作品タイトルを考えねばならない。会場に置く出品目録印刷のため、作品名を
申告する
ことになっているからだ。
refuge, hide out, ……、悪事を働いて隠れる意が強いから、ぼくは「harbor」を選択。
隠れ家で遊ぶ父と子をイメージ。親とか子とかの意識をはずれ、幸せ無我の境で遊ぶ秘密の空間を描きたい。

今回のように作品名が絵より先行する例は、ままある。「瞬幸永憶」(F100号)もそうだ。
無論、瞬幸永憶などという熟語はない。言葉のイメージが絵を語らせた好例である。

Mar.11


■雪降り止まず退散

 板絵制作に入ろう……遅れた時間を取り戻すべく一路鳩山へ。
予報では天気は午後から崩れるという。冷たい雨は昼前には雪に変わった。
とにかく寒い。久しぶりのアトリエ、震えながら板に向かう。が、外が気になって仕方がない。
春の日が射せば、シジュウカラやヤマガラそれにウグイスの声を期待できたのに、生憎の雪!
眼前に広がる田や畑は真っ白。積もれば、坂下にあるわがアトリエだ、
車はスリップして登れなくなる。何年か前、“脱出不能”となったことがあった。
というわけで、「アトリエ滞在2時間」のみ、の記録を本日つくった。
雪に埋もれていくフキノトウ、摘みたい気持ちを抑え帰京せり。

(Mar.10)



■二十四節気 <啓蟄>   七十二候  (7候.8候.9候)

 3月6日は啓蟄      (3月21日は春分)

・七候 (3月6日)    ・すごもりの むし とを ひらく
               冬眠していた虫が動き始める

・八候 (3月11日)   ・もも はじめて さく
               桃の花が咲き始める

・九候 (3月16日)   ・なむし  ちょうと  かす
               菜の虫が羽化して蝶となる

 仕事に明け暮れHP更新もままならず。テニスにも行っていない。”外出”は現代童画会春季展作品用パネルを取りに行った
鳩山アトリエのみ。
 おおよそ人間的でない生活。体が鈍ることを憂うも、窒息しないでやっていられるのは、表現欲求のなせるワザか。
 このところ天気が優れない。菜種梅雨か。久しぶりに今日、雨上がる。最高気温18度、昨日より10度も高い。時間をきめて歩く。
代官山~恵比寿~渋谷、これで5000歩。恵比寿駅近くで「ロバの花売り」に出合った。暫し足を止めた。1メートルくらいの灰茶褐色の
ロバ、背中に花かごを付けている。チェック地のシャツにベレー帽姿。赤ら顔のおじさんはバラの花を一本一本小分けにしている。珍しさもあって
見物人が取り囲む。ロバは大人しくじっとしている。が、急に飛び跳ねた。おじさんのジャンパーの中に顔を隠した。おじさんはカメラの
フラッシュをやめてくれるように言った。
 やさしいロバの目。花の中に桃の枝も……。「飼えたらいいなあ……」ロバは、ぼくの飼いたいものリスト、ベスト3上位だ。
(Mar.5)

2月のアトリエだより

■「ミラクルクレヨンのクレヨンまる」

  
・クレヨンはかせ、ハーブおばさん、
友達(ふるもとくん、どんぺい、チェリー、しんた)ともお別れ!

『おひさま』連載の 「クレヨンまる」、次号で155話。これで見納め、読み納め。只今最終編を執筆中。別れは悲しいもの。
クレヨンまるはどうなる?仲良しのチェリーは?それに、大泥棒のワルズー、子分のコウモリ、コモリンは?三百数十歳の
ミイラばあやは………死ぬなよ!?………明るく明るくと念じても、想いがつのって……。さあ、どうなるか。〆切待ったなし!
描くぞー!!!!こう、ご期待!!!!
(Feb.28)

■「フータのひこうき」の朗読が放送されます

 

 

 ぼくの絵話集「マーリと のうさぎ」の中から 『フータのひこうき』が放送されます。
童話として書いたものではないので、朗読でイメージがどう伝えられるか楽しみです。
(絵の世界がどう表現されるかなあ)

 番組名:『童話の散歩道』
 放送日時:32局ネット

「童話の散歩道」各局の放送時間
     北海道放送      3月27日(土)6:20~6:30
     青森放送       3月28日(日)7:30~7:40   
     IBC岩手放送    3月28日(日)12:20~12:30  
     秋田放送       3月28日(日)17:45~17:55
     山形放送       3月28日(日)7:15~7:25
     東北放送       3月28日(日)8:30~8:40
     ラジオ福島      3月28日(日)8:30~8:40
     新潟放送       3月28日(日)12:40~12:50
     北陸放送       3月28日(日)7:40~7:50
     北日本放送      3月27日(土)7:50~8:00
     信越放送       3月28日(日)8:50~9:00
     山梨放送       3月28日(日)7:30~7:40
     福井放送       3月28日(日)6:20~6:30
     静岡放送       3月28日(日)5:10~5:20
     中部日本放送     3月28日(日)8:35~8:45
     ラジオ関西      3月27日(土)7:20~7:30
     京都放送       3月28日(日)17:30~17:40
     中国放送       3月28日(日)7:30~7:40
     山陰放送       3月28日(日)16:00~16:10
     和歌山放送      3月27日(土)16:44~16:54
     山口放送       3月28日(日)8:30~8:40
     西日本放送      3月27日(土)7:00~7:10
     南海放送       3月27日(土)17:50~18:00
     高知放送       3月28日(日)17:45~17:55
     四国放送       3月28日(日)11:50~12:00
RKB毎日放送      3月28日(日)8:15~8:25
     大分放送       3月27日(土)8:20~8:30
     長崎放送       3月28日(日)7:00~7:10
     熊本放送       3月28日(日)9:05~9:15
     宮崎放送       3月28日(日)6:30~6:40
     南日本放送      3月28日(日)6:50~7:00
     琉球放送       3月28日(日)7:15~7:25

朗読アナウンサー 牛山美那子
(Feb25)



■コンソーシアム大学「作って遊ぼう」第三回

 『コロコロ コロ玉バランスボード』を作る。ゲーム機では味わえない”微細な手の運動”。イライラさせて遊ぼうというもの。
長方形木片26個、円筒形4個使用。赤青緑黄に塗った木球4個を転がして遊ぶ。四隅から中央に集めたり拡散させたり、
時間を競ったり遊び方は色々。遊び方を考え出すのも狙いの一つ。シンプルで何度でも繰り返し遊べ何より”手加減の妙”を
味わう。勢いよく転がしても玉は思うところに入らない、留まらない。ビー玉、おはじきも皆そうだ。加減が技である。
 教室に玉ころがしの音が響いた。気が付いてみれば二時間の授業中、トイレに行った子どもなし!何と言うことだ!えらい集中力!
授業の終わりに、ぼくはこのことに触れた。トイレさえ忘れ、夢中で頑張った子どもたちを褒め称えた。
(Feb.20)


   

・講座の始まりは準備体操。手や指をほぐしてから。”つくるぞう” ”あそぶぞう” ”がんばるぞー”の「ぞうさん体操」

    
・ホワイトボードに落書き?     ・「コロコロ コロ玉バランスボード」制作風景  ・アリガクン、手を出したいのを我慢して見守る(後方)


■ コンソーシアム講座の終わり10分の”オマケ”

 120分授業を、子供達が飽きさせないで楽しくやるのはたいへんなこと。これに一番頭を使う。絶対集中させるぞ……意気込んで!
メニューを幾つか用意するのも手だが、しっかりしたものを制作させるにはそうも行かない。所々刺激を与える仕掛けを用意したり、
あっと目を見張る(視覚効果)ものを隠しておいて広げて見せる等など、アシスタントの学生にも秘密の隠し物を前日から用意したりする。
 講座終了10分前も大事!作品が完成し、自由に遊び、少々だれてきている。そこで強い印象で締めくくるには、新たな興味を惹く
出しものが必要となる。前回は「シュルシュル人形」。そして今回は「牛乳パックの水車」を用意。教卓に6っこずらりと並べ、
「さあ、こっち見てー!」子供たちが群がったのはいうまでもない。蛇口をひねり水車の羽根に当たるように置く……「ぼくにも!」
「やらせて!」「すげー!」子供達の楽しむ声が大人を気づかせる。「廃物利用、創意工夫……創造的遊びを」お母さん方は
作り方を熱心に聞いている。「お家で是非作ってくださいね。簡単で面白い工作を考えてね」……メッセージと共に授業は終了する。が、
帰らず遊び続ける子どもも多く、こんな姿をお母さん方は、目を細めてみておられた。子どもは輝く!凄い輝きを発す!


    
・牛乳パックの水車、水をパシャパシャ遊ぶ  ・回る速度を早く遅く、水量で調整  ・作り方は簡単!

■二十四節気 <雨水>    七十二候 (四候.五候.六候)

   雨水は2月19日           (3月6日は啓蟄)

・四候 (2月19日)  ・つちが うるおいおこる
              土が湿り気を帯びてくる

・五候 (2月24日)  ・かすみ はじめて たなびく
              春霞がたなびき始める

・六候 (3月1日)   ・そうもく もえうごく
              草や木が芽吹き始める

 20日の日差しは春のもの。穏やかな日和。紅梅白梅の木立の間に銀杏が数粒ころがっていた。最後までしがみついていた
実が落ちたのだろう。キャンパスは人影もまばら、静寂。「コンソーシアム授業」会場に向かう足取りも軽かった。



■クレヨンまるファイナル 制作中!!必見!!クレヨンまるの最後!

 クレヨンまるの最後、最終編、第155話を只今制作中!果たしてクレヨンまるの運命は………?

 今まで144話中で、クレヨン博士が発明したクレヨンを調べてみた。二十数個あった。
香りクレヨン(最初の発明)、スキークレヨン(スキー板に塗ってすべると、七色のシュプールが出現するというもの)、
チョコレートクレヨン、星クレヨン、糸クレヨン、風クレヨン、スタンプクレヨン、透明クレヨン、水クレヨン、
特集号で発表したイチゴ(1・5)クレヨンなどなど…………。
 それらを活かすのも”手”だが、ページ数も限られているしなあ……。まあ、これでお終い!クレヨンまるの
”最後”是非とも見届けてくださいな。  感涙………乞うご期待!

 ・福笑い


■コンソーシアム大学  『作って遊ぼう!』
 二日目 「回転円盤仕掛け絵本」”あんなかお、こんなかお、そんなかお、みななかお、どんなかお”」

 雪交じりの寒い朝、20組の親子が集まった。前回同様みんなヤル気十分!お父さんの参加は4名、弟や妹を連れてきた方もいて
教室は満員。まず”宿題”の顔の絵を絵本の表紙に貼り付ける。もちろん”作家名”も記入する。絵本作家になった気持ちで、
制作スタート。子どもは4種類の”面白い””おかしな””楽しい””見たこともない”顔を描く。その間に保護者の方々は
仕掛け絵本のメカ(二枚の回転円盤、ジョイントなど)を制作する。顔の絵を上部と下部とに切断し本体に取り付ける。本体台紙に
開けられた二つの穴(目と口)に12個の表情を描きこむ。これで何百もの顔ができるのだ。製本は金属鋲をかしめる。これは、
かなり大変だったけれど、学生が要領よく流れ作業でこなしてくれた。世界で一冊だけの「ぼくのえほん」「わたしのえほん」で
子ども達は遊んだ。”へんてこな顔”が出現するたびに歓声をあげて……。作る楽しさ、遊ぶ楽しさ……、苦心して作り上げた
その達成感が子どもを成長させる。
 講座終了間際にお家で簡単にできる工作を紹介する。今回は『しゅるしゅる人形』牛乳パックとストローとタコ糸があれば
誰でもできる玩具。試作品を吊るすと、子供達が群がった。シンプルだけど面白い。手加減で人形がしゅるしゅる昇っていき
スーと落ちてくる。子ども達は繰り返し繰り返し遊んでいた。つくり方をメモしているお母さんも。是非とも、お子さんと一緒に
作って遊んでほしい。


  
・「おもしろい顔ができたねえ」 ・表情の変化は色々だよ「泣いたり笑ったり、怒ったり眠ったり…」・「やって見せて!」

  
・糸を操り人形を天井まで昇らせて遊ぶ  ・牛乳パックで作って見せる  ・ちょっと”豪華な”「こんなこ」バージョン

■コンソーシアム大学  『作って遊ぼう!』 初日は「変身仮面を作ろう!きみの仮面はどんな仮面か、お話して!」


6歳~9歳の子どもに、お母さんお父さんを交えてのコンソーシアム大学「作って遊ぼう!」開講。
「●作って遊ぶ楽しさ●出来たものは、世界でただ一つの存在●表現は”自由”、この素晴らしさ」

第一回目は、『変身仮面』。仮面を作って、各自その仮面の秘密、凄さを語らせるもの。


  
・21人が仮面を制作。仮面にはそれぞれの秘密がある。想像させることが目的。

     
・マントは黒2着、白4着を用意。全員を写真に収める。    ・わが優秀なるアシスタント。子ども教育学科2年生

・下段中央は、河童(鼻から突き出しているのは”吹き戻し”が正義の味方○○仮面にやられるの図)
 さて、この弱虫カッパは誰でしょう?

次回は『回転円盤仕掛け絵本』…………
「こんなかお、あんなかお、そんなかお、へんなかお、どんなかお」変な絵本のタイトルだねえ。

■クレヨンまる最終編! はたしてどうなるかクレヨンまる!

   

 『おひさま』 が月刊から隔月刊になる。それにともない、クレヨンまるは『おひさま』6-7月号(5月15日発売予定)を
最後に休載する。おひさま創刊当初からクレヨンまるを描いてきたから感慨一入である。
第一話「クレヨンまる誕生」が1996年1月号、以来本年2月号「オリーブおばさんのプレゼント」が154話。
 
 15年の連載を休止するのだが、ファイナル155話は特別編だ。クレヨンまるファンを悲しませないよう、そして、
最大級の”オチ”で締めくくろう。このところ毎日毎晩、結末をどうしようか考えている。
これじゃダメ!あれでもダメ!面白くて、悲しくて、くすっと 笑える……あっという最後で締めくくるんだ!ぼくは
クレヨンまると共に生きたから、ぼくなら出来るはず……言い聞かせて、寝ても覚めてもクレヨンまるの世界に
浸かっている。クレヨンまるファンの皆さん、待っててね。クレヨンまるの”最後”……悲しみを吹き飛ばすような
結末を、きっと描いてみせるからね。

(Feb. 10)


■二十四節気 <立春>     七十二候(一候.二候.三候)

●立春は2月4日             (雨水  2月19日)

・一候 (2月4日)  ・とうふう、こおりをとく
              春風が吹き氷を解かす

・二候 (2月9日)  ・うぐいす、なく
              鶯が鳴き出す

・三候 (2月14日) ・さかな、こおりにあがる
              魚が氷の間から姿を現す

 暑いのは歓迎だが、ぼくは寒さに弱い。渋谷の仕事場は北側に位置しているから、部屋は外よりも寒い感じ……、そんな
バカなことは無かろうが暖めても暖めても室温上がらず。机の下には足温器、膝暖盤、更に温風ヒーター。背中にはハロゲン
ヒーターの遠赤外線をあてている。こうまでしないと、仕事が出来ない。ふくらはぎから下の冷え性だ。机に向かっている限りは
快適となるが、部屋全体が温まるわけではなく、よって机から離れられない。机にしがみ付き仕事をする破目に。
これが集中力のなせるワザならよいのだが……。
(2月3日)


■キャラクター{ミンミン}シール作製

 もう何種類のシールを作ったろう。 相模女子大学の「子ども教育学科」は誕生まもない。いずれ
”卒業生の現場での評判”が歴史をつくってくれるであろうが、それまで手をこまねいているわけにはいかない。
イメージづくり(戦略)の一助にとキャラクター展開を試みている。
元気、明るい、素朴、自由……MINMINちゃん、頑張れ!!!


   
    

1月のアトリエだより

■コンソーシアム大学……”仕込み”続く 「お化けの衣装」

 渋谷の生地屋さんで白と黒の天竺木綿を買う。白はお化けの衣装、黒は○○○仮面のもの。頭からすっぽり
かぶる簡単な構造。子どもたちが作る仮面を引き立たせるよう体を覆い隠すのだ。まずはぼくが黒いので登場、
アシスタントの学生3名は白いお化けになってもらう。5日に試作品を作るが、学生もぼくも、子どもには勝てっこない。
”勝てっこない”は、競う気持ちの表れだ。もちろん、子どもなんかに負けてられない!想像力で、いざ勝負!
遊んで楽しんで、真剣勝負だ!”勝負”は”心のままの表現”と置き換えよう。そう、”心のままの表現”は
比べるものではない。当たり前のことであった。
(Jan.30)

 

■コンソーシアム大学 「作ってあそぼう」申し込み締め切り!

 子どもと親とで作って遊ぶワークショップの申し込みは締め切られた。事務局より定員をオーバーしたとの報せあり。
熱心な方々の気持ちをかなえてあげたい。補助椅子を出して対応して貰う。

 工作メニューは三つ。  2月6日、① 「世界に一つのミラクル仮面」(大きな覆面タイプと吹き戻しを使うもの2作)
13日 ②「絵変わり仕掛け絵本……あんなかお、こんなかお、どんなかお、みんなかお」20日 ③「イライライラ……コロ玉
バランスボード」作る喜びを味わってもらう。表現する素晴らしさを体験し、止みつきになってくれれば……。
頑張ろう!目一杯、精一杯やる!
 5日にはアシスタントをしてもらう学生3名を特訓する。もちろん、ぼくも試作を楽しむ。それにしても教材の準備は大変!
仕事場は段ボール箱の山だ。買い集める、加工する、セットする(パーツを袋詰め)……、ああ今日も慌しく日が暮れた。
(Jan.29)
 

■造形応用 牛乳パックTOY② 「舌だし人形・・・愉快な仲間達」

    「こんなこいるかな」へ
・アリガくん試作例   (「こんなこいるかな」バージョンを別項『こんなこいるかな』コラムに掲載

 造形表現活動(応用)最終回は牛乳パック(ミルクカートン)工作。材料はカートン一個半とゴム輪2本のみ。
カートンはTOY①同様裏返して使う。学生は始めの頃恐がっていたカッターナイフにも大分慣れてきた。手作業の
大事さ、それに廃物利用”創意工夫”する心を育てたかった。
 TOY上部の持ち手を放すとパチン!の音とともに目が変化する玩具。単純素朴なことが「壊れにくい、飽きさせない、遊び方が工夫
出来る」など、よい遊びの条件の幾つかを満たしている。遊びといえばDSやPS一色の感があるが、自ら作る、その素晴らしさを
放棄しているようでもったいないことだ。遊びを創出する……ここにも自己表現がある。学習で疲れた学生が教室で
生き生きした表情に”蘇生”するのを見るにつけ、定まった答えのない表現の世界で遊ぶ(自由な心での表現)ことの
重要性を再認識する。
(Jan.27)


     
・学生制作作品例(舌は出たり引っ込んだりする。写真はすべて長い舌が伸びたところ)


■造形応用 牛乳パックTOY① 「回転円盤絵変り・・・六面相」


   
・アリガくん試作(割りピン使用)      ・完成作品例              

 牛乳パックTOY制作その1 「回転円盤六面相」を作る
学生の積極性が感じられるようになってきた。バイト先のコーヒーチェーン店から、牛乳パックを大量に運んできた者、朝、研究室に
立ち寄り、パックの包みを置いて行く者……、牛乳離れが進んでいる若者が、何とかして授業に役立てようと頑張る姿……嬉しいことだ。
自主性こそ、創意工夫する心、自己表現する心、とともに学生に摺り込みたいことだから。


学生作品例

   
・絵変わりカードに合わせて制作者も表情を演じていた。目いっぱい{変な顔}をする!感情表現の面白さ!

(Jan.22)


■二十四節気<大寒>   七十二候(七十候.七十一候.七十二候)

●大寒は1月21日

・七十候 (1月20日)    ・ふきのはなさく
                 蕗の花が咲く

・七十一候 (1月25日)  ・みずさわあつくかたい
                 沢の水も寒さに氷る

・七十二候 (1月30日)  ・にわとりとやにつく
                 鶏が卵を抱く
     

 このところ寒い日が続いていたが、昨日今日は最高気温が14,5度。3月の温かさだ。明日は18度にもなるという。が油断は禁物。
あさって、金曜日はまたぐっと冷え込むとの予報。久しぶりのテニスを予定しているのに……。日差しに明るさが増してきた。
春が近づいている。もうすぐ立春だ(2月4日)。
(Jan.20)

■ NHK教育テレビ「絵本寄席」をご覧下さい

   

  1月29日(金)午前7時45分~50分 NHK教育テレビ「テレビ絵本」にてえほん寄席のアニメが
再放送されます。『目黒のさんま』(有賀忍・絵  三笑亭夢太朗・落語)早朝ですが、どうぞお楽しみください。


■シラバス打ち込みと、紙芝居作画に明け暮れる

 新年度の履修科目シラバス作りに大わらわ。昨年から提出がパソコン入力となり操作に戸惑う。キーボードから
20分離れると自動的にすべて消去されるし、「更新」「保存」が分かりずらく何度もやり直すはめに。10科目を
入力し終わる頃に漸く慣れたが。
 授業が始まる前に、仕事の目処をつけねばと、紙芝居「だいじな たまご(仮題)」制作も頑張った。こちらの苦心は
鶏小屋の金網や、卵が割れて悲しむ少年の表現など。ストーリーが単調で、紙芝居の”単純明快、可視性”はクリア出来たとは
思う。が、やはり絵本も紙芝居も”面白くてナンボ”………不満がない訳ではない。
(Jan.15)

■エンターテイメント

 正月テレビは殆ど見ない。ニュースを除いて。ただ、小朝の落語「親子酒」には抱腹絶倒。ろれつの回らない親子の酔っ払いの
掛け合いが見事。酔いが回るにつけ顔までが赤くなっていく様は感動物!話のおもしろさ、形振りの上手さ、完璧だ!
 大学の帰り道、NHKラジオの「真打競演」を聞くことが多いが、漫才も落語も大笑いさせるもの少ない。話がつまらない。
生中継ではないし、”話芸”を収録するのなら、選ぶべきだろう。天才、小朝を聞いて思った。


■二十四節気<小寒>  七十二候(六十七候.六十八候.六十九候)

 七十二候も最早六十九候。あと三候残すのみ。<小寒>の次は<大寒>。そして、
いよいよ<立春>……春の到来だ。

●小寒   1月5日

・六十七候 (1月5日)  ・せりさかう
                  芹が青々と生える

・六十八候 (1月10日) ・しみずあたたかさをふくむ
                  泉に温かさが残っている

・六十九候 (1月15日) ・きじはじめてなく
                  雉がメスを求めて鳴く
      

              2012年 迎春

                  佳い年になりますように

12月のアトリエだより

■鳩山は冬景色。枯れ葉で埋め尽くされる

 アトリエの周りはすべて枯れ葉で覆われた。この間まで鬱蒼と茂っていた木々は裸。空が広がり明るくなった。
ブナの木だけが薄茶色の葉をまだ落とさずにいる。風に飛ばされまいと、しわしわの葉の塊がしがみつくように付いている。
枯葉を集めて井戸を改造した腐葉土枡へ運ぶが枡はすぐ満杯。諦めた。「一面枯葉の野」に与すパワー不足だ。
創作行為とはことなるが、草取りや枯れ葉集め……これらは、妙に楽しい。いえ、楽しいとは違う。何も考えない時間を
すごす嬉しさかなあ。

■二十四節気 <冬至>  七十二候 (六十四候.六十五候.六十六候)

 ノロウイルスか、風邪か。張り切ろうにも力がでない。普段から低体温で、一寸でも熱っぽいと頑張ろうにもだるさには抗えずダウン。
今年も無事に乗り切ったかと油断したわけではないけれど、この暮れ、最後の仕事にブレーキがかかる。とはいえ、しがみつくように
ダラダラと作業。   熱が引いて、即コートへ。鈍った体に喝を!荒療治!………無謀なり。

    12月22日は冬至         (1月6日は小寒)

・六十四候 (12月22日)      ・ふゆ しょうじ なつかる
                      冬生じ夏、枯る

・六十五候 (12月27日)     ・しか つの おつる
                      鹿角落つる

・六十六候 (1月1日)       ・ゆき わたりて むぎ のびる
                      雪下りて麦のびる

■二十四節気 <大雪>   七十二候 (六十一候.六十二候.六十三候)

 師走になり、日が過ぎるのが一入早く感じられる。毎年のことだが……。追いかけられているようだ。追いかける位の
心の余裕がほしい。アクセク、バタバタ、アタフタ……で、今年も暮れそうだ。 嗚呼。

      12月7日は大雪         (12月22日は冬至)

・六十一候 (12月7日)      ・そら さむく ふゆと なる
                      天が塞がり冬となる

・六十二候 (12月12日)     ・くま あなに こもる
                      熊が穴に入って冬眠する

・六十三候 (12月17日)      ・さけ うお むらがる 
                      鮭が群れをなして朔上する

■寒さものともせず(ウソ、大強がり)テニス

 昨日は冷たい雨。幼稚園講演会。会場は100名を越し満員だったが、冷え冷えとしていた。終了後のサイン会では、足元が冷たく
膝をすりあうようにした。寒かった。
 今日は曇り。オムニコートは湿っているだろうが打ちに行く。メンバーはぼくより高齢な方が多い。それも、週一のぼくと違って、
週三、四回はプレーしている兵ばかり。捻られるのを覚悟の上参戦!ただ時間を気にせず打ってみたい。忙しないなあ。

■鳩山は落葉の季節。”目の幸せ”紅葉もおしまい

 モミジは峠を越えた。サクラはすべて葉を落とした。ブナの茶葉、カシワ、モクレンの薄茶色……、あたりは茶色に染まっている。
中で鮮烈な赤色を留めているのがハゼだ。植えてよかった。来年はもっと植えよう。ローズヒップ、ブルーベリーの葉も。
雨に洗われて秩父の山並みがくっきり見える。日差しも柔らかく、のんびり……としたいところだが、仕事仕事!
描いている10号の絵を二枚直しをいれる。フレームの製作にも着手。手を洗う間もなく車上の人。慌しい。よくないなあ……。

■師走……キャンパスを走る……アタフタ アタフタ

 授業はいつも時間が足りない。演習科目のつらいところだ。準備や試作で休む間もない。研究室に来訪者があれば、昼飯抜きとも
なり、空腹と戦いながらの教室。この季節も汗びっしょりで、キャンパスの風が一入冷たく感じる。気力で持っているのだろうが、
おかげでメタボとも無縁、カゼ菌も寄り付かず元気。(多分に、やせ我慢)

■小石に絵付け 3

     
・ジェッソ(下地剤)を塗り描く。顔、顔、顔……   ・人面石   ・拾った(顔が描かれていた)石

11月のアトリエだより

■小石に絵付け 2

  
・《おにぎりん》増えた増えた!   ・石の表情が、それだけでおもしろいものには絵を付けない
  

 紙芝居《やさしいこころ》に添えて配ろうと、小石に登場人物”おにぎりん”の絵を描いた。

 今日の授業は先週に続きPEEK A BOO……「いないいないバー」は幼児が好む遊びの一つ。紙一枚で2場面、4場面
変化するカードを制作した。仕組みは簡単。学生は思い思いのイラストを描く。シンプルなものほど応用性がある。遊び方も
工夫できる。スイッチを入れたらお終いのICを使った高価な玩具より、やはり手づくりだ。工夫の余地があるかないか。
想像力と創造力を育む遊び、玩具とはどんなものかを学生には考えさせたい。

■二十四節気 <小雪>   七十二候 (五十八候.五十九候.六十候)

     11月23日 小雪            (12月7日 大雪)

・五十八候 (11月23日)      ・にじ かくれて みえず
                      虹が見えなくなる

・五十九候 (11月27日)     ・きたかぜ このはを はらう
                     北風が木の葉を吹き払うようになる

・六十候 (12月2日)        ・たちばな はじめて きばむ 
                      橘の葉が黄葉し始める

 アトリエまで、今日は関越高速を使わず川越街道を走る。三芳あたりのケヤキ並木の紅葉が目当て。春から夏、
街道を覆い隠すほどだった緑のトンネルは葉を落とし秋空をのぞかせていた。今年は遅いのか。黄色、茶色、赤色……の
紅葉はまだだった。このあと、一気に紅葉、黄葉がはじまり、嵐のように葉を落とすのだろう。残念だが見られそうもない。
アトリエの庭のハゼは鮮やかな紅色。ブナは茶褐色、桜、モミジ……冬の入り口、風に震え、舞い落ちる……色の饗宴、
静かな時間、心穏やかなる一時。

■小石を拾う……形を楽しみ、絵をつける

    
・中央の石には、顔が描かれていた    ・<おにぎりん>の顔   ・色々なものが生まれる  

 校内の駐車場の脇で小石を拾う。一つ一つ形を吟味しながらビニール袋に入れるぼくを、学生や教員が怪訝そうに見ている。
20個、30個、相当な重さだ。洗って改めて形を眺める。石に絵付けをするのだが、なんと”先客”がいた。顔が描かれた楕円形の
小石があったのだ。小学部もあり、子どもが描いたのだろう。見つけたときは、思わずにっこりだ!嬉しくてねえ。描かれた目、鼻
、口はかすれてはいたが白色が美しかった。これを描いた子と会いたいなあ。

 紙芝居『やさしい こころ』を制作した。少年と作業服を着た工事現場のおじさんが登場するお話。そのおじさんの顔がおにぎり
そっくりで、少年は<おにぎりん>と呼んでいた。少年は図工の時間、小石に絵を描いた。ペンギンやカメや自動車などいろいろ。
<おにぎりん>もね。 中央の写真はぼくが作った<おにぎりん>。おにぎり形の小石は結構多い。幾つか作って、紙芝居を演じる
方に差し上げようと思う。”実物”を見て、子供たちが、自分でも作ってみようと言う気になったらうれしい。

■二十四節気<立冬>、  七十二候(五十五候 .五十六候. 五十七候)


     11月8日は立冬      (11月23日   小雪)

・五十五候 (11月8日)      ・つばき ひらき はじめる
                     山茶花の花が咲き始める

・五十六候 (11月13日)     ・ち はじめて こおる
                     大地が凍り始める

・五十七候 (11月18日)      ・きんせんか こうばし
                     水仙の花が咲き始める

■赤い実の季節

鈴なりの渋柿が熟して枝を撓らせている。ナツメが落果。サルナシも柔らかに……、
カマツカの暗紅色、カラスウリの朱赤……陽に照り映え、今 秋真っ只中。

      
・ズミ             ・ナツメ                 ・ウメモドキ

  

    

・ドッグローズ              ・カマツカ         ・サルトリイバラ(蔓を切り撮影)

 面白い実を見つけた。見たことのない形、蔓に二十数個の赤い実の塊まりが10センチおきについている。蔓は「長い。引っ張り手繰って
根元まで近づこうと試みるが、山の斜面が崩れやすいこともあって難儀。根は深く、球根を持っていた。わがアトリエの庭で育ててみたくなり
図鑑で調べた。サルトリイバラ……ユリ科の多年草。実もそうだが、葉の脇に一対の髭があり、この特徴からすぐ名前が解った。
 細いさつまいも状の球根は漢方薬「山帰来」となる。北斜面の日当たりの悪い茂みの中で育ったサルトリイバラ……大事に、といっても
似たような場所に移植、根付くよう祈った。

10月のアトリエだより

■二十四節気 <霜降>   七十二候 (五十二候.五十三候.五十四候)


   10月24日は霜降     (立冬……11月7日)

・五十二候 (10月24日)     ・しも はじめて ふる
                     霜が降り始める

・五十三候 (10月29日)     ・こさめ ときどき ふる
                     時雨が降るようになる

・五十四候 (11月3日)      ・もみじ つた きばむ
                     紅葉や蔦の葉が黄ばむ

 24日は二十四節季の霜降なれど、汗ばむほどの陽気。現代童画展審査に臨んだ。25日は一転襟を立てて歩く寒さ。終日、
審査会場に詰めていて分からなかったが、木枯らし一番が吹いたのだそうだ。賞の決定、推挙会議と慌しかった。
 『現代童画展』第37回!ぼくも、まあよくも出品し続けたものだ。本年の目玉は、過去の大賞作品を集めての特別展示。
ぼくは第3回展で大賞を受賞したが、その作品も久しぶりに”お披露目”。ただ、会場が狭いため、『星の海』一点のみ。
『花の野』が飾れないのは残念である。
 本展出品作は『星の道』。 7月の選抜展で発表した”『沈黙の闇』の後”を描く。 選抜展をご覧下さった方は、
イメージを重ねていただけたらと思う。

 鳩山アトリエ、秋真っ最中。ハゼの紅葉がはじまり、パンパスグラスに絡むカラスウリが風に揺れている。こっちに一つ、あっちに一つ……
濃い朱赤が目の奥に染み込んでいく。雑草に負けずに蕾を抱いたニオイスミレを見つけた。数株集め周りを煉瓦で囲い”スミレの園”に。
 イーゼルから作品を降ろし車に積み込んだ。いつもながら、アトリエ立ち去りがたし。


■二十四節気 <寒露>   七十二候 (四十九候.五十候.五十一候)

  10月9日は寒露          (10月24日は霜降)

・四十九候 (10月9日)     ・がん きたる
                    雁が飛来し始める

・五十候 (10月14日)     ・きくの はな ひらく
                    菊の花が咲き始める

・五十一候 (10月19日)    ・キリギリス とに あり
                    キリギリスが家の中で鳴く

 現代童画展は東京都美術館が改修工事のため、本年も上野の森美術館で開催される。会場壁面の都合で30号とサイズも
制限される。大作に臨みたい気持ちも強いが、この春以降モチーフが少し変わってきており、画面の小ささはさほど気にならない。
 今まで <心のふるさと……懐郷の詩> <親子・父と母・父性・幸福感>を描いてきた。今回の作品も底辺に流れるものは、
そう変わらないが、さりとて明るいものでもない。春は『沈黙の闇』。今仕上げの段階にあるのが『星の道』。絶望感の中に一筋の
光明……出発だ!それも力強く、頼もしく、矜持を……ぼくは描く。是非ともご高覧あれ。
                                                          (展覧会詳細については後日)

■キャンパスのイチョウの木、銀杏落ち始める

 教室の机の間を歩き、いや小走りで回っている。コマネズミの譬どうりチョコチョコ忙しなく。声がかからずとも、その人その人
描き出すものの、ユニークな点、おもしろい所を見つけようと。見逃すまい、学生は気が付かない線の流れ、動きを。
 教室の暑さは一頃とくらべ過ごしやすくはなったが、ばくは汗びっしょりだ。授業を終え研究室に戻るまでの僅かな時間、
秋の風を満喫。深呼吸して歩く。銀杏を踏まないように避けて、コマネズミは時間を惜しみながらゆっくり歩く。

9月のアトリエだより

■二十四節気<秋分>   七十二候(四十六候、四十七候、四十五候)

                     9月23日は秋分  (10月9日は寒露) 

・四十六候 (9月23日)    ・かみなり こえを おさむ
                    雷が鳴らなくなる

・四十七候 (9月28日)     ・ちっちゅう とを とざす
                    虫が地中に巣籠りする

・四十八候 (10月3日)     ・みず はじめて かる
                     田の水を落として稲刈りの準備をする

■鳩山、冷え込む!長袖で板絵に向かう

★山葡萄、ナツメ、サルナシ 今年はみな元気に実をつけた.柿はこれから。栗は昨年並みか。

     

・山葡萄                   ・棗(ナツメ)                  ・サルナシ

 秋の始まりだ!

 二日間、板絵に取り組む。
アトリエから一歩も出なかったと言うのはうそで、体、殊に目を休めるために鬱蒼としげる葉を掻き分け栗の木まで進む。
まさにジャングルを”進む”感じ。栗を拾おうにも腰高の草が邪魔して、落としても見つけるのが大変。それでもビニール袋は直ぐ
いっぱいになった。
 幾種類か植えた萩は雑草に覆われてしまい目を凝らさねば小花が見えない。
自然に生えた道路沿いの柿の木には青い実が枝を撓らせている。大豊作だが残念ながら渋柿。辺りにフジバカマが咲いている。
紅葉は”ハゼが一番”と植えた苗木は雑草に囲まれながらも育っているが、葉の色はまだ緑。アトリエの窓からは見えないが、
工作部屋のわきの山葡萄の房が膨らんでいた。昨年、一昨年と実がつかず枯れたのかと……、今年ヤマブドウの苗木を求め、
近くに植えたのが良かったのかもしれない。ナツメもサルナシもよく実った。マタタビ、ムベ、アケビは葉を茂らせただけで終わった。
アケビは花を沢山咲いたので、実りを待っていたのだが……(アケビの皮のバターソテーは好きな酒肴)

 「30分だけ」と予定しても、庭に出れば一時間くらいすぐ過ぎてしまう。制作に没頭も集中力のなせる業だが、自然に実を置くのは
もっともっと自然体。自分の素を丸出しにするという点で、自然に身を置くことと創造の世界に住むことは似ている。

 下の田圃の主、石井さんが新米と玄米を届けてくださった。
軽四輪の助手席にはいつも満面の笑みの奥さん。アクをすくい、すくい丁寧に煮あげた栗の渋皮煮、栗の形をきれいにそのまま留めた
上品な味、見事な”作品”を持ってきてくださった。石井さんの前で、ぼくは二つもペロリ!美味い!感謝感謝!

 秋の味覚、贈り物が嬉しかった。 気力充填して、仕事に戻る!




■二十四節気<白露>   七十二候(四十三候、四十四候、四十五候)

 鳩山は大気澄み星が降るようだ。今晩は星の瞬きを妨げるような明るい月夜。十五夜だ。中秋の名月、観月のゆとりもなく、
アトリエでパネル作り。プリンター置き台も製作する。工作は性に合っており楽しくて、なかなかその後の、“本来の”制作に
はいれないで困る。
 もろもろの教習、講習会も終わり、秋学期が始まるまで制作に没頭する。時間がなくあせりながら……いつものことだが。
ナツメが赤く色づき始めた。サルナシが頭を下げねばアーチをくぐれないほどたわわに実った。栗の実はやたら降り落ちている。大粒だ。
 地域物産販売所でアスナロの幼木を見つけた。“明日は檜になろう”から翌檜と書く。百円!。植木鉢代にもならないだろうに。
勿論買って、杉の木の根元に植えた。吾、アスナロと思ったことなし。今思えども、もはや遅し!

9月8日 白露        (秋分は9月23日)

・四十三候 (9月8日)    ・くさつゆ しろし
                   草の葉に白い梅雨が宿る

・四十四候 (8月13日)   ・せきれい なく
                   セキレイが鳴くようになる

・四十五候 (9月18日)    ・つばめ さる
                    ツバメが 南の国に 去って行く

8月のアトリエだより


■二十四節気<処暑>  七十二候 (四十候、 四十一候、 四十二候)

    8月23日は処暑 

・四十候 (8月23日)     ・わたの はなしべ ひらく
                   綿を包むガクが開き始める

・四十一候 (8月29日)    ・てんち はじめて さむし
                   天地の暑さがようやく収まる

・四十二候 (9月3日)     ・いなほ みのる
                    稲が実る

■楽しきかな、ブリコルール!

 牛乳パック、ペットボトル、ガムテープや食品ラップの巻き芯などの山に埋まる生活をしている。図工の先生方の研修会に
ブリコラージュを基本テーマに選んだ。(ブリコラージュ人間をブリコルールという) 廃物を活用しての造形遊び。遊びといっても、
楽しめるだけではなく、美しくて飾っておきたくなるようなもの、かなり雑に扱っても壊れない頑丈なものの考案だ。遊戯性と造形美!
 工作は楽しいが、わが渋谷の狭き仕事場は、ゴミ箱と化している。フローリングや空間はいつになったら、再び現れるのだろう。

■鬱蒼と生い茂る鳩山の庭……ハチとの戦いはじまる

  鳩山のアトリエで教員研修会の“メニュー”作りをしている。最近、わが鳩山町は熊谷に次ぐ暑さで
、テレビに地名のテロップ流れる始末。地形が似ているのだろうか。暑い!でも夜は東京より涼しく感じられる。
土と緑のおかげだ。伸び放題の木々、背丈を越える雑草にも感謝だ。
 喜んでばかりはいられない。誰も踏み込まないのをいいことに、ハチが我が物顔で飛び交っている。
デッキを補修、ペイントしようとして蜂の巣を発見!ご飯茶碗ほどもある。スズメバチなら手の負えないから業者に
頼むが、幸いにもアシナガバチだった。防護服でいざ戦!二挺拳銃よろしく両手に防虫スプレー、棒で巣を掻き落とした。
アシナガの群舞は恐ろしいほどだ。巣がなくなっても、ハチはどんどん集まってくる。ペイント作業は中止だ。 
 階段下の薪置き場にもう一つ、アシナガバチの巣を発見。これも退治。仕事どころではない。いま、巣作りの季節だ。
取っておかないと大変なことになる。昨年はスズメバチに悩まされた。そういえばミツバチがいない。アトリエの壁の間に
巣作りし蜜を部屋に滴らせたミツバチは何処に消えたのだろう。


■二十四節気 <立秋>  七十二候 (三十七候、三十八候、三十九候)

8月8日は立秋  (処暑は8月23日)

・三十七候 (8月 8日)    ・すずかぜ いたる
                   秋風が吹き始める

・三十八候 (8月13日)    ・ひぐらし なく
                   蜩が鳴く

・三十九候 (8月18日)   ・のうむ まとう
                    濃い霧が立ちこめる

■大学のオープンキャンパス 《子ども教育学科》受講生みな熱心!

 
今年のオープンキャンパスはティーチングアシスタントに大学二年生三名を起用。万全の態勢で臨んだ。
一時限の授業で、早朝からの出席を心配したが、生徒がつめ掛け満室状態。アンケートでは「満足」が多く、
アシスタントと喜び合った。三名には、月末に行われる教員研修会でも、手伝ってもらう。彼女らがいると、
教室が明るくなる。
 研修会が終わる間もなく、幼稚園教員指導が待っている。園児が作って遊べる、“凄くおもしろい”おもちゃを
披露しようと今、試作を繰り返している。仕事場は雑然!がらくたの山だ。本来の絵画活動が
疎かになっている。制作に入れるのは9月になってからか。目の前の仕事が多すぎる!


■ホップの間に植えたもの

 珍しいものを植えた。日差し避けにゴーヤや朝顔が話題になっているが、ぼくは野ブドウを植えた。
ホップの苗が育ち、180センチのトレリスから蔓が巻きつくところを探して揺れている。そのホップの間に
これまた蔓性の野ブドウ。
 山葡萄はある。枯れかけたが今年見事に再生、今小さな固い実をつけている。
山葡萄の掌より大きい葉っぱと違い、野ブドウは小さいが形が美しい。野ブドウは食べられないが
葉を見ているだけで、何だか嬉しい。この炎天下、根が着くか心配だ。



■二十四節気 <大暑>  七十二候(三十四候、三十五候、三十六候)

  7月23日は大暑       (立秋は8月8日) 

・三十四候 (7月23日)    ・きり はじめて はなを むすぶ
                   桐の花が実を結ぶ

・三十五候 (7月28日)    ・つち うるおいて むしあつし
                     大地が熱を持ち蒸し暑くなる

・三十六候 (8月 3日)     ・たいう ときどき ふる
                    大雨が時々降る

■ミルクカートンTOY 

   
 ・(左)3単位体  テーマ クリスマス菓子  ・(左上) スイーツ ・(右上) 泣き笑い
 ・(右)1単位体  こんなこいるかな      ・(下)  こんなこいるかな

  
・ペロ&ミャー

 今回の廃物利用ミルクカートンTOY。牛乳パックを開き裏返してカット。三枚組み合わせたものが1単位体。
その単位体を三個単位でつなげて行く。学生は時間の関係で2単位体の構成がやっと。ぼくは3単位体構成、
4単位体構成の作品を見せた。一単位体で12面ある。それらすべてに絵を描くか、切り抜いた写真を貼る。
6面が泣き顔、6面が笑い顔……、コツが解れば絵変わりもスムーズにできるが、初めての人は面食らうだろう。
面白いキューブパズルだ。学生は思い思いの動物や表情豊かなお化けの絵をつけて、友と交換しては楽しんでいた。
遊びを通じてのコミニュケーションも狙いの一つ。時に”学び”は楽しさの中で行われる。


7月のアトリエだより


■二十四節気<小暑>      七十二候(三十一候、三十二候、三十三候)  

 7月7日   小暑           (7月23日 大暑)

・三十一候 (7月 7日)    ・おんぷう いたる
                   暑い風が吹くようになる

・三十二候 (7月13日)    ・はす はじめて ひらく
                    蓮の花が咲き始める

・三十三候 (7月18日)    ・たか わざを ならう
                    鷹の子が巣立ちの練習をする

 7日は<小暑>。《温風至る》だが、熱風の”風”さえ吹かず。教室も節電のため空調の温度設定厳しく汗まみれの授業だ。
新校舎は”モダンデザイン”で窓が開かない。暑さには強いぼくも閉口の日々。絵の具を乾かすためドライヤーを使うときなど、
もう炎熱地獄。我慢我慢。

■現代童画会 選抜展開催中 

 現代童画会 選抜展が只今開催中。 (銀座アートホール10日まで)
板絵『沈黙の闇』を出品しております。ご高覧ください。”蒼”の表現に悩んだ作品です。

■リンドグレーン展
   
・イングリッド・ヴァン・ニイマン「長くつしたのピッピ」1945  ・ローレン・チャイルドの塗り絵本


 アストリッド・ リンドグレーン展(世田谷文学館)   《長くつしたのピッピ》《やかまし村シリーズ》《ロッタちゃんシリーズ》原画を見る。
子どもの時代、子どもの世界を生き生きと描いたリンドグレーン。見慣れた挿絵から、現代のアーティストのイラストまで多数展示。
 中では、ローレン・チャイルドの《長くつしたのピッピ》。一目でわかる、キュートな表情。目が強い。
ローレン・チャイルドの塗り絵本(ペーパーバック)を持っているが、塗り絵には否定論者であるぼくも、この絵本には魅力を感じている。
ただ塗るだけのカラーリングブックではなく、自由に描きこめ、またそのリードして行くネームが効いている。塗り絵本は数々あれど、
このようなものがもっとあったらと思う。

6月のアトリエだより

■二十四節気 <夏至>     七十二候(二十八候、二十九候、三十候)



   6月22日 は夏至            (7月7日/小暑)

・二十八候 (6月22日)     ・だいとう かる
                     夏草が 枯れる

・二十九候 (6月27日)      ・しょうぶ はな さく
                     菖蒲の 花が 咲きはじめる

・三十候  (7月 2日)       ・はんげしょうず
                     からすびしゃくが 生える                     

■スタンピング……葉脈の美しさ……人工物との組み合わせ



     
トチ、サンショ、トチュウ(杜仲)、ウメ、  クヌギ、ムベ、ベイ、リンデン、メープル、ブナ、ナナカマド、オニグルミ

 絵画造形表現活動基礎Ⅰの授業。オートマティック技法(モダンテクニック)。要は子どもの造形表現遊びの基本。
デカルコマニー、フロッタージュ、スパタリング、ウオッシング、コラージュに続いて、今回はスタンピング。自然物(葉っぱなど)と人口物を
ペタペタ押して再構成。こらー^ジュ作品の制作。
 鳩山で葉っぱを採取。形の面白いもの、葉脈が鮮明に写し取れそうなものを選ぶ。3クラス分を冷蔵ボックスに詰める。


 クヌギ、山葡萄、菩提樹、桑、サンシュユ、ハナミズキ、オニグルミ、オオシマザクラ、イチョウ、モミジ、サトウカエデ、山椒、
ブナ、トチ、トチュウ、ワイルドストロベリー、ヤツデ、ミニチュアローズ、ローズゼラニウムなど。学生には植物の話(名前の由来、エピソード)も
聞かせた。ローラーを転がし刷り取った者をカットし台紙に再構成する。楽しめたようだ。

 ウオッシングについで面白かったとの声も。演習は先ず楽しむこと。楽しんでこそ学習となる。みんな、始めはインクが手に付くのを
嫌がっていたが、仕舞いには指紋どころか手にローラーを転がし手形をペタペタ押していた。
 とにかく夢中にさせること。集中させること、これに尽きる。
ローラーやインクバットを洗ったり、葉っぱの始末など後片付けが大変だが、学生の”満足感”が、ぼくの疲れを軽減させてくれる。
 次回は墨流し、マーブリング。ぼくは市販のマーブリング剤やセットになったものは使わない。墨のマーブル模様の美しさ、そして
油絵の具を溶いたものを掬い取るカラー版にTRYする。出来合いのマーブリング液を使えばきれいでかんたんだが、それでは
力がつかない。すべて作る。大事なことは、「これがなければ出来ない、これが揃ってないとダメ……」ではなく、応用力、創意工夫する心。
 表現とはそういうものだ。準備万端、用意周到からは生まれない。不自由なくらいがいい。足りなくてちょうどよい。恵まれすぎは、
想像力や創造性を培う環境によろしくないとぼくは思う。




■木っ端で名札を作る

       
 ・木っ端 (切り抜かれた円形の上部)  ・両端をカット (ステインを塗ったもの)   ・黒ペンキで名前を書いて完成

 地域の産物の即売所ができた。米、果物、野菜の農産物が主だが、植物を売るコーナーもあって、鳩山に行くときは
必ず寄ることにしている。都会の園芸店では見られない面白いものがあって楽しい。キンズ、カマツカ、ヤブコウジ、ハゼ、
マートルの苗木はみなここで買った。一鉢500円~800円と安い。アトリエの畑に茂るムベやサルナシも珍しいと思っていたが、
これらも売られていたからびっくりだ。
 即売所には木工製品もある。まな板や鍬の柄。ぼくが買うのは木っ端の束。何かを切り抜いた残材、10枚束ねたものが、何と120円!
昨年は100円だった。これをぼくは名札に利用している。もう数十枚は作っただろう。ブナやクヌギ、昨秋植えたオオシマザクラなど
樹木の苗木が主だが、まだまだ足りない。販売物にはすべて生産者の名前が記されている。木工製品も然り。○○清作……。
 この木工の主はどんな方だろう。
このなだらかな山型の木っ端は何を作った後の物なのだろう。大量に出るから不思議だ。「清作さん」に聞いてみたい。


■二十四節気  <芒種>  七十二候 (二十五候、二十六候、二十七候



    
6月5日は芒種6月6日               (夏至は6月22日)

・二十五候 (6月 6日)    ・かまきり しょうず
                     カマキリが姿を見せる

・二十六候 (6月11日)    ・ふそう ほたるとなる
                     腐った草が蛍に姿を変える

・二十七候 (6月16日)    ・うめのみ きばむ
                     ウメの実が黄色に色づいてくる
                     

 ■板絵「沈黙の闇」制作没頭。

  夜来の雨があがり鉛色の空、水田は天を写す鏡だ。周辺緑一色の中で銀色反射、”何も無い美しさ”だ。小鳥もまだ訪れず
静寂そのもの。幾度も深呼吸をしてアトリエに入る。
 このところ週末は板絵に取り組んでいるのだが、モチーフが<哀しみ>そのもの。描いていても辛くて苦しくて感極まってしまい、
「これではいかん」、冷静に冷静に……言い聞かせながらの作業。
 顔の色が出来ない。塗っては「違う」、塗り重ねては「違う」の繰り返しだ。絵が重く暗い。描けなかった時から、絵筆を
取る、表現する気力漲るまで時間を要した。『哀しみの船』、『悲泣の丘』以来だろう。胸が塞がる思いの制作は。

■茶の木を探す

 今年も茶の木の新芽を摘んでフリッターにして食べた。香りがよい。もちろん酒の友。制作の後の「反省の酒」だが、目一杯
表現出来さえすれば美酒となる。なかなか、そう美味くはいかない。
 Sさんが、茶を育てたいと言う。苗木を差し上げたが、楽しみにしていた新芽が何者かに採られてしまった(消えてしまった
そうな)と、がっかりしておられた。そこで今回は少し大きめのものを用意した。零れ種からあちらこちらに発芽しているが、
適当なサイズのものを選ばなくてはならない。植木鉢がSさんの自転車の篭に収まらなくてはならないから。
 新芽は手もみ茶に、おひたしに、天ぷらに……、すくすく育ちますように。

■学生の習作を発表する場がほしい

 子ども教育学科には、ほぼ隔月発行の『ミンミン新聞』があるが、学生の制作物が発表できるページの余裕はない。
絵本でも数冊、ペーパーカッティング「シンメトリーデザイン」や連続模様制作でもかなりの秀作があった。講評して返却するのだが
何とも惜しい。作品を並べて見せるが、他のクラスの学生には鑑賞させられず残念だ。創作する一方、良い作品を見ることも大事だ。
 一部修整、補作し学生に”作品集”として配布することにした。学生は色んな紙で(薄い色など)自由に制作するから、
版下にするには墨画線に置き換えなくてはならない。一昨年も作ったが、この作業は時間がかかりめんどうくさい。
 「素晴らしい作品を作った」……学生に自信をもって貰いたい。園や学校の現場でも制作のヒントに資料としてきっと役に立つだろう。

5月のアトリエだより

■二十四節気<小満>  七十二候(二十二候、二十三候、二十四候)

ホップを植える! 実を何に使おうか……早すぎる夢想……



    
 5月21日は小満          (芒種/6月6日)

・二十二候 (5月 21日)    ・かいこ おきて くわを くう
                     蚕が桑の葉を食べるようになる

・二十三候 (5月26日)     ・べにばな さかう
                     紅花の花が咲き乱れる

・二十四候 (6月1日)      ・ばくしゅういたる
                     麦が育ち、麦畑が黄金色になる
                   

 アトリエ周辺の田圃は田植えが終わり人影なし。水面を横切る鳥の影。静寂の中に時おり鳥の声。「ホーキョ」「ホーキョト」……
下手だったウグイスも「ホーホケキョ」。すっかりうまくなった。
 東北の被災地では作付けを諦めた水田が多いという。緑の苗が黄金の稲穂に変わるまで、ずーっと惨い災厄が頭から
離れないだろう。
 絵を描いていても、テキストを作っていても、お話を書いていても、胸は重苦しく、気が晴れない。集中力乏しく苛立ちを覚える。
創作はいつだって厳しいものであるが、これほどキツイとは……。
 気分転換のテニスも楽しめない。”逃避”だからであろう。大分前のことだが、サッポロビールが運営していたクラブでプレーした
ことがある。このコート脇のフェンスで、さすがビール会社だ、ホップを育てていた。ホップが高さ10メートル以上も薄緑のカーテンを
作っていた。今ゴーヤなど壁面緑化が話題になっているが、あの、コートを覆い隠すようなホップは見事だった。
少し失敬してきて、ホップのリースをつくったこともあったっけ。
 そして、とうとうホップの苗を手に入れた。野生のものではないが、自然に還したいと、竹やドクダミやスギナの生い茂る土地を耕し
腐葉土を敷き詰め苗床を作った。トレリスを立て水を遣る。
しっかり根付きますように!少しだけ、ほんの少しだけでも実をつけますように。

■二十四節気 <立夏>   七十二候 (十九候、二十候、二十一候)

                 5月6日は立夏  (5月21日は小満)

・十九候  (5月 6日)    ・かわず はじめて なく
                   蛙が鳴き始める

・二十候  (5月11日)    ・みみず いずる
                   ミミズが姿を見せ始める

・二十一候 (5月16日)   ・たけのこ しょうず
                    筍が生ずる

■アトリエのフェンス倒壊す

 筆を取る、板に向かう気力興らず。胸は塞がったままだ。それでもアトリエに入れば……と、久しぶりの鳩山詣で。だが、
それどころではなかった。地震か強風か、フェンスが倒れていた。フェンスと言っても三寸の角材を組み合わせた頑丈なものだ。
それが、道路に沿って横倒し!滅多に人が通る道ではなく事故に繋がらなかったのは幸いだった。連休中だが、設計図をひき
工務店を呼んで交渉した。

■今年はミツバチ大丈夫…………か。

 昨年は全国的にミツバチの姿が消え、何が原因かもわからず問題になった。わが鳩山の庭でも明らかにその数が減少した。
それまでは乱舞する大群、母屋の壁の間にも巣を作り蜜をたらすミツバチだったのに。今年は大丈夫……かもしれない。
花の間を忙しく飛び交っている。カマツカの小さな花から、アケビやムべの花、少し前までは、ミツマタ、杏、サンシュユ、
プラムなど、花の季節をミツバチは我が者顔だ。


    
・百花繚乱……ミツバチの季節       ・アケビの花(五つ葉)            ・カマツカの花

  

・ムべの花 花弁に見えるのはガク。 ・たった一輪咲いたリンゴの花(ヤーノシュの絵本『おばけりんご』の一ページを彷彿) 
乳白色で内部には紅の線

4月のアトリエだよりエだより


■二十四節気<穀雨>     七十二候(十六候、十七候、十八候)

      4月20日は穀雨         (立夏は5月6日)

・十六候 (4月20日)    ・あし はじめて しょうず
                  葦が生え出す

・十七候 (4月25日)    ・しも やみ なえ しょうず
                  霜が止んで稲の苗が生長する

・十八候 (5月1日)    ・ぼたん はな さく
                  ボタンの花が咲く

 新学期が始まった。『実践遊び学』3クラス。『絵画造形表現活動・Ⅰ』3クラス。昨年よりパワーアップした授業展開をしたい。
具体的にはカリキュラムの調整以外に、『実践遊び学』では殆ど毎回、”おまけ”と称してごく簡単にでき、子どもをアッと言わせる
楽しい造形手遊びを紹介していく。そして『絵画造形表現活動』では、”帽子百貨店”と題したクラフト製作を、今まで十数点だった
ものを、今年は創作5点追加、学生にはかなりハードな作業(時間がタイト・集中力勝負)となる。

 月曜日『実践遊び学』第一回は、鏡面紙を用いたシンメトリー図形遊び(製作・発見)および万華鏡考察。製作だった。この時の
”おまけ”は、「紙一枚(A4大)左手のひらに穴を開ける」法………というものであった。紙をクルクルまるめ円筒形にする。これを
用いて掌に穴を開けるには、さてさてどうする?(授業では万華鏡作りに用いる紙筒でやらせた)
 「あっ、あいた」「穴が開いた!」「向こうが見える!なに、これ!」「わあー!」教室がどよめいた。
「穴があかない」「えー、穴、見えない!」何人かは、始めうまくいかず、とまどっていたが、学性同士教えあって全員、手に穴が
開いたことを”確認”した。一体、どうやって手のひらに穴を開けたのでしょうか?

■二十四節気<清明>   七十二候(十三候.十四候.十五候)

杏の花が咲いた。明るい青色の空のもとでミツバチを誘っている。ミツマタ、サンシュユの黄色
土佐ミズキの淡い黄、レンギョウも。やはり杏がいい。杏の白を際立たせるかのように、空には雲がない。
遠慮してくれているかのようだ。杏は梅の花をふっくら大きくした感じ。清らか。
穏やかな日和、春景色。平安なれど、このところの心中、苛立ったまま。
オニグルミ、カマツカ、ブナ……まだまだ、芽は堅い。ときおり吹き来る(荒れる)冷たい風が木々を揺らしている。
ケキョ…ケキョ… ウグイスの囀りトレーニングも始まった。   さあ、我も始動!!!

  4月5日は清明         (4月20日は穀雨)

・十三候 (4月5日)   ・つばめ きたる
               つばめが南から渡って来る

・十四候 (4月10日)  ・がん みずへ かえる
               がんが北へ渡って行く

・十五候 (4月15日)  ・にじを はじめて みる
               虹が見え始める


3月のアトリエだより

■二十四節気 <春分>   七十二候 (十候.十一候.十二候)

板絵 『おやすみの前に』 完成!

    3月21日は春分     (4月5日は清明)

・十候 (3月21日)    ・すずめ はじめて すくう
               雀が巣作りを始める

・十一候 (3月26日)   ・さくら はじめて ひらく
               桜の花が咲き始める

・十二候 (3月31日)   ・かみなり こえを だす
               雷が鳴り始める

 天変地異、大震災。胸塞がる。
 4月4日開催の現童春季展出品の作仕上げ作業中だった。言葉を失う。筆は止まる。
父と母と子の関係を描いた 『おやすみ前に』 は、もっとも心やすまる刻の物語。でも、
むごい光景を映像を見、今や表現の気力失せる。
何としても描かねば、表現せねば……。無力感。

己が抱えた悩みに埋もれているうちに世界は大変なことに。

厳しい便りもいただいた。その方は体の不調にもめげず”感謝の念”を
語っておられた。なんという心の広さ、包み込む温かさを感じ、
自分の甘えを情けなく思った。。厳しさ、苦しみの深さは人それぞれでも、みんな、みんな大変なんだ
……当たり前の事……、自戒自省。

■二十四節気 <啓蟄>   七十二候  (7候.8候.9候)

   3月6日は啓蟄         (春分は3月21日)

・七候 (3月6日)    ・すごもりの むし とを ひらく
               冬眠していた虫が動き始める

・八候 (3月11日)   ・もも はじめて さく
               桃の花が咲き始める

・九候 (3月16日)   ・なむし  ちょうと  かす
               菜の虫が羽化して蝶となる

過去はなし。未来も定めなし。あるは今のみ。脚下照顧。拘りから離れられれば活路もあろうというもの。が、その拘り
だらけで(雑事が人生ではなかったのに。いや人生は雑事の中にあるのかも)忙殺される日々。このところ寒暖の差が大きい。
それでも北風が止むと春を思わせる日差しが。春三月。怠惰の我が身に、鞭をくれねば!

■二十四節気<雨水>   七十二候(四候.五候.六候)

    2月19日は雨水       (啓蟄 3月6日)

・四候 (2月19日)  ・つちが うるおいおこる
              土が湿り気を帯びてくる

・五候 (2月24日)  ・かすみ はじめて たなびく
              春霞がたなびき始める

・六候 (3月1日)   ・そうもく もえうごく
              草や木が芽吹き始める

 激しかった夜来の雨嘘のように上がるもわが心、暗闇にあり。仕事に逃げ込む不埒な心を嗤い、
見張りの「もう一人の自分」が攻め立てる。手は止まり作業も捗らず。我慢……しかない。

■二十四節気<立春>  七十二候(一候.二候.三候

●2月4日は立春             (雨水  2月19日)

     ・一候 (2月4日)  ・とうふう、こおりをとく
                    春風が吹き氷を解かす
・二候 (2月9日)  ・うぐいす、なく
              鶯が鳴き出す
      ・三候 (2月14日) ・さかな、こおりにあがる
                     魚が氷の間から姿を現す

 鳩山の枯野。寒空、一切の葉を落とした木々の枝がくっきり。常緑樹も萎れ勢いは無い。ロウバイの香しさが消え、梅がプチッと
はじけ始めていた。幾分か柔らかになった光の中に春の訪れを感ずる。が、ぼくの心は今や冬真っ只中。芳しくないこと、
身に降りかかる哀しいこと……、暗澹たる思いに沈み、浮き上がる気力もなし。制作空間に身を押し込めて自ら鞭打つしか、
癒しはあり得ない(かった)ことはぼくの人生経験上の結論なのだが……。それさえも……今は。

1月のアトリエだより

■二十四節気 <大寒>   七十二候 (七十候.七十一候.七十二候)

●1月20日は大寒

・七十候 (1月21日)    ・ふきのはなさく
                 蕗の花が咲く

・七十一候 (1月25日)  ・みずさわあつくかたい
                 沢の水も寒さに氷る

・七十二候 (1月30日)  ・にわとりとやにつく
                 鶏が卵を抱く
     


 明けましておめでとうございます
 穏やかな一年で ありますように

      平成23年元旦

    [日々新生 日々創造]


■現代童画展出品作 (上野の森美術館)


   
・PAPA'S VEHICLE              ・MOTHER'S VEHICLE

■二十四節気 <小寒>  七十二候 (六十七候.六十八候.六十九候)

●小寒   1月6日

・六十七候 (1月5日)  ・せりさかう
                  芹が青々と生える

・六十八候 (1月10日) ・しみずあたたかさをふくむ
                  泉に温かさが残っている

・六十九候 (1月15日) ・きじはじめてなく
                  雉がメスを求めて鳴く
      


12月のアトリエだより

MERRY CHRISTMAS

   

 師走でなくとも、アタフタ……。安らぐ時なきまま歳が暮れようとしている。嗚呼………。
 [日々新生・日々創造]  を胸に抱き歩むも、我が羅針盤、現実路線に針路。頑な。
 ”静かな創作の日々”は夢か!今年、描いた板絵の少なさよ……情けない。
  自省自戒の念で多分また大晦日の深酒……。進歩ないなあ。

■二十四節気 <冬至>  七十二候 (六十四候.六十五候.六十六候)

    12月22日は冬至         (1月6日は小寒)

・六十四候 (12月22日)      ・ふゆ しょうじ なつかる
                      冬生じ夏、枯る

・六十五候 (12月27日)     ・しか つの おつる
                      鹿角落つる

・六十六候 (1月1日)       ・ゆき わたりて むぎ のびる
                      雪下りて麦のびる


■『紋型切り紙』の研究   『紋型』から『切り紙』へ

 江戸時代は寺子屋でも教えていた紋切り型あそび。明治、大正、昭和……小学校の図工教科書で
どう取り上げられて来たかを調べている。(昭和30~60年代は盛んだった)平成の教科書ではごく小さく載っている程度。
姿が消えたも同然だ。
 紙を折りはさみで切る。開くときの驚き、ワクワクする遊びだ。壁面装飾、カード、モビールにと使い道は多く、折り方の
工夫やカットの技術、ポンチの活用など奥が深い。1回折から4回折まで、サンプル作品を100は作ったか。
 今回は1、2、3、4回折りまで学生に試させたが、蛇腹折り(屏風折り)は連続模様として別に時間を設け制作させる。
時間があれば切り絵にも挑戦させたい。例としてデンマークの童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの切り絵でも
見せようか。学生に思う存分自由に紙を切らせてみたい。


・創作切り紙
 中央の「二つの馬蹄に挟まれた四葉のクローバー」は、明治39年1月1日小山内薫がドイツから
森林太郎に宛てた年賀状にあった図案をもとにデザインした。
 上下の作品は、切り紙「一回折り」で制作

■二十四節気 <大雪>  七十二候 (六十一候.六十二候.六十三候)

       12月7日は大雪         (22日は冬至)

・六十一候 (12月7日)      ・そら さむく ふゆと なる
                      天が塞がり冬となる

・六十二候 (12月12日)     ・くま あなに こもる
                      熊が穴に入って冬眠する

・六十三候 (12月17日)      ・さけ うお むらがる 
                      鮭が群れをなして朔上する


11月のアトリエだより


■二十四節気 <小雪>、 七十二候 (五十八候.五十九候.六十候)

   11月22日は小雪           (大雪は12月7日)

・五十八候 (11月22日)      ・にじ かくれて みえず
                      虹が見えなくなる

・五十九候 (11月27日)     ・きたかぜ このはを はらう
                     北風が木の葉を吹き払うようになる

・六十候 (12月2日)        ・たちばな はじめて きばむ 
                      橘の葉が黄葉し始める

 冷たい雨。キャンパスの舗道にイチョウの葉が張り付いている。踏みつけられ潰れた銀杏も。研究室、先生の在室ランプも
殆ど消えた9時半、大学を出る。寒い。ノートパソコンと大量の制作教材の入ったバッグを肩に、傘を風に飛ばされないように
傾げ持ち駐車場まで歩いていく。

 自分の制作が出来ない日々を送っている。このところ学生に見せる教材サンプル作りに明け暮れている。が、これはこれで面白い。
「PEEK・A・BOO(いないないばー)」カードのアイディアを考え、試作するのだが、1枚の紙の可能性追求でもあり、奥が深い。
基本形は裏、表の変化。回転(たとえば、こぶた→たぬき→きつね→ねこ)。めくり。折りなど。 今回は”めくり”に挑戦させる。
 「カーテンの向こうは?」カーテンを開けるとどうなるか……。
この制作と遊びは、想像力を鍛えることになる。学生は日頃、「正しい答え」を求めて学習する。自らの考えを述べたり、表現したり
する機会は少ない。造形表現活動を通じて、答えのない世界もあることを、その大事なことを解ってもらう……それも狙いだ。
(NOV.22)

 ■ 現代童画選抜展 (地方巡回)作品戻る

  
・どんぐり嵐 (F30号)

 現代童画展選抜展は銀座アートホールで開催後、四国、関西を巡った。
今年の出品作は「どんぐり嵐」  鳩山のアトリエに埋めたクヌギのドングリ(近くの公民館の庭で拾った)はあちこちで
芽を出し、今漸く腰の丈。
 昔からあったマテバシイは剪定の失敗からか元気がない。毎年降るようにドングリを落とすが今年は地面にパラパラ
見かけるくらい。マテバシイのドングリでドングリ煎餅を焼いたことがあるが香ばしくてうまかった。クヌギのドングリは
食べられないけれど、ヤジロウベイやコマが作れる。なんといってもあの形が良い。
 我がクヌギがドングリをつけるのは、ずうっとずうっと先のことだろう。下草を狩り、水を遣り幼木を育てる……”夢見”が楽しい。

■二十四節気 <立冬>  七十二候 (五十五候.五十六候.五十七候)


    11月7日は立冬    

・五十五候 (11月7日)        ・つばき ひらき はじめる
                       山茶花の花が咲き始める

・五十六候 (11月12日)      ・ち はじめて こおる
                       大地が凍り始める

・五十七候 (11月17日)       ・きんせんか こうばし
                       水仙の花が咲き始める

■「紋型切り紙」を見直そう。けっして”紋切り型”のつまらぬ造形ではない

 仕事場は紙くずの山。このところ「紋型切り紙」の原稿書きで色紙を折っては切る、折っては切る……。1回折りから5回折まで、
様々なモチーフをデザインしている。「紋型切り紙」は江戸時代は寺子屋でも教えていた。紋所を染めたり、商売でも子どもの遊び
でも紋切り型はポピュラーなものであった。明治大正、そして昭和の20年頃までは図工(当時は手工)の教科書にも載っていた。
”自由な制作”が教科書の編集方針に変わるとともに、紋型切り紙は姿を消した。昔からある紋や、定番の梅や桜や桃の花を切っ
ている限りでは”紋切り型”の名の如く、創造性、独創性は無いとの謗りは免れないだろう。が、日常性(紙一枚、ハサミがあれば
出来る)伝統の美しさ(継承)、幾何学性、手技の練磨(微細な運動----右脳の活性化)、コミュニケーション能力(教えあう母と子、
友達)など、得るものは多く、肝心の創造性に於いても、自由な造形をテーマにすれば、幾らでも独創的な、たった一つだけの作
品が出来るわけで、子どもに是非ともやってもらいたい造形表現の一つといえる。

 1枚の紙でどれだけ遊べる?表現できるか? ……ゲーム機世代の子ども達を導くのは、大人の責任だ。素材の可能性を
最大限に引き出せるか否かは、想像力と創造力それに感受性次第。生きることはそれらを磨くことと考える。

■第36回現代童画展(上野の森美術館)

  今年と来年は東京都美術館改修工事のため、会場が上野の森美術館となります。お間違えにならないように。

 詳細は「展覧会」のページをご覧下さい

■ 『相生祭』にて講演します  -----きみはやだもんを しってる?-----

 相模女子大学FDグループ企画 「こんなこ いるかな」のすべて
 「やだもん  もぐもぐ  たずら  ぶるる」ファンも、「こんなこ」を知らない方も、どうぞお越しください。

 11月3日  1時~1時40分  於 : 相模女子大学7号館723教室

 
   
なぜ、今 『こんなこ いるかな』 か………

   

10月のアトリエだより

■現代童画展(上野の森美術館)

 出品作の板絵が完成した。東京都美術館が改修工事のため、《現代童画展》は今年と来年、上野の森美術館で開催される。

■二十四節気 <霜降>   七十二候 (五十二候.五十三候.五十四候)


   霜降は10月23日     (立冬は11月7日)

・五十二候 (10月23日)     ・しも はじめて ふる
                     霜が降り始める

・五十三候 (10月28日)     ・こさめ ときどき ふる
                     時雨が降るようになる

・五十四候 (11月2日)      ・もみじ つた きばむ
                     紅葉や蔦の葉が黄ばむ

■講演会準備に資料整理、パワーポイントつくり……時間が足りない

 11月3日は《相生祭》。FDグループ主催の講演会で、ぼくは『きみは、やだもんを しってる?』と題して話す。
制作の裏側のすべてをラフ(下書き原画)などを展示しての講演。『こんなこいるかな』は、1986年から十数年にわたり放送され、
絵本も数多く出版された。現役の学生も、当時母親だった年齢層の方も聞きに来ていただけたらと思う。
 ただ“可愛い”だけではないキャラクターの制作意図、NHKの教育目標、制作上悩んだ点、、そして何故今、”こんなこ”なのか?
など色々話したいことは多い。

■仕事の合間、息抜きは大好きな「工作」

   
 ・メモボード完成。さあ、何を何を書き込む?  ・上部には鉛筆刺しの穴   ・左の改良型 垂直鉛筆スタンド

     

・ダボでの接木……この辺りが自慢! ・ステンシルの授業で学生に見せたサンプル ・左の跳ね上げ式バインダー金具のものは機能性抜群

 板絵の完成が近づいた。筆遣いが細かくなり遅くなった。今日は終日雨。時おり雨脚が激しくなる。息抜きに外にも出られない。
そこで”工作”。"図工少年"だったぼくは絵描きか大工さんになりたかった。その大工仕事を楽しむ。あり合わせの材料を使って
メモボードを作った。今までいくつも作っており、渋谷にも自宅にも大学の美術室や研究室にも置いてある。が、又一つ拵えた。
 いいアイディアが浮かんだら即書き付ける……為だが、肝心のアイディアがそうそう浮かんでこない。
もっぱら忘れ物対策に使われている。情けないなあ。
 ステイン塗料を刷り込んで完成。早速、完成間近の板絵を眺めつつ、作品タイトルを練る。メモボードの重量感が心地よい。
これで、「この絵には、これしかない」と思えるようなタイトルが浮かべば万々歳だが……。
(Oct.9)

■ハローウインをモチーフに切り紙トレーニング……学生の積極性、応用力を感じた

 絵画造形表現活動応用の授業。保育、教育現場で図画工作、クラフトに使う、使える紙の説明とサンプル帳を作らせる。ラシャ紙、
エンボス紙、カラーケント紙、ミューズコットン紙、マーメード紙、レザック紙、上質紙、工作紙、波ダンボール紙、LKボード、
でんぐり紙等二十数種類切ったり破いたり描いたり、紙の特性を考えながら台紙に貼り付けていく。

 …………紙の基礎知識も。「紙って、そもそも何?パピルスは”紙”ではない」「紙が現れる前は何に書いていたの?」
「紙のサイズにA版、B版があるのは何故?」「紙の裏表の見分け方」「ティッシュペーパーが水に流せないわけ」
「コート紙は”化粧”しているって本当?「奉書、麻紙、杉皮紙など和紙について」「紙の原料は?」「牛乳パックは何から
出来ている?」等等。

 それだけではつまらないので、実習はハローウイン飾り作り。  紙を蛇腹折にして、ハローウインの”主役達”、パンプキン
{ジャックオーランタン}、コウモリ、魔法使い、ゴースト、ネコなどを切っていく。何体も連なるかぼちゃやコウモリに学生は
大喜び。型紙を渡しての制作だが、各自自由に切り出すから頼もしい。提供した魔法使いの型紙はお婆さん姿だが、ある学生は
「紋形四ツ折り」を使って5人の魔法使いのサークルを作った。それもお婆さんではなく可愛らしい少女のサークルだ。応用力の
芽生えが嬉しい。夢中になっての制作は必ずや身になるであろう。
 

■二十四節気 <寒露>   七十二候 (四十九候. 五十候. 五十一候)

10月8日は寒露      (10月24日霜降)

・四十九候 (10月8日)     ・がん きたる
                    雁が飛来し始める

・五十候 (10月13日)     ・きくの はな ひらく
                    菊の花が咲き始める

・五十一候 (10月18日)    ・キリギリス とに あり
                    キリギリスが家の中で鳴く  

  現代童画展出品作制作のため鳩山詣が続いている。鳩山では終日描くのみ。外に出て萩の花を愛でるゆとりも無いのが
 残念である。白萩、宮城野萩、だるま萩……花のトンネル?………が出来ているはずであった。ところが、雑草刈を依頼して
 おいたシルバーさんが、萩の木も殆ど刈り取ってしまっていた。かろうじて茶の木の間から伸びた萩が花を風に揺らせている。
 萩、薄(ススキ)、桔梗、撫子、女郎花(オミナエシ)、葛、藤袴   秋の七草……このうち、野で桔梗は見かけない。絶滅危惧種と聞く。

  絵は完成が見えてきた。絵柄は板絵の性格上(彫が施されているため)大きな変更は出来ない。色だ。色でもって情感の表現をするのだが、
 塗り重ねによって絵の表情はがらっと変わる。好ましい、望ましい心象風景が現れるまでひたすら塗り続ける。描く行為はイメージが画面に
 現出するまで停まらない。

9月のアトリエだより

■秋の収穫を喜ぶ


  
・クルミ(今年の6月撮影)      ・実をもぎ皮を剥いた       ・胡桃の実(中央2個)
 
・柚子も沢山実をつけている        ・栗は拾う時間がなくて残念

 2,3日前は30度。今日は十数度の涼しさ。朝からアトリエに籠り板絵を制作する。今年は猛暑のせいかハチが増え
飛び交っている。スズメバチにアシナガバチ。多くて恐いほどだ。アトリエにも舞い込んでくる。ラケット状の電池式蚊取り器で
退治するのだが、空振りすると大変。ハチは攻撃されたと思い攻めてくる。今日もそうだった。一匹見事命中と思ったら、背後から
耳をかすめるように別の一匹が飛んできた。二匹部屋に入っていたのに気づかなかったのだ。危ない危ない!
 先日地塗りを終えいよいよ”描ける”。好ましい状態になるまで幾度と無く色を塗り重ねる。ぼくの唯一の贅沢か、絵の具のチューブが
いくつも空になって行く。下層に沈んでいく色は決して無駄ではない。重層的に”我が望みの色”をかもし出してくれるのだから。
この”色遊び”は小学時代の絵の時間、ワクワクして描いた、あの楽しさと同じだ。仕上げるのが目的ではなくそのプロセスが
幸せな心持にしてくれる。この時のぼくは多分、最高に生き生きしていると思う。

 「気、澄み渡る……」秋晴れ。台風が来ているそうだが、鳩山は嘘のように上天気。ヒガンバナの群生、原色の赤が目に痛いほどだ。
自分では為し得ずシルバーさんに頼んで刈り取ってってもらった野に出れば、木の葉はも早散り始めていた。栗の実も鈴なりだ。少しだけ
叩き落して集める。石造りの釜で新聞紙を燃やして焼き栗。3つぶほどだが、初物の熱々を味わう。これも我が贅沢。
 胡桃も気になっていた。昨年は収穫時期を逸してしまった。今年こそはと、来るたびに注意していた。いつ、もいで良いのやら……。
木の根元に一粒落ちていた。果肉からクルミが露出している。今が収穫時と判断。収穫といっても6粒のみだけど。クルミは
仲良く二粒ずつ寄り添うように成っている。上の写真(中央)は果肉を半分取り除いたところ。胡桃の殻を一粒一粒取り出すのは
大変だ。この後、割る工程があるし……。食べるのは簡単だが……恵みには感謝しよう。
(Sep.25)

■二十四節気 <秋分>   七十二候 (四十六候、四十七候、四十八候)

  秋分は9月23日 

・四十六候 (9月23日)    ・かみなり こえを おさむ
                    雷が鳴らなくなる

・四十七候 (9月28日)    ・ちっちゅう とを とざす
                   虫が地中に巣籠りする

・四十八候 (10月3日)    ・みず はじめて かる
                    田の水を落として稲刈りの準備をする

 HPの更新もままならず。慌しく活動の日々。落ち着いて制作なんて夢のまた夢。心やすまる時なし。情けない。

 渋谷の仕事場→テニスコート(午前中二時間)→大学(レジュメ印刷)→自宅(今、HP更新)→鳩山アトリエへ。
創作に割り振る時間はまったくなし。嘆かわしい!明日は12時間はアトリエに籠り絵を描く決意。

創作といえば、紙皿で天使を作った。ペーパープレートクラフト、。そのゲージも学生の数分だけ用意(レジュメは豪華カラー版)したから
時間が足りなくなるわけだ。真っ白い紙皿の天使はシンプルで清らかだ。学生はきっと喜んで制作すると思う。手を使う。作って作って……
学生は体験を通じて何かを学ぶだろう。

■二十四節気 <白露>   七十二候 (四十三候、四十四候、四十五候)

     9月8日は白露        9月23日は秋分

・四十三候 (9月8日)     ・くさつゆ しろし
                   草の葉に白い梅雨が宿る

・四十四候 (9月13日)    ・せきれい なく
                   セキレイが鳴くようになる

・四十五候 (9月18日)    ・つばめ さる
                    ツバメが 南の国に 去って行く

 第三回『子ども教育学会』出席後、鳩山へ。板絵制作に集中する。このところ頻繁にアトリエを訪れるが、
それでも進行遅く焦る。眠る時間以外は彫っている。なんとか地塗りまで済ませた。この後も、塗っては彫る作業が続く。
板絵のしんどさは、終わりの時間が分からないところだ。今やっと”キャンバス”状態。やっと”描き”に入れる。”やっと……”の
ところまで漕ぎ付けたのに、アトリエを出なくてはならない。大学の仕事が待っている。
 秋学期まで一週間。すべての時間をその準備のために使うが、それでも寸暇(あるだろうか)を見つけてアトリエに
向かうかもしれない。頭の中に作品の”骨格”がデーンと存在し、板絵作業の続行を促している。

 栗の実が落ち始めた。古い木は元気ないが(2本は切り倒した)10年ほど前植えた3本は今年も”豊作”だ。 残念だが、
栗拾い(実際には口を開けたイガを叩き落す)する暇さえない。少しだけでも拾おうか……。
 クルミは繁る葉の間から2個見えていたが、かき分けてみると5個!暗緑色の7~8センチ大の堅いボールが枝に
突き刺さるように付いている。昨年は収穫する前に落果したのか、動物に食べられたのか姿が消えてしまった。

 この次鳩山へ来たときに実をもごう。クルミはいつ収穫してよいのかタイミングが分からない。表面の緑が段々黒ずんでいくが、熟れる
果実と違い大きな変化が無いから。いつもは袋で買うクルミ(カリフォルニア ウオルナッツ)だが、木に実るその姿は愛おしい。
割って「ウイスキーの友」に……、ゆとりのない日々の生活、夢想がしばしの慰めだ。

■《防災の日》はスズメバチ退治!


    
 ・写真には写っていないが、消防署の車の前には物々しく救急車が待機  ・防護服でいざ出陣! ・スズメバチが飛び交う中、駆除開始
   
・戦果……6層のスズメバチの巣  ・不気味に口を開けたチャンチンの老木(巣が大きかったことを物語る)

 アトリエのシンボルツリー、チャンチンの老木(香椿)が枯れた。朽ち果てる寸前の幹にスズメバチが巣を作った。アカゲラが開けた穴が
日ごとに大きくなっていく。獰猛なスズメバチと、すぐ分かったがタカをくくっていた。いや、恐くて近づけなかったのだ。数百匹と群がる
スズメバチの大群、見るに見かねて役場に駆除を頼んだ。

 消防署の車に、救急車。総勢8名。防護服に着替えた隊員2名。3名はバドミントン(?)のラケットを持って構える。ハシゴを架け
ほこらに薬品をぶち込む。窒息死させるのだという。そのあとバールで穴を大きくし巣を破壊、取り出した。何と6層も!
作業員は「これは大きいほうだ。巣に戻ってくるハチがいるから、暫くは近づかないように」。救護員は「今までに刺されたことは
ありますか?二度目なら死に至ります(ショック死)」と言い残し、引き揚げていった。スズメバチは恐い。
刺されて命を落としたというニュースも耳にする。   ふー、これで一安心だ。役場の方々、消防隊員に感謝感謝。

 アトリエに入っても気になって仕方ない。デッキに出て、壊した巣の後を双眼鏡で見る。隊員が言った通りだ。スズメバチがまた群がって
きている。巣がなくなったことを諦めきれないのか、穴から出たり入ったり慌しい。大丈夫だろうか?又巣を作らなければ良いが。

 板絵制作に入ったのは夕方。有線放送の『元気に遊んでいる良い子の皆さん、暗くならないうちに帰りましょう』が聞こえてきた。
「カラスウリの花が開くのを見たいなあ……」、「ビール&読書もいいなあ……」  ダメダメ!仕事仕事!、集中せねば……誘惑に蓋を
して……このところの低下した気力にカツを入れるべく水風呂、ねじり鉢巻! さあ、やるぞー!!!!
(Sep.1)

8月のアトリエだより

■《愛媛の酒を楽しむ会》

 京王プラザホテルで開催された蔵元18社出展の《愛媛の酒を楽しむ会》。畏友の杜氏、宇都宮君もブースを構えると言うので
出かけた。「千鳥」とならんで「月の滴」も展示されていた。「月の滴」はぼくの板絵(同名のタイトル)をラベルに用いた大吟醸酒だ。
会場はほぼ満員の盛況。利き酒しながら酒造主や日本酒党との歓談を楽しんだ。案内状通りの”ビュッフェディナー”だったが、
ぼくはテーブルから動かず、じゃこ天をかじったのみ。客の応対に忙しい宇都宮君とは一言二言話したのみ。握手して会場を後にした。

 9月には大学。秋学期が始まる。その準備。板絵制作もある。造形遊び本の原稿も。明日は鳩山だ。アトリエの掃除も終わらせなくては
ならない。暑さで気力が萎えている。巻き返さねば!

■二十四節気 <処暑>   七十二候 (四十候、四十一候、四十二候)

  8月23日は処暑  (9月8日白露)

・四十候 (8月23日)     ・わたの はなしべ ひらく
                   綿を包むガクが開き始める

・四十一候 (8月28日)   ・てんち はじめて さむし
                   天地の暑さがようやく収まる

・四十二候 (9月2日)    ・いなほ みのる
                    稲が実る

 暦の上では処暑なれども、炎暑衰える気配なし。鳩山も暑い。板絵制作準備に訪れたが、暑さで退散する羽目に。
それでも掃除ぐらいはと収納庫をあけて溜息!思っていた以上にパネルがカビだらけ。パネルのみならずシナベニア板
すべてに白や黒のかび。炎天に日干しをする。幾度もパネルやベニア板を運ぶ。布で拭き落としながらの作業に体中の水分が
なくなるほどの
汗を流した。
 胸が苦しい。深呼吸すると胸の上が板で覆われているような感じだ。カビを相当吸い込んだのだろう。なぜマスクを着け
なかった……、後悔しても後の祭り。いつもカビには悩まされているが、今回は大事だった。肺の中にカビ菌が育っている
のでは……ああ、胸が気持ち悪い!水道にホースを繋いで肺を隅々まで洗いたいなあ。

 

 パネルを道路にならべて、”熱消毒”。枚数100枚ほどか、裏返してカビを殺す。湿気対策の名案なく、毎年板の天日干しに
時間を取られている。進歩なし!創作欲が削がれるし時間の無駄だ。東京への帰路も、今日一日の働きの虚しさが頭にあり
情けない思いでハンドルを握っていた。
 我がアトリエが建つのは坂の下、更に半地下状態で湿気るのは仕方ないことだが、我慢我慢!贅沢を言うのはよそう。
”静かな小鳥の楽園”だ。「小鳥の帰る島」ではないか。   
                                          「小鳥の帰る島」は三十数年前現代童画展に出品した作品名


■交通渋滞覚悟で鳩山へ。



  
・「胡桃のヨットとブリューゲルの風車」    版画

 講演会では板絵作品も何点か提示する。『胡桃のヨットとブリューゲルの風車』もその一つ。
ネーテルラントの画家ブリューゲルは1560年、《子どもの遊技》に91種類もの子どもの遊びを描いた。ブランコや、水鉄砲、竹馬など
分かりやすい遊びから、樽揺らし(シーソー)、煉瓦積み遊び、指骨あそび、目隠し鬼のスリッパ取り、洗礼ごっこ、お粥のかき混ぜっ
ごっこなど、フランドル地方の風俗、習慣色鮮明なもまで。
 その中につくる遊びはただ一つ。「胡桃の風車」だけ。ぼくは絵を見て実際に作ってみた。それを板絵に描いたのが『胡桃のヨットと
ブリューゲルの風車』だ。10号Sサイズの小さなものだが、横浜の講演会で、胡桃の玩具ともども見せたいと思う。
 炎天下、テニス3ゲームの疲れた体で、交通渋滞を恐れての運転、炎暑!気温が高いというより、この蒸し暑さ!鳩山のアトリエに
着いても、頭がボーとして他の仕事できず。ただ作品を積み込み帰途へ。

 楽しみと言えば、庭で工事中の「井戸」の進行状況を確かめられたこと。誰も引き取り手が無いような巨大な砂岩の円柱形井戸枠を
破格の安値で購入。それを据え付ける土台工事を頼んであったのだ。井戸枠を何に使うか?地面を深く掘ろうとも、井戸が湧く保障もなし、
水をくみ上げる装置もないし。手押しポンプ設置も考えたが、これは井戸からの配管が必要で、大工事になる。そこで考えた。

名案浮かべり!!!!!この井戸枠の使途は?工事屋さんもぼくの描いた設計図を見て首をかしげた。構造を口で説明し、
わかってもらう。設置場所は庭の斜面だから、構造を描いた図面が理解できなかったのだろう。

< “名案”は工事終了後、この欄で答えを“白状” >   ヒント………枯れ葉を入れる=○○○作り


 工事は7割がた出来ていた。構造体はほぼ完成。煉瓦も積まれ後は配管と、井戸枠の運び込みだ。
 あちこちに蝉のぬけがら。ミンミンゼミの鳴き声が蜩に変わった。アトリエのシンボルツリー《チャンチン》が、枯れた。アカゲラだろうか、
突いた穴が二つ寂しそう。主は見えず、チャンチンは今、アシナガバチの城となっている。ヤマカガシも手入れの無い庭で我がもの顔だ。
仕方ないことだが……。
(Aug.15)


■板絵運搬、準備を考慮しホテルの予約を入れる

 18日の講演会会場はは横浜のホテル。当日車で行くつもりだったが、板絵、絵本、レジュメ(かなりの重量)の運び込みなどを
考え、前日宿泊することにした。『表現する喜び』と題し2時間の講演。一部<板絵の仕事>二部<絵本・雑誌の仕事>。いま資料
整理に忙しい。秋の現代童画展出品作(上野の森美術館)にも取り掛からねばならない。その前に、造形遊びの
指導本の原稿も。明日は大学へ。
 風邪は何とか治まりそうだ。さあ、またフルスロットルで走らねば……。暑さにめげてはいられない!
(Aug.11)


■夏風邪!熱がある。仕事、スローペースにダウン!

 疲れが溜まっていたのだろう、風を引く。頭痛が続き仕事ストップ!それでも、講演会の準備はしなくてはならない。
パワーポイントに板絵作品や絵本を取り込む作業。レジュメが先だが、今、考える力は無い。
 講演会には板絵も持参して行こうと思う。その作品の決定は迷ったが、『いこい』『たたかい』(F50 1981)とする。
20年も前の作品だ。100人レベルの会場での可視性を考えると、”大柄”が良いだろうと。近作の小品も2~3点加える予定。
  


■二十四節気 <立秋>   七十二候 (三十七候、三十八候、三十九候)

 立秋は8月7日  (処暑は8月23日)

・三十七候 (8月 7日)    ・すずかぜ いたる
                   秋風が吹き始める

・三十八候 (8月13日)    ・ひぐらし なく
                   蜩が鳴く

・三十九候 (8月18日)    ・のうむ まとう
                    濃い霧が立ちこめる

■鳩山アトリエは伸び放題の木々に隠れる

 雑草生え放題、手入れする暇なく荒れ果てた鳩山のアトリエの庭。庭と言うより原野かジャングルか。それでも、植えまくった
果樹、花木が育っている。”植えまくった”というのは、畑にない樹木の苗木を見つけると、手当たり次第手に入れ植えていった
ということ。柿、リンゴ、スモモ、キウイなど果樹のみならず、ユズリハ、クロモジ、リンデン(西洋菩提樹)、イタリアンパイン、メープル、
それに後先考えずに(大木になったらどうしよう)ブナやトチに、ヒノキやケヤキまで植えた。紅葉が好きだからモミジもハゼも。
 この間は大島桜も植えた。桜は昔からある山桜、それに、染井吉野が昨年から咲き出した。大島桜の”ねらい”は花より葉っぱだ。
この葉で桜餅をつくろうという算段。二本植えた大島桜(知人が種から育てたものを移植した)が楽しみだ。
 ナツメ、サルナシ、山葡萄は放っておいても育つが、心配はナナカマド。一本を枯らし、昨年植えた二本も危やしい。
ナナカマドの赤い実を小鳥にとの思いは今秋も叶いそうもない。

■夏風邪?鼻クシュンクシュン……

 オープンキャンパスで張り切りすぎたのか(満員御礼、大盛況)、雨の中のテニス(サーブ打ち込み200球)が
ハードだったのか、はたまた熱中症か、鼻水が止まらない。夏は大好きで暑さにも強いぼくも、”35度”には閉口!
只今ギブアップ状態。それでも休めず動き回っております……。○○○○、暇なしか!

■クレヨンまるDVD <ハーブおばさんのスイカのパラソル>

 『幼稚園』(小学館)9月号付録に「夏チャレンジDVD」がついている。アンパンマン、ドラえもん、お話、歌、水族館に行こう、
忍者修行など盛りだくさんの120分。その中に「クレヨンまる」も納められている。まだワルズーやミイラばあや、それにチェリーや
ふるもとくんなど友達が登場する前の、最初期の作品。「ハーブおばさんのスイカのパラソル」の再録。

 ここ2~3年前から、幼児雑誌にDVD(その前はVHSビデオ)がつくことが多くなってきた。”お得感”はあるが、その分雑誌の
ページ数は減っている。本文が充実してこその雑誌だ。
 毎号付く”本物付録”(表紙にもこの文言が載っている)も、手替え品替えのアイディア玩具ではあるが、創造性を育むような物は
少ない。雑誌の黄金期70~80年代の付録と比べると、見た目の豪華さとは裏腹に、<創意工夫>する心が育つとは思えないような
ものばかりだ。
 キャラクターを付けた刺激的な玩具(多くはICやボタン電池を使っている)は子どもには魅力だろうが、その興味は長続きしない。
持っているだけのもの、あるいは遊び方を限定する玩具に想像性、創造性がないからだ。

■2010 オープンキャンパス・模擬授業・アリガクン参戦!


  

 8月1日は相模女子大学のオープンキャンパス。真新しい建物、マーガレット本館5F2152教室でぼくは授業を行う。
昨年も一昨年も満員の盛況ぶり。補助机を出して対応した。当節の風潮として保護者の方々もお見えになる。ご父兄をも
納得させる講義でなくてはならず、頭をいためるところだ。(本来は制作を通じて自己表現し、体感が人間の底力を培っていくものだが)
 今回はアシスタントの三年生が5名参加の強力体制だ。高校生諸君に「作る喜び、表現の素晴らしさ」を教えたい。

7月のアトリエだより

■夏の法要は大変だ!寺は、今話題の植物園の傍らにあり

 連日35度以上の「猛暑日」。先日は文京区にある寺で法要がありでかけた。本堂での僧侶の読経の後、炎熱の墓へ。
参会者はみな汗を滴らせている。お坊さんも配慮して短めの念仏。くらくらして倒れそうな暑さ、代わる代わる墓に水を
かけたが、かけた途端から乾いていく。
 墓石には、○○家ではなく、倶会(旧字)一拠(旧字)と彫られていた。
 寺から程近くに東京大学附属小石川植物園がある。いま、世界最大の花ショクダイオオコンニャクが開花し、大賑わいとの
報道。一万人以上が訪れ入園券の販売をストップしたとも。目と鼻の距離まで来ており、見ていこうか迷ったが、この暑さに
退散。 それにしても集まった10000人……。話題性……、本当に前々からこの植物に興味を持っていた人はどれくらい
いたんだろう? いろいろ考えてしまう。

■二十四節気 <大暑>  七十二候(三十四候、三十五候、三十六候)

暑中お見舞い申し上げます。 23日は大暑! ”文字通り”を越していますよね。でも、
暦では大暑の次は立秋…………、”りっしゅう”の語感はいいねえ。暑さに負けませぬように、ご自愛専一に。

  7月23日は大暑    (立秋は8月7日) 

・三十四候 (7月23日)    ・きり はじめて はなを むすぶ
                   桐の花が実を結ぶ

・三十五候 (7月28日)    ・つち うるおいて むしあつし
                     大地が熱を持ち蒸し暑くなる

・三十六候 (8月 2日)     ・たいう ときどき ふる
                    大雨が時々降る

 猛暑日!夏が好き、熱さには強かったぼくも流石に閉口!先週まで頑張っていた”金曜テニス”も断念する。行かれないことも
ないが、コートに誰も集まらないだろうし。明日は法事がある、黒服の準備をする。汗だくだ。

 HPの更新もできぬまま、8月1日のオープンキャンパスの用意、18日の講演会の準備に明け暮れている。講演会は長時間だから、
パワーポイントも活用する。そのためのデータ取り込みに大わらわ。

 演題は『表現する喜び』一部は<板絵・版画……三つ子の魂、何とやら>で「幼少期の先生との出会い、環境、素材について」から現在に至る
表現人生を話す。 二部は<絵本の現場から>と題して、まず 「こんなこいるかな」誕生エピソードを。NHK2歳児テレビ番組研究会の教育目標などを紹介しつつ話す。これはぼくの基本的考え方、すなわち「色んな個性、それぞれを認め、一人ひとりを伸ばす」と、思いは一緒だから。
 研修会は全国から集まる図工美術専門の先生方だから、絵本の様々な作法、制作技法も。更には小学校の先生方が受け持たれる子どもが、どのような環境に置かれて育ったのか、「月刊幼児雑誌の変遷」から見る試みも。30年間の幼児雑誌の本文はもちろん、殊に付録に着目。付録は
おもちゃだから、子どもに一番身近なもの。その変わり様から様々なことが見えてくる。大量の雑誌や付録の実物を提示しながら”驚くべき実体”を
知ってもらおうと。

 大学の授業も大詰め。セメスター制は???だ。半年15回の講義(演習)では物足りない。いきおい詰め込むことになるが、学生が深く考え、自主的に制作するまでには至らない。学生は頑張ってついては来ているが、「これでもか、これでもか」と言うくらいやらねば力にならないと考えるぼくには
不満が募るばかりだ。”思いっきり””徹底的”にやりたいなあ……、学生には学ぶ時間が足りなすぎる。嗚呼。

■おでかけクイズ絵本『グー・チョキ・パーのいじわる魔女を追いかけろ』表紙初校あがる

 『グー・チョキ・パー』はお話とクイズ満載の絵本。<おまけクイズ>のボリュームもたっぷり。子どもを
長い時間楽しませたい。何度も絵本をめくって、隠されているものを探す楽しみも。
グー・チョキ・パーは腕白三人組。描いた絵から可愛らしい女の子が飛び出してくる。名前は『おやつちゃん』。
いじわる魔女『ズルーイ』との知恵比べ!乞うご期待!
(Jul.15)


■二十四節気 <小暑>  七十二候 (三十一候、三十二候、三十三候)

 7月7日 は小暑           (7月23日は大暑)

・三十一候 (7月 7日)    ・おんぷう いたる
                   暑い風が吹くようになる

・三十二候 (7月12日)    ・はす はじめて ひらく
                    蓮の花が咲き始める

・三十三候 (7月18日)    ・たか わざを ならう
                    鷹の子が巣立ちの練習をする

 現代童画選抜展終わる。今年は会場に行かれず仕舞い。出品作『どんぐり嵐』はこの後、坂出市民美術館展、神戸展で
展観される。お近くの方はご高覧を。
(Jul,5)

6月のアトリエだより

■現代童画会選抜展が開催されます

 「現童選抜展2010」開催。6月28日(月)~7月4日(日)
                        銀座アートホール
 詳しくは展覧会のページをご覧下さい。

■古いスケッチブックが大量に出てきた 厚手の粗紙


  
・粗紙32枚のスケッチブック。 27×34cm  POLARPUBLISHING/FINLAND

 絵本の原画やイラスト(教科書、雑誌、レコードジャケット、広告パンフ、百貨店ポスターなどに使用したもの)を捨てる。
ぎっしり詰まった紙袋を”仕分け”もせずに、幾つもゴミ置き場へ運んだ。見れば捨てるに忍びなくなるのが分かっているから。
版木の類もイラストを彫ったものから、版画作品まで山のよう。取っておきたい気も山々なれど、どこかで処分せねばと一大決意。

 大量の和紙や紙類はカビや黄変したものを除き取っておく。中に写真のスケッチブックの束があった。数十冊、購入は
40年程前だろう。なぜ買ったのか?おそらくスケッチブックの粗い紙質が気に入ったのだと思う。ザラザラしていて厚さもある。
真っ白とはお世辞にも言えないが(藁半紙か馬糞紙の趣)、風合いが良い。一、二冊使った記憶もあるが、戸棚の奥に眠った
ままでいた。ツルツル、すべすべのコート紙や白い紙が当たり前の子ども達に、この”自然な紙の色”を見せてやりたい。
クレヨンの”塗り””滑り”が全く違う。”粗末な”ザラザラ画用紙の復活を望む。

 何でも手に入る、恵まれすぎからは創造性は育たない。無いから工夫する、やっと手に入れたから大事にする……想像力と
創造力、この二つのソウゾウリョクは環境、人(導き)、そして素材(材料)で培われる。粗末なスケッチブックの山を見て
思った。物が無い時代に育ったぼくは幸せだったと。
(Jun.25)


■二十四節気 <夏至>  七十二候 (二十八候、二十九候、三十候)



    夏至は6月21日   (小暑は7月7日)

・二十八候 (6月21日)    ・だいとう かる
                     夏草が 枯れる

・二十九候 (6月27日)    ・しょうぶ はな さく
                     菖蒲の 花が 咲きはじめる

・三十候 (7月2日)      ・はんげしょうず
                     からすびしゃくが 生える
                     

■いつも、アップアップ。切羽詰っての仕事……ゆとりがないなあ。

 毎週木曜日は「自分の仕事日」としている。絵本制作、文書き、絵、研究といくつもメニューが多すぎて、大抵は
うまく行かない。時間を決めてやることを変えようとするのだが、仕事が不満足、区切りまで届かず延長となってしまう。
欲張り過ぎだが時間が足りないので仕方ない。睡眠時間も少なくてフラフラ状態……良いことではないなあ。
 今日は絵本から入ろう。原稿書き(草稿)、それにやはり気になるレジュメ資料を作り直さねば。講演会の演目コンテンツも
考えたい。オープンキャンパスのメニューも、その他もろもろ、一つ一つ片付けてとは思うのだけれど、その一つが重たくて……。
 昨日は小雨の中、キャンパスの植物の葉を採取した。キウイ、ドクダミ、ヤツデ……。「絵画造形表現」授業、スタンピングのためだ。
学生も色々な葉を持ち寄った。桜、銀杏、紫陽花、トマト、ヤマノイモ、柏、中に睡蓮なんてのもあった。残念ながら睡蓮は葉脈が浮き
出ておらず、スタンピングしてには向かないのであるが。
 学生は自然物(葉など)と人工物(キャップ、容器)のスタンピングを楽しんだ。7色のインクをローラーに付け素材を写し取る作業に
夢中……、そしてその”転写コレクション”をコラージュする。自由に再構成する。完全自由を与えられた学生の表現は光った。いくつか
目を見張る出来栄えの物があった。
 学生が制作自体を楽しんだ、その痕跡が作品なのだ。概念や意図しない無意識下のデザイン技法(AUTOMATIC……デカルコマニー、
フロッタージュ、ウオッシング、スパッタリングなど)を学んだ後の授業に、ぼくはスタンピングを選んだ。幼児造形教育の版画の元になる
スタンピングに、学生は時間を忘れて没頭した。その姿は無邪気に遊ぶ子どもと同じだ。幼児保育に携わらんとする者は子どもの心を
知らねばならない。作業に集中して子どもに還っている学生……、ぼくは学生が先生になって子どもに囲まれている情景を想像していた。
(Jun.24)

■リンデン(西洋菩提樹)の花にミツバチが……良い写真が撮れた

  
・リンデン(西洋菩提樹)の花の蜜を吸うミツバチ

 「絵画造形表現活動」の今回のテーマはスタンピング。あらゆるものにローラーでインクを付け写し取ろうというもの。
自然物は葉っぱなど。学生は思い思いの葉っぱを集めてくることになっている。ぼくも葉脈のはっきりしたものを用意する。
桜、イチョウ、ヤツデなどはキャンパスにある。珍しいところで、杜仲茶、サンシュユ、ローズジェラニウム、ワイルドストロベリー、それに
きれいな形の”定番”モミジ。ハナミズキもアイビーも葉脈が美しく出る。全部で20種類くらい保冷材を敷いたバッグに詰めた。

 リンデン(西洋菩提樹)の葉も珍しかろうと採取しようとして手を止めた。いまや激減、姿を消し問題となっているミツバチが、花の蜜を
吸っていたのだった。リンデンの花の蜜は最高と言われるが、一体このミツバチは何処に帰るのだろう?
 アトリエを建てた頃は、ミツバチの大群の羽音うるさい群舞が見られたものだ。確かにここ、鳩山でもミツバチは減っている。
 大急ぎでカメラを取りに。ピンとあわせに一苦労したものの何とか姿を納めた。

■クワノ実、グミ取り放題!ビワの実、甘露!

  
・甘い桑の実             ・とろけるようなビワ            ・これからが楽しみ……オニグルミ

 アトリエに籠りっぱなしは体に毒と、外に出る。荒れ放題の庭(庭と呼べないほど雑草が茂っている)、赤い実が目に入る。鈴なりの
グミ、ギッシリ密着する桑の実だ。どちらもいい具合に熟れて今食べごろ。口に含めば、かまずにとろける柔らかさだ。甘い。そう
たくさんは食べられないが、もいで食べるのは格別美味しく感じられる。びわの実も20粒ほどだが実を付けている。先週はまだ
固かったが、こちらも食べごろ。吐き出した種は辺りに埋めた。芽を出してくれるだろうか?忘れた頃、「あっ、あのときのだ!」
幼木を見つけられたら嬉しいだろうなあ。

■2010現代童画会選抜展搬入日迫る    (展覧会詳細は別項)

 毎年この時季恒例の「現童選抜展」も間近。銀座アートホール展示のあとは四国坂出、神戸と巡回する。作品の保護箱を
製作したが、利用していたホームセンターが閉鎖し材料の手当てが容易ではない。時間もなく、ありあわせの板で間に合わせた。
 肝心の作品、タイトルは『どんぐり嵐』。毎年車の屋根に振り落ちるマテバシイのドングリが意識のベースにあった。それと、
旧作『どんぐり広場』だ。いま、種から芽を出したクヌギが育っている。”どんぐりの木”は種類が多いが、風に飛ばされてくるのか、
自然に生えてくるから嬉しくなる。ドングリノ木だけではない。サンショウ、ナツメ、スイカズラ、アケビ、モミジ……邪魔者扱いの杉も
あちこち芽を出して困る。さてさて『どんぐり嵐』の出来栄えは如何に……。
(Jun,22)

■「幼稚園実習」学生への試練……。耐えて超えてほしい。

 昼休みのオフィスアワー(学生が質問等に自由に研究室を訪れる)に幼稚園で実地研修中の
学生が駆け込んで来た。園の先生から「責任実習」の制作物について厳しい指摘があったという。
廃材を用いての幼児の工作遊びで、学生は条件の一つ、「季節感を出す」から、カエルをテーマ
に選び、工作二種を用意した。新聞紙をまるめ先っぽにカエルを止らせゴムで“発射“するおも
ちゃ、 もう一つは、ティッシュボックスの中にカエルを4匹入れたもの。 蓋をあけると勢い
良く飛び出すおもしろい工作だ。 
 それが、「年長にはもう少し凝ったものを」「壊れにくく、長く遊べるもの」「カエルは4匹
いらないのでは」など等、相当言われ落ち込んでしまった。
”4匹”が面白いのに。学生がかわいそうになった。一匹しか入らない箱をわざわざ作るより、
4匹入るに越したことはない。カエルは3匹でも2匹でも自由だ。スペースを一匹用に限定して
しまえば、その後の遊びが広がらない。ぼくには何だか先生のアドバイスが”言いたい放題“に
思えてならなかった。

 制作物をみてぼくは首を傾げた。いずれも問題はないと思えたから。「色んな見方があるんだね
この工作、子どもたちきっと喜ぶよ。頑張って!」ぼくも二点制作したものを見せたが、学生ので
十分行ける!「もっと自信を持っていいよ。」……励まして帰した。
 聞けば、その園はセロハンテープ、ガムテープ類は一切使わせないという。段ボールを使う大形
おもちゃを作るときやペットボトルを束ねるとき等クラフトテープやビニールテーが重宝するのに、
すべて禁止とはなあ。先入観だ。そのくせ園児には英語を学ばせているという。何か偏ってる。ホチ
キスだって何だって危険視して使わせないのでは創造性は育たない。環境、素材(材料)それに、
やはり指導員だなあ。
 子どもの感受性の萌芽期の立会人、極めて重責だ。

Jun.14

■実践遊び学……「連続模様切り紙あそび」

   
 先週は江戸時代、寺子屋で盛んだった「紋型切り紙」を演習。昭和20年頃までは図工の教科にあった。3回折り、
4回折りを数多く制作。今回は「蛇腹折りの連続模様」。学生は思い思いのモチーフで数点の作品を仕上げた。
写真2枚

はそのレジュメ。右はデザイン参考資料1~3。このあと学生は”完全創作”に挑戦する。宿題にしたから、次週が
楽しみだ。自主性を喚起したい、いや何より制作”量”を求めたい。今は”質”ではなく、量だ。飽きるほど制作して初めて
身につくのだから。
 毎回レジュメはこの調子だから、時間がかかる。今回は作りためた連続模様(すべて大型サイズで制作済み)その数40点。学生はこの40個を馬鹿馬鹿しいと思うのでなく、「だったら1個くらい作るぞー!」と発奮してほしいのだ。
 (Jun.7)

■鳩山のアトリエ……目を休めに庭に出る。鬱蒼とした茂みに実りを見つけ嬉しくなる

  
・ビワの実                 ・びっくりグミ
 
・オニグルミ                ・キウイの花

 週末は鳩山の生活が続く。現代童画展選抜展出品作の制作に入った。「アトリエだより」更新も儘ならぬ状態だ。

板を彫る手を休めて庭に出れば、嬉しい発見が!伸び放題のびた木々が実を付けていた。ビワはもうすぐ食べられそう。
サルナシはまだまだ小さいが、今年もどっさり実ったので楽しみ。グミは大粒が取りきれないほどだ。桑の実は口に含めば酸っぱく、甘くなるまで待とう。気にしていたオニグルミは(昨年はたった一粒しか生らず、それも収穫前に落ちてしまった)十個ほど実を付けた。クルミは信州で育った子ども時代の思い出があるので、何としても育てたかった。根元を虫にやられ穴が
開いてしまい心配していた。薬を塗布しロール布で養生する。

■二十四節気  <芒種>  七十二候 (二十五候、二十六候、二十七候)



    
  6月6日は芒種              (6月21日は夏至)

・二十五候 (6月 6日)    ・かまきり しょうず
                     カマキリが姿を見せる

・二十六候 (6月11日)    ・ふそう ほたるとなる
                     腐った草が蛍に姿を変える

・二十七候 (6月16日)    ・うめのみ きばむ
                     ウメの実が黄色に色づいてくる
                     

5月のアトリエだより

■二十四節気<小満>  七十二候(二十二候、二十三候、二十四候)



    
5月21日は小満          (芒種/6月6日)

・二十二候 (5月 21日)    ・かいこ おきて くわを くう
                     蚕が桑の葉を食べるようになる

・二十三候 (5月26日)    ・べにばな さかう
                     紅花の花が咲き乱れる

・二十四候 (5月31日)    ・ばくしゅういたる
                     麦が育ち、麦畑が黄金色になる
                   

 2限3限授業の間に昼食をとるのだが、片付けがあったり、学生の質問などに時間を要し満足に食べられたためしがない。
10分くらいで立ち食い……出来ればいいほうだ。今日は昼飯を食べに研究室に入ったのが12時35分。そこへプロジェクト活動研究の
指導を求めて学生三名がやってきた。プロジェクト活動研究は学生が(教室外で)自主的に表現する科目だ。仕掛け絵本を作って、
幼稚園児の前で演じたいという。残念なことに、この学生達はぼくの「絵画造形表現Ⅱ応用」を受講していない。講座のコンテンツには
仕掛けを使っての「グリーティングカード制作」もある。ポップアップを中心に数種類の仕掛けを研究制作する。勿論カードのみならず絵本にも
応用可能だ。学生に授業で使った「仕掛けのゲージ」を貸し、コンセプトの再確認(仕掛けのおもしろさが狙い?しっかりした絵本?子どもたち
への読み聞かせが主?……いずれも大変なこと、中途半端にならぬように)をしてくるように言った。三人は仕掛けの習作を見せた。
すべては”ヤル気”だ。熱いエールをおくった。
 先週は「なぜ絵が嫌いになったのか?いつごろから図工をしなくなったのか」アンケート調査をするという学生が訪ねてきた。文献を貸せと
いう。問題に即答といったものが簡単に手に入るわけが無い。子どもの絵、評価、造形表現等の資料として数冊渡したが、いずれもヒントには
なっても直接回答を求める者には不満だろう。考え迷い悩む……、研究する姿勢を見たい。
 仕掛け絵本制作にせよ、アンケート調査にせよ、自主的活動の”芽生え”は素晴らしいこと。嬉しい。昼飯にありつけない日が続きそうだ。
(May.24)

■久しぶりの鳩山。雑草に庵埋もれそう。チェーンソーで木を切る。ブンブンゴマを作る。

 多くの田圃で田植えが終わっていた。それも昨日か一昨日か、苗が植えられたばかりであることが直ぐ分かった。
鳩山には板絵制作用の木製パネルの在庫を見に来たのだが、アトリエに近づけないほどはびこる木の枝落としや雑草取りに
日がな格闘、板絵どころではなかった。
 演習科目「コマの回転円盤デザイン制作」の前に見せる”伝承玩具”「ブンブンごま」を数個作った。ブンブンごまは回転するとタコ糸が指に食い込み引きちぎれるくらい引っ張られる。ブオーン ブオーンの音もダイナミックだ。ボール紙、ボタン、木片……何でも使える。昔は牛乳瓶のキャップで作ったものだ。路傍でメンコや釘刺しをして遊んだ少年時代、ぼくは毎日
何かを作っていた。このブンブンごまもその一つ。現代の子どもに糸巻きタンクなどと一緒に伝えたい遊びである。
(May.23)

■ウタリ神社の経木の風車を修理する


・全国郷土玩具中、一番の美しさの呼び声高いウタリ神社のかざぐるま。写真左は、竹笛を吹くと紙製の桃太朗が
太鼓を打つ玩具。ポンポンと小さな音が耳に柔らかく響く。
風車の6枚の羽根には五穀豊穣、家内安全ほか(俵を模している)祈りが込められている。風車が廻ると、後の円筒形の
入れ物に入っている小石がコロコロ心地よい音を出し何とも愛らしい。経木の羽根の回転もゆったりして温かみがある。

 今年度の実践遊び学では4枚羽根に加えて8枚羽根の風車を制作した。紙製の風車以外にポリエステルベース
のものも学生に見せた。要は応用力だ。授業の始めには郷土玩具の「経木製の風車」も紹介したが、”経木”を
知る学生は皆無。「昔は肉屋でも魚屋でも包むのに使ったんだ。ほら、八百屋や魚屋の店先にあるだろう。あの墨で
値段を書いてある薄いやつだよ」……、そんなこと、いくら言っても無駄。隔世の感あり。
(May.22)

■子どもの造形遊びに「タイヤチューブプリント」を!

 材料はたっぷり与えよう!「あれはいけない、これはやめよう」一切なしで、自由な「ペッタン遊び」を!


  
・自転車のタイヤチューブ(左)と長方形版材   ・円形版材とプリントしたもの(ローラープリント)

 幼児や子どもの絵画造形は創造性を育む遊びだ。自由な造形をさせるには好奇心の喚起、環境、材料が必要。
環境は(お片付けのルールを教えるのは別)整理整頓された”キレイな場所”ではなく倉庫のような、思う存分”汚せる”空間がのぞましい。材料も高価な物や手に入れにくいものをちびちび”大切に使う”のではなく、身の周りに当たり前にある廃品利用、それも大量に与えることが肝要だ。壊したり、組み合わせたり、素材を本来の用途以外に応用する。正に想像力は創造力を育てることになる。
 自転車のタイヤは廃棄物だ。入手簡単、大量に準備できる。絵画造形の素材にうってつけ、利用しない手はない。ゴムのチューブを木片に両面テープで貼り付けるだけで版材ができる。チューブ版画が幼児にも向くのは、彫刻等を使わないこと。
はさみ(カッターナイフの指導も)で簡単にカットできる。木版画、芋版画など、多くの版画は彫りミスしないよう神経を使うが、
チューブプリントは、粘着シートにチューブ片を貼り加えていくのだから、その心配はない。最も簡単な版画表現の一つと言える。
 学生には、演習の前に版画の種別(凸,凹、平、併用版、モノプリント)の説明と、遊びの魅力を話した。が、何より大事なのは、造形教育に当たる者の”姿勢だ”。自らが楽しむ、目一杯遊ぶ、作る喜びを感じる……これらがなければ子どもの心は
捉えられない。「先生が、あんなに夢中になってる。おもしろそう!」教える側は”教える”のではなく、演じるのでもなく、楽しさを伝えられたら良いと思う。
(May.21)

■おでかけ絵本 愉快な三人組み『グー・チョキ・パー』制作順調

 今月号で予告した、「ワン・パー・クー」は、ゆかいな三にんぐみ「グー・チョキ・パー」と名を変えた。クイズ、パズルを
どっさり盛り込む構成を楽しみながらやっている。<たぬき>クイズ……は、”た”抜きクイズ……”タ”の文字を消していくと
お菓子の名前が次々でてくる……、これは残念ながらカット!チョコレート、ドーナツ、ポテトチップス、キャンディー、
ビスケット、キャラメルなどカタカナが多く、編集部より幼児向きではないとの指摘。”狸クイズ?”の、ボケも入っているし
楽しめるのになあ。これに代わる面白い食べ物クイズを今考えている。もちろん絵本だから視覚的遊びの要素が大事……。
(May.16)

■クレヨンまる最終回!!掲載誌『おひさま』発売!!

 クレヨンまる連載第155話「バイバイ クレヨンまる!」 いよいよ最終回です。
『おひさま』は本日発売されます。クレヨンまるの結末をお楽しみください。
(May.15)

■クイズ、パズル満載絵本の構想を練る
ゆかいな三にんぐみ グー・チョキ・パー
いじわる魔女を追いかけろ!

「おでかけクイズ絵本」のアイディアをまとめ,ダミーを制作する。意地悪魔女ズルーイが出す難問に、
腕白三人組グー・チョキ・パーが答えていく展開。描いた絵から飛び出てきたゲストキャラクターの
おやつちゃん”が、それに絡む。

 ことば遊び、迷路、シルエットクイズ、塗り分けパズル、形態パズル、絵探し、数遊び、本物探し、記憶クイズなど
満載予定だが、選択に頭を悩ましている。ボリュームたっぷりだが、読み終えても再びページをめくってクイズに
再度挑戦したくなる「おまけクイズ」付きだ。今は絵を描くというより、ゲーム的展開に頭を使っている。
スムーズな流れであるか?クイズは幼児に難しすぎないか?おやつちゃんの奪われたバッグの中身の秘密で、
ラストまで引っ張れるか?………キャラクターも(描いて描いて描いて)育てなければならないし、
ああ時間が足りない!今日は母の日。記憶の底から浮かび上がる母の微笑み……「ばかったいのを作りな!」
(“ばかったい”は母の口癖だった。非日常のおもしろさ、意外性、頓珍漢などを含めた、独特のニューアンス。
否定ではなくむしろ褒めことば)形式、常識、秩序、概念からフリーになるのがアーティスト!
母は厳しく、優しかった。 

(May.9)



■移植したフキが根付き育った

   
 ・酒の友にキャラブキ……      ・蕗の薹(写真は昨年のもの)

 テーブルソーやボール盤、ジクソーなどを備える作業小屋を建てた。用地はフキ畑。フキの根を少しだけ移植した。
芽は出したけれど、摘み取るには忍びず、蕗の薹はおあずけだった。来春が楽しみだ。その前にキャラブキという”手”もあった。
どうにも酒肴が頭から消えない。飲兵衛は春夏秋冬、恵みに感謝!
(May.5)

■おでかけ クイズ 絵本のタイトル決定!愉快な三人組『グー・チョキ・パー』のいじわる魔女を追いかけろ!
  <おやつちゃん>て、何者?

 キャラクター三人の名前、<ワン・パー・クー>、<ジャン・ケン・ポン>、<イチ・ニ・サン>、<ピー・カー・ブー>などの候補の中から、
<グー・チョキ・パー>に決めた。いたずらっ子が描いた絵から<おやつちゃん>も登場する。敵役のいじわる魔女、その名も<ズルーイ>。
いじわるクイズを連発する。<ズルーイ>は<おやつちゃん>のポシェットを奪って逃げる。<グー・チョキ・パー>は<ズルーイ>のだす
クイズを解きながら追いかけて行く。無事ポシェットは取り返せるか……?ポシェットの中味は……?

 何度でも遊べるような仕掛けも。巻末には「おまけクイズ」を用意する。このノウハウは『こんなこいるかな』(知恵遊び絵本版4冊)で
用いたもの。楽しめる絵本にしたい。
(May.4)

■二十四節気 <立夏>   七十二候 (十九候、二十候、二十一候)

5月5日は立夏        (小満は5月21日)

・十九候 (5月 5日)    ・かわず はじめて なく
                   蛙が鳴き始める

・二十候 (5月11日)    ・みみず いずる
                   ミミズが姿を見せ始める

・二十一候 (5月16日)   ・たけのこ しょうず
                    筍が生ずる

 久々のテニス。準備体操ももどかしくラリー。結果散散!右ふくらはぎの肉離れ。以前やったところだ。運動不足の鈍った体に
急激な刺激、”故障”は目に見えているのに。おお馬鹿者だ。足を引きずって歩く羽目に。
よって、また机に向かう生活と相成った。渋谷の仕事場からは中学校の校庭が見える。少年野球の練習試合が白熱を帯びている。
飛び交う声で分かる。皆、戦いに夢中だ。シップ薬を貼り、ぼくも絵本作りに精をだす。
(May.4)

■ペッタン、コロコロスタンプ   廃物利用による,幼児のための造形表現ツール

   

     テニスボールやボール缶の蓋を
                                                        使ったコロコロ造形ツール

 ペッタンコロコロスタンプは造形表現遊びの一つ。幼児は出現する轍の跡に目を輝かせる。型押し遊びの専用スポンジも市販されて
いるが、身の回りの物を活用することが、”応用する心”を育てる。手づくりした物は市販教材の完成品に、想像=創造……に至らせる
点で優る。材料は不要になったテニスボール(ゴミ処理に頭を悩ますクラブからは、いくらでも貰えるだろう)、クリーニングハンガー、
ペットボトルのキャップ。テニスボール缶キャップ(下段作品)いずれも廃物の再利用。
 上段の針金ハンガーに通した二つのペットボトルキャップは頼りない装着に見えるだろうが、この”あそび”が大事。ボールをスムーズに
回転させるために必要なのだ。写真のほかにも数点試作した。転がした”おもしろ軌跡”は?また後日……
(May.2)

■鳩山は芽吹き……緑噴く。山笑う。春爛漫!

     
 ・五つ葉アケビ  雌花雄花    ・月桂樹の花   ・ダイコンの花群生

 3本ある姫リンゴの木がいずれも白花満開。剪定を怠り屋根に届く高さに伸びた月桂樹も白黄、薄茶の細かな花を
ギッシリつけている。五つ葉アケビは至る所に育ち、赤薄紫の花を揺らせている。雌花、雄花が寄り沿うようで可憐だ。
今年色味がやや薄い紫モクレンははや散り始めている。ハナミズキが満開だ。手をかけて上げられないから、どれも伸び放題。
この間まで枯れ木同然だったブナが若緑の葉で覆われている。一番気にしていたメープルや(病気の)オニグルミも若葉を茂らせている。
一安心だ。白色、黄色、桃色……とりどりの色が咲き競うように乱舞。中で目に飛び込むのはダイコンの花の紫。何年か前までは
菜の花だった。隣地といっても境界もわからないような荒れ野原だが、今はダイコンの花で埋まっている。離れて見れば緑のなかの
紫模様のカーペット。
 風もない穏やかな日和。日がな眺めていたいがそうもいかない。仕事に来たのだった。冷え冷えしているアトリエに入る。
目が慣れるまで闇だ。幼児造形教育のための教具教材作り……これはこれで楽しい。小鳥のさえずりを聞きながらアイディアを
考える。小さかったころから今に至るまで、ぼくは工作少年だ。
(May.1)
 

4月のアトリエだより

■大学の研究室で仕事に没頭。先生の在室ランプも点灯まばら、訪れる者なし。静寂……わが天国!

 先日学生がゴールデンウイークの過ごし方を聞いた。「どちらに行かれるのですか?」「仕事だよ。」
「えー、うっそー!」と言う具合。休日明けの授業のレジュメを準備し、さて我が仕事に取りかかる。

 やっと取りかかれる。「おでかけクイズ絵本」の制作に入った。暖めていたアイディアをサムネールにおこし、
ネームを書き込んでいく。ダミーを作る。一冊36頁にストーリーを組み様々なクイズをちりばめる作業クイズや
パズルの考案、レイアウトなど楽しくもかなりハードな仕事ではある。    


 何より話が面白くなくてはならない。クイズやパズルを満載といっても、話の流れに不自然さがあってはならない。
頭を悩ませ、ため息をついては、それを打ち消すように、“面白く、楽しく”を念頭に……。
ぼくの“ゴールデンウィーク”は仕事三昧週間となる。

(Apr.30)


■一分間は楽に回り続けるコマを制作

   
・CDコマ            ・色円盤(右上の2枚はベンハムゴマ、右下は色円盤に乗せる)

 身の回りにある廃物品の利用。今回はCD。どこの家庭にも一枚や二枚はあるだろう不要になったCD(CD・R、DVD)を
使ってのコマ作り。材料はCD一枚とビー玉。ビー玉をCDに接着するだけの簡単さ!誰にも出来る!これが実に優れもの。
よく廻る。一分間は当たり前に廻り続ける。。色紙を貼り合わせたり、模様を描いた回転円盤をセットすれば更に楽しい。
 学生は回転円盤のデザイン(同心円、渦巻き、放射、格子、ドット、イラスト…・等)を多種制作させるが、コマ本体は
市販の物を使う。ただ、いつものことであるが「応用力」は要求する。身近なものを使ってのコマ遊びを考えさせる。これが
大事。その一アイディアとして「CDゴマ」を紹介する予定。
(Apr.25)

■晴れた!久々、光が目映い。風が香しい……かざぐるま  かざぐるま  かざぐるま…… 

 
     
・8枚羽根かざぐるま      ・でんでんだいこ     ・大型とミニサイズ(胴はテープの巻き芯)

 観測史上でも珍しい低温が続いたが、今日ようやく晴れ間が広がった。春風が気持ちよい。
風車をかざす。クルクル音もなく回る。幾つか並べて廻す。何てことないが、ホットする。知らず知らず幼き頃を想っている。

 四枚羽根と8枚羽根を制作。8枚羽根(写真左)は、学生に型紙を提供するため、その準備も。風車をとめるピンやビーズや
丸棒も仕入れた。100人分、助手がいないのだから全部ぼく一人でやるしかない。準備がいつも大変だ。紙のカットや
組み立てはもちろん学生だが、配色やサイズなどでオリジナリティを演出してもらう。

 {伝承工作}かざぐるまの次はでんでん太鼓だ。その準備もしなくてはならない。この一年、ほんの少し時間が空けば何か
作っていたが,でんでん太鼓も増えに増えた。その数数十個!ガムテープ、大小のセロハンテープの巻き芯、6Pチーズや
チョコレートのパッケージが溜ると気になり”でんでん太鼓化”したのだ。所狭しと吊るしてある。一つ一つみな音色が違う。
軽く重く小さく大きく、それぞれが愛らしい音を響かせる。「でんでん手遊び」は、仕事の合間の息抜きに一役買っている。

 机の傍らにほんの小さなでんでんを一つ置かれたら如何だろう。ミニサイズは読書の妨げにもならない。耳を傾けたくなる
ような穏やかななんとも懐かしい音だから。

(Apr.24)

■二十四節気<穀雨>  七十二候(十六候、十七候、十八候)

   4月20日は穀雨            (5月5日は立夏)

・十六候 (4月20日)    ・あし はじめて しょうず
                  葦が生え出す

・十七候 (4月25日)    ・しも やみ なえ しょうず
                  霜が止んで稲の苗が生長する

・十八候 (4月30日)    ・ぼたん はな さく
                  ボタンの花が咲く

 このところ震える寒さだ。校庭の桜はまだ散りきらない。駐車場の片隅、風に集められた
桜の花びらの山があちこちにできている。しゃがんで一掬い。ひんやり、しっとり……手に意外や、重みを感ずる。
ぼくは急に小人になる。花びらの褥に体を横たえ、埋もれるように花びらの間から空を見上げる。薄青の天、柔らかな日差し。
 花びらの山を凝視している自分と中で休む自分。不思議な思いだ。日々の忙しさ、時に流されるわが身を
一瞬間蘇生させてくれた春よ、風よ,恵みをありがとう。
(Apr.20)

■子ども教育学会紀要扉絵


・胡桃のヨットとブリューゲルの風車

 子ども教育学会の紀要が発刊された。創刊号の扉絵は『FATHER’S LETTER』
今回第二号は『胡桃の風車とブリューゲルの風車』。この愛らしいヨットも、風車も実際に
つくってみた。ヨットはアトリエに転がっている。風車は大事に飾ってある。父と子が物づくりを
通じて得るものは計り知れない。通い合う心……夢中になって遊ぶ……いつ何処で見ても
いい情景だ。幼き日の思いでは一生心で輝く宝。
(Apr.18)

 

■現代童画春季展出品作「harbor」


    
・harbor (隠れ家)         ・春風ブランコ <ブランコは漢字>10年ほど前の同展出品作

次回の発表は選抜展。乞うご期待。
(Apr.16)


■「こんなこ」工作。「二人は仲良し、いつも一緒」

 『こんなこいるかな』コーナーに「★玩具を作ろう!⑦二人はなかよし いつもいっしょ」工作掲載。
次回は「スルスル シューTOY」を予定。  ★こんなこ いるかな のページへリンクできます
(Apr.11)

■現代童画春季展、(銀座アートホール)明日終了

 明日11日、「現代童画春季展」最終日。一ヶ月の制作も、あっという間に展示期間が終わる。この次の展覧会は「選抜展」。
時間がなく制作も儘ならない状況だ。アイディアのラフスケッチだけでもと心がけてはいるが、思うようには行かない。
 12日からは大学の授業が始まる「実践遊び学」「絵画造形表現活動Ⅰ基礎」。昨日は10時まで演習室、研究室でレジュメ制作。
一日の予定仕事分量の三分の一位しかできないもどかしさ。が、もう泣き言は言うまい!三年目、パワーアップして臨みたい。
(Apr,10)

■「ノビル畑」つくって、どうする!

   
 ・ノビルは固まって生える      ・小さな白い”ツブ”はピリッと辛い    ・相模女子大学の校花 マーガレットも植えた

 春だ!でも鳩山の山桜の蕾は未だ固い。野原でノビルを見つけた。絡むように固まって生えるノビルを根こそぎ頂く。
幾塊ものノビルをアトリエ脇のヒイラギの根元に移した。ノビルには小さいころの思い出がある。引き上げ後、亡くなるまで
寝て過ごした父さんに、ノビルを摘むのがぼくの”仕事”だった。親父は医者から禁止されても酒をやめなかった。酒肴は
何でもよかったが、ノビルのヌタを好んだ。
 「ノビルの畑」……記憶を蘇らせる場所を作った。

■二十四節気<清明>   七十二候(十三候.十四候.十五候)

  4月5日は清明         (4月20日は穀雨)

・十三候 (4月5日)   ・つばめ きたる
               つばめが南から渡って来る

・十四候 (4月10日)  ・がん みずへ かえる
               がんが北へ渡って行く

・十五候 (4月15日)  ・にじを はじめて みる
               虹が見え始める

 金曜日は週一テニスの日なのだが、生憎小雨、風も強く仕事日となった。天が仕事を命じたのだと観念し、新学期のレジュメを
考える。新たに「8枚羽根かざぐるま」「変色コマ」「切り絵連続模様」のレジュメを制作しなくてはならない。今日は風車だ。
紙皿、紙コップ、ペットボトルを使っての風車作りは制作見本を見せるに留め、今期は学生に基本形の4枚羽根の風車と、配色を
楽しめる8枚羽根の風車を作らせる。その試作を行った。型紙を起こし、形や色を変え5個作ってみた。さらに学生に貸す(時間
節約のため)型紙(ゲージ)をテーブル数×3=18組、一組2枚構成だから40枚近く白ボール紙から切り抜いた。デザインナイフを
握る右手親指は痛んだが、仕舞いには感覚がなくなり、指先が凹んだまま戻らなかった。そうまでしてと、いつも思うが、90分授業で
出来る限りたくさんの課題をやらせようとすると、ゲージを用意するしかないのだ。学生は簡単に「このゲージください」という。それでは
なんにもならない。同じものをたくさん作るとき、ゲージがあったら如何に便利かを分からせるためでもあり、幼児保育、子ども教育の
現場で、自ら”できる”力を養って欲しいから、「型紙は自分で作りなさい」と言う。かざぐるまのレジュメは型紙を入れて4枚になるが、
本日完成せず。ぼくは、”試作”を楽しみすぎるキライがあるようだ。
(Apr.2)

3月のアトリエだより

■板絵 『 harbor 』描きあがる   日暮れまでナツメの木の移植に精を出す

 28,29両日は寒の戻りか、冷たい北風が吹き荒れた。裸木立の枝が折れて飛ばされる強風だ。ぼくは鳩山のアトリエで
ストーブにしがみ付くようにして絵を仕上げていた。完成!いつもより少し色合いが生っぽいか。子どもへの”童画”然だ。
今回の作品は「harbor」=隠れ家で遊ぶ父子を、想いをこめて描いた。小学3年生のころ、ぼくは隠れ砦を作った。その記憶、
ワクワク感が筆を進めさせた。感動は創作の原動力だ。

 額装が終わり、初めて外へ出た。まず深呼吸。そして日が暮れるまでの短い時間、何をしようか考える。やることは山のように
あるけれど、欲張ってもはじまらない。春、新芽が吹き出す前に済ませたいこと……、今は枯れ木にしか見えないナツメの木を移植
することに決めた。ナツメは実が落ち、あちらこちらで育っている。土が合っているのか、サンショウや迷惑なスギ同様増えて
困るほどだ。一年目ものは未だ良いが、3年、4年たった木は、棘はともかく根が張っていて掘りあげるのに一苦労。
10本掘れば、もうお手上げ。このまま大きくなれば、実を付けるけれど、通路を塞ぐ枝の棘が厄介だ。
掘り残した分はハサミでカット。かわいそう、もったいないけれど、鳩山にそうしょっちゅうは来られないから仕方ない。

 ナツメの親木の勢いに負けて山葡萄が元気がない。去年も一昨年も実がならなかった。ナツメの移植より、こちらの方が
心配だ。酸っぱい山葡萄の実を煮詰めてシロップを作ったことがある。あの喜びをまた味わいたい。大匙数杯分しかできなかった
貴重なシロップを”大事に”口に含んだときの気持ち……嬉しさを再び。
(Mar.29)

■桜咲くキャンパスに人影まばら

 子ども教育学科新入生に配る画材、用品の袋詰めをする。14アイテムを110セット。昨年は二人でおこなったが、
今年はもう一人助っ人を加えたから、まだ明るさが残る時間に終了した。
 大学には「100年桜」の老大木があるが、校舎からはやや離れている。桜を見て帰りたかったが、今日は断念。
それでも幾本もの桜が咲き始めていた。3分咲きくらいか。美しい。ぼくは冷たい風に震えながら佇んでいた。

 ふと足元を見れば、しぼんだ銀杏の実が幾つか。梢につかまっていたものが、ようやく落ちたのだろう。ぼくは
銀杏並木が好きで、秋の終わりにはキャンパスで銀杏を拾う。ぼく以外には誰も拾う者はいない。果肉を洗い落とし
乾燥させるのだが、土に埋けて果肉を腐らせ取り除く手もある。そこで植木鉢に埋めておいたのだが、何と十数本が
発芽してしまったのだ。
 今は、20センチほどの”枯れ枝”にしか見えないが、しっかした芽をつけている。植木鉢は大振りだが、”枯れ枝”には所狭しだ。
春になったら、鳩山に移植しよう。鳩山にもイチョウの木はあるが、実が成らない。大学の鈴なりのイチョウの子どもだ。あやかって
銀杏を雨のように降らしてくれるようにならないかなあ。
 (Mar.26)

■アケビ棚を補強……石井さんにまたまた、大感謝

  
・アケビの花芽         ・杉木立に鳥の巣を発見

  杭を打つ音で目が覚めた。わがアトリエは訪れる人は稀なので、あわてて外に飛び出した。
石井さんだった。昨日はヨモギ餅を持ってきてくれ、今日は、倒れそうに大きく傾いているアケビ棚を
直しに来てくださったのだ。石井さんは先日、杉の木を剪定してくれたのだが、そのとき、アケビ棚が
壊れそうなのが気になったのだという。四本の足に角材を打ち込み補強、古い蔓も取り除いてくれた。
「花芽は残してありますからね。今年は実が成るでしょう」……と。人の佳い石井さんのとびきり上等の
笑顔に、ぼくの制作が捗ったのは当然のことであった。深謝。今回は二日間のアトリエ生活。明日からは
渋谷の仕事場に戻って働くことになる。
(Mar.23)

■出来立てのヨモギ餅をいただく

 昨晩の強風(東京では瞬間最高風速20数メートル)鳩山の庭も多くの枝が折れていた。
プラムやすももは蕾をつけた枝が……。相当強い風が吹き荒れたのだろう。

  

・おいしいヨモギ餅。左の植物がヨモギ(新芽数センチを採取) ・使われないまま、傷んできた野外コンロ

 アトリエ北側の田圃の主、石井さんがヨモギ餅を届けてくださった。朝作ったばかりの出来立て。
越辺川で摘んだ蓬、自家産の上新粉(都幾川村で精米))、小豆もすべて石井さんの収穫品だ。ヨモギの香りが
鼻腔をくすぐる。口当たりの良い適度の柔らかさ。美味い!餡と黄な粉で二つペロリ。
 毎年、この時季きまって春の味覚の贈り物。嬉しくて、でも秋にいただく栗の渋皮煮や、採れたての
米、それにぼくの大好物の玄米(これと梅干さえあれば、おかずが要らぬほどだ)など、いつも頂いてばかりで
心苦しい。アトリエに車が停まるのをみて軽四輪でおいでなさる。ありがたい。手を振り頭を下げ、見送るが
お礼に何も差し上げられず何とも申し訳ない心持だ。ご好意に感謝。
(Mar.22)

■二十四節気 <春分>   七十二候 (十候.十一候.十二候)

今年の春分は3月21日   (清明は4月5日)

・十候  (3月21日)   ・すずめ はじめて すくう
               雀が巣作りを始める

・十一候 (3月26日)   ・さくら はじめて ひらく
               桜の花が咲き始める

・十二候 (3月31日)   ・かみなり こえを だす
               雷が鳴り始める

 17日の当欄、ミツマタの花の写真を掲載したが、ミツマタは沈丁花と同じ科だった。甘い匂いは同じなれど、ミツマタは
鼻を近づけ嗅がねば分からないほど”上品”。ミツバチが減って困っているというニュースをたびたび目にするが、
わが庭には、ミツバチが群がって飛び交っている。ミツマタの花の蜜を集めることに夢中で、ぼくの存在なんておかまいなし。
ミツバチの羽音を耳にぼくはミツマタの花に顔を埋めたていた。
(Mar.21)


板絵『harbor』制作進行中

  現代童画春季展(別項「展覧会」参照)に出品する板絵、作品タイトルを
harbor」と決め制作中。絵の具が乾く時間も絵から離れられない。額縁を
塗装したり絵皿を洗ったりもするが落ち着かない。完成が近づくといつもこうだ。
最後の筆を入れ、いすに座リ込むとき、時が止まる。まばたきさえ止まるくらい
集中して見入っているのだと思う。その後襲う疲労感でわかる。

  「harbor……父と子の遊び場所。内緒の(自分たち以外は誰も知らないと思っている)
隠れ家。想像力を全開させる、ぼくにとっての「板絵制作」同様、時間の止まる宇宙だ。
その宇宙を、今描いている。
Mar.21)



■紙芝居「だいじな たまご」出来上がる


    
・「だいじなたまご」①      いずれも画面はカットされています
   

 社団法人「小さな親切」運動本部製作紙芝居『心の教育プロジェクト』
……紙芝居で「豊かな心」を育てよう……    「だいじなたまご」が完成した。

紙芝居を用いた道徳授業のための指導資料もついている。視認

性を重視、太いシンプルなライン、色も
絞りスッキリさせた。せっかくもらったチャボの玉子が壊れて怒り、悲しむ主人公たっくん。たっくんの心情は
とらえたつもりだが、紙芝居は演者の力量による所が多い。持論「絵本も紙芝居も童話も面白くなくては」が、
今回は少々叶わなかった面もあるものの、ストーリーも絵もシンプルなだけに、授業展開に広く活用できると思う。

■伸びた蔓をグルグル巻いて……何のリースでしょう?

    
・キングサリの花    ・ブナの枯れ葉(新芽が堅く鋭く尖っている)   ・オリーブの木に

 リースなんて洒落たものじゃない。枝をグルグル巻いただけ。何の枝?ここがポイント!蔓は藤、アケビ…材料に事欠かないが、
今日は始めての蔓で制作した。キウイの棚に絡まっていく枝も長く伸ばしているマタタビ。花が咲き、実を期待させてはがっかり……の
マタタビの蔓が地面につくくらい垂れ下がっていたんだ。30分間のお楽しみさ。
 マタタビの冠は何で飾ろう。まず水仙、それからクリスマスローズにかけて見た。似合わない。キングサリの黄やオリーブの濃い
緑もマッチするが、やはりブナがいい。芽吹く前だというのに葉を落とさず寒風に身を震わしているブナがいい。マタタビのリースに
ブナの枯れ葉色……美しいなあ。30分の楽しみに幕を引き後ろ髪引かれる思いでアトリエに戻った。
 体は冷えたけど、嬉しさがねえ……。いい仕事が出来そうだよ。
(Mar.18)

■日がな一日板絵制作に没頭……


  
・ミツマタの花(木の高さ2メートル、殆ど花は白く見える  ・同、しゃがんで見れば黄色  ・沈丁花

 10時から7時までアトリエに籠る。いや、花の香りに誘われて一度外へ出た。
仕事場に甘い芳香が漂ってくる。沈丁花だ。朝東京を発ち鳩山に来たが、車を降りたときは気づかなかった。
満開。近づけばきつい位匂い発つ。沈丁花から数メートル先にはミツマタがこれまた咲き誇っていた。上から見れば
白(淡い黄色)、ちょっとしゃがんで下からのぞけば濃い黄色。ほのかに甘い香りがする。
 いつかミツマタの皮で紙を漉いてみたいと思う。早く成長して欲しいものばかり。メープルシロップをとりたくて
サトウカエデを、ブナ林を夢見てブナの苗木を、とちもちを食べたくてトチノキを、果実酒を目論んでナナカマドやサルナシや
マタタビを植えた。が、すべて夢の夢で終わるだろう。それでも、夢の種まきはやめられない。
 一旦外に出るとアトリエに戻りたくなくなるから困る。草木の息吹に気圧されそうだ。板絵に向えば、すぐ”復調”するから
未だ大丈夫だが。”大丈夫”はおかしいか。自然は敵ではないし……一体感。抱かれての仕事のはずだよね。
(Mar.17)

■タイトル決定!クレヨンまるファイナル「バイバイ クレヨンまる」

 春季展出品板絵の作品名は絵より先行したが、クレヨンまるは文・絵が完成してから考えた。タイトル案は数種。
でも、一番おとなしいものを選んだ。「バイバイ クレヨンまる」あまり強く内容を暗示させたり、
感情移入過多にならないように。

1996年1月号から連載開始、155話がファイナル。普段のアイディアとは違った、最終回の展開には頭を使った。
“読み聞かせお話雑誌”『おひさま』はこの春から隔月刊になる。クレヨンまるは、5-6月号(4月15日発売予定)
で、さよならする。意外な結末……!?    どうか、ご高覧あれ。

Mar.11

■これから制作する板絵の作品名を考える

 現代童画2010春季展(4月5日~11日 於・銀座アートホール)出品作の制作に入る。
と言っても、鳩山アトリエ初日は雪降りでクローズ。渋谷に戻りエスキスを取る。
と同時に作品タイトルを考えねばならない。会場に置く出品目録印刷のため、作品名を
申告する
ことになっているからだ。
refuge, hide out, ……、悪事を働いて隠れる意が強いから、ぼくは「harbor」を選択。
隠れ家で遊ぶ父と子をイメージ。親とか子とかの意識をはずれ、幸せ無我の境で遊ぶ秘密の空間を描きたい。

今回のように作品名が絵より先行する例は、ままある。「瞬幸永憶」(F100号)もそうだ。
無論、瞬幸永憶などという熟語はない。言葉のイメージが絵を語らせた好例である。

Mar.11


■雪降り止まず退散

 板絵制作に入ろう……遅れた時間を取り戻すべく一路鳩山へ。
予報では天気は午後から崩れるという。冷たい雨は昼前には雪に変わった。
とにかく寒い。久しぶりのアトリエ、震えながら板に向かう。が、外が気になって仕方がない。
春の日が射せば、シジュウカラやヤマガラそれにウグイスの声を期待できたのに、生憎の雪!
眼前に広がる田や畑は真っ白。積もれば、坂下にあるわがアトリエだ、
車はスリップして登れなくなる。何年か前、“脱出不能”となったことがあった。
というわけで、「アトリエ滞在2時間」のみ、の記録を本日つくった。
雪に埋もれていくフキノトウ、摘みたい気持ちを抑え帰京せり。

(Mar.10)



■二十四節気 <啓蟄>   七十二候  (7候.8候.9候)

 3月6日は啓蟄      (3月21日は春分)

・七候 (3月6日)    ・すごもりの むし とを ひらく
               冬眠していた虫が動き始める

・八候 (3月11日)   ・もも はじめて さく
               桃の花が咲き始める

・九候 (3月16日)   ・なむし  ちょうと  かす
               菜の虫が羽化して蝶となる

 仕事に明け暮れHP更新もままならず。テニスにも行っていない。”外出”は現代童画会春季展作品用パネルを取りに行った
鳩山アトリエのみ。
 おおよそ人間的でない生活。体が鈍ることを憂うも、窒息しないでやっていられるのは、表現欲求のなせるワザか。
 このところ天気が優れない。菜種梅雨か。久しぶりに今日、雨上がる。最高気温18度、昨日より10度も高い。時間をきめて歩く。
代官山~恵比寿~渋谷、これで5000歩。恵比寿駅近くで「ロバの花売り」に出合った。暫し足を止めた。1メートルくらいの灰茶褐色の
ロバ、背中に花かごを付けている。チェック地のシャツにベレー帽姿。赤ら顔のおじさんはバラの花を一本一本小分けにしている。珍しさもあって
見物人が取り囲む。ロバは大人しくじっとしている。が、急に飛び跳ねた。おじさんのジャンパーの中に顔を隠した。おじさんはカメラの
フラッシュをやめてくれるように言った。
 やさしいロバの目。花の中に桃の枝も……。「飼えたらいいなあ……」ロバは、ぼくの飼いたいものリスト、ベスト3上位だ。
(Mar.5)

2月のアトリエだより

■「ミラクルクレヨンのクレヨンまる」

  
・クレヨンはかせ、ハーブおばさん、
友達(ふるもとくん、どんぺい、チェリー、しんた)ともお別れ!

『おひさま』連載の 「クレヨンまる」、次号で155話。これで見納め、読み納め。只今最終編を執筆中。別れは悲しいもの。
クレヨンまるはどうなる?仲良しのチェリーは?それに、大泥棒のワルズー、子分のコウモリ、コモリンは?三百数十歳の
ミイラばあやは………死ぬなよ!?………明るく明るくと念じても、想いがつのって……。さあ、どうなるか。〆切待ったなし!
描くぞー!!!!こう、ご期待!!!!
(Feb.28)

■「フータのひこうき」の朗読が放送されます

 

 

 ぼくの絵話集「マーリと のうさぎ」の中から 『フータのひこうき』が放送されます。
童話として書いたものではないので、朗読でイメージがどう伝えられるか楽しみです。
(絵の世界がどう表現されるかなあ)

 番組名:『童話の散歩道』
 放送日時:32局ネット

「童話の散歩道」各局の放送時間
     北海道放送      3月27日(土)6:20~6:30
     青森放送       3月28日(日)7:30~7:40   
     IBC岩手放送    3月28日(日)12:20~12:30  
     秋田放送       3月28日(日)17:45~17:55
     山形放送       3月28日(日)7:15~7:25
     東北放送       3月28日(日)8:30~8:40
     ラジオ福島      3月28日(日)8:30~8:40
     新潟放送       3月28日(日)12:40~12:50
     北陸放送       3月28日(日)7:40~7:50
     北日本放送      3月27日(土)7:50~8:00
     信越放送       3月28日(日)8:50~9:00
     山梨放送       3月28日(日)7:30~7:40
     福井放送       3月28日(日)6:20~6:30
     静岡放送       3月28日(日)5:10~5:20
     中部日本放送     3月28日(日)8:35~8:45
     ラジオ関西      3月27日(土)7:20~7:30
     京都放送       3月28日(日)17:30~17:40
     中国放送       3月28日(日)7:30~7:40
     山陰放送       3月28日(日)16:00~16:10
     和歌山放送      3月27日(土)16:44~16:54
     山口放送       3月28日(日)8:30~8:40
     西日本放送      3月27日(土)7:00~7:10
     南海放送       3月27日(土)17:50~18:00
     高知放送       3月28日(日)17:45~17:55
     四国放送       3月28日(日)11:50~12:00
RKB毎日放送      3月28日(日)8:15~8:25
     大分放送       3月27日(土)8:20~8:30
     長崎放送       3月28日(日)7:00~7:10
     熊本放送       3月28日(日)9:05~9:15
     宮崎放送       3月28日(日)6:30~6:40
     南日本放送      3月28日(日)6:50~7:00
     琉球放送       3月28日(日)7:15~7:25

朗読アナウンサー 牛山美那子
(Feb25)



■コンソーシアム大学「作って遊ぼう」第三回

 『コロコロ コロ玉バランスボード』を作る。ゲーム機では味わえない”微細な手の運動”。イライラさせて遊ぼうというもの。
長方形木片26個、円筒形4個使用。赤青緑黄に塗った木球4個を転がして遊ぶ。四隅から中央に集めたり拡散させたり、
時間を競ったり遊び方は色々。遊び方を考え出すのも狙いの一つ。シンプルで何度でも繰り返し遊べ何より”手加減の妙”を
味わう。勢いよく転がしても玉は思うところに入らない、留まらない。ビー玉、おはじきも皆そうだ。加減が技である。
 教室に玉ころがしの音が響いた。気が付いてみれば二時間の授業中、トイレに行った子どもなし!何と言うことだ!えらい集中力!
授業の終わりに、ぼくはこのことに触れた。トイレさえ忘れ、夢中で頑張った子どもたちを褒め称えた。
(Feb.20)


   

・講座の始まりは準備体操。手や指をほぐしてから。”つくるぞう” ”あそぶぞう” ”がんばるぞー”の「ぞうさん体操」

    
・ホワイトボードに落書き?     ・「コロコロ コロ玉バランスボード」制作風景  ・アリガクン、手を出したいのを我慢して見守る(後方)


■ コンソーシアム講座の終わり10分の”オマケ”

 120分授業を、子供達が飽きさせないで楽しくやるのはたいへんなこと。これに一番頭を使う。絶対集中させるぞ……意気込んで!
メニューを幾つか用意するのも手だが、しっかりしたものを制作させるにはそうも行かない。所々刺激を与える仕掛けを用意したり、
あっと目を見張る(視覚効果)ものを隠しておいて広げて見せる等など、アシスタントの学生にも秘密の隠し物を前日から用意したりする。
 講座終了10分前も大事!作品が完成し、自由に遊び、少々だれてきている。そこで強い印象で締めくくるには、新たな興味を惹く
出しものが必要となる。前回は「シュルシュル人形」。そして今回は「牛乳パックの水車」を用意。教卓に6っこずらりと並べ、
「さあ、こっち見てー!」子供たちが群がったのはいうまでもない。蛇口をひねり水車の羽根に当たるように置く……「ぼくにも!」
「やらせて!」「すげー!」子供達の楽しむ声が大人を気づかせる。「廃物利用、創意工夫……創造的遊びを」お母さん方は
作り方を熱心に聞いている。「お家で是非作ってくださいね。簡単で面白い工作を考えてね」……メッセージと共に授業は終了する。が、
帰らず遊び続ける子どもも多く、こんな姿をお母さん方は、目を細めてみておられた。子どもは輝く!凄い輝きを発す!


    
・牛乳パックの水車、水をパシャパシャ遊ぶ  ・回る速度を早く遅く、水量で調整  ・作り方は簡単!

■二十四節気 <雨水>    七十二候 (四候.五候.六候)

   雨水は2月19日           (3月6日は啓蟄)

・四候 (2月19日)  ・つちが うるおいおこる
              土が湿り気を帯びてくる

・五候 (2月24日)  ・かすみ はじめて たなびく
              春霞がたなびき始める

・六候 (3月1日)   ・そうもく もえうごく
              草や木が芽吹き始める

 20日の日差しは春のもの。穏やかな日和。紅梅白梅の木立の間に銀杏が数粒ころがっていた。最後までしがみついていた
実が落ちたのだろう。キャンパスは人影もまばら、静寂。「コンソーシアム授業」会場に向かう足取りも軽かった。



■クレヨンまるファイナル 制作中!!必見!!クレヨンまるの最後!

 クレヨンまるの最後、最終編、第155話を只今制作中!果たしてクレヨンまるの運命は………?

 今まで144話中で、クレヨン博士が発明したクレヨンを調べてみた。二十数個あった。
香りクレヨン(最初の発明)、スキークレヨン(スキー板に塗ってすべると、七色のシュプールが出現するというもの)、
チョコレートクレヨン、星クレヨン、糸クレヨン、風クレヨン、スタンプクレヨン、透明クレヨン、水クレヨン、
特集号で発表したイチゴ(1・5)クレヨンなどなど…………。
 それらを活かすのも”手”だが、ページ数も限られているしなあ……。まあ、これでお終い!クレヨンまるの
”最後”是非とも見届けてくださいな。  感涙………乞うご期待!

 ・福笑い


■コンソーシアム大学  『作って遊ぼう!』
 二日目 「回転円盤仕掛け絵本」”あんなかお、こんなかお、そんなかお、みななかお、どんなかお”」

 雪交じりの寒い朝、20組の親子が集まった。前回同様みんなヤル気十分!お父さんの参加は4名、弟や妹を連れてきた方もいて
教室は満員。まず”宿題”の顔の絵を絵本の表紙に貼り付ける。もちろん”作家名”も記入する。絵本作家になった気持ちで、
制作スタート。子どもは4種類の”面白い””おかしな””楽しい””見たこともない”顔を描く。その間に保護者の方々は
仕掛け絵本のメカ(二枚の回転円盤、ジョイントなど)を制作する。顔の絵を上部と下部とに切断し本体に取り付ける。本体台紙に
開けられた二つの穴(目と口)に12個の表情を描きこむ。これで何百もの顔ができるのだ。製本は金属鋲をかしめる。これは、
かなり大変だったけれど、学生が要領よく流れ作業でこなしてくれた。世界で一冊だけの「ぼくのえほん」「わたしのえほん」で
子ども達は遊んだ。”へんてこな顔”が出現するたびに歓声をあげて……。作る楽しさ、遊ぶ楽しさ……、苦心して作り上げた
その達成感が子どもを成長させる。
 講座終了間際にお家で簡単にできる工作を紹介する。今回は『しゅるしゅる人形』牛乳パックとストローとタコ糸があれば
誰でもできる玩具。試作品を吊るすと、子供達が群がった。シンプルだけど面白い。手加減で人形がしゅるしゅる昇っていき
スーと落ちてくる。子ども達は繰り返し繰り返し遊んでいた。つくり方をメモしているお母さんも。是非とも、お子さんと一緒に
作って遊んでほしい。


  
・「おもしろい顔ができたねえ」 ・表情の変化は色々だよ「泣いたり笑ったり、怒ったり眠ったり…」・「やって見せて!」

  
・糸を操り人形を天井まで昇らせて遊ぶ  ・牛乳パックで作って見せる  ・ちょっと”豪華な”「こんなこ」バージョン

■コンソーシアム大学  『作って遊ぼう!』 初日は「変身仮面を作ろう!きみの仮面はどんな仮面か、お話して!」


6歳~9歳の子どもに、お母さんお父さんを交えてのコンソーシアム大学「作って遊ぼう!」開講。
「●作って遊ぶ楽しさ●出来たものは、世界でただ一つの存在●表現は”自由”、この素晴らしさ」

第一回目は、『変身仮面』。仮面を作って、各自その仮面の秘密、凄さを語らせるもの。


  
・21人が仮面を制作。仮面にはそれぞれの秘密がある。想像させることが目的。

     
・マントは黒2着、白4着を用意。全員を写真に収める。    ・わが優秀なるアシスタント。子ども教育学科2年生

・下段中央は、河童(鼻から突き出しているのは”吹き戻し”が正義の味方○○仮面にやられるの図)
 さて、この弱虫カッパは誰でしょう?

次回は『回転円盤仕掛け絵本』…………
「こんなかお、あんなかお、そんなかお、へんなかお、どんなかお」変な絵本のタイトルだねえ。

■クレヨンまる最終編! はたしてどうなるかクレヨンまる!

   

 『おひさま』 が月刊から隔月刊になる。それにともない、クレヨンまるは『おひさま』6-7月号(5月15日発売予定)を
最後に休載する。おひさま創刊当初からクレヨンまるを描いてきたから感慨一入である。
第一話「クレヨンまる誕生」が1996年1月号、以来本年2月号「オリーブおばさんのプレゼント」が154話。
 
 15年の連載を休止するのだが、ファイナル155話は特別編だ。クレヨンまるファンを悲しませないよう、そして、
最大級の”オチ”で締めくくろう。このところ毎日毎晩、結末をどうしようか考えている。
これじゃダメ!あれでもダメ!面白くて、悲しくて、くすっと 笑える……あっという最後で締めくくるんだ!ぼくは
クレヨンまると共に生きたから、ぼくなら出来るはず……言い聞かせて、寝ても覚めてもクレヨンまるの世界に
浸かっている。クレヨンまるファンの皆さん、待っててね。クレヨンまるの”最後”……悲しみを吹き飛ばすような
結末を、きっと描いてみせるからね。

(Feb. 10)


■二十四節気 <立春>     七十二候(一候.二候.三候)

●立春は2月4日             (雨水  2月19日)

・一候 (2月4日)  ・とうふう、こおりをとく
              春風が吹き氷を解かす

・二候 (2月9日)  ・うぐいす、なく
              鶯が鳴き出す

・三候 (2月14日) ・さかな、こおりにあがる
              魚が氷の間から姿を現す

 暑いのは歓迎だが、ぼくは寒さに弱い。渋谷の仕事場は北側に位置しているから、部屋は外よりも寒い感じ……、そんな
バカなことは無かろうが暖めても暖めても室温上がらず。机の下には足温器、膝暖盤、更に温風ヒーター。背中にはハロゲン
ヒーターの遠赤外線をあてている。こうまでしないと、仕事が出来ない。ふくらはぎから下の冷え性だ。机に向かっている限りは
快適となるが、部屋全体が温まるわけではなく、よって机から離れられない。机にしがみ付き仕事をする破目に。
これが集中力のなせるワザならよいのだが……。
(2月3日)


■キャラクター{ミンミン}シール作製

 もう何種類のシールを作ったろう。 相模女子大学の「子ども教育学科」は誕生まもない。いずれ
”卒業生の現場での評判”が歴史をつくってくれるであろうが、それまで手をこまねいているわけにはいかない。
イメージづくり(戦略)の一助にとキャラクター展開を試みている。
元気、明るい、素朴、自由……MINMINちゃん、頑張れ!!!


   
    

1月のアトリエだより

■コンソーシアム大学……”仕込み”続く 「お化けの衣装」

 渋谷の生地屋さんで白と黒の天竺木綿を買う。白はお化けの衣装、黒は○○○仮面のもの。頭からすっぽり
かぶる簡単な構造。子どもたちが作る仮面を引き立たせるよう体を覆い隠すのだ。まずはぼくが黒いので登場、
アシスタントの学生3名は白いお化けになってもらう。5日に試作品を作るが、学生もぼくも、子どもには勝てっこない。
”勝てっこない”は、競う気持ちの表れだ。もちろん、子どもなんかに負けてられない!想像力で、いざ勝負!
遊んで楽しんで、真剣勝負だ!”勝負”は”心のままの表現”と置き換えよう。そう、”心のままの表現”は
比べるものではない。当たり前のことであった。
(Jan.30)

 

■コンソーシアム大学 「作ってあそぼう」申し込み締め切り!

 子どもと親とで作って遊ぶワークショップの申し込みは締め切られた。事務局より定員をオーバーしたとの報せあり。
熱心な方々の気持ちをかなえてあげたい。補助椅子を出して対応して貰う。

 工作メニューは三つ。  2月6日、① 「世界に一つのミラクル仮面」(大きな覆面タイプと吹き戻しを使うもの2作)
13日 ②「絵変わり仕掛け絵本……あんなかお、こんなかお、どんなかお、みんなかお」20日 ③「イライライラ……コロ玉
バランスボード」作る喜びを味わってもらう。表現する素晴らしさを体験し、止みつきになってくれれば……。
頑張ろう!目一杯、精一杯やる!
 5日にはアシスタントをしてもらう学生3名を特訓する。もちろん、ぼくも試作を楽しむ。それにしても教材の準備は大変!
仕事場は段ボール箱の山だ。買い集める、加工する、セットする(パーツを袋詰め)……、ああ今日も慌しく日が暮れた。
(Jan.29)
 

■造形応用 牛乳パックTOY② 「舌だし人形・・・愉快な仲間達」

    「こんなこいるかな」へ
・アリガくん試作例   (「こんなこいるかな」バージョンを別項『こんなこいるかな』コラムに掲載

 造形表現活動(応用)最終回は牛乳パック(ミルクカートン)工作。材料はカートン一個半とゴム輪2本のみ。
カートンはTOY①同様裏返して使う。学生は始めの頃恐がっていたカッターナイフにも大分慣れてきた。手作業の
大事さ、それに廃物利用”創意工夫”する心を育てたかった。
 TOY上部の持ち手を放すとパチン!の音とともに目が変化する玩具。単純素朴なことが「壊れにくい、飽きさせない、遊び方が工夫
出来る」など、よい遊びの条件の幾つかを満たしている。遊びといえばDSやPS一色の感があるが、自ら作る、その素晴らしさを
放棄しているようでもったいないことだ。遊びを創出する……ここにも自己表現がある。学習で疲れた学生が教室で
生き生きした表情に”蘇生”するのを見るにつけ、定まった答えのない表現の世界で遊ぶ(自由な心での表現)ことの
重要性を再認識する。
(Jan.27)


     
・学生制作作品例(舌は出たり引っ込んだりする。写真はすべて長い舌が伸びたところ)


■造形応用 牛乳パックTOY① 「回転円盤絵変り・・・六面相」


   
・アリガくん試作(割りピン使用)      ・完成作品例              

 牛乳パックTOY制作その1 「回転円盤六面相」を作る
学生の積極性が感じられるようになってきた。バイト先のコーヒーチェーン店から、牛乳パックを大量に運んできた者、朝、研究室に
立ち寄り、パックの包みを置いて行く者……、牛乳離れが進んでいる若者が、何とかして授業に役立てようと頑張る姿……嬉しいことだ。
自主性こそ、創意工夫する心、自己表現する心、とともに学生に摺り込みたいことだから。


学生作品例

   
・絵変わりカードに合わせて制作者も表情を演じていた。目いっぱい{変な顔}をする!感情表現の面白さ!

(Jan.22)


■二十四節気<大寒>   七十二候(七十候.七十一候.七十二候)

●大寒は1月21日

・七十候 (1月20日)    ・ふきのはなさく
                 蕗の花が咲く

・七十一候 (1月25日)  ・みずさわあつくかたい
                 沢の水も寒さに氷る

・七十二候 (1月30日)  ・にわとりとやにつく
                 鶏が卵を抱く
     

 このところ寒い日が続いていたが、昨日今日は最高気温が14,5度。3月の温かさだ。明日は18度にもなるという。が油断は禁物。
あさって、金曜日はまたぐっと冷え込むとの予報。久しぶりのテニスを予定しているのに……。日差しに明るさが増してきた。
春が近づいている。もうすぐ立春だ(2月4日)。
(Jan.20)

■ NHK教育テレビ「絵本寄席」をご覧下さい

   

  1月29日(金)午前7時45分~50分 NHK教育テレビ「テレビ絵本」にてえほん寄席のアニメが
再放送されます。『目黒のさんま』(有賀忍・絵  三笑亭夢太朗・落語)早朝ですが、どうぞお楽しみください。


■シラバス打ち込みと、紙芝居作画に明け暮れる

 新年度の履修科目シラバス作りに大わらわ。昨年から提出がパソコン入力となり操作に戸惑う。キーボードから
20分離れると自動的にすべて消去されるし、「更新」「保存」が分かりずらく何度もやり直すはめに。10科目を
入力し終わる頃に漸く慣れたが。
 授業が始まる前に、仕事の目処をつけねばと、紙芝居「だいじな たまご(仮題)」制作も頑張った。こちらの苦心は
鶏小屋の金網や、卵が割れて悲しむ少年の表現など。ストーリーが単調で、紙芝居の”単純明快、可視性”はクリア出来たとは
思う。が、やはり絵本も紙芝居も”面白くてナンボ”………不満がない訳ではない。
(Jan.15)

■エンターテイメント

 正月テレビは殆ど見ない。ニュースを除いて。ただ、小朝の落語「親子酒」には抱腹絶倒。ろれつの回らない親子の酔っ払いの
掛け合いが見事。酔いが回るにつけ顔までが赤くなっていく様は感動物!話のおもしろさ、形振りの上手さ、完璧だ!
 大学の帰り道、NHKラジオの「真打競演」を聞くことが多いが、漫才も落語も大笑いさせるもの少ない。話がつまらない。
生中継ではないし、”話芸”を収録するのなら、選ぶべきだろう。天才、小朝を聞いて思った。


■二十四節気<小寒>  七十二候(六十七候.六十八候.六十九候)

 七十二候も最早六十九候。あと三候残すのみ。<小寒>の次は<大寒>。そして、
いよいよ<立春>……春の到来だ。

●小寒   1月5日

・六十七候 (1月5日)  ・せりさかう
                  芹が青々と生える

・六十八候 (1月10日) ・しみずあたたかさをふくむ
                  泉に温かさが残っている

・六十九候 (1月15日) ・きじはじめてなく
                  雉がメスを求めて鳴く
      

              2012年 迎春

                  佳い年になりますように

12月のアトリエだより

■鳩山は冬景色。枯れ葉で埋め尽くされる

 アトリエの周りはすべて枯れ葉で覆われた。この間まで鬱蒼と茂っていた木々は裸。空が広がり明るくなった。
ブナの木だけが薄茶色の葉をまだ落とさずにいる。風に飛ばされまいと、しわしわの葉の塊がしがみつくように付いている。
枯葉を集めて井戸を改造した腐葉土枡へ運ぶが枡はすぐ満杯。諦めた。「一面枯葉の野」に与すパワー不足だ。
創作行為とはことなるが、草取りや枯れ葉集め……これらは、妙に楽しい。いえ、楽しいとは違う。何も考えない時間を
すごす嬉しさかなあ。

■二十四節気 <冬至>  七十二候 (六十四候.六十五候.六十六候)

 ノロウイルスか、風邪か。張り切ろうにも力がでない。普段から低体温で、一寸でも熱っぽいと頑張ろうにもだるさには抗えずダウン。
今年も無事に乗り切ったかと油断したわけではないけれど、この暮れ、最後の仕事にブレーキがかかる。とはいえ、しがみつくように
ダラダラと作業。   熱が引いて、即コートへ。鈍った体に喝を!荒療治!………無謀なり。

    12月22日は冬至         (1月6日は小寒)

・六十四候 (12月22日)      ・ふゆ しょうじ なつかる
                      冬生じ夏、枯る

・六十五候 (12月27日)     ・しか つの おつる
                      鹿角落つる

・六十六候 (1月1日)       ・ゆき わたりて むぎ のびる
                      雪下りて麦のびる

■二十四節気 <大雪>   七十二候 (六十一候.六十二候.六十三候)

 師走になり、日が過ぎるのが一入早く感じられる。毎年のことだが……。追いかけられているようだ。追いかける位の
心の余裕がほしい。アクセク、バタバタ、アタフタ……で、今年も暮れそうだ。 嗚呼。

      12月7日は大雪         (12月22日は冬至)

・六十一候 (12月7日)      ・そら さむく ふゆと なる
                      天が塞がり冬となる

・六十二候 (12月12日)     ・くま あなに こもる
                      熊が穴に入って冬眠する

・六十三候 (12月17日)      ・さけ うお むらがる 
                      鮭が群れをなして朔上する

■寒さものともせず(ウソ、大強がり)テニス

 昨日は冷たい雨。幼稚園講演会。会場は100名を越し満員だったが、冷え冷えとしていた。終了後のサイン会では、足元が冷たく
膝をすりあうようにした。寒かった。
 今日は曇り。オムニコートは湿っているだろうが打ちに行く。メンバーはぼくより高齢な方が多い。それも、週一のぼくと違って、
週三、四回はプレーしている兵ばかり。捻られるのを覚悟の上参戦!ただ時間を気にせず打ってみたい。忙しないなあ。

■鳩山は落葉の季節。”目の幸せ”紅葉もおしまい

 モミジは峠を越えた。サクラはすべて葉を落とした。ブナの茶葉、カシワ、モクレンの薄茶色……、あたりは茶色に染まっている。
中で鮮烈な赤色を留めているのがハゼだ。植えてよかった。来年はもっと植えよう。ローズヒップ、ブルーベリーの葉も。
雨に洗われて秩父の山並みがくっきり見える。日差しも柔らかく、のんびり……としたいところだが、仕事仕事!
描いている10号の絵を二枚直しをいれる。フレームの製作にも着手。手を洗う間もなく車上の人。慌しい。よくないなあ……。

■師走……キャンパスを走る……アタフタ アタフタ

 授業はいつも時間が足りない。演習科目のつらいところだ。準備や試作で休む間もない。研究室に来訪者があれば、昼飯抜きとも
なり、空腹と戦いながらの教室。この季節も汗びっしょりで、キャンパスの風が一入冷たく感じる。気力で持っているのだろうが、
おかげでメタボとも無縁、カゼ菌も寄り付かず元気。(多分に、やせ我慢)

■小石に絵付け 3

     
・ジェッソ(下地剤)を塗り描く。顔、顔、顔……   ・人面石   ・拾った(顔が描かれていた)石

11月のアトリエだより

■小石に絵付け 2

  
・《おにぎりん》増えた増えた!   ・石の表情が、それだけでおもしろいものには絵を付けない
  

 紙芝居《やさしいこころ》に添えて配ろうと、小石に登場人物”おにぎりん”の絵を描いた。

 今日の授業は先週に続きPEEK A BOO……「いないいないバー」は幼児が好む遊びの一つ。紙一枚で2場面、4場面
変化するカードを制作した。仕組みは簡単。学生は思い思いのイラストを描く。シンプルなものほど応用性がある。遊び方も
工夫できる。スイッチを入れたらお終いのICを使った高価な玩具より、やはり手づくりだ。工夫の余地があるかないか。
想像力と創造力を育む遊び、玩具とはどんなものかを学生には考えさせたい。

■二十四節気 <小雪>   七十二候 (五十八候.五十九候.六十候)

     11月23日 小雪            (12月7日 大雪)

・五十八候 (11月23日)      ・にじ かくれて みえず
                      虹が見えなくなる

・五十九候 (11月27日)     ・きたかぜ このはを はらう
                     北風が木の葉を吹き払うようになる

・六十候 (12月2日)        ・たちばな はじめて きばむ 
                      橘の葉が黄葉し始める

 アトリエまで、今日は関越高速を使わず川越街道を走る。三芳あたりのケヤキ並木の紅葉が目当て。春から夏、
街道を覆い隠すほどだった緑のトンネルは葉を落とし秋空をのぞかせていた。今年は遅いのか。黄色、茶色、赤色……の
紅葉はまだだった。このあと、一気に紅葉、黄葉がはじまり、嵐のように葉を落とすのだろう。残念だが見られそうもない。
アトリエの庭のハゼは鮮やかな紅色。ブナは茶褐色、桜、モミジ……冬の入り口、風に震え、舞い落ちる……色の饗宴、
静かな時間、心穏やかなる一時。

■小石を拾う……形を楽しみ、絵をつける

    
・中央の石には、顔が描かれていた    ・<おにぎりん>の顔   ・色々なものが生まれる  

 校内の駐車場の脇で小石を拾う。一つ一つ形を吟味しながらビニール袋に入れるぼくを、学生や教員が怪訝そうに見ている。
20個、30個、相当な重さだ。洗って改めて形を眺める。石に絵付けをするのだが、なんと”先客”がいた。顔が描かれた楕円形の
小石があったのだ。小学部もあり、子どもが描いたのだろう。見つけたときは、思わずにっこりだ!嬉しくてねえ。描かれた目、鼻
、口はかすれてはいたが白色が美しかった。これを描いた子と会いたいなあ。

 紙芝居『やさしい こころ』を制作した。少年と作業服を着た工事現場のおじさんが登場するお話。そのおじさんの顔がおにぎり
そっくりで、少年は<おにぎりん>と呼んでいた。少年は図工の時間、小石に絵を描いた。ペンギンやカメや自動車などいろいろ。
<おにぎりん>もね。 中央の写真はぼくが作った<おにぎりん>。おにぎり形の小石は結構多い。幾つか作って、紙芝居を演じる
方に差し上げようと思う。”実物”を見て、子供たちが、自分でも作ってみようと言う気になったらうれしい。

■二十四節気<立冬>、  七十二候(五十五候 .五十六候. 五十七候)


     11月8日は立冬      (11月23日   小雪)

・五十五候 (11月8日)      ・つばき ひらき はじめる
                     山茶花の花が咲き始める

・五十六候 (11月13日)     ・ち はじめて こおる
                     大地が凍り始める

・五十七候 (11月18日)      ・きんせんか こうばし
                     水仙の花が咲き始める

■赤い実の季節

鈴なりの渋柿が熟して枝を撓らせている。ナツメが落果。サルナシも柔らかに……、
カマツカの暗紅色、カラスウリの朱赤……陽に照り映え、今 秋真っ只中。

      
・ズミ             ・ナツメ                 ・ウメモドキ

  

    

・ドッグローズ              ・カマツカ         ・サルトリイバラ(蔓を切り撮影)

 面白い実を見つけた。見たことのない形、蔓に二十数個の赤い実の塊まりが10センチおきについている。蔓は「長い。引っ張り手繰って
根元まで近づこうと試みるが、山の斜面が崩れやすいこともあって難儀。根は深く、球根を持っていた。わがアトリエの庭で育ててみたくなり
図鑑で調べた。サルトリイバラ……ユリ科の多年草。実もそうだが、葉の脇に一対の髭があり、この特徴からすぐ名前が解った。
 細いさつまいも状の球根は漢方薬「山帰来」となる。北斜面の日当たりの悪い茂みの中で育ったサルトリイバラ……大事に、といっても
似たような場所に移植、根付くよう祈った。

10月のアトリエだより

■二十四節気 <霜降>   七十二候 (五十二候.五十三候.五十四候)


   10月24日は霜降     (立冬……11月7日)

・五十二候 (10月24日)     ・しも はじめて ふる
                     霜が降り始める

・五十三候 (10月29日)     ・こさめ ときどき ふる
                     時雨が降るようになる

・五十四候 (11月3日)      ・もみじ つた きばむ
                     紅葉や蔦の葉が黄ばむ

 24日は二十四節季の霜降なれど、汗ばむほどの陽気。現代童画展審査に臨んだ。25日は一転襟を立てて歩く寒さ。終日、
審査会場に詰めていて分からなかったが、木枯らし一番が吹いたのだそうだ。賞の決定、推挙会議と慌しかった。
 『現代童画展』第37回!ぼくも、まあよくも出品し続けたものだ。本年の目玉は、過去の大賞作品を集めての特別展示。
ぼくは第3回展で大賞を受賞したが、その作品も久しぶりに”お披露目”。ただ、会場が狭いため、『星の海』一点のみ。
『花の野』が飾れないのは残念である。
 本展出品作は『星の道』。 7月の選抜展で発表した”『沈黙の闇』の後”を描く。 選抜展をご覧下さった方は、
イメージを重ねていただけたらと思う。

 鳩山アトリエ、秋真っ最中。ハゼの紅葉がはじまり、パンパスグラスに絡むカラスウリが風に揺れている。こっちに一つ、あっちに一つ……
濃い朱赤が目の奥に染み込んでいく。雑草に負けずに蕾を抱いたニオイスミレを見つけた。数株集め周りを煉瓦で囲い”スミレの園”に。
 イーゼルから作品を降ろし車に積み込んだ。いつもながら、アトリエ立ち去りがたし。


■二十四節気 <寒露>   七十二候 (四十九候.五十候.五十一候)

  10月9日は寒露          (10月24日は霜降)

・四十九候 (10月9日)     ・がん きたる
                    雁が飛来し始める

・五十候 (10月14日)     ・きくの はな ひらく
                    菊の花が咲き始める

・五十一候 (10月19日)    ・キリギリス とに あり
                    キリギリスが家の中で鳴く

 現代童画展は東京都美術館が改修工事のため、本年も上野の森美術館で開催される。会場壁面の都合で30号とサイズも
制限される。大作に臨みたい気持ちも強いが、この春以降モチーフが少し変わってきており、画面の小ささはさほど気にならない。
 今まで <心のふるさと……懐郷の詩> <親子・父と母・父性・幸福感>を描いてきた。今回の作品も底辺に流れるものは、
そう変わらないが、さりとて明るいものでもない。春は『沈黙の闇』。今仕上げの段階にあるのが『星の道』。絶望感の中に一筋の
光明……出発だ!それも力強く、頼もしく、矜持を……ぼくは描く。是非ともご高覧あれ。
                                                          (展覧会詳細については後日)

■キャンパスのイチョウの木、銀杏落ち始める

 教室の机の間を歩き、いや小走りで回っている。コマネズミの譬どうりチョコチョコ忙しなく。声がかからずとも、その人その人
描き出すものの、ユニークな点、おもしろい所を見つけようと。見逃すまい、学生は気が付かない線の流れ、動きを。
 教室の暑さは一頃とくらべ過ごしやすくはなったが、ばくは汗びっしょりだ。授業を終え研究室に戻るまでの僅かな時間、
秋の風を満喫。深呼吸して歩く。銀杏を踏まないように避けて、コマネズミは時間を惜しみながらゆっくり歩く。

9月のアトリエだより

■二十四節気<秋分>   七十二候(四十六候、四十七候、四十五候)

                     9月23日は秋分  (10月9日は寒露) 

・四十六候 (9月23日)    ・かみなり こえを おさむ
                    雷が鳴らなくなる

・四十七候 (9月28日)     ・ちっちゅう とを とざす
                    虫が地中に巣籠りする

・四十八候 (10月3日)     ・みず はじめて かる
                     田の水を落として稲刈りの準備をする

■鳩山、冷え込む!長袖で板絵に向かう

★山葡萄、ナツメ、サルナシ 今年はみな元気に実をつけた.柿はこれから。栗は昨年並みか。

     

・山葡萄                   ・棗(ナツメ)                  ・サルナシ

 秋の始まりだ!

 二日間、板絵に取り組む。
アトリエから一歩も出なかったと言うのはうそで、体、殊に目を休めるために鬱蒼としげる葉を掻き分け栗の木まで進む。
まさにジャングルを”進む”感じ。栗を拾おうにも腰高の草が邪魔して、落としても見つけるのが大変。それでもビニール袋は直ぐ
いっぱいになった。
 幾種類か植えた萩は雑草に覆われてしまい目を凝らさねば小花が見えない。
自然に生えた道路沿いの柿の木には青い実が枝を撓らせている。大豊作だが残念ながら渋柿。辺りにフジバカマが咲いている。
紅葉は”ハゼが一番”と植えた苗木は雑草に囲まれながらも育っているが、葉の色はまだ緑。アトリエの窓からは見えないが、
工作部屋のわきの山葡萄の房が膨らんでいた。昨年、一昨年と実がつかず枯れたのかと……、今年ヤマブドウの苗木を求め、
近くに植えたのが良かったのかもしれない。ナツメもサルナシもよく実った。マタタビ、ムベ、アケビは葉を茂らせただけで終わった。
アケビは花を沢山咲いたので、実りを待っていたのだが……(アケビの皮のバターソテーは好きな酒肴)

 「30分だけ」と予定しても、庭に出れば一時間くらいすぐ過ぎてしまう。制作に没頭も集中力のなせる業だが、自然に実を置くのは
もっともっと自然体。自分の素を丸出しにするという点で、自然に身を置くことと創造の世界に住むことは似ている。

 下の田圃の主、石井さんが新米と玄米を届けてくださった。
軽四輪の助手席にはいつも満面の笑みの奥さん。アクをすくい、すくい丁寧に煮あげた栗の渋皮煮、栗の形をきれいにそのまま留めた
上品な味、見事な”作品”を持ってきてくださった。石井さんの前で、ぼくは二つもペロリ!美味い!感謝感謝!

 秋の味覚、贈り物が嬉しかった。 気力充填して、仕事に戻る!




■二十四節気<白露>   七十二候(四十三候、四十四候、四十五候)

 鳩山は大気澄み星が降るようだ。今晩は星の瞬きを妨げるような明るい月夜。十五夜だ。中秋の名月、観月のゆとりもなく、
アトリエでパネル作り。プリンター置き台も製作する。工作は性に合っており楽しくて、なかなかその後の、“本来の”制作に
はいれないで困る。
 もろもろの教習、講習会も終わり、秋学期が始まるまで制作に没頭する。時間がなくあせりながら……いつものことだが。
ナツメが赤く色づき始めた。サルナシが頭を下げねばアーチをくぐれないほどたわわに実った。栗の実はやたら降り落ちている。大粒だ。
 地域物産販売所でアスナロの幼木を見つけた。“明日は檜になろう”から翌檜と書く。百円!。植木鉢代にもならないだろうに。
勿論買って、杉の木の根元に植えた。吾、アスナロと思ったことなし。今思えども、もはや遅し!

9月8日 白露        (秋分は9月23日)

・四十三候 (9月8日)    ・くさつゆ しろし
                   草の葉に白い梅雨が宿る

・四十四候 (8月13日)   ・せきれい なく
                   セキレイが鳴くようになる

・四十五候 (9月18日)    ・つばめ さる
                    ツバメが 南の国に 去って行く

8月のアトリエだより


■二十四節気<処暑>  七十二候 (四十候、 四十一候、 四十二候)

    8月23日は処暑 

・四十候 (8月23日)     ・わたの はなしべ ひらく
                   綿を包むガクが開き始める

・四十一候 (8月29日)    ・てんち はじめて さむし
                   天地の暑さがようやく収まる

・四十二候 (9月3日)     ・いなほ みのる
                    稲が実る

■楽しきかな、ブリコルール!

 牛乳パック、ペットボトル、ガムテープや食品ラップの巻き芯などの山に埋まる生活をしている。図工の先生方の研修会に
ブリコラージュを基本テーマに選んだ。(ブリコラージュ人間をブリコルールという) 廃物を活用しての造形遊び。遊びといっても、
楽しめるだけではなく、美しくて飾っておきたくなるようなもの、かなり雑に扱っても壊れない頑丈なものの考案だ。遊戯性と造形美!
 工作は楽しいが、わが渋谷の狭き仕事場は、ゴミ箱と化している。フローリングや空間はいつになったら、再び現れるのだろう。

■鬱蒼と生い茂る鳩山の庭……ハチとの戦いはじまる

  鳩山のアトリエで教員研修会の“メニュー”作りをしている。最近、わが鳩山町は熊谷に次ぐ暑さで
、テレビに地名のテロップ流れる始末。地形が似ているのだろうか。暑い!でも夜は東京より涼しく感じられる。
土と緑のおかげだ。伸び放題の木々、背丈を越える雑草にも感謝だ。
 喜んでばかりはいられない。誰も踏み込まないのをいいことに、ハチが我が物顔で飛び交っている。
デッキを補修、ペイントしようとして蜂の巣を発見!ご飯茶碗ほどもある。スズメバチなら手の負えないから業者に
頼むが、幸いにもアシナガバチだった。防護服でいざ戦!二挺拳銃よろしく両手に防虫スプレー、棒で巣を掻き落とした。
アシナガの群舞は恐ろしいほどだ。巣がなくなっても、ハチはどんどん集まってくる。ペイント作業は中止だ。 
 階段下の薪置き場にもう一つ、アシナガバチの巣を発見。これも退治。仕事どころではない。いま、巣作りの季節だ。
取っておかないと大変なことになる。昨年はスズメバチに悩まされた。そういえばミツバチがいない。アトリエの壁の間に
巣作りし蜜を部屋に滴らせたミツバチは何処に消えたのだろう。


■二十四節気 <立秋>  七十二候 (三十七候、三十八候、三十九候)

8月8日は立秋  (処暑は8月23日)

・三十七候 (8月 8日)    ・すずかぜ いたる
                   秋風が吹き始める

・三十八候 (8月13日)    ・ひぐらし なく
                   蜩が鳴く

・三十九候 (8月18日)   ・のうむ まとう
                    濃い霧が立ちこめる

■大学のオープンキャンパス 《子ども教育学科》受講生みな熱心!

 
今年のオープンキャンパスはティーチングアシスタントに大学二年生三名を起用。万全の態勢で臨んだ。
一時限の授業で、早朝からの出席を心配したが、生徒がつめ掛け満室状態。アンケートでは「満足」が多く、
アシスタントと喜び合った。三名には、月末に行われる教員研修会でも、手伝ってもらう。彼女らがいると、
教室が明るくなる。
 研修会が終わる間もなく、幼稚園教員指導が待っている。園児が作って遊べる、“凄くおもしろい”おもちゃを
披露しようと今、試作を繰り返している。仕事場は雑然!がらくたの山だ。本来の絵画活動が
疎かになっている。制作に入れるのは9月になってからか。目の前の仕事が多すぎる!


■ホップの間に植えたもの

 珍しいものを植えた。日差し避けにゴーヤや朝顔が話題になっているが、ぼくは野ブドウを植えた。
ホップの苗が育ち、180センチのトレリスから蔓が巻きつくところを探して揺れている。そのホップの間に
これまた蔓性の野ブドウ。
 山葡萄はある。枯れかけたが今年見事に再生、今小さな固い実をつけている。
山葡萄の掌より大きい葉っぱと違い、野ブドウは小さいが形が美しい。野ブドウは食べられないが
葉を見ているだけで、何だか嬉しい。この炎天下、根が着くか心配だ。



■二十四節気 <大暑>  七十二候(三十四候、三十五候、三十六候)

  7月23日は大暑       (立秋は8月8日) 

・三十四候 (7月23日)    ・きり はじめて はなを むすぶ
                   桐の花が実を結ぶ

・三十五候 (7月28日)    ・つち うるおいて むしあつし
                     大地が熱を持ち蒸し暑くなる

・三十六候 (8月 3日)     ・たいう ときどき ふる
                    大雨が時々降る

■ミルクカートンTOY 

   
 ・(左)3単位体  テーマ クリスマス菓子  ・(左上) スイーツ ・(右上) 泣き笑い
 ・(右)1単位体  こんなこいるかな      ・(下)  こんなこいるかな

  
・ペロ&ミャー

 今回の廃物利用ミルクカートンTOY。牛乳パックを開き裏返してカット。三枚組み合わせたものが1単位体。
その単位体を三個単位でつなげて行く。学生は時間の関係で2単位体の構成がやっと。ぼくは3単位体構成、
4単位体構成の作品を見せた。一単位体で12面ある。それらすべてに絵を描くか、切り抜いた写真を貼る。
6面が泣き顔、6面が笑い顔……、コツが解れば絵変わりもスムーズにできるが、初めての人は面食らうだろう。
面白いキューブパズルだ。学生は思い思いの動物や表情豊かなお化けの絵をつけて、友と交換しては楽しんでいた。
遊びを通じてのコミニュケーションも狙いの一つ。時に”学び”は楽しさの中で行われる。


7月のアトリエだより


■二十四節気<小暑>      七十二候(三十一候、三十二候、三十三候)  

 7月7日   小暑           (7月23日 大暑)

・三十一候 (7月 7日)    ・おんぷう いたる
                   暑い風が吹くようになる

・三十二候 (7月13日)    ・はす はじめて ひらく
                    蓮の花が咲き始める

・三十三候 (7月18日)    ・たか わざを ならう
                    鷹の子が巣立ちの練習をする

 7日は<小暑>。《温風至る》だが、熱風の”風”さえ吹かず。教室も節電のため空調の温度設定厳しく汗まみれの授業だ。
新校舎は”モダンデザイン”で窓が開かない。暑さには強いぼくも閉口の日々。絵の具を乾かすためドライヤーを使うときなど、
もう炎熱地獄。我慢我慢。

■現代童画会 選抜展開催中 

 現代童画会 選抜展が只今開催中。 (銀座アートホール10日まで)
板絵『沈黙の闇』を出品しております。ご高覧ください。”蒼”の表現に悩んだ作品です。

■リンドグレーン展
   
・イングリッド・ヴァン・ニイマン「長くつしたのピッピ」1945  ・ローレン・チャイルドの塗り絵本


 アストリッド・ リンドグレーン展(世田谷文学館)   《長くつしたのピッピ》《やかまし村シリーズ》《ロッタちゃんシリーズ》原画を見る。
子どもの時代、子どもの世界を生き生きと描いたリンドグレーン。見慣れた挿絵から、現代のアーティストのイラストまで多数展示。
 中では、ローレン・チャイルドの《長くつしたのピッピ》。一目でわかる、キュートな表情。目が強い。
ローレン・チャイルドの塗り絵本(ペーパーバック)を持っているが、塗り絵には否定論者であるぼくも、この絵本には魅力を感じている。
ただ塗るだけのカラーリングブックではなく、自由に描きこめ、またそのリードして行くネームが効いている。塗り絵本は数々あれど、
このようなものがもっとあったらと思う。

6月のアトリエだより

■二十四節気 <夏至>     七十二候(二十八候、二十九候、三十候)



   6月22日 は夏至            (7月7日/小暑)

・二十八候 (6月22日)     ・だいとう かる
                     夏草が 枯れる

・二十九候 (6月27日)      ・しょうぶ はな さく
                     菖蒲の 花が 咲きはじめる

・三十候  (7月 2日)       ・はんげしょうず
                     からすびしゃくが 生える                     

■スタンピング……葉脈の美しさ……人工物との組み合わせ



     
トチ、サンショ、トチュウ(杜仲)、ウメ、  クヌギ、ムベ、ベイ、リンデン、メープル、ブナ、ナナカマド、オニグルミ

 絵画造形表現活動基礎Ⅰの授業。オートマティック技法(モダンテクニック)。要は子どもの造形表現遊びの基本。
デカルコマニー、フロッタージュ、スパタリング、ウオッシング、コラージュに続いて、今回はスタンピング。自然物(葉っぱなど)と人口物を
ペタペタ押して再構成。こらー^ジュ作品の制作。
 鳩山で葉っぱを採取。形の面白いもの、葉脈が鮮明に写し取れそうなものを選ぶ。3クラス分を冷蔵ボックスに詰める。


 クヌギ、山葡萄、菩提樹、桑、サンシュユ、ハナミズキ、オニグルミ、オオシマザクラ、イチョウ、モミジ、サトウカエデ、山椒、
ブナ、トチ、トチュウ、ワイルドストロベリー、ヤツデ、ミニチュアローズ、ローズゼラニウムなど。学生には植物の話(名前の由来、エピソード)も
聞かせた。ローラーを転がし刷り取った者をカットし台紙に再構成する。楽しめたようだ。

 ウオッシングについで面白かったとの声も。演習は先ず楽しむこと。楽しんでこそ学習となる。みんな、始めはインクが手に付くのを
嫌がっていたが、仕舞いには指紋どころか手にローラーを転がし手形をペタペタ押していた。
 とにかく夢中にさせること。集中させること、これに尽きる。
ローラーやインクバットを洗ったり、葉っぱの始末など後片付けが大変だが、学生の”満足感”が、ぼくの疲れを軽減させてくれる。
 次回は墨流し、マーブリング。ぼくは市販のマーブリング剤やセットになったものは使わない。墨のマーブル模様の美しさ、そして
油絵の具を溶いたものを掬い取るカラー版にTRYする。出来合いのマーブリング液を使えばきれいでかんたんだが、それでは
力がつかない。すべて作る。大事なことは、「これがなければ出来ない、これが揃ってないとダメ……」ではなく、応用力、創意工夫する心。
 表現とはそういうものだ。準備万端、用意周到からは生まれない。不自由なくらいがいい。足りなくてちょうどよい。恵まれすぎは、
想像力や創造性を培う環境によろしくないとぼくは思う。




■木っ端で名札を作る

       
 ・木っ端 (切り抜かれた円形の上部)  ・両端をカット (ステインを塗ったもの)   ・黒ペンキで名前を書いて完成

 地域の産物の即売所ができた。米、果物、野菜の農産物が主だが、植物を売るコーナーもあって、鳩山に行くときは
必ず寄ることにしている。都会の園芸店では見られない面白いものがあって楽しい。キンズ、カマツカ、ヤブコウジ、ハゼ、
マートルの苗木はみなここで買った。一鉢500円~800円と安い。アトリエの畑に茂るムベやサルナシも珍しいと思っていたが、
これらも売られていたからびっくりだ。
 即売所には木工製品もある。まな板や鍬の柄。ぼくが買うのは木っ端の束。何かを切り抜いた残材、10枚束ねたものが、何と120円!
昨年は100円だった。これをぼくは名札に利用している。もう数十枚は作っただろう。ブナやクヌギ、昨秋植えたオオシマザクラなど
樹木の苗木が主だが、まだまだ足りない。販売物にはすべて生産者の名前が記されている。木工製品も然り。○○清作……。
 この木工の主はどんな方だろう。
このなだらかな山型の木っ端は何を作った後の物なのだろう。大量に出るから不思議だ。「清作さん」に聞いてみたい。


■二十四節気  <芒種>  七十二候 (二十五候、二十六候、二十七候



    
6月5日は芒種6月6日               (夏至は6月22日)

・二十五候 (6月 6日)    ・かまきり しょうず
                     カマキリが姿を見せる

・二十六候 (6月11日)    ・ふそう ほたるとなる
                     腐った草が蛍に姿を変える

・二十七候 (6月16日)    ・うめのみ きばむ
                     ウメの実が黄色に色づいてくる
                     

 ■板絵「沈黙の闇」制作没頭。

  夜来の雨があがり鉛色の空、水田は天を写す鏡だ。周辺緑一色の中で銀色反射、”何も無い美しさ”だ。小鳥もまだ訪れず
静寂そのもの。幾度も深呼吸をしてアトリエに入る。
 このところ週末は板絵に取り組んでいるのだが、モチーフが<哀しみ>そのもの。描いていても辛くて苦しくて感極まってしまい、
「これではいかん」、冷静に冷静に……言い聞かせながらの作業。
 顔の色が出来ない。塗っては「違う」、塗り重ねては「違う」の繰り返しだ。絵が重く暗い。描けなかった時から、絵筆を
取る、表現する気力漲るまで時間を要した。『哀しみの船』、『悲泣の丘』以来だろう。胸が塞がる思いの制作は。

■茶の木を探す

 今年も茶の木の新芽を摘んでフリッターにして食べた。香りがよい。もちろん酒の友。制作の後の「反省の酒」だが、目一杯
表現出来さえすれば美酒となる。なかなか、そう美味くはいかない。
 Sさんが、茶を育てたいと言う。苗木を差し上げたが、楽しみにしていた新芽が何者かに採られてしまった(消えてしまった
そうな)と、がっかりしておられた。そこで今回は少し大きめのものを用意した。零れ種からあちらこちらに発芽しているが、
適当なサイズのものを選ばなくてはならない。植木鉢がSさんの自転車の篭に収まらなくてはならないから。
 新芽は手もみ茶に、おひたしに、天ぷらに……、すくすく育ちますように。

■学生の習作を発表する場がほしい

 子ども教育学科には、ほぼ隔月発行の『ミンミン新聞』があるが、学生の制作物が発表できるページの余裕はない。
絵本でも数冊、ペーパーカッティング「シンメトリーデザイン」や連続模様制作でもかなりの秀作があった。講評して返却するのだが
何とも惜しい。作品を並べて見せるが、他のクラスの学生には鑑賞させられず残念だ。創作する一方、良い作品を見ることも大事だ。
 一部修整、補作し学生に”作品集”として配布することにした。学生は色んな紙で(薄い色など)自由に制作するから、
版下にするには墨画線に置き換えなくてはならない。一昨年も作ったが、この作業は時間がかかりめんどうくさい。
 「素晴らしい作品を作った」……学生に自信をもって貰いたい。園や学校の現場でも制作のヒントに資料としてきっと役に立つだろう。

5月のアトリエだより

■二十四節気<小満>  七十二候(二十二候、二十三候、二十四候)

ホップを植える! 実を何に使おうか……早すぎる夢想……



    
 5月21日は小満          (芒種/6月6日)

・二十二候 (5月 21日)    ・かいこ おきて くわを くう
                     蚕が桑の葉を食べるようになる

・二十三候 (5月26日)     ・べにばな さかう
                     紅花の花が咲き乱れる

・二十四候 (6月1日)      ・ばくしゅういたる
                     麦が育ち、麦畑が黄金色になる
                   

 アトリエ周辺の田圃は田植えが終わり人影なし。水面を横切る鳥の影。静寂の中に時おり鳥の声。「ホーキョ」「ホーキョト」……
下手だったウグイスも「ホーホケキョ」。すっかりうまくなった。
 東北の被災地では作付けを諦めた水田が多いという。緑の苗が黄金の稲穂に変わるまで、ずーっと惨い災厄が頭から
離れないだろう。
 絵を描いていても、テキストを作っていても、お話を書いていても、胸は重苦しく、気が晴れない。集中力乏しく苛立ちを覚える。
創作はいつだって厳しいものであるが、これほどキツイとは……。
 気分転換のテニスも楽しめない。”逃避”だからであろう。大分前のことだが、サッポロビールが運営していたクラブでプレーした
ことがある。このコート脇のフェンスで、さすがビール会社だ、ホップを育てていた。ホップが高さ10メートル以上も薄緑のカーテンを
作っていた。今ゴーヤなど壁面緑化が話題になっているが、あの、コートを覆い隠すようなホップは見事だった。
少し失敬してきて、ホップのリースをつくったこともあったっけ。
 そして、とうとうホップの苗を手に入れた。野生のものではないが、自然に還したいと、竹やドクダミやスギナの生い茂る土地を耕し
腐葉土を敷き詰め苗床を作った。トレリスを立て水を遣る。
しっかり根付きますように!少しだけ、ほんの少しだけでも実をつけますように。

■二十四節気 <立夏>   七十二候 (十九候、二十候、二十一候)

                 5月6日は立夏  (5月21日は小満)

・十九候  (5月 6日)    ・かわず はじめて なく
                   蛙が鳴き始める

・二十候  (5月11日)    ・みみず いずる
                   ミミズが姿を見せ始める

・二十一候 (5月16日)   ・たけのこ しょうず
                    筍が生ずる

■アトリエのフェンス倒壊す

 筆を取る、板に向かう気力興らず。胸は塞がったままだ。それでもアトリエに入れば……と、久しぶりの鳩山詣で。だが、
それどころではなかった。地震か強風か、フェンスが倒れていた。フェンスと言っても三寸の角材を組み合わせた頑丈なものだ。
それが、道路に沿って横倒し!滅多に人が通る道ではなく事故に繋がらなかったのは幸いだった。連休中だが、設計図をひき
工務店を呼んで交渉した。

■今年はミツバチ大丈夫…………か。

 昨年は全国的にミツバチの姿が消え、何が原因かもわからず問題になった。わが鳩山の庭でも明らかにその数が減少した。
それまでは乱舞する大群、母屋の壁の間にも巣を作り蜜をたらすミツバチだったのに。今年は大丈夫……かもしれない。
花の間を忙しく飛び交っている。カマツカの小さな花から、アケビやムべの花、少し前までは、ミツマタ、杏、サンシュユ、
プラムなど、花の季節をミツバチは我が者顔だ。


    
・百花繚乱……ミツバチの季節       ・アケビの花(五つ葉)            ・カマツカの花

  

・ムべの花 花弁に見えるのはガク。 ・たった一輪咲いたリンゴの花(ヤーノシュの絵本『おばけりんご』の一ページを彷彿) 
乳白色で内部には紅の線

4月のアトリエだよりエだより


■二十四節気<穀雨>     七十二候(十六候、十七候、十八候)

      4月20日は穀雨         (立夏は5月6日)

・十六候 (4月20日)    ・あし はじめて しょうず
                  葦が生え出す

・十七候 (4月25日)    ・しも やみ なえ しょうず
                  霜が止んで稲の苗が生長する

・十八候 (5月1日)    ・ぼたん はな さく
                  ボタンの花が咲く

 新学期が始まった。『実践遊び学』3クラス。『絵画造形表現活動・Ⅰ』3クラス。昨年よりパワーアップした授業展開をしたい。
具体的にはカリキュラムの調整以外に、『実践遊び学』では殆ど毎回、”おまけ”と称してごく簡単にでき、子どもをアッと言わせる
楽しい造形手遊びを紹介していく。そして『絵画造形表現活動』では、”帽子百貨店”と題したクラフト製作を、今まで十数点だった
ものを、今年は創作5点追加、学生にはかなりハードな作業(時間がタイト・集中力勝負)となる。

 月曜日『実践遊び学』第一回は、鏡面紙を用いたシンメトリー図形遊び(製作・発見)および万華鏡考察。製作だった。この時の
”おまけ”は、「紙一枚(A4大)左手のひらに穴を開ける」法………というものであった。紙をクルクルまるめ円筒形にする。これを
用いて掌に穴を開けるには、さてさてどうする?(授業では万華鏡作りに用いる紙筒でやらせた)
 「あっ、あいた」「穴が開いた!」「向こうが見える!なに、これ!」「わあー!」教室がどよめいた。
「穴があかない」「えー、穴、見えない!」何人かは、始めうまくいかず、とまどっていたが、学性同士教えあって全員、手に穴が
開いたことを”確認”した。一体、どうやって手のひらに穴を開けたのでしょうか?

■二十四節気<清明>   七十二候(十三候.十四候.十五候)

杏の花が咲いた。明るい青色の空のもとでミツバチを誘っている。ミツマタ、サンシュユの黄色
土佐ミズキの淡い黄、レンギョウも。やはり杏がいい。杏の白を際立たせるかのように、空には雲がない。
遠慮してくれているかのようだ。杏は梅の花をふっくら大きくした感じ。清らか。
穏やかな日和、春景色。平安なれど、このところの心中、苛立ったまま。
オニグルミ、カマツカ、ブナ……まだまだ、芽は堅い。ときおり吹き来る(荒れる)冷たい風が木々を揺らしている。
ケキョ…ケキョ… ウグイスの囀りトレーニングも始まった。   さあ、我も始動!!!

  4月5日は清明         (4月20日は穀雨)

・十三候 (4月5日)   ・つばめ きたる
               つばめが南から渡って来る

・十四候 (4月10日)  ・がん みずへ かえる
               がんが北へ渡って行く

・十五候 (4月15日)  ・にじを はじめて みる
               虹が見え始める


3月のアトリエだより

■二十四節気 <春分>   七十二候 (十候.十一候.十二候)

板絵 『おやすみの前に』 完成!

    3月21日は春分     (4月5日は清明)

・十候 (3月21日)    ・すずめ はじめて すくう
               雀が巣作りを始める

・十一候 (3月26日)   ・さくら はじめて ひらく
               桜の花が咲き始める

・十二候 (3月31日)   ・かみなり こえを だす
               雷が鳴り始める

 天変地異、大震災。胸塞がる。
 4月4日開催の現童春季展出品の作仕上げ作業中だった。言葉を失う。筆は止まる。
父と母と子の関係を描いた 『おやすみ前に』 は、もっとも心やすまる刻の物語。でも、
むごい光景を映像を見、今や表現の気力失せる。
何としても描かねば、表現せねば……。無力感。

己が抱えた悩みに埋もれているうちに世界は大変なことに。

厳しい便りもいただいた。その方は体の不調にもめげず”感謝の念”を
語っておられた。なんという心の広さ、包み込む温かさを感じ、
自分の甘えを情けなく思った。。厳しさ、苦しみの深さは人それぞれでも、みんな、みんな大変なんだ
……当たり前の事……、自戒自省。

■二十四節気 <啓蟄>   七十二候  (7候.8候.9候)

   3月6日は啓蟄         (春分は3月21日)

・七候 (3月6日)    ・すごもりの むし とを ひらく
               冬眠していた虫が動き始める

・八候 (3月11日)   ・もも はじめて さく
               桃の花が咲き始める

・九候 (3月16日)   ・なむし  ちょうと  かす
               菜の虫が羽化して蝶となる

過去はなし。未来も定めなし。あるは今のみ。脚下照顧。拘りから離れられれば活路もあろうというもの。が、その拘り
だらけで(雑事が人生ではなかったのに。いや人生は雑事の中にあるのかも)忙殺される日々。このところ寒暖の差が大きい。
それでも北風が止むと春を思わせる日差しが。春三月。怠惰の我が身に、鞭をくれねば!

■二十四節気<雨水>   七十二候(四候.五候.六候)

    2月19日は雨水       (啓蟄 3月6日)

・四候 (2月19日)  ・つちが うるおいおこる
              土が湿り気を帯びてくる

・五候 (2月24日)  ・かすみ はじめて たなびく
              春霞がたなびき始める

・六候 (3月1日)   ・そうもく もえうごく
              草や木が芽吹き始める

 激しかった夜来の雨嘘のように上がるもわが心、暗闇にあり。仕事に逃げ込む不埒な心を嗤い、
見張りの「もう一人の自分」が攻め立てる。手は止まり作業も捗らず。我慢……しかない。

■二十四節気<立春>  七十二候(一候.二候.三候

●2月4日は立春             (雨水  2月19日)

     ・一候 (2月4日)  ・とうふう、こおりをとく
                    春風が吹き氷を解かす
・二候 (2月9日)  ・うぐいす、なく
              鶯が鳴き出す
      ・三候 (2月14日) ・さかな、こおりにあがる
                     魚が氷の間から姿を現す

 鳩山の枯野。寒空、一切の葉を落とした木々の枝がくっきり。常緑樹も萎れ勢いは無い。ロウバイの香しさが消え、梅がプチッと
はじけ始めていた。幾分か柔らかになった光の中に春の訪れを感ずる。が、ぼくの心は今や冬真っ只中。芳しくないこと、
身に降りかかる哀しいこと……、暗澹たる思いに沈み、浮き上がる気力もなし。制作空間に身を押し込めて自ら鞭打つしか、
癒しはあり得ない(かった)ことはぼくの人生経験上の結論なのだが……。それさえも……今は。

1月のアトリエだより

■二十四節気 <大寒>   七十二候 (七十候.七十一候.七十二候)

●1月20日は大寒

・七十候 (1月21日)    ・ふきのはなさく
                 蕗の花が咲く

・七十一候 (1月25日)  ・みずさわあつくかたい
                 沢の水も寒さに氷る

・七十二候 (1月30日)  ・にわとりとやにつく
                 鶏が卵を抱く
     


 明けましておめでとうございます
 穏やかな一年で ありますように

      平成23年元旦

    [日々新生 日々創造]


■現代童画展出品作 (上野の森美術館)


   
・PAPA'S VEHICLE              ・MOTHER'S VEHICLE

■二十四節気 <小寒>  七十二候 (六十七候.六十八候.六十九候)

●小寒   1月6日

・六十七候 (1月5日)  ・せりさかう
                  芹が青々と生える

・六十八候 (1月10日) ・しみずあたたかさをふくむ
                  泉に温かさが残っている

・六十九候 (1月15日) ・きじはじめてなく
                  雉がメスを求めて鳴く
      


12月のアトリエだより

MERRY CHRISTMAS

   

 師走でなくとも、アタフタ……。安らぐ時なきまま歳が暮れようとしている。嗚呼………。
 [日々新生・日々創造]  を胸に抱き歩むも、我が羅針盤、現実路線に針路。頑な。
 ”静かな創作の日々”は夢か!今年、描いた板絵の少なさよ……情けない。
  自省自戒の念で多分また大晦日の深酒……。進歩ないなあ。

■二十四節気 <冬至>  七十二候 (六十四候.六十五候.六十六候)

    12月22日は冬至         (1月6日は小寒)

・六十四候 (12月22日)      ・ふゆ しょうじ なつかる
                      冬生じ夏、枯る

・六十五候 (12月27日)     ・しか つの おつる
                      鹿角落つる

・六十六候 (1月1日)       ・ゆき わたりて むぎ のびる
                      雪下りて麦のびる


■『紋型切り紙』の研究   『紋型』から『切り紙』へ

 江戸時代は寺子屋でも教えていた紋切り型あそび。明治、大正、昭和……小学校の図工教科書で
どう取り上げられて来たかを調べている。(昭和30~60年代は盛んだった)平成の教科書ではごく小さく載っている程度。
姿が消えたも同然だ。
 紙を折りはさみで切る。開くときの驚き、ワクワクする遊びだ。壁面装飾、カード、モビールにと使い道は多く、折り方の
工夫やカットの技術、ポンチの活用など奥が深い。1回折から4回折まで、サンプル作品を100は作ったか。
 今回は1、2、3、4回折りまで学生に試させたが、蛇腹折り(屏風折り)は連続模様として別に時間を設け制作させる。
時間があれば切り絵にも挑戦させたい。例としてデンマークの童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの切り絵でも
見せようか。学生に思う存分自由に紙を切らせてみたい。


・創作切り紙
 中央の「二つの馬蹄に挟まれた四葉のクローバー」は、明治39年1月1日小山内薫がドイツから
森林太郎に宛てた年賀状にあった図案をもとにデザインした。
 上下の作品は、切り紙「一回折り」で制作

■二十四節気 <大雪>  七十二候 (六十一候.六十二候.六十三候)

       12月7日は大雪         (22日は冬至)

・六十一候 (12月7日)      ・そら さむく ふゆと なる
                      天が塞がり冬となる

・六十二候 (12月12日)     ・くま あなに こもる
                      熊が穴に入って冬眠する

・六十三候 (12月17日)      ・さけ うお むらがる 
                      鮭が群れをなして朔上する


11月のアトリエだより


■二十四節気 <小雪>、 七十二候 (五十八候.五十九候.六十候)

   11月22日は小雪           (大雪は12月7日)

・五十八候 (11月22日)      ・にじ かくれて みえず
                      虹が見えなくなる

・五十九候 (11月27日)     ・きたかぜ このはを はらう
                     北風が木の葉を吹き払うようになる

・六十候 (12月2日)        ・たちばな はじめて きばむ 
                      橘の葉が黄葉し始める

 冷たい雨。キャンパスの舗道にイチョウの葉が張り付いている。踏みつけられ潰れた銀杏も。研究室、先生の在室ランプも
殆ど消えた9時半、大学を出る。寒い。ノートパソコンと大量の制作教材の入ったバッグを肩に、傘を風に飛ばされないように
傾げ持ち駐車場まで歩いていく。

 自分の制作が出来ない日々を送っている。このところ学生に見せる教材サンプル作りに明け暮れている。が、これはこれで面白い。
「PEEK・A・BOO(いないないばー)」カードのアイディアを考え、試作するのだが、1枚の紙の可能性追求でもあり、奥が深い。
基本形は裏、表の変化。回転(たとえば、こぶた→たぬき→きつね→ねこ)。めくり。折りなど。 今回は”めくり”に挑戦させる。
 「カーテンの向こうは?」カーテンを開けるとどうなるか……。
この制作と遊びは、想像力を鍛えることになる。学生は日頃、「正しい答え」を求めて学習する。自らの考えを述べたり、表現したり
する機会は少ない。造形表現活動を通じて、答えのない世界もあることを、その大事なことを解ってもらう……それも狙いだ。
(NOV.22)

 ■ 現代童画選抜展 (地方巡回)作品戻る

  
・どんぐり嵐 (F30号)

 現代童画展選抜展は銀座アートホールで開催後、四国、関西を巡った。
今年の出品作は「どんぐり嵐」  鳩山のアトリエに埋めたクヌギのドングリ(近くの公民館の庭で拾った)はあちこちで
芽を出し、今漸く腰の丈。
 昔からあったマテバシイは剪定の失敗からか元気がない。毎年降るようにドングリを落とすが今年は地面にパラパラ
見かけるくらい。マテバシイのドングリでドングリ煎餅を焼いたことがあるが香ばしくてうまかった。クヌギのドングリは
食べられないけれど、ヤジロウベイやコマが作れる。なんといってもあの形が良い。
 我がクヌギがドングリをつけるのは、ずうっとずうっと先のことだろう。下草を狩り、水を遣り幼木を育てる……”夢見”が楽しい。

■二十四節気 <立冬>  七十二候 (五十五候.五十六候.五十七候)


    11月7日は立冬    

・五十五候 (11月7日)        ・つばき ひらき はじめる
                       山茶花の花が咲き始める

・五十六候 (11月12日)      ・ち はじめて こおる
                       大地が凍り始める

・五十七候 (11月17日)       ・きんせんか こうばし
                       水仙の花が咲き始める

■「紋型切り紙」を見直そう。けっして”紋切り型”のつまらぬ造形ではない

 仕事場は紙くずの山。このところ「紋型切り紙」の原稿書きで色紙を折っては切る、折っては切る……。1回折りから5回折まで、
様々なモチーフをデザインしている。「紋型切り紙」は江戸時代は寺子屋でも教えていた。紋所を染めたり、商売でも子どもの遊び
でも紋切り型はポピュラーなものであった。明治大正、そして昭和の20年頃までは図工(当時は手工)の教科書にも載っていた。
”自由な制作”が教科書の編集方針に変わるとともに、紋型切り紙は姿を消した。昔からある紋や、定番の梅や桜や桃の花を切っ
ている限りでは”紋切り型”の名の如く、創造性、独創性は無いとの謗りは免れないだろう。が、日常性(紙一枚、ハサミがあれば
出来る)伝統の美しさ(継承)、幾何学性、手技の練磨(微細な運動----右脳の活性化)、コミュニケーション能力(教えあう母と子、
友達)など、得るものは多く、肝心の創造性に於いても、自由な造形をテーマにすれば、幾らでも独創的な、たった一つだけの作
品が出来るわけで、子どもに是非ともやってもらいたい造形表現の一つといえる。

 1枚の紙でどれだけ遊べる?表現できるか? ……ゲーム機世代の子ども達を導くのは、大人の責任だ。素材の可能性を
最大限に引き出せるか否かは、想像力と創造力それに感受性次第。生きることはそれらを磨くことと考える。

■第36回現代童画展(上野の森美術館)

  今年と来年は東京都美術館改修工事のため、会場が上野の森美術館となります。お間違えにならないように。

 詳細は「展覧会」のページをご覧下さい

■ 『相生祭』にて講演します  -----きみはやだもんを しってる?-----

 相模女子大学FDグループ企画 「こんなこ いるかな」のすべて
 「やだもん  もぐもぐ  たずら  ぶるる」ファンも、「こんなこ」を知らない方も、どうぞお越しください。

 11月3日  1時~1時40分  於 : 相模女子大学7号館723教室

 
   
なぜ、今 『こんなこ いるかな』 か………

   

10月のアトリエだより

■現代童画展(上野の森美術館)

 出品作の板絵が完成した。東京都美術館が改修工事のため、《現代童画展》は今年と来年、上野の森美術館で開催される。

■二十四節気 <霜降>   七十二候 (五十二候.五十三候.五十四候)


   霜降は10月23日     (立冬は11月7日)

・五十二候 (10月23日)     ・しも はじめて ふる
                     霜が降り始める

・五十三候 (10月28日)     ・こさめ ときどき ふる
                     時雨が降るようになる

・五十四候 (11月2日)      ・もみじ つた きばむ
                     紅葉や蔦の葉が黄ばむ

■講演会準備に資料整理、パワーポイントつくり……時間が足りない

 11月3日は《相生祭》。FDグループ主催の講演会で、ぼくは『きみは、やだもんを しってる?』と題して話す。
制作の裏側のすべてをラフ(下書き原画)などを展示しての講演。『こんなこいるかな』は、1986年から十数年にわたり放送され、
絵本も数多く出版された。現役の学生も、当時母親だった年齢層の方も聞きに来ていただけたらと思う。
 ただ“可愛い”だけではないキャラクターの制作意図、NHKの教育目標、制作上悩んだ点、、そして何故今、”こんなこ”なのか?
など色々話したいことは多い。

■仕事の合間、息抜きは大好きな「工作」

   
 ・メモボード完成。さあ、何を何を書き込む?  ・上部には鉛筆刺しの穴   ・左の改良型 垂直鉛筆スタンド

     

・ダボでの接木……この辺りが自慢! ・ステンシルの授業で学生に見せたサンプル ・左の跳ね上げ式バインダー金具のものは機能性抜群

 板絵の完成が近づいた。筆遣いが細かくなり遅くなった。今日は終日雨。時おり雨脚が激しくなる。息抜きに外にも出られない。
そこで”工作”。"図工少年"だったぼくは絵描きか大工さんになりたかった。その大工仕事を楽しむ。あり合わせの材料を使って
メモボードを作った。今までいくつも作っており、渋谷にも自宅にも大学の美術室や研究室にも置いてある。が、又一つ拵えた。
 いいアイディアが浮かんだら即書き付ける……為だが、肝心のアイディアがそうそう浮かんでこない。
もっぱら忘れ物対策に使われている。情けないなあ。
 ステイン塗料を刷り込んで完成。早速、完成間近の板絵を眺めつつ、作品タイトルを練る。メモボードの重量感が心地よい。
これで、「この絵には、これしかない」と思えるようなタイトルが浮かべば万々歳だが……。
(Oct.9)

■ハローウインをモチーフに切り紙トレーニング……学生の積極性、応用力を感じた

 絵画造形表現活動応用の授業。保育、教育現場で図画工作、クラフトに使う、使える紙の説明とサンプル帳を作らせる。ラシャ紙、
エンボス紙、カラーケント紙、ミューズコットン紙、マーメード紙、レザック紙、上質紙、工作紙、波ダンボール紙、LKボード、
でんぐり紙等二十数種類切ったり破いたり描いたり、紙の特性を考えながら台紙に貼り付けていく。

 …………紙の基礎知識も。「紙って、そもそも何?パピルスは”紙”ではない」「紙が現れる前は何に書いていたの?」
「紙のサイズにA版、B版があるのは何故?」「紙の裏表の見分け方」「ティッシュペーパーが水に流せないわけ」
「コート紙は”化粧”しているって本当?「奉書、麻紙、杉皮紙など和紙について」「紙の原料は?」「牛乳パックは何から
出来ている?」等等。

 それだけではつまらないので、実習はハローウイン飾り作り。  紙を蛇腹折にして、ハローウインの”主役達”、パンプキン
{ジャックオーランタン}、コウモリ、魔法使い、ゴースト、ネコなどを切っていく。何体も連なるかぼちゃやコウモリに学生は
大喜び。型紙を渡しての制作だが、各自自由に切り出すから頼もしい。提供した魔法使いの型紙はお婆さん姿だが、ある学生は
「紋形四ツ折り」を使って5人の魔法使いのサークルを作った。それもお婆さんではなく可愛らしい少女のサークルだ。応用力の
芽生えが嬉しい。夢中になっての制作は必ずや身になるであろう。
 

■二十四節気 <寒露>   七十二候 (四十九候. 五十候. 五十一候)

10月8日は寒露      (10月24日霜降)

・四十九候 (10月8日)     ・がん きたる
                    雁が飛来し始める

・五十候 (10月13日)     ・きくの はな ひらく
                    菊の花が咲き始める

・五十一候 (10月18日)    ・キリギリス とに あり
                    キリギリスが家の中で鳴く  

  現代童画展出品作制作のため鳩山詣が続いている。鳩山では終日描くのみ。外に出て萩の花を愛でるゆとりも無いのが
 残念である。白萩、宮城野萩、だるま萩……花のトンネル?………が出来ているはずであった。ところが、雑草刈を依頼して
 おいたシルバーさんが、萩の木も殆ど刈り取ってしまっていた。かろうじて茶の木の間から伸びた萩が花を風に揺らせている。
 萩、薄(ススキ)、桔梗、撫子、女郎花(オミナエシ)、葛、藤袴   秋の七草……このうち、野で桔梗は見かけない。絶滅危惧種と聞く。

  絵は完成が見えてきた。絵柄は板絵の性格上(彫が施されているため)大きな変更は出来ない。色だ。色でもって情感の表現をするのだが、
 塗り重ねによって絵の表情はがらっと変わる。好ましい、望ましい心象風景が現れるまでひたすら塗り続ける。描く行為はイメージが画面に
 現出するまで停まらない。

9月のアトリエだより

■秋の収穫を喜ぶ


  
・クルミ(今年の6月撮影)      ・実をもぎ皮を剥いた       ・胡桃の実(中央2個)
 
・柚子も沢山実をつけている        ・栗は拾う時間がなくて残念

 2,3日前は30度。今日は十数度の涼しさ。朝からアトリエに籠り板絵を制作する。今年は猛暑のせいかハチが増え
飛び交っている。スズメバチにアシナガバチ。多くて恐いほどだ。アトリエにも舞い込んでくる。ラケット状の電池式蚊取り器で
退治するのだが、空振りすると大変。ハチは攻撃されたと思い攻めてくる。今日もそうだった。一匹見事命中と思ったら、背後から
耳をかすめるように別の一匹が飛んできた。二匹部屋に入っていたのに気づかなかったのだ。危ない危ない!
 先日地塗りを終えいよいよ”描ける”。好ましい状態になるまで幾度と無く色を塗り重ねる。ぼくの唯一の贅沢か、絵の具のチューブが
いくつも空になって行く。下層に沈んでいく色は決して無駄ではない。重層的に”我が望みの色”をかもし出してくれるのだから。
この”色遊び”は小学時代の絵の時間、ワクワクして描いた、あの楽しさと同じだ。仕上げるのが目的ではなくそのプロセスが
幸せな心持にしてくれる。この時のぼくは多分、最高に生き生きしていると思う。

 「気、澄み渡る……」秋晴れ。台風が来ているそうだが、鳩山は嘘のように上天気。ヒガンバナの群生、原色の赤が目に痛いほどだ。
自分では為し得ずシルバーさんに頼んで刈り取ってってもらった野に出れば、木の葉はも早散り始めていた。栗の実も鈴なりだ。少しだけ
叩き落して集める。石造りの釜で新聞紙を燃やして焼き栗。3つぶほどだが、初物の熱々を味わう。これも我が贅沢。
 胡桃も気になっていた。昨年は収穫時期を逸してしまった。今年こそはと、来るたびに注意していた。いつ、もいで良いのやら……。
木の根元に一粒落ちていた。果肉からクルミが露出している。今が収穫時と判断。収穫といっても6粒のみだけど。クルミは
仲良く二粒ずつ寄り添うように成っている。上の写真(中央)は果肉を半分取り除いたところ。胡桃の殻を一粒一粒取り出すのは
大変だ。この後、割る工程があるし……。食べるのは簡単だが……恵みには感謝しよう。
(Sep.25)

■二十四節気 <秋分>   七十二候 (四十六候、四十七候、四十八候)

  秋分は9月23日 

・四十六候 (9月23日)    ・かみなり こえを おさむ
                    雷が鳴らなくなる

・四十七候 (9月28日)    ・ちっちゅう とを とざす
                   虫が地中に巣籠りする

・四十八候 (10月3日)    ・みず はじめて かる
                    田の水を落として稲刈りの準備をする

 HPの更新もままならず。慌しく活動の日々。落ち着いて制作なんて夢のまた夢。心やすまる時なし。情けない。

 渋谷の仕事場→テニスコート(午前中二時間)→大学(レジュメ印刷)→自宅(今、HP更新)→鳩山アトリエへ。
創作に割り振る時間はまったくなし。嘆かわしい!明日は12時間はアトリエに籠り絵を描く決意。

創作といえば、紙皿で天使を作った。ペーパープレートクラフト、。そのゲージも学生の数分だけ用意(レジュメは豪華カラー版)したから
時間が足りなくなるわけだ。真っ白い紙皿の天使はシンプルで清らかだ。学生はきっと喜んで制作すると思う。手を使う。作って作って……
学生は体験を通じて何かを学ぶだろう。

■二十四節気 <白露>   七十二候 (四十三候、四十四候、四十五候)

     9月8日は白露        9月23日は秋分

・四十三候 (9月8日)     ・くさつゆ しろし
                   草の葉に白い梅雨が宿る

・四十四候 (9月13日)    ・せきれい なく
                   セキレイが鳴くようになる

・四十五候 (9月18日)    ・つばめ さる
                    ツバメが 南の国に 去って行く

 第三回『子ども教育学会』出席後、鳩山へ。板絵制作に集中する。このところ頻繁にアトリエを訪れるが、
それでも進行遅く焦る。眠る時間以外は彫っている。なんとか地塗りまで済ませた。この後も、塗っては彫る作業が続く。
板絵のしんどさは、終わりの時間が分からないところだ。今やっと”キャンバス”状態。やっと”描き”に入れる。”やっと……”の
ところまで漕ぎ付けたのに、アトリエを出なくてはならない。大学の仕事が待っている。
 秋学期まで一週間。すべての時間をその準備のために使うが、それでも寸暇(あるだろうか)を見つけてアトリエに
向かうかもしれない。頭の中に作品の”骨格”がデーンと存在し、板絵作業の続行を促している。

 栗の実が落ち始めた。古い木は元気ないが(2本は切り倒した)10年ほど前植えた3本は今年も”豊作”だ。 残念だが、
栗拾い(実際には口を開けたイガを叩き落す)する暇さえない。少しだけでも拾おうか……。
 クルミは繁る葉の間から2個見えていたが、かき分けてみると5個!暗緑色の7~8センチ大の堅いボールが枝に
突き刺さるように付いている。昨年は収穫する前に落果したのか、動物に食べられたのか姿が消えてしまった。

 この次鳩山へ来たときに実をもごう。クルミはいつ収穫してよいのかタイミングが分からない。表面の緑が段々黒ずんでいくが、熟れる
果実と違い大きな変化が無いから。いつもは袋で買うクルミ(カリフォルニア ウオルナッツ)だが、木に実るその姿は愛おしい。
割って「ウイスキーの友」に……、ゆとりのない日々の生活、夢想がしばしの慰めだ。

■《防災の日》はスズメバチ退治!


    
 ・写真には写っていないが、消防署の車の前には物々しく救急車が待機  ・防護服でいざ出陣! ・スズメバチが飛び交う中、駆除開始
   
・戦果……6層のスズメバチの巣  ・不気味に口を開けたチャンチンの老木(巣が大きかったことを物語る)

 アトリエのシンボルツリー、チャンチンの老木(香椿)が枯れた。朽ち果てる寸前の幹にスズメバチが巣を作った。アカゲラが開けた穴が
日ごとに大きくなっていく。獰猛なスズメバチと、すぐ分かったがタカをくくっていた。いや、恐くて近づけなかったのだ。数百匹と群がる
スズメバチの大群、見るに見かねて役場に駆除を頼んだ。

 消防署の車に、救急車。総勢8名。防護服に着替えた隊員2名。3名はバドミントン(?)のラケットを持って構える。ハシゴを架け
ほこらに薬品をぶち込む。窒息死させるのだという。そのあとバールで穴を大きくし巣を破壊、取り出した。何と6層も!
作業員は「これは大きいほうだ。巣に戻ってくるハチがいるから、暫くは近づかないように」。救護員は「今までに刺されたことは
ありますか?二度目なら死に至ります(ショック死)」と言い残し、引き揚げていった。スズメバチは恐い。
刺されて命を落としたというニュースも耳にする。   ふー、これで一安心だ。役場の方々、消防隊員に感謝感謝。

 アトリエに入っても気になって仕方ない。デッキに出て、壊した巣の後を双眼鏡で見る。隊員が言った通りだ。スズメバチがまた群がって
きている。巣がなくなったことを諦めきれないのか、穴から出たり入ったり慌しい。大丈夫だろうか?又巣を作らなければ良いが。

 板絵制作に入ったのは夕方。有線放送の『元気に遊んでいる良い子の皆さん、暗くならないうちに帰りましょう』が聞こえてきた。
「カラスウリの花が開くのを見たいなあ……」、「ビール&読書もいいなあ……」  ダメダメ!仕事仕事!、集中せねば……誘惑に蓋を
して……このところの低下した気力にカツを入れるべく水風呂、ねじり鉢巻! さあ、やるぞー!!!!
(Sep.1)

8月のアトリエだより

■《愛媛の酒を楽しむ会》

 京王プラザホテルで開催された蔵元18社出展の《愛媛の酒を楽しむ会》。畏友の杜氏、宇都宮君もブースを構えると言うので
出かけた。「千鳥」とならんで「月の滴」も展示されていた。「月の滴」はぼくの板絵(同名のタイトル)をラベルに用いた大吟醸酒だ。
会場はほぼ満員の盛況。利き酒しながら酒造主や日本酒党との歓談を楽しんだ。案内状通りの”ビュッフェディナー”だったが、
ぼくはテーブルから動かず、じゃこ天をかじったのみ。客の応対に忙しい宇都宮君とは一言二言話したのみ。握手して会場を後にした。

 9月には大学。秋学期が始まる。その準備。板絵制作もある。造形遊び本の原稿も。明日は鳩山だ。アトリエの掃除も終わらせなくては
ならない。暑さで気力が萎えている。巻き返さねば!

■二十四節気 <処暑>   七十二候 (四十候、四十一候、四十二候)

  8月23日は処暑  (9月8日白露)

・四十候 (8月23日)     ・わたの はなしべ ひらく
                   綿を包むガクが開き始める

・四十一候 (8月28日)   ・てんち はじめて さむし
                   天地の暑さがようやく収まる

・四十二候 (9月2日)    ・いなほ みのる
                    稲が実る

 暦の上では処暑なれども、炎暑衰える気配なし。鳩山も暑い。板絵制作準備に訪れたが、暑さで退散する羽目に。
それでも掃除ぐらいはと収納庫をあけて溜息!思っていた以上にパネルがカビだらけ。パネルのみならずシナベニア板
すべてに白や黒のかび。炎天に日干しをする。幾度もパネルやベニア板を運ぶ。布で拭き落としながらの作業に体中の水分が
なくなるほどの
汗を流した。
 胸が苦しい。深呼吸すると胸の上が板で覆われているような感じだ。カビを相当吸い込んだのだろう。なぜマスクを着け
なかった……、後悔しても後の祭り。いつもカビには悩まされているが、今回は大事だった。肺の中にカビ菌が育っている
のでは……ああ、胸が気持ち悪い!水道にホースを繋いで肺を隅々まで洗いたいなあ。

 

 パネルを道路にならべて、”熱消毒”。枚数100枚ほどか、裏返してカビを殺す。湿気対策の名案なく、毎年板の天日干しに
時間を取られている。進歩なし!創作欲が削がれるし時間の無駄だ。東京への帰路も、今日一日の働きの虚しさが頭にあり
情けない思いでハンドルを握っていた。
 我がアトリエが建つのは坂の下、更に半地下状態で湿気るのは仕方ないことだが、我慢我慢!贅沢を言うのはよそう。
”静かな小鳥の楽園”だ。「小鳥の帰る島」ではないか。   
                                          「小鳥の帰る島」は三十数年前現代童画展に出品した作品名


■交通渋滞覚悟で鳩山へ。



  
・「胡桃のヨットとブリューゲルの風車」    版画

 講演会では板絵作品も何点か提示する。『胡桃のヨットとブリューゲルの風車』もその一つ。
ネーテルラントの画家ブリューゲルは1560年、《子どもの遊技》に91種類もの子どもの遊びを描いた。ブランコや、水鉄砲、竹馬など
分かりやすい遊びから、樽揺らし(シーソー)、煉瓦積み遊び、指骨あそび、目隠し鬼のスリッパ取り、洗礼ごっこ、お粥のかき混ぜっ
ごっこなど、フランドル地方の風俗、習慣色鮮明なもまで。
 その中につくる遊びはただ一つ。「胡桃の風車」だけ。ぼくは絵を見て実際に作ってみた。それを板絵に描いたのが『胡桃のヨットと
ブリューゲルの風車』だ。10号Sサイズの小さなものだが、横浜の講演会で、胡桃の玩具ともども見せたいと思う。
 炎天下、テニス3ゲームの疲れた体で、交通渋滞を恐れての運転、炎暑!気温が高いというより、この蒸し暑さ!鳩山のアトリエに
着いても、頭がボーとして他の仕事できず。ただ作品を積み込み帰途へ。

 楽しみと言えば、庭で工事中の「井戸」の進行状況を確かめられたこと。誰も引き取り手が無いような巨大な砂岩の円柱形井戸枠を
破格の安値で購入。それを据え付ける土台工事を頼んであったのだ。井戸枠を何に使うか?地面を深く掘ろうとも、井戸が湧く保障もなし、
水をくみ上げる装置もないし。手押しポンプ設置も考えたが、これは井戸からの配管が必要で、大工事になる。そこで考えた。

名案浮かべり!!!!!この井戸枠の使途は?工事屋さんもぼくの描いた設計図を見て首をかしげた。構造を口で説明し、
わかってもらう。設置場所は庭の斜面だから、構造を描いた図面が理解できなかったのだろう。

< “名案”は工事終了後、この欄で答えを“白状” >   ヒント………枯れ葉を入れる=○○○作り


 工事は7割がた出来ていた。構造体はほぼ完成。煉瓦も積まれ後は配管と、井戸枠の運び込みだ。
 あちこちに蝉のぬけがら。ミンミンゼミの鳴き声が蜩に変わった。アトリエのシンボルツリー《チャンチン》が、枯れた。アカゲラだろうか、
突いた穴が二つ寂しそう。主は見えず、チャンチンは今、アシナガバチの城となっている。ヤマカガシも手入れの無い庭で我がもの顔だ。
仕方ないことだが……。
(Aug.15)


■板絵運搬、準備を考慮しホテルの予約を入れる

 18日の講演会会場はは横浜のホテル。当日車で行くつもりだったが、板絵、絵本、レジュメ(かなりの重量)の運び込みなどを
考え、前日宿泊することにした。『表現する喜び』と題し2時間の講演。一部<板絵の仕事>二部<絵本・雑誌の仕事>。いま資料
整理に忙しい。秋の現代童画展出品作(上野の森美術館)にも取り掛からねばならない。その前に、造形遊びの
指導本の原稿も。明日は大学へ。
 風邪は何とか治まりそうだ。さあ、またフルスロットルで走らねば……。暑さにめげてはいられない!
(Aug.11)


■夏風邪!熱がある。仕事、スローペースにダウン!

 疲れが溜まっていたのだろう、風を引く。頭痛が続き仕事ストップ!それでも、講演会の準備はしなくてはならない。
パワーポイントに板絵作品や絵本を取り込む作業。レジュメが先だが、今、考える力は無い。
 講演会には板絵も持参して行こうと思う。その作品の決定は迷ったが、『いこい』『たたかい』(F50 1981)とする。
20年も前の作品だ。100人レベルの会場での可視性を考えると、”大柄”が良いだろうと。近作の小品も2~3点加える予定。
  


■二十四節気 <立秋>   七十二候 (三十七候、三十八候、三十九候)

 立秋は8月7日  (処暑は8月23日)

・三十七候 (8月 7日)    ・すずかぜ いたる
                   秋風が吹き始める

・三十八候 (8月13日)    ・ひぐらし なく
                   蜩が鳴く

・三十九候 (8月18日)    ・のうむ まとう
                    濃い霧が立ちこめる

■鳩山アトリエは伸び放題の木々に隠れる

 雑草生え放題、手入れする暇なく荒れ果てた鳩山のアトリエの庭。庭と言うより原野かジャングルか。それでも、植えまくった
果樹、花木が育っている。”植えまくった”というのは、畑にない樹木の苗木を見つけると、手当たり次第手に入れ植えていった
ということ。柿、リンゴ、スモモ、キウイなど果樹のみならず、ユズリハ、クロモジ、リンデン(西洋菩提樹)、イタリアンパイン、メープル、
それに後先考えずに(大木になったらどうしよう)ブナやトチに、ヒノキやケヤキまで植えた。紅葉が好きだからモミジもハゼも。
 この間は大島桜も植えた。桜は昔からある山桜、それに、染井吉野が昨年から咲き出した。大島桜の”ねらい”は花より葉っぱだ。
この葉で桜餅をつくろうという算段。二本植えた大島桜(知人が種から育てたものを移植した)が楽しみだ。
 ナツメ、サルナシ、山葡萄は放っておいても育つが、心配はナナカマド。一本を枯らし、昨年植えた二本も危やしい。
ナナカマドの赤い実を小鳥にとの思いは今秋も叶いそうもない。

■夏風邪?鼻クシュンクシュン……

 オープンキャンパスで張り切りすぎたのか(満員御礼、大盛況)、雨の中のテニス(サーブ打ち込み200球)が
ハードだったのか、はたまた熱中症か、鼻水が止まらない。夏は大好きで暑さにも強いぼくも、”35度”には閉口!
只今ギブアップ状態。それでも休めず動き回っております……。○○○○、暇なしか!

■クレヨンまるDVD <ハーブおばさんのスイカのパラソル>

 『幼稚園』(小学館)9月号付録に「夏チャレンジDVD」がついている。アンパンマン、ドラえもん、お話、歌、水族館に行こう、
忍者修行など盛りだくさんの120分。その中に「クレヨンまる」も納められている。まだワルズーやミイラばあや、それにチェリーや
ふるもとくんなど友達が登場する前の、最初期の作品。「ハーブおばさんのスイカのパラソル」の再録。

 ここ2~3年前から、幼児雑誌にDVD(その前はVHSビデオ)がつくことが多くなってきた。”お得感”はあるが、その分雑誌の
ページ数は減っている。本文が充実してこその雑誌だ。
 毎号付く”本物付録”(表紙にもこの文言が載っている)も、手替え品替えのアイディア玩具ではあるが、創造性を育むような物は
少ない。雑誌の黄金期70~80年代の付録と比べると、見た目の豪華さとは裏腹に、<創意工夫>する心が育つとは思えないような
ものばかりだ。
 キャラクターを付けた刺激的な玩具(多くはICやボタン電池を使っている)は子どもには魅力だろうが、その興味は長続きしない。
持っているだけのもの、あるいは遊び方を限定する玩具に想像性、創造性がないからだ。

■2010 オープンキャンパス・模擬授業・アリガクン参戦!


  

 8月1日は相模女子大学のオープンキャンパス。真新しい建物、マーガレット本館5F2152教室でぼくは授業を行う。
昨年も一昨年も満員の盛況ぶり。補助机を出して対応した。当節の風潮として保護者の方々もお見えになる。ご父兄をも
納得させる講義でなくてはならず、頭をいためるところだ。(本来は制作を通じて自己表現し、体感が人間の底力を培っていくものだが)
 今回はアシスタントの三年生が5名参加の強力体制だ。高校生諸君に「作る喜び、表現の素晴らしさ」を教えたい。

7月のアトリエだより

■夏の法要は大変だ!寺は、今話題の植物園の傍らにあり

 連日35度以上の「猛暑日」。先日は文京区にある寺で法要がありでかけた。本堂での僧侶の読経の後、炎熱の墓へ。
参会者はみな汗を滴らせている。お坊さんも配慮して短めの念仏。くらくらして倒れそうな暑さ、代わる代わる墓に水を
かけたが、かけた途端から乾いていく。
 墓石には、○○家ではなく、倶会(旧字)一拠(旧字)と彫られていた。
 寺から程近くに東京大学附属小石川植物園がある。いま、世界最大の花ショクダイオオコンニャクが開花し、大賑わいとの
報道。一万人以上が訪れ入園券の販売をストップしたとも。目と鼻の距離まで来ており、見ていこうか迷ったが、この暑さに
退散。 それにしても集まった10000人……。話題性……、本当に前々からこの植物に興味を持っていた人はどれくらい
いたんだろう? いろいろ考えてしまう。

■二十四節気 <大暑>  七十二候(三十四候、三十五候、三十六候)

暑中お見舞い申し上げます。 23日は大暑! ”文字通り”を越していますよね。でも、
暦では大暑の次は立秋…………、”りっしゅう”の語感はいいねえ。暑さに負けませぬように、ご自愛専一に。

  7月23日は大暑    (立秋は8月7日) 

・三十四候 (7月23日)    ・きり はじめて はなを むすぶ
                   桐の花が実を結ぶ

・三十五候 (7月28日)    ・つち うるおいて むしあつし
                     大地が熱を持ち蒸し暑くなる

・三十六候 (8月 2日)     ・たいう ときどき ふる
                    大雨が時々降る

 猛暑日!夏が好き、熱さには強かったぼくも流石に閉口!先週まで頑張っていた”金曜テニス”も断念する。行かれないことも
ないが、コートに誰も集まらないだろうし。明日は法事がある、黒服の準備をする。汗だくだ。

 HPの更新もできぬまま、8月1日のオープンキャンパスの用意、18日の講演会の準備に明け暮れている。講演会は長時間だから、
パワーポイントも活用する。そのためのデータ取り込みに大わらわ。

 演題は『表現する喜び』一部は<板絵・版画……三つ子の魂、何とやら>で「幼少期の先生との出会い、環境、素材について」から現在に至る
表現人生を話す。 二部は<絵本の現場から>と題して、まず 「こんなこいるかな」誕生エピソードを。NHK2歳児テレビ番組研究会の教育目標などを紹介しつつ話す。これはぼくの基本的考え方、すなわち「色んな個性、それぞれを認め、一人ひとりを伸ばす」と、思いは一緒だから。
 研修会は全国から集まる図工美術専門の先生方だから、絵本の様々な作法、制作技法も。更には小学校の先生方が受け持たれる子どもが、どのような環境に置かれて育ったのか、「月刊幼児雑誌の変遷」から見る試みも。30年間の幼児雑誌の本文はもちろん、殊に付録に着目。付録は
おもちゃだから、子どもに一番身近なもの。その変わり様から様々なことが見えてくる。大量の雑誌や付録の実物を提示しながら”驚くべき実体”を
知ってもらおうと。

 大学の授業も大詰め。セメスター制は???だ。半年15回の講義(演習)では物足りない。いきおい詰め込むことになるが、学生が深く考え、自主的に制作するまでには至らない。学生は頑張ってついては来ているが、「これでもか、これでもか」と言うくらいやらねば力にならないと考えるぼくには
不満が募るばかりだ。”思いっきり””徹底的”にやりたいなあ……、学生には学ぶ時間が足りなすぎる。嗚呼。

■おでかけクイズ絵本『グー・チョキ・パーのいじわる魔女を追いかけろ』表紙初校あがる

 『グー・チョキ・パー』はお話とクイズ満載の絵本。<おまけクイズ>のボリュームもたっぷり。子どもを
長い時間楽しませたい。何度も絵本をめくって、隠されているものを探す楽しみも。
グー・チョキ・パーは腕白三人組。描いた絵から可愛らしい女の子が飛び出してくる。名前は『おやつちゃん』。
いじわる魔女『ズルーイ』との知恵比べ!乞うご期待!
(Jul.15)


■二十四節気 <小暑>  七十二候 (三十一候、三十二候、三十三候)

 7月7日 は小暑           (7月23日は大暑)

・三十一候 (7月 7日)    ・おんぷう いたる
                   暑い風が吹くようになる

・三十二候 (7月12日)    ・はす はじめて ひらく
                    蓮の花が咲き始める

・三十三候 (7月18日)    ・たか わざを ならう
                    鷹の子が巣立ちの練習をする

 現代童画選抜展終わる。今年は会場に行かれず仕舞い。出品作『どんぐり嵐』はこの後、坂出市民美術館展、神戸展で
展観される。お近くの方はご高覧を。
(Jul,5)

6月のアトリエだより

■現代童画会選抜展が開催されます

 「現童選抜展2010」開催。6月28日(月)~7月4日(日)
                        銀座アートホール
 詳しくは展覧会のページをご覧下さい。

■古いスケッチブックが大量に出てきた 厚手の粗紙


  
・粗紙32枚のスケッチブック。 27×34cm  POLARPUBLISHING/FINLAND

 絵本の原画やイラスト(教科書、雑誌、レコードジャケット、広告パンフ、百貨店ポスターなどに使用したもの)を捨てる。
ぎっしり詰まった紙袋を”仕分け”もせずに、幾つもゴミ置き場へ運んだ。見れば捨てるに忍びなくなるのが分かっているから。
版木の類もイラストを彫ったものから、版画作品まで山のよう。取っておきたい気も山々なれど、どこかで処分せねばと一大決意。

 大量の和紙や紙類はカビや黄変したものを除き取っておく。中に写真のスケッチブックの束があった。数十冊、購入は
40年程前だろう。なぜ買ったのか?おそらくスケッチブックの粗い紙質が気に入ったのだと思う。ザラザラしていて厚さもある。
真っ白とはお世辞にも言えないが(藁半紙か馬糞紙の趣)、風合いが良い。一、二冊使った記憶もあるが、戸棚の奥に眠った
ままでいた。ツルツル、すべすべのコート紙や白い紙が当たり前の子ども達に、この”自然な紙の色”を見せてやりたい。
クレヨンの”塗り””滑り”が全く違う。”粗末な”ザラザラ画用紙の復活を望む。

 何でも手に入る、恵まれすぎからは創造性は育たない。無いから工夫する、やっと手に入れたから大事にする……想像力と
創造力、この二つのソウゾウリョクは環境、人(導き)、そして素材(材料)で培われる。粗末なスケッチブックの山を見て
思った。物が無い時代に育ったぼくは幸せだったと。
(Jun.25)


■二十四節気 <夏至>  七十二候 (二十八候、二十九候、三十候)



    夏至は6月21日   (小暑は7月7日)

・二十八候 (6月21日)    ・だいとう かる
                     夏草が 枯れる

・二十九候 (6月27日)    ・しょうぶ はな さく
                     菖蒲の 花が 咲きはじめる

・三十候 (7月2日)      ・はんげしょうず
                     からすびしゃくが 生える
                     

■いつも、アップアップ。切羽詰っての仕事……ゆとりがないなあ。

 毎週木曜日は「自分の仕事日」としている。絵本制作、文書き、絵、研究といくつもメニューが多すぎて、大抵は
うまく行かない。時間を決めてやることを変えようとするのだが、仕事が不満足、区切りまで届かず延長となってしまう。
欲張り過ぎだが時間が足りないので仕方ない。睡眠時間も少なくてフラフラ状態……良いことではないなあ。
 今日は絵本から入ろう。原稿書き(草稿)、それにやはり気になるレジュメ資料を作り直さねば。講演会の演目コンテンツも
考えたい。オープンキャンパスのメニューも、その他もろもろ、一つ一つ片付けてとは思うのだけれど、その一つが重たくて……。
 昨日は小雨の中、キャンパスの植物の葉を採取した。キウイ、ドクダミ、ヤツデ……。「絵画造形表現」授業、スタンピングのためだ。
学生も色々な葉を持ち寄った。桜、銀杏、紫陽花、トマト、ヤマノイモ、柏、中に睡蓮なんてのもあった。残念ながら睡蓮は葉脈が浮き
出ておらず、スタンピングしてには向かないのであるが。
 学生は自然物(葉など)と人工物(キャップ、容器)のスタンピングを楽しんだ。7色のインクをローラーに付け素材を写し取る作業に
夢中……、そしてその”転写コレクション”をコラージュする。自由に再構成する。完全自由を与えられた学生の表現は光った。いくつか
目を見張る出来栄えの物があった。
 学生が制作自体を楽しんだ、その痕跡が作品なのだ。概念や意図しない無意識下のデザイン技法(AUTOMATIC……デカルコマニー、
フロッタージュ、ウオッシング、スパッタリングなど)を学んだ後の授業に、ぼくはスタンピングを選んだ。幼児造形教育の版画の元になる
スタンピングに、学生は時間を忘れて没頭した。その姿は無邪気に遊ぶ子どもと同じだ。幼児保育に携わらんとする者は子どもの心を
知らねばならない。作業に集中して子どもに還っている学生……、ぼくは学生が先生になって子どもに囲まれている情景を想像していた。
(Jun.24)

■リンデン(西洋菩提樹)の花にミツバチが……良い写真が撮れた

  
・リンデン(西洋菩提樹)の花の蜜を吸うミツバチ

 「絵画造形表現活動」の今回のテーマはスタンピング。あらゆるものにローラーでインクを付け写し取ろうというもの。
自然物は葉っぱなど。学生は思い思いの葉っぱを集めてくることになっている。ぼくも葉脈のはっきりしたものを用意する。
桜、イチョウ、ヤツデなどはキャンパスにある。珍しいところで、杜仲茶、サンシュユ、ローズジェラニウム、ワイルドストロベリー、それに
きれいな形の”定番”モミジ。ハナミズキもアイビーも葉脈が美しく出る。全部で20種類くらい保冷材を敷いたバッグに詰めた。

 リンデン(西洋菩提樹)の葉も珍しかろうと採取しようとして手を止めた。いまや激減、姿を消し問題となっているミツバチが、花の蜜を
吸っていたのだった。リンデンの花の蜜は最高と言われるが、一体このミツバチは何処に帰るのだろう?
 アトリエを建てた頃は、ミツバチの大群の羽音うるさい群舞が見られたものだ。確かにここ、鳩山でもミツバチは減っている。
 大急ぎでカメラを取りに。ピンとあわせに一苦労したものの何とか姿を納めた。

■クワノ実、グミ取り放題!ビワの実、甘露!

  
・甘い桑の実             ・とろけるようなビワ            ・これからが楽しみ……オニグルミ

 アトリエに籠りっぱなしは体に毒と、外に出る。荒れ放題の庭(庭と呼べないほど雑草が茂っている)、赤い実が目に入る。鈴なりの
グミ、ギッシリ密着する桑の実だ。どちらもいい具合に熟れて今食べごろ。口に含めば、かまずにとろける柔らかさだ。甘い。そう
たくさんは食べられないが、もいで食べるのは格別美味しく感じられる。びわの実も20粒ほどだが実を付けている。先週はまだ
固かったが、こちらも食べごろ。吐き出した種は辺りに埋めた。芽を出してくれるだろうか?忘れた頃、「あっ、あのときのだ!」
幼木を見つけられたら嬉しいだろうなあ。

■2010現代童画会選抜展搬入日迫る    (展覧会詳細は別項)

 毎年この時季恒例の「現童選抜展」も間近。銀座アートホール展示のあとは四国坂出、神戸と巡回する。作品の保護箱を
製作したが、利用していたホームセンターが閉鎖し材料の手当てが容易ではない。時間もなく、ありあわせの板で間に合わせた。
 肝心の作品、タイトルは『どんぐり嵐』。毎年車の屋根に振り落ちるマテバシイのドングリが意識のベースにあった。それと、
旧作『どんぐり広場』だ。いま、種から芽を出したクヌギが育っている。”どんぐりの木”は種類が多いが、風に飛ばされてくるのか、
自然に生えてくるから嬉しくなる。ドングリノ木だけではない。サンショウ、ナツメ、スイカズラ、アケビ、モミジ……邪魔者扱いの杉も
あちこち芽を出して困る。さてさて『どんぐり嵐』の出来栄えは如何に……。
(Jun,22)

■「幼稚園実習」学生への試練……。耐えて超えてほしい。

 昼休みのオフィスアワー(学生が質問等に自由に研究室を訪れる)に幼稚園で実地研修中の
学生が駆け込んで来た。園の先生から「責任実習」の制作物について厳しい指摘があったという。
廃材を用いての幼児の工作遊びで、学生は条件の一つ、「季節感を出す」から、カエルをテーマ
に選び、工作二種を用意した。新聞紙をまるめ先っぽにカエルを止らせゴムで“発射“するおも
ちゃ、 もう一つは、ティッシュボックスの中にカエルを4匹入れたもの。 蓋をあけると勢い
良く飛び出すおもしろい工作だ。 
 それが、「年長にはもう少し凝ったものを」「壊れにくく、長く遊べるもの」「カエルは4匹
いらないのでは」など等、相当言われ落ち込んでしまった。
”4匹”が面白いのに。学生がかわいそうになった。一匹しか入らない箱をわざわざ作るより、
4匹入るに越したことはない。カエルは3匹でも2匹でも自由だ。スペースを一匹用に限定して
しまえば、その後の遊びが広がらない。ぼくには何だか先生のアドバイスが”言いたい放題“に
思えてならなかった。

 制作物をみてぼくは首を傾げた。いずれも問題はないと思えたから。「色んな見方があるんだね
この工作、子どもたちきっと喜ぶよ。頑張って!」ぼくも二点制作したものを見せたが、学生ので
十分行ける!「もっと自信を持っていいよ。」……励まして帰した。
 聞けば、その園はセロハンテープ、ガムテープ類は一切使わせないという。段ボールを使う大形
おもちゃを作るときやペットボトルを束ねるとき等クラフトテープやビニールテーが重宝するのに、
すべて禁止とはなあ。先入観だ。そのくせ園児には英語を学ばせているという。何か偏ってる。ホチ
キスだって何だって危険視して使わせないのでは創造性は育たない。環境、素材(材料)それに、
やはり指導員だなあ。
 子どもの感受性の萌芽期の立会人、極めて重責だ。

Jun.14

■実践遊び学……「連続模様切り紙あそび」

   
 先週は江戸時代、寺子屋で盛んだった「紋型切り紙」を演習。昭和20年頃までは図工の教科にあった。3回折り、
4回折りを数多く制作。今回は「蛇腹折りの連続模様」。学生は思い思いのモチーフで数点の作品を仕上げた。
写真2枚

はそのレジュメ。右はデザイン参考資料1~3。このあと学生は”完全創作”に挑戦する。宿題にしたから、次週が
楽しみだ。自主性を喚起したい、いや何より制作”量”を求めたい。今は”質”ではなく、量だ。飽きるほど制作して初めて
身につくのだから。
 毎回レジュメはこの調子だから、時間がかかる。今回は作りためた連続模様(すべて大型サイズで制作済み)その数40点。学生はこの40個を馬鹿馬鹿しいと思うのでなく、「だったら1個くらい作るぞー!」と発奮してほしいのだ。
 (Jun.7)

■鳩山のアトリエ……目を休めに庭に出る。鬱蒼とした茂みに実りを見つけ嬉しくなる

  
・ビワの実                 ・びっくりグミ
 
・オニグルミ                ・キウイの花

 週末は鳩山の生活が続く。現代童画展選抜展出品作の制作に入った。「アトリエだより」更新も儘ならぬ状態だ。

板を彫る手を休めて庭に出れば、嬉しい発見が!伸び放題のびた木々が実を付けていた。ビワはもうすぐ食べられそう。
サルナシはまだまだ小さいが、今年もどっさり実ったので楽しみ。グミは大粒が取りきれないほどだ。桑の実は口に含めば酸っぱく、甘くなるまで待とう。気にしていたオニグルミは(昨年はたった一粒しか生らず、それも収穫前に落ちてしまった)十個ほど実を付けた。クルミは信州で育った子ども時代の思い出があるので、何としても育てたかった。根元を虫にやられ穴が
開いてしまい心配していた。薬を塗布しロール布で養生する。

■二十四節気  <芒種>  七十二候 (二十五候、二十六候、二十七候)



    
  6月6日は芒種              (6月21日は夏至)

・二十五候 (6月 6日)    ・かまきり しょうず
                     カマキリが姿を見せる

・二十六候 (6月11日)    ・ふそう ほたるとなる
                     腐った草が蛍に姿を変える

・二十七候 (6月16日)    ・うめのみ きばむ
                     ウメの実が黄色に色づいてくる
                     

5月のアトリエだより

■二十四節気<小満>  七十二候(二十二候、二十三候、二十四候)



    
5月21日は小満          (芒種/6月6日)

・二十二候 (5月 21日)    ・かいこ おきて くわを くう
                     蚕が桑の葉を食べるようになる

・二十三候 (5月26日)    ・べにばな さかう
                     紅花の花が咲き乱れる

・二十四候 (5月31日)    ・ばくしゅういたる
                     麦が育ち、麦畑が黄金色になる
                   

 2限3限授業の間に昼食をとるのだが、片付けがあったり、学生の質問などに時間を要し満足に食べられたためしがない。
10分くらいで立ち食い……出来ればいいほうだ。今日は昼飯を食べに研究室に入ったのが12時35分。そこへプロジェクト活動研究の
指導を求めて学生三名がやってきた。プロジェクト活動研究は学生が(教室外で)自主的に表現する科目だ。仕掛け絵本を作って、
幼稚園児の前で演じたいという。残念なことに、この学生達はぼくの「絵画造形表現Ⅱ応用」を受講していない。講座のコンテンツには
仕掛けを使っての「グリーティングカード制作」もある。ポップアップを中心に数種類の仕掛けを研究制作する。勿論カードのみならず絵本にも
応用可能だ。学生に授業で使った「仕掛けのゲージ」を貸し、コンセプトの再確認(仕掛けのおもしろさが狙い?しっかりした絵本?子どもたち
への読み聞かせが主?……いずれも大変なこと、中途半端にならぬように)をしてくるように言った。三人は仕掛けの習作を見せた。
すべては”ヤル気”だ。熱いエールをおくった。
 先週は「なぜ絵が嫌いになったのか?いつごろから図工をしなくなったのか」アンケート調査をするという学生が訪ねてきた。文献を貸せと
いう。問題に即答といったものが簡単に手に入るわけが無い。子どもの絵、評価、造形表現等の資料として数冊渡したが、いずれもヒントには
なっても直接回答を求める者には不満だろう。考え迷い悩む……、研究する姿勢を見たい。
 仕掛け絵本制作にせよ、アンケート調査にせよ、自主的活動の”芽生え”は素晴らしいこと。嬉しい。昼飯にありつけない日が続きそうだ。
(May.24)

■久しぶりの鳩山。雑草に庵埋もれそう。チェーンソーで木を切る。ブンブンゴマを作る。

 多くの田圃で田植えが終わっていた。それも昨日か一昨日か、苗が植えられたばかりであることが直ぐ分かった。
鳩山には板絵制作用の木製パネルの在庫を見に来たのだが、アトリエに近づけないほどはびこる木の枝落としや雑草取りに
日がな格闘、板絵どころではなかった。
 演習科目「コマの回転円盤デザイン制作」の前に見せる”伝承玩具”「ブンブンごま」を数個作った。ブンブンごまは回転するとタコ糸が指に食い込み引きちぎれるくらい引っ張られる。ブオーン ブオーンの音もダイナミックだ。ボール紙、ボタン、木片……何でも使える。昔は牛乳瓶のキャップで作ったものだ。路傍でメンコや釘刺しをして遊んだ少年時代、ぼくは毎日
何かを作っていた。このブンブンごまもその一つ。現代の子どもに糸巻きタンクなどと一緒に伝えたい遊びである。
(May.23)

■ウタリ神社の経木の風車を修理する


・全国郷土玩具中、一番の美しさの呼び声高いウタリ神社のかざぐるま。写真左は、竹笛を吹くと紙製の桃太朗が
太鼓を打つ玩具。ポンポンと小さな音が耳に柔らかく響く。
風車の6枚の羽根には五穀豊穣、家内安全ほか(俵を模している)祈りが込められている。風車が廻ると、後の円筒形の
入れ物に入っている小石がコロコロ心地よい音を出し何とも愛らしい。経木の羽根の回転もゆったりして温かみがある。

 今年度の実践遊び学では4枚羽根に加えて8枚羽根の風車を制作した。紙製の風車以外にポリエステルベース
のものも学生に見せた。要は応用力だ。授業の始めには郷土玩具の「経木製の風車」も紹介したが、”経木”を
知る学生は皆無。「昔は肉屋でも魚屋でも包むのに使ったんだ。ほら、八百屋や魚屋の店先にあるだろう。あの墨で
値段を書いてある薄いやつだよ」……、そんなこと、いくら言っても無駄。隔世の感あり。
(May.22)

■子どもの造形遊びに「タイヤチューブプリント」を!

 材料はたっぷり与えよう!「あれはいけない、これはやめよう」一切なしで、自由な「ペッタン遊び」を!


  
・自転車のタイヤチューブ(左)と長方形版材   ・円形版材とプリントしたもの(ローラープリント)

 幼児や子どもの絵画造形は創造性を育む遊びだ。自由な造形をさせるには好奇心の喚起、環境、材料が必要。
環境は(お片付けのルールを教えるのは別)整理整頓された”キレイな場所”ではなく倉庫のような、思う存分”汚せる”空間がのぞましい。材料も高価な物や手に入れにくいものをちびちび”大切に使う”のではなく、身の周りに当たり前にある廃品利用、それも大量に与えることが肝要だ。壊したり、組み合わせたり、素材を本来の用途以外に応用する。正に想像力は創造力を育てることになる。
 自転車のタイヤは廃棄物だ。入手簡単、大量に準備できる。絵画造形の素材にうってつけ、利用しない手はない。ゴムのチューブを木片に両面テープで貼り付けるだけで版材ができる。チューブ版画が幼児にも向くのは、彫刻等を使わないこと。
はさみ(カッターナイフの指導も)で簡単にカットできる。木版画、芋版画など、多くの版画は彫りミスしないよう神経を使うが、
チューブプリントは、粘着シートにチューブ片を貼り加えていくのだから、その心配はない。最も簡単な版画表現の一つと言える。
 学生には、演習の前に版画の種別(凸,凹、平、併用版、モノプリント)の説明と、遊びの魅力を話した。が、何より大事なのは、造形教育に当たる者の”姿勢だ”。自らが楽しむ、目一杯遊ぶ、作る喜びを感じる……これらがなければ子どもの心は
捉えられない。「先生が、あんなに夢中になってる。おもしろそう!」教える側は”教える”のではなく、演じるのでもなく、楽しさを伝えられたら良いと思う。
(May.21)

■おでかけ絵本 愉快な三人組み『グー・チョキ・パー』制作順調

 今月号で予告した、「ワン・パー・クー」は、ゆかいな三にんぐみ「グー・チョキ・パー」と名を変えた。クイズ、パズルを
どっさり盛り込む構成を楽しみながらやっている。<たぬき>クイズ……は、”た”抜きクイズ……”タ”の文字を消していくと
お菓子の名前が次々でてくる……、これは残念ながらカット!チョコレート、ドーナツ、ポテトチップス、キャンディー、
ビスケット、キャラメルなどカタカナが多く、編集部より幼児向きではないとの指摘。”狸クイズ?”の、ボケも入っているし
楽しめるのになあ。これに代わる面白い食べ物クイズを今考えている。もちろん絵本だから視覚的遊びの要素が大事……。
(May.16)

■クレヨンまる最終回!!掲載誌『おひさま』発売!!

 クレヨンまる連載第155話「バイバイ クレヨンまる!」 いよいよ最終回です。
『おひさま』は本日発売されます。クレヨンまるの結末をお楽しみください。
(May.15)

■クイズ、パズル満載絵本の構想を練る
ゆかいな三にんぐみ グー・チョキ・パー
いじわる魔女を追いかけろ!

「おでかけクイズ絵本」のアイディアをまとめ,ダミーを制作する。意地悪魔女ズルーイが出す難問に、
腕白三人組グー・チョキ・パーが答えていく展開。描いた絵から飛び出てきたゲストキャラクターの
おやつちゃん”が、それに絡む。

 ことば遊び、迷路、シルエットクイズ、塗り分けパズル、形態パズル、絵探し、数遊び、本物探し、記憶クイズなど
満載予定だが、選択に頭を悩ましている。ボリュームたっぷりだが、読み終えても再びページをめくってクイズに
再度挑戦したくなる「おまけクイズ」付きだ。今は絵を描くというより、ゲーム的展開に頭を使っている。
スムーズな流れであるか?クイズは幼児に難しすぎないか?おやつちゃんの奪われたバッグの中身の秘密で、
ラストまで引っ張れるか?………キャラクターも(描いて描いて描いて)育てなければならないし、
ああ時間が足りない!今日は母の日。記憶の底から浮かび上がる母の微笑み……「ばかったいのを作りな!」
(“ばかったい”は母の口癖だった。非日常のおもしろさ、意外性、頓珍漢などを含めた、独特のニューアンス。
否定ではなくむしろ褒めことば)形式、常識、秩序、概念からフリーになるのがアーティスト!
母は厳しく、優しかった。 

(May.9)



■移植したフキが根付き育った

   
 ・酒の友にキャラブキ……      ・蕗の薹(写真は昨年のもの)

 テーブルソーやボール盤、ジクソーなどを備える作業小屋を建てた。用地はフキ畑。フキの根を少しだけ移植した。
芽は出したけれど、摘み取るには忍びず、蕗の薹はおあずけだった。来春が楽しみだ。その前にキャラブキという”手”もあった。
どうにも酒肴が頭から消えない。飲兵衛は春夏秋冬、恵みに感謝!
(May.5)

■おでかけ クイズ 絵本のタイトル決定!愉快な三人組『グー・チョキ・パー』のいじわる魔女を追いかけろ!
  <おやつちゃん>て、何者?

 キャラクター三人の名前、<ワン・パー・クー>、<ジャン・ケン・ポン>、<イチ・ニ・サン>、<ピー・カー・ブー>などの候補の中から、
<グー・チョキ・パー>に決めた。いたずらっ子が描いた絵から<おやつちゃん>も登場する。敵役のいじわる魔女、その名も<ズルーイ>。
いじわるクイズを連発する。<ズルーイ>は<おやつちゃん>のポシェットを奪って逃げる。<グー・チョキ・パー>は<ズルーイ>のだす
クイズを解きながら追いかけて行く。無事ポシェットは取り返せるか……?ポシェットの中味は……?

 何度でも遊べるような仕掛けも。巻末には「おまけクイズ」を用意する。このノウハウは『こんなこいるかな』(知恵遊び絵本版4冊)で
用いたもの。楽しめる絵本にしたい。
(May.4)

■二十四節気 <立夏>   七十二候 (十九候、二十候、二十一候)

5月5日は立夏        (小満は5月21日)

・十九候 (5月 5日)    ・かわず はじめて なく
                   蛙が鳴き始める

・二十候 (5月11日)    ・みみず いずる
                   ミミズが姿を見せ始める

・二十一候 (5月16日)   ・たけのこ しょうず
                    筍が生ずる

 久々のテニス。準備体操ももどかしくラリー。結果散散!右ふくらはぎの肉離れ。以前やったところだ。運動不足の鈍った体に
急激な刺激、”故障”は目に見えているのに。おお馬鹿者だ。足を引きずって歩く羽目に。
よって、また机に向かう生活と相成った。渋谷の仕事場からは中学校の校庭が見える。少年野球の練習試合が白熱を帯びている。
飛び交う声で分かる。皆、戦いに夢中だ。シップ薬を貼り、ぼくも絵本作りに精をだす。
(May.4)

■ペッタン、コロコロスタンプ   廃物利用による,幼児のための造形表現ツール

   

     テニスボールやボール缶の蓋を
                                                        使ったコロコロ造形ツール

 ペッタンコロコロスタンプは造形表現遊びの一つ。幼児は出現する轍の跡に目を輝かせる。型押し遊びの専用スポンジも市販されて
いるが、身の回りの物を活用することが、”応用する心”を育てる。手づくりした物は市販教材の完成品に、想像=創造……に至らせる
点で優る。材料は不要になったテニスボール(ゴミ処理に頭を悩ますクラブからは、いくらでも貰えるだろう)、クリーニングハンガー、
ペットボトルのキャップ。テニスボール缶キャップ(下段作品)いずれも廃物の再利用。
 上段の針金ハンガーに通した二つのペットボトルキャップは頼りない装着に見えるだろうが、この”あそび”が大事。ボールをスムーズに
回転させるために必要なのだ。写真のほかにも数点試作した。転がした”おもしろ軌跡”は?また後日……
(May.2)

■鳩山は芽吹き……緑噴く。山笑う。春爛漫!

     
 ・五つ葉アケビ  雌花雄花    ・月桂樹の花   ・ダイコンの花群生

 3本ある姫リンゴの木がいずれも白花満開。剪定を怠り屋根に届く高さに伸びた月桂樹も白黄、薄茶の細かな花を
ギッシリつけている。五つ葉アケビは至る所に育ち、赤薄紫の花を揺らせている。雌花、雄花が寄り沿うようで可憐だ。
今年色味がやや薄い紫モクレンははや散り始めている。ハナミズキが満開だ。手をかけて上げられないから、どれも伸び放題。
この間まで枯れ木同然だったブナが若緑の葉で覆われている。一番気にしていたメープルや(病気の)オニグルミも若葉を茂らせている。
一安心だ。白色、黄色、桃色……とりどりの色が咲き競うように乱舞。中で目に飛び込むのはダイコンの花の紫。何年か前までは
菜の花だった。隣地といっても境界もわからないような荒れ野原だが、今はダイコンの花で埋まっている。離れて見れば緑のなかの
紫模様のカーペット。
 風もない穏やかな日和。日がな眺めていたいがそうもいかない。仕事に来たのだった。冷え冷えしているアトリエに入る。
目が慣れるまで闇だ。幼児造形教育のための教具教材作り……これはこれで楽しい。小鳥のさえずりを聞きながらアイディアを
考える。小さかったころから今に至るまで、ぼくは工作少年だ。
(May.1)
 

4月のアトリエだより

■大学の研究室で仕事に没頭。先生の在室ランプも点灯まばら、訪れる者なし。静寂……わが天国!

 先日学生がゴールデンウイークの過ごし方を聞いた。「どちらに行かれるのですか?」「仕事だよ。」
「えー、うっそー!」と言う具合。休日明けの授業のレジュメを準備し、さて我が仕事に取りかかる。

 やっと取りかかれる。「おでかけクイズ絵本」の制作に入った。暖めていたアイディアをサムネールにおこし、
ネームを書き込んでいく。ダミーを作る。一冊36頁にストーリーを組み様々なクイズをちりばめる作業クイズや
パズルの考案、レイアウトなど楽しくもかなりハードな仕事ではある。    


 何より話が面白くなくてはならない。クイズやパズルを満載といっても、話の流れに不自然さがあってはならない。
頭を悩ませ、ため息をついては、それを打ち消すように、“面白く、楽しく”を念頭に……。
ぼくの“ゴールデンウィーク”は仕事三昧週間となる。

(Apr.30)


■一分間は楽に回り続けるコマを制作

   
・CDコマ            ・色円盤(右上の2枚はベンハムゴマ、右下は色円盤に乗せる)

 身の回りにある廃物品の利用。今回はCD。どこの家庭にも一枚や二枚はあるだろう不要になったCD(CD・R、DVD)を
使ってのコマ作り。材料はCD一枚とビー玉。ビー玉をCDに接着するだけの簡単さ!誰にも出来る!これが実に優れもの。
よく廻る。一分間は当たり前に廻り続ける。。色紙を貼り合わせたり、模様を描いた回転円盤をセットすれば更に楽しい。
 学生は回転円盤のデザイン(同心円、渦巻き、放射、格子、ドット、イラスト…・等)を多種制作させるが、コマ本体は
市販の物を使う。ただ、いつものことであるが「応用力」は要求する。身近なものを使ってのコマ遊びを考えさせる。これが
大事。その一アイディアとして「CDゴマ」を紹介する予定。
(Apr.25)

■晴れた!久々、光が目映い。風が香しい……かざぐるま  かざぐるま  かざぐるま…… 

 
     
・8枚羽根かざぐるま      ・でんでんだいこ     ・大型とミニサイズ(胴はテープの巻き芯)

 観測史上でも珍しい低温が続いたが、今日ようやく晴れ間が広がった。春風が気持ちよい。
風車をかざす。クルクル音もなく回る。幾つか並べて廻す。何てことないが、ホットする。知らず知らず幼き頃を想っている。

 四枚羽根と8枚羽根を制作。8枚羽根(写真左)は、学生に型紙を提供するため、その準備も。風車をとめるピンやビーズや
丸棒も仕入れた。100人分、助手がいないのだから全部ぼく一人でやるしかない。準備がいつも大変だ。紙のカットや
組み立てはもちろん学生だが、配色やサイズなどでオリジナリティを演出してもらう。

 {伝承工作}かざぐるまの次はでんでん太鼓だ。その準備もしなくてはならない。この一年、ほんの少し時間が空けば何か
作っていたが,でんでん太鼓も増えに増えた。その数数十個!ガムテープ、大小のセロハンテープの巻き芯、6Pチーズや
チョコレートのパッケージが溜ると気になり”でんでん太鼓化”したのだ。所狭しと吊るしてある。一つ一つみな音色が違う。
軽く重く小さく大きく、それぞれが愛らしい音を響かせる。「でんでん手遊び」は、仕事の合間の息抜きに一役買っている。

 机の傍らにほんの小さなでんでんを一つ置かれたら如何だろう。ミニサイズは読書の妨げにもならない。耳を傾けたくなる
ような穏やかななんとも懐かしい音だから。

(Apr.24)

■二十四節気<穀雨>  七十二候(十六候、十七候、十八候)

   4月20日は穀雨            (5月5日は立夏)

・十六候 (4月20日)    ・あし はじめて しょうず
                  葦が生え出す

・十七候 (4月25日)    ・しも やみ なえ しょうず
                  霜が止んで稲の苗が生長する

・十八候 (4月30日)    ・ぼたん はな さく
                  ボタンの花が咲く

 このところ震える寒さだ。校庭の桜はまだ散りきらない。駐車場の片隅、風に集められた
桜の花びらの山があちこちにできている。しゃがんで一掬い。ひんやり、しっとり……手に意外や、重みを感ずる。
ぼくは急に小人になる。花びらの褥に体を横たえ、埋もれるように花びらの間から空を見上げる。薄青の天、柔らかな日差し。
 花びらの山を凝視している自分と中で休む自分。不思議な思いだ。日々の忙しさ、時に流されるわが身を
一瞬間蘇生させてくれた春よ、風よ,恵みをありがとう。
(Apr.20)

■子ども教育学会紀要扉絵


・胡桃のヨットとブリューゲルの風車

 子ども教育学会の紀要が発刊された。創刊号の扉絵は『FATHER’S LETTER』
今回第二号は『胡桃の風車とブリューゲルの風車』。この愛らしいヨットも、風車も実際に
つくってみた。ヨットはアトリエに転がっている。風車は大事に飾ってある。父と子が物づくりを
通じて得るものは計り知れない。通い合う心……夢中になって遊ぶ……いつ何処で見ても
いい情景だ。幼き日の思いでは一生心で輝く宝。
(Apr.18)

 

■現代童画春季展出品作「harbor」


    
・harbor (隠れ家)         ・春風ブランコ <ブランコは漢字>10年ほど前の同展出品作

次回の発表は選抜展。乞うご期待。
(Apr.16)


■「こんなこ」工作。「二人は仲良し、いつも一緒」

 『こんなこいるかな』コーナーに「★玩具を作ろう!⑦二人はなかよし いつもいっしょ」工作掲載。
次回は「スルスル シューTOY」を予定。  ★こんなこ いるかな のページへリンクできます
(Apr.11)

■現代童画春季展、(銀座アートホール)明日終了

 明日11日、「現代童画春季展」最終日。一ヶ月の制作も、あっという間に展示期間が終わる。この次の展覧会は「選抜展」。
時間がなく制作も儘ならない状況だ。アイディアのラフスケッチだけでもと心がけてはいるが、思うようには行かない。
 12日からは大学の授業が始まる「実践遊び学」「絵画造形表現活動Ⅰ基礎」。昨日は10時まで演習室、研究室でレジュメ制作。
一日の予定仕事分量の三分の一位しかできないもどかしさ。が、もう泣き言は言うまい!三年目、パワーアップして臨みたい。
(Apr,10)

■「ノビル畑」つくって、どうする!

   
 ・ノビルは固まって生える      ・小さな白い”ツブ”はピリッと辛い    ・相模女子大学の校花 マーガレットも植えた

 春だ!でも鳩山の山桜の蕾は未だ固い。野原でノビルを見つけた。絡むように固まって生えるノビルを根こそぎ頂く。
幾塊ものノビルをアトリエ脇のヒイラギの根元に移した。ノビルには小さいころの思い出がある。引き上げ後、亡くなるまで
寝て過ごした父さんに、ノビルを摘むのがぼくの”仕事”だった。親父は医者から禁止されても酒をやめなかった。酒肴は
何でもよかったが、ノビルのヌタを好んだ。
 「ノビルの畑」……記憶を蘇らせる場所を作った。

■二十四節気<清明>   七十二候(十三候.十四候.十五候)

  4月5日は清明         (4月20日は穀雨)

・十三候 (4月5日)   ・つばめ きたる
               つばめが南から渡って来る

・十四候 (4月10日)  ・がん みずへ かえる
               がんが北へ渡って行く

・十五候 (4月15日)  ・にじを はじめて みる
               虹が見え始める

 金曜日は週一テニスの日なのだが、生憎小雨、風も強く仕事日となった。天が仕事を命じたのだと観念し、新学期のレジュメを
考える。新たに「8枚羽根かざぐるま」「変色コマ」「切り絵連続模様」のレジュメを制作しなくてはならない。今日は風車だ。
紙皿、紙コップ、ペットボトルを使っての風車作りは制作見本を見せるに留め、今期は学生に基本形の4枚羽根の風車と、配色を
楽しめる8枚羽根の風車を作らせる。その試作を行った。型紙を起こし、形や色を変え5個作ってみた。さらに学生に貸す(時間
節約のため)型紙(ゲージ)をテーブル数×3=18組、一組2枚構成だから40枚近く白ボール紙から切り抜いた。デザインナイフを
握る右手親指は痛んだが、仕舞いには感覚がなくなり、指先が凹んだまま戻らなかった。そうまでしてと、いつも思うが、90分授業で
出来る限りたくさんの課題をやらせようとすると、ゲージを用意するしかないのだ。学生は簡単に「このゲージください」という。それでは
なんにもならない。同じものをたくさん作るとき、ゲージがあったら如何に便利かを分からせるためでもあり、幼児保育、子ども教育の
現場で、自ら”できる”力を養って欲しいから、「型紙は自分で作りなさい」と言う。かざぐるまのレジュメは型紙を入れて4枚になるが、
本日完成せず。ぼくは、”試作”を楽しみすぎるキライがあるようだ。
(Apr.2)

3月のアトリエだより

■板絵 『 harbor 』描きあがる   日暮れまでナツメの木の移植に精を出す

 28,29両日は寒の戻りか、冷たい北風が吹き荒れた。裸木立の枝が折れて飛ばされる強風だ。ぼくは鳩山のアトリエで
ストーブにしがみ付くようにして絵を仕上げていた。完成!いつもより少し色合いが生っぽいか。子どもへの”童画”然だ。
今回の作品は「harbor」=隠れ家で遊ぶ父子を、想いをこめて描いた。小学3年生のころ、ぼくは隠れ砦を作った。その記憶、
ワクワク感が筆を進めさせた。感動は創作の原動力だ。

 額装が終わり、初めて外へ出た。まず深呼吸。そして日が暮れるまでの短い時間、何をしようか考える。やることは山のように
あるけれど、欲張ってもはじまらない。春、新芽が吹き出す前に済ませたいこと……、今は枯れ木にしか見えないナツメの木を移植
することに決めた。ナツメは実が落ち、あちらこちらで育っている。土が合っているのか、サンショウや迷惑なスギ同様増えて
困るほどだ。一年目ものは未だ良いが、3年、4年たった木は、棘はともかく根が張っていて掘りあげるのに一苦労。
10本掘れば、もうお手上げ。このまま大きくなれば、実を付けるけれど、通路を塞ぐ枝の棘が厄介だ。
掘り残した分はハサミでカット。かわいそう、もったいないけれど、鳩山にそうしょっちゅうは来られないから仕方ない。

 ナツメの親木の勢いに負けて山葡萄が元気がない。去年も一昨年も実がならなかった。ナツメの移植より、こちらの方が
心配だ。酸っぱい山葡萄の実を煮詰めてシロップを作ったことがある。あの喜びをまた味わいたい。大匙数杯分しかできなかった
貴重なシロップを”大事に”口に含んだときの気持ち……嬉しさを再び。
(Mar.29)

■桜咲くキャンパスに人影まばら

 子ども教育学科新入生に配る画材、用品の袋詰めをする。14アイテムを110セット。昨年は二人でおこなったが、
今年はもう一人助っ人を加えたから、まだ明るさが残る時間に終了した。
 大学には「100年桜」の老大木があるが、校舎からはやや離れている。桜を見て帰りたかったが、今日は断念。
それでも幾本もの桜が咲き始めていた。3分咲きくらいか。美しい。ぼくは冷たい風に震えながら佇んでいた。

 ふと足元を見れば、しぼんだ銀杏の実が幾つか。梢につかまっていたものが、ようやく落ちたのだろう。ぼくは
銀杏並木が好きで、秋の終わりにはキャンパスで銀杏を拾う。ぼく以外には誰も拾う者はいない。果肉を洗い落とし
乾燥させるのだが、土に埋けて果肉を腐らせ取り除く手もある。そこで植木鉢に埋めておいたのだが、何と十数本が
発芽してしまったのだ。
 今は、20センチほどの”枯れ枝”にしか見えないが、しっかした芽をつけている。植木鉢は大振りだが、”枯れ枝”には所狭しだ。
春になったら、鳩山に移植しよう。鳩山にもイチョウの木はあるが、実が成らない。大学の鈴なりのイチョウの子どもだ。あやかって
銀杏を雨のように降らしてくれるようにならないかなあ。
 (Mar.26)

■アケビ棚を補強……石井さんにまたまた、大感謝

  
・アケビの花芽         ・杉木立に鳥の巣を発見

  杭を打つ音で目が覚めた。わがアトリエは訪れる人は稀なので、あわてて外に飛び出した。
石井さんだった。昨日はヨモギ餅を持ってきてくれ、今日は、倒れそうに大きく傾いているアケビ棚を
直しに来てくださったのだ。石井さんは先日、杉の木を剪定してくれたのだが、そのとき、アケビ棚が
壊れそうなのが気になったのだという。四本の足に角材を打ち込み補強、古い蔓も取り除いてくれた。
「花芽は残してありますからね。今年は実が成るでしょう」……と。人の佳い石井さんのとびきり上等の
笑顔に、ぼくの制作が捗ったのは当然のことであった。深謝。今回は二日間のアトリエ生活。明日からは
渋谷の仕事場に戻って働くことになる。
(Mar.23)

■出来立てのヨモギ餅をいただく

 昨晩の強風(東京では瞬間最高風速20数メートル)鳩山の庭も多くの枝が折れていた。
プラムやすももは蕾をつけた枝が……。相当強い風が吹き荒れたのだろう。

  

・おいしいヨモギ餅。左の植物がヨモギ(新芽数センチを採取) ・使われないまま、傷んできた野外コンロ

 アトリエ北側の田圃の主、石井さんがヨモギ餅を届けてくださった。朝作ったばかりの出来立て。
越辺川で摘んだ蓬、自家産の上新粉(都幾川村で精米))、小豆もすべて石井さんの収穫品だ。ヨモギの香りが
鼻腔をくすぐる。口当たりの良い適度の柔らかさ。美味い!餡と黄な粉で二つペロリ。
 毎年、この時季きまって春の味覚の贈り物。嬉しくて、でも秋にいただく栗の渋皮煮や、採れたての
米、それにぼくの大好物の玄米(これと梅干さえあれば、おかずが要らぬほどだ)など、いつも頂いてばかりで
心苦しい。アトリエに車が停まるのをみて軽四輪でおいでなさる。ありがたい。手を振り頭を下げ、見送るが
お礼に何も差し上げられず何とも申し訳ない心持だ。ご好意に感謝。
(Mar.22)

■二十四節気 <春分>   七十二候 (十候.十一候.十二候)

今年の春分は3月21日   (清明は4月5日)

・十候  (3月21日)   ・すずめ はじめて すくう
               雀が巣作りを始める

・十一候 (3月26日)   ・さくら はじめて ひらく
               桜の花が咲き始める

・十二候 (3月31日)   ・かみなり こえを だす
               雷が鳴り始める

 17日の当欄、ミツマタの花の写真を掲載したが、ミツマタは沈丁花と同じ科だった。甘い匂いは同じなれど、ミツマタは
鼻を近づけ嗅がねば分からないほど”上品”。ミツバチが減って困っているというニュースをたびたび目にするが、
わが庭には、ミツバチが群がって飛び交っている。ミツマタの花の蜜を集めることに夢中で、ぼくの存在なんておかまいなし。
ミツバチの羽音を耳にぼくはミツマタの花に顔を埋めたていた。
(Mar.21)


板絵『harbor』制作進行中

  現代童画春季展(別項「展覧会」参照)に出品する板絵、作品タイトルを
harbor」と決め制作中。絵の具が乾く時間も絵から離れられない。額縁を
塗装したり絵皿を洗ったりもするが落ち着かない。完成が近づくといつもこうだ。
最後の筆を入れ、いすに座リ込むとき、時が止まる。まばたきさえ止まるくらい
集中して見入っているのだと思う。その後襲う疲労感でわかる。

  「harbor……父と子の遊び場所。内緒の(自分たち以外は誰も知らないと思っている)
隠れ家。想像力を全開させる、ぼくにとっての「板絵制作」同様、時間の止まる宇宙だ。
その宇宙を、今描いている。
Mar.21)



■紙芝居「だいじな たまご」出来上がる


    
・「だいじなたまご」①      いずれも画面はカットされています
   

 社団法人「小さな親切」運動本部製作紙芝居『心の教育プロジェクト』
……紙芝居で「豊かな心」を育てよう……    「だいじなたまご」が完成した。

紙芝居を用いた道徳授業のための指導資料もついている。視認

性を重視、太いシンプルなライン、色も
絞りスッキリさせた。せっかくもらったチャボの玉子が壊れて怒り、悲しむ主人公たっくん。たっくんの心情は
とらえたつもりだが、紙芝居は演者の力量による所が多い。持論「絵本も紙芝居も童話も面白くなくては」が、
今回は少々叶わなかった面もあるものの、ストーリーも絵もシンプルなだけに、授業展開に広く活用できると思う。

■伸びた蔓をグルグル巻いて……何のリースでしょう?

    
・キングサリの花    ・ブナの枯れ葉(新芽が堅く鋭く尖っている)   ・オリーブの木に

 リースなんて洒落たものじゃない。枝をグルグル巻いただけ。何の枝?ここがポイント!蔓は藤、アケビ…材料に事欠かないが、
今日は始めての蔓で制作した。キウイの棚に絡まっていく枝も長く伸ばしているマタタビ。花が咲き、実を期待させてはがっかり……の
マタタビの蔓が地面につくくらい垂れ下がっていたんだ。30分間のお楽しみさ。
 マタタビの冠は何で飾ろう。まず水仙、それからクリスマスローズにかけて見た。似合わない。キングサリの黄やオリーブの濃い
緑もマッチするが、やはりブナがいい。芽吹く前だというのに葉を落とさず寒風に身を震わしているブナがいい。マタタビのリースに
ブナの枯れ葉色……美しいなあ。30分の楽しみに幕を引き後ろ髪引かれる思いでアトリエに戻った。
 体は冷えたけど、嬉しさがねえ……。いい仕事が出来そうだよ。
(Mar.18)

■日がな一日板絵制作に没頭……


  
・ミツマタの花(木の高さ2メートル、殆ど花は白く見える  ・同、しゃがんで見れば黄色  ・沈丁花

 10時から7時までアトリエに籠る。いや、花の香りに誘われて一度外へ出た。
仕事場に甘い芳香が漂ってくる。沈丁花だ。朝東京を発ち鳩山に来たが、車を降りたときは気づかなかった。
満開。近づけばきつい位匂い発つ。沈丁花から数メートル先にはミツマタがこれまた咲き誇っていた。上から見れば
白(淡い黄色)、ちょっとしゃがんで下からのぞけば濃い黄色。ほのかに甘い香りがする。
 いつかミツマタの皮で紙を漉いてみたいと思う。早く成長して欲しいものばかり。メープルシロップをとりたくて
サトウカエデを、ブナ林を夢見てブナの苗木を、とちもちを食べたくてトチノキを、果実酒を目論んでナナカマドやサルナシや
マタタビを植えた。が、すべて夢の夢で終わるだろう。それでも、夢の種まきはやめられない。
 一旦外に出るとアトリエに戻りたくなくなるから困る。草木の息吹に気圧されそうだ。板絵に向えば、すぐ”復調”するから
未だ大丈夫だが。”大丈夫”はおかしいか。自然は敵ではないし……一体感。抱かれての仕事のはずだよね。
(Mar.17)

■タイトル決定!クレヨンまるファイナル「バイバイ クレヨンまる」

 春季展出品板絵の作品名は絵より先行したが、クレヨンまるは文・絵が完成してから考えた。タイトル案は数種。
でも、一番おとなしいものを選んだ。「バイバイ クレヨンまる」あまり強く内容を暗示させたり、
感情移入過多にならないように。

1996年1月号から連載開始、155話がファイナル。普段のアイディアとは違った、最終回の展開には頭を使った。
“読み聞かせお話雑誌”『おひさま』はこの春から隔月刊になる。クレヨンまるは、5-6月号(4月15日発売予定)
で、さよならする。意外な結末……!?    どうか、ご高覧あれ。

Mar.11

■これから制作する板絵の作品名を考える

 現代童画2010春季展(4月5日~11日 於・銀座アートホール)出品作の制作に入る。
と言っても、鳩山アトリエ初日は雪降りでクローズ。渋谷に戻りエスキスを取る。
と同時に作品タイトルを考えねばならない。会場に置く出品目録印刷のため、作品名を
申告する
ことになっているからだ。
refuge, hide out, ……、悪事を働いて隠れる意が強いから、ぼくは「harbor」を選択。
隠れ家で遊ぶ父と子をイメージ。親とか子とかの意識をはずれ、幸せ無我の境で遊ぶ秘密の空間を描きたい。

今回のように作品名が絵より先行する例は、ままある。「瞬幸永憶」(F100号)もそうだ。
無論、瞬幸永憶などという熟語はない。言葉のイメージが絵を語らせた好例である。

Mar.11


■雪降り止まず退散

 板絵制作に入ろう……遅れた時間を取り戻すべく一路鳩山へ。
予報では天気は午後から崩れるという。冷たい雨は昼前には雪に変わった。
とにかく寒い。久しぶりのアトリエ、震えながら板に向かう。が、外が気になって仕方がない。
春の日が射せば、シジュウカラやヤマガラそれにウグイスの声を期待できたのに、生憎の雪!
眼前に広がる田や畑は真っ白。積もれば、坂下にあるわがアトリエだ、
車はスリップして登れなくなる。何年か前、“脱出不能”となったことがあった。
というわけで、「アトリエ滞在2時間」のみ、の記録を本日つくった。
雪に埋もれていくフキノトウ、摘みたい気持ちを抑え帰京せり。

(Mar.10)



■二十四節気 <啓蟄>   七十二候  (7候.8候.9候)

 3月6日は啓蟄      (3月21日は春分)

・七候 (3月6日)    ・すごもりの むし とを ひらく
               冬眠していた虫が動き始める

・八候 (3月11日)   ・もも はじめて さく
               桃の花が咲き始める

・九候 (3月16日)   ・なむし  ちょうと  かす
               菜の虫が羽化して蝶となる

 仕事に明け暮れHP更新もままならず。テニスにも行っていない。”外出”は現代童画会春季展作品用パネルを取りに行った
鳩山アトリエのみ。
 おおよそ人間的でない生活。体が鈍ることを憂うも、窒息しないでやっていられるのは、表現欲求のなせるワザか。
 このところ天気が優れない。菜種梅雨か。久しぶりに今日、雨上がる。最高気温18度、昨日より10度も高い。時間をきめて歩く。
代官山~恵比寿~渋谷、これで5000歩。恵比寿駅近くで「ロバの花売り」に出合った。暫し足を止めた。1メートルくらいの灰茶褐色の
ロバ、背中に花かごを付けている。チェック地のシャツにベレー帽姿。赤ら顔のおじさんはバラの花を一本一本小分けにしている。珍しさもあって
見物人が取り囲む。ロバは大人しくじっとしている。が、急に飛び跳ねた。おじさんのジャンパーの中に顔を隠した。おじさんはカメラの
フラッシュをやめてくれるように言った。
 やさしいロバの目。花の中に桃の枝も……。「飼えたらいいなあ……」ロバは、ぼくの飼いたいものリスト、ベスト3上位だ。
(Mar.5)

2月のアトリエだより

■「ミラクルクレヨンのクレヨンまる」

  
・クレヨンはかせ、ハーブおばさん、
友達(ふるもとくん、どんぺい、チェリー、しんた)ともお別れ!

『おひさま』連載の 「クレヨンまる」、次号で155話。これで見納め、読み納め。只今最終編を執筆中。別れは悲しいもの。
クレヨンまるはどうなる?仲良しのチェリーは?それに、大泥棒のワルズー、子分のコウモリ、コモリンは?三百数十歳の
ミイラばあやは………死ぬなよ!?………明るく明るくと念じても、想いがつのって……。さあ、どうなるか。〆切待ったなし!
描くぞー!!!!こう、ご期待!!!!
(Feb.28)

■「フータのひこうき」の朗読が放送されます

 

 

 ぼくの絵話集「マーリと のうさぎ」の中から 『フータのひこうき』が放送されます。
童話として書いたものではないので、朗読でイメージがどう伝えられるか楽しみです。
(絵の世界がどう表現されるかなあ)

 番組名:『童話の散歩道』
 放送日時:32局ネット

「童話の散歩道」各局の放送時間
     北海道放送      3月27日(土)6:20~6:30
     青森放送       3月28日(日)7:30~7:40   
     IBC岩手放送    3月28日(日)12:20~12:30  
     秋田放送       3月28日(日)17:45~17:55
     山形放送       3月28日(日)7:15~7:25
     東北放送       3月28日(日)8:30~8:40
     ラジオ福島      3月28日(日)8:30~8:40
     新潟放送       3月28日(日)12:40~12:50
     北陸放送       3月28日(日)7:40~7:50
     北日本放送      3月27日(土)7:50~8:00
     信越放送       3月28日(日)8:50~9:00
     山梨放送       3月28日(日)7:30~7:40
     福井放送       3月28日(日)6:20~6:30
     静岡放送       3月28日(日)5:10~5:20
     中部日本放送     3月28日(日)8:35~8:45
     ラジオ関西      3月27日(土)7:20~7:30
     京都放送       3月28日(日)17:30~17:40
     中国放送       3月28日(日)7:30~7:40
     山陰放送       3月28日(日)16:00~16:10
     和歌山放送      3月27日(土)16:44~16:54
     山口放送       3月28日(日)8:30~8:40
     西日本放送      3月27日(土)7:00~7:10
     南海放送       3月27日(土)17:50~18:00
     高知放送       3月28日(日)17:45~17:55
     四国放送       3月28日(日)11:50~12:00
RKB毎日放送      3月28日(日)8:15~8:25
     大分放送       3月27日(土)8:20~8:30
     長崎放送       3月28日(日)7:00~7:10
     熊本放送       3月28日(日)9:05~9:15
     宮崎放送       3月28日(日)6:30~6:40
     南日本放送      3月28日(日)6:50~7:00
     琉球放送       3月28日(日)7:15~7:25

朗読アナウンサー 牛山美那子
(Feb25)



■コンソーシアム大学「作って遊ぼう」第三回

 『コロコロ コロ玉バランスボード』を作る。ゲーム機では味わえない”微細な手の運動”。イライラさせて遊ぼうというもの。
長方形木片26個、円筒形4個使用。赤青緑黄に塗った木球4個を転がして遊ぶ。四隅から中央に集めたり拡散させたり、
時間を競ったり遊び方は色々。遊び方を考え出すのも狙いの一つ。シンプルで何度でも繰り返し遊べ何より”手加減の妙”を
味わう。勢いよく転がしても玉は思うところに入らない、留まらない。ビー玉、おはじきも皆そうだ。加減が技である。
 教室に玉ころがしの音が響いた。気が付いてみれば二時間の授業中、トイレに行った子どもなし!何と言うことだ!えらい集中力!
授業の終わりに、ぼくはこのことに触れた。トイレさえ忘れ、夢中で頑張った子どもたちを褒め称えた。
(Feb.20)


   

・講座の始まりは準備体操。手や指をほぐしてから。”つくるぞう” ”あそぶぞう” ”がんばるぞー”の「ぞうさん体操」

    
・ホワイトボードに落書き?     ・「コロコロ コロ玉バランスボード」制作風景  ・アリガクン、手を出したいのを我慢して見守る(後方)


■ コンソーシアム講座の終わり10分の”オマケ”

 120分授業を、子供達が飽きさせないで楽しくやるのはたいへんなこと。これに一番頭を使う。絶対集中させるぞ……意気込んで!
メニューを幾つか用意するのも手だが、しっかりしたものを制作させるにはそうも行かない。所々刺激を与える仕掛けを用意したり、
あっと目を見張る(視覚効果)ものを隠しておいて広げて見せる等など、アシスタントの学生にも秘密の隠し物を前日から用意したりする。
 講座終了10分前も大事!作品が完成し、自由に遊び、少々だれてきている。そこで強い印象で締めくくるには、新たな興味を惹く
出しものが必要となる。前回は「シュルシュル人形」。そして今回は「牛乳パックの水車」を用意。教卓に6っこずらりと並べ、
「さあ、こっち見てー!」子供たちが群がったのはいうまでもない。蛇口をひねり水車の羽根に当たるように置く……「ぼくにも!」
「やらせて!」「すげー!」子供達の楽しむ声が大人を気づかせる。「廃物利用、創意工夫……創造的遊びを」お母さん方は
作り方を熱心に聞いている。「お家で是非作ってくださいね。簡単で面白い工作を考えてね」……メッセージと共に授業は終了する。が、
帰らず遊び続ける子どもも多く、こんな姿をお母さん方は、目を細めてみておられた。子どもは輝く!凄い輝きを発す!


    
・牛乳パックの水車、水をパシャパシャ遊ぶ  ・回る速度を早く遅く、水量で調整  ・作り方は簡単!

■二十四節気 <雨水>    七十二候 (四候.五候.六候)

   雨水は2月19日           (3月6日は啓蟄)

・四候 (2月19日)  ・つちが うるおいおこる
              土が湿り気を帯びてくる

・五候 (2月24日)  ・かすみ はじめて たなびく
              春霞がたなびき始める

・六候 (3月1日)   ・そうもく もえうごく
              草や木が芽吹き始める

 20日の日差しは春のもの。穏やかな日和。紅梅白梅の木立の間に銀杏が数粒ころがっていた。最後までしがみついていた
実が落ちたのだろう。キャンパスは人影もまばら、静寂。「コンソーシアム授業」会場に向かう足取りも軽かった。



■クレヨンまるファイナル 制作中!!必見!!クレヨンまるの最後!

 クレヨンまるの最後、最終編、第155話を只今制作中!果たしてクレヨンまるの運命は………?

 今まで144話中で、クレヨン博士が発明したクレヨンを調べてみた。二十数個あった。
香りクレヨン(最初の発明)、スキークレヨン(スキー板に塗ってすべると、七色のシュプールが出現するというもの)、
チョコレートクレヨン、星クレヨン、糸クレヨン、風クレヨン、スタンプクレヨン、透明クレヨン、水クレヨン、
特集号で発表したイチゴ(1・5)クレヨンなどなど…………。
 それらを活かすのも”手”だが、ページ数も限られているしなあ……。まあ、これでお終い!クレヨンまるの
”最後”是非とも見届けてくださいな。  感涙………乞うご期待!

 ・福笑い


■コンソーシアム大学  『作って遊ぼう!』
 二日目 「回転円盤仕掛け絵本」”あんなかお、こんなかお、そんなかお、みななかお、どんなかお”」

 雪交じりの寒い朝、20組の親子が集まった。前回同様みんなヤル気十分!お父さんの参加は4名、弟や妹を連れてきた方もいて
教室は満員。まず”宿題”の顔の絵を絵本の表紙に貼り付ける。もちろん”作家名”も記入する。絵本作家になった気持ちで、
制作スタート。子どもは4種類の”面白い””おかしな””楽しい””見たこともない”顔を描く。その間に保護者の方々は
仕掛け絵本のメカ(二枚の回転円盤、ジョイントなど)を制作する。顔の絵を上部と下部とに切断し本体に取り付ける。本体台紙に
開けられた二つの穴(目と口)に12個の表情を描きこむ。これで何百もの顔ができるのだ。製本は金属鋲をかしめる。これは、
かなり大変だったけれど、学生が要領よく流れ作業でこなしてくれた。世界で一冊だけの「ぼくのえほん」「わたしのえほん」で
子ども達は遊んだ。”へんてこな顔”が出現するたびに歓声をあげて……。作る楽しさ、遊ぶ楽しさ……、苦心して作り上げた
その達成感が子どもを成長させる。
 講座終了間際にお家で簡単にできる工作を紹介する。今回は『しゅるしゅる人形』牛乳パックとストローとタコ糸があれば
誰でもできる玩具。試作品を吊るすと、子供達が群がった。シンプルだけど面白い。手加減で人形がしゅるしゅる昇っていき
スーと落ちてくる。子ども達は繰り返し繰り返し遊んでいた。つくり方をメモしているお母さんも。是非とも、お子さんと一緒に
作って遊んでほしい。


  
・「おもしろい顔ができたねえ」 ・表情の変化は色々だよ「泣いたり笑ったり、怒ったり眠ったり…」・「やって見せて!」

  
・糸を操り人形を天井まで昇らせて遊ぶ  ・牛乳パックで作って見せる  ・ちょっと”豪華な”「こんなこ」バージョン

■コンソーシアム大学  『作って遊ぼう!』 初日は「変身仮面を作ろう!きみの仮面はどんな仮面か、お話して!」


6歳~9歳の子どもに、お母さんお父さんを交えてのコンソーシアム大学「作って遊ぼう!」開講。
「●作って遊ぶ楽しさ●出来たものは、世界でただ一つの存在●表現は”自由”、この素晴らしさ」

第一回目は、『変身仮面』。仮面を作って、各自その仮面の秘密、凄さを語らせるもの。


  
・21人が仮面を制作。仮面にはそれぞれの秘密がある。想像させることが目的。

     
・マントは黒2着、白4着を用意。全員を写真に収める。    ・わが優秀なるアシスタント。子ども教育学科2年生

・下段中央は、河童(鼻から突き出しているのは”吹き戻し”が正義の味方○○仮面にやられるの図)
 さて、この弱虫カッパは誰でしょう?

次回は『回転円盤仕掛け絵本』…………
「こんなかお、あんなかお、そんなかお、へんなかお、どんなかお」変な絵本のタイトルだねえ。

■クレヨンまる最終編! はたしてどうなるかクレヨンまる!

   

 『おひさま』 が月刊から隔月刊になる。それにともない、クレヨンまるは『おひさま』6-7月号(5月15日発売予定)を
最後に休載する。おひさま創刊当初からクレヨンまるを描いてきたから感慨一入である。
第一話「クレヨンまる誕生」が1996年1月号、以来本年2月号「オリーブおばさんのプレゼント」が154話。
 
 15年の連載を休止するのだが、ファイナル155話は特別編だ。クレヨンまるファンを悲しませないよう、そして、
最大級の”オチ”で締めくくろう。このところ毎日毎晩、結末をどうしようか考えている。
これじゃダメ!あれでもダメ!面白くて、悲しくて、くすっと 笑える……あっという最後で締めくくるんだ!ぼくは
クレヨンまると共に生きたから、ぼくなら出来るはず……言い聞かせて、寝ても覚めてもクレヨンまるの世界に
浸かっている。クレヨンまるファンの皆さん、待っててね。クレヨンまるの”最後”……悲しみを吹き飛ばすような
結末を、きっと描いてみせるからね。

(Feb. 10)


■二十四節気 <立春>     七十二候(一候.二候.三候)

●立春は2月4日             (雨水  2月19日)

・一候 (2月4日)  ・とうふう、こおりをとく
              春風が吹き氷を解かす

・二候 (2月9日)  ・うぐいす、なく
              鶯が鳴き出す

・三候 (2月14日) ・さかな、こおりにあがる
              魚が氷の間から姿を現す

 暑いのは歓迎だが、ぼくは寒さに弱い。渋谷の仕事場は北側に位置しているから、部屋は外よりも寒い感じ……、そんな
バカなことは無かろうが暖めても暖めても室温上がらず。机の下には足温器、膝暖盤、更に温風ヒーター。背中にはハロゲン
ヒーターの遠赤外線をあてている。こうまでしないと、仕事が出来ない。ふくらはぎから下の冷え性だ。机に向かっている限りは
快適となるが、部屋全体が温まるわけではなく、よって机から離れられない。机にしがみ付き仕事をする破目に。
これが集中力のなせるワザならよいのだが……。
(2月3日)


■キャラクター{ミンミン}シール作製

 もう何種類のシールを作ったろう。 相模女子大学の「子ども教育学科」は誕生まもない。いずれ
”卒業生の現場での評判”が歴史をつくってくれるであろうが、それまで手をこまねいているわけにはいかない。
イメージづくり(戦略)の一助にとキャラクター展開を試みている。
元気、明るい、素朴、自由……MINMINちゃん、頑張れ!!!


   
    

1月のアトリエだより

■コンソーシアム大学……”仕込み”続く 「お化けの衣装」

 渋谷の生地屋さんで白と黒の天竺木綿を買う。白はお化けの衣装、黒は○○○仮面のもの。頭からすっぽり
かぶる簡単な構造。子どもたちが作る仮面を引き立たせるよう体を覆い隠すのだ。まずはぼくが黒いので登場、
アシスタントの学生3名は白いお化けになってもらう。5日に試作品を作るが、学生もぼくも、子どもには勝てっこない。
”勝てっこない”は、競う気持ちの表れだ。もちろん、子どもなんかに負けてられない!想像力で、いざ勝負!
遊んで楽しんで、真剣勝負だ!”勝負”は”心のままの表現”と置き換えよう。そう、”心のままの表現”は
比べるものではない。当たり前のことであった。
(Jan.30)

 

■コンソーシアム大学 「作ってあそぼう」申し込み締め切り!

 子どもと親とで作って遊ぶワークショップの申し込みは締め切られた。事務局より定員をオーバーしたとの報せあり。
熱心な方々の気持ちをかなえてあげたい。補助椅子を出して対応して貰う。

 工作メニューは三つ。  2月6日、① 「世界に一つのミラクル仮面」(大きな覆面タイプと吹き戻しを使うもの2作)
13日 ②「絵変わり仕掛け絵本……あんなかお、こんなかお、どんなかお、みんなかお」20日 ③「イライライラ……コロ玉
バランスボード」作る喜びを味わってもらう。表現する素晴らしさを体験し、止みつきになってくれれば……。
頑張ろう!目一杯、精一杯やる!
 5日にはアシスタントをしてもらう学生3名を特訓する。もちろん、ぼくも試作を楽しむ。それにしても教材の準備は大変!
仕事場は段ボール箱の山だ。買い集める、加工する、セットする(パーツを袋詰め)……、ああ今日も慌しく日が暮れた。
(Jan.29)
 

■造形応用 牛乳パックTOY② 「舌だし人形・・・愉快な仲間達」

    「こんなこいるかな」へ
・アリガくん試作例   (「こんなこいるかな」バージョンを別項『こんなこいるかな』コラムに掲載

 造形表現活動(応用)最終回は牛乳パック(ミルクカートン)工作。材料はカートン一個半とゴム輪2本のみ。
カートンはTOY①同様裏返して使う。学生は始めの頃恐がっていたカッターナイフにも大分慣れてきた。手作業の
大事さ、それに廃物利用”創意工夫”する心を育てたかった。
 TOY上部の持ち手を放すとパチン!の音とともに目が変化する玩具。単純素朴なことが「壊れにくい、飽きさせない、遊び方が工夫
出来る」など、よい遊びの条件の幾つかを満たしている。遊びといえばDSやPS一色の感があるが、自ら作る、その素晴らしさを
放棄しているようでもったいないことだ。遊びを創出する……ここにも自己表現がある。学習で疲れた学生が教室で
生き生きした表情に”蘇生”するのを見るにつけ、定まった答えのない表現の世界で遊ぶ(自由な心での表現)ことの
重要性を再認識する。
(Jan.27)


     
・学生制作作品例(舌は出たり引っ込んだりする。写真はすべて長い舌が伸びたところ)


■造形応用 牛乳パックTOY① 「回転円盤絵変り・・・六面相」


   
・アリガくん試作(割りピン使用)      ・完成作品例              

 牛乳パックTOY制作その1 「回転円盤六面相」を作る
学生の積極性が感じられるようになってきた。バイト先のコーヒーチェーン店から、牛乳パックを大量に運んできた者、朝、研究室に
立ち寄り、パックの包みを置いて行く者……、牛乳離れが進んでいる若者が、何とかして授業に役立てようと頑張る姿……嬉しいことだ。
自主性こそ、創意工夫する心、自己表現する心、とともに学生に摺り込みたいことだから。


学生作品例

   
・絵変わりカードに合わせて制作者も表情を演じていた。目いっぱい{変な顔}をする!感情表現の面白さ!

(Jan.22)


■二十四節気<大寒>   七十二候(七十候.七十一候.七十二候)

●大寒は1月21日

・七十候 (1月20日)    ・ふきのはなさく
                 蕗の花が咲く

・七十一候 (1月25日)  ・みずさわあつくかたい
                 沢の水も寒さに氷る

・七十二候 (1月30日)  ・にわとりとやにつく
                 鶏が卵を抱く
     

 このところ寒い日が続いていたが、昨日今日は最高気温が14,5度。3月の温かさだ。明日は18度にもなるという。が油断は禁物。
あさって、金曜日はまたぐっと冷え込むとの予報。久しぶりのテニスを予定しているのに……。日差しに明るさが増してきた。
春が近づいている。もうすぐ立春だ(2月4日)。
(Jan.20)

■ NHK教育テレビ「絵本寄席」をご覧下さい

   

  1月29日(金)午前7時45分~50分 NHK教育テレビ「テレビ絵本」にてえほん寄席のアニメが
再放送されます。『目黒のさんま』(有賀忍・絵  三笑亭夢太朗・落語)早朝ですが、どうぞお楽しみください。


■シラバス打ち込みと、紙芝居作画に明け暮れる

 新年度の履修科目シラバス作りに大わらわ。昨年から提出がパソコン入力となり操作に戸惑う。キーボードから
20分離れると自動的にすべて消去されるし、「更新」「保存」が分かりずらく何度もやり直すはめに。10科目を
入力し終わる頃に漸く慣れたが。
 授業が始まる前に、仕事の目処をつけねばと、紙芝居「だいじな たまご(仮題)」制作も頑張った。こちらの苦心は
鶏小屋の金網や、卵が割れて悲しむ少年の表現など。ストーリーが単調で、紙芝居の”単純明快、可視性”はクリア出来たとは
思う。が、やはり絵本も紙芝居も”面白くてナンボ”………不満がない訳ではない。
(Jan.15)

■エンターテイメント

 正月テレビは殆ど見ない。ニュースを除いて。ただ、小朝の落語「親子酒」には抱腹絶倒。ろれつの回らない親子の酔っ払いの
掛け合いが見事。酔いが回るにつけ顔までが赤くなっていく様は感動物!話のおもしろさ、形振りの上手さ、完璧だ!
 大学の帰り道、NHKラジオの「真打競演」を聞くことが多いが、漫才も落語も大笑いさせるもの少ない。話がつまらない。
生中継ではないし、”話芸”を収録するのなら、選ぶべきだろう。天才、小朝を聞いて思った。


■二十四節気<小寒>  七十二候(六十七候.六十八候.六十九候)

 七十二候も最早六十九候。あと三候残すのみ。<小寒>の次は<大寒>。そして、
いよいよ<立春>……春の到来だ。

●小寒   1月5日

・六十七候 (1月5日)  ・せりさかう
                  芹が青々と生える

・六十八候 (1月10日) ・しみずあたたかさをふくむ
                  泉に温かさが残っている

・六十九候 (1月15日) ・きじはじめてなく
                  雉がメスを求めて鳴く
      

 2010年元旦、鳩山、アトリエでの正月

 アルコール漬け。 ワイン3本、それに畏友の杜氏、宇都宮くん恵贈の酒「月の滴」一本空にして二日間の正月終わる。

2日の午前二時頃だ、外は一面雪に覆われた。日本各地で大雪のニュースに、鳩山もかと。美しさたるや北欧の写真にある
銀世界(定番の表現だねえ)だが、喜んではいられない。わがアトリエは坂道を下ったところにあるから、四駆ではないぼくの
車は登れない。チェーンもないからこれ以上積もると脱出ピンチだ!が、心配も”幸酒”酩酊の身には響かない、”なるようになれ!”

 ところが、朝起きてみて目を見張った。雪は跡かたなく消えていた。おかしい、全く残っていないのは。地面も濡れていない。
何だったんだろう、一体。 確かに雪だった。四方の窓を開け確認したのだから。幻視の雪の原……?
 多分、多分、コウコウと照る月明りだったのだろう。満月の明るさが田圃も畑も野原もすべて白く染め上げたのに違いない。
いや何だっていい。美しいものを見させて貰ったよ、いい正月だったなあ。幻の雪風景は当分の間、記憶の底に沈みそうにない。
(Jan.4)


 あけましておめでとうございます



心に <日々新生・日々創造> を思い描くも儘ならず。本年も創作時間確保が課題となる。
創り出す喜びを知っているが、それ以上に創作の悩みは深くきつい。頼りは”突き抜ける気力”なるも、
何とも心もとない。瞬間瞬間を燃焼させるほか手はないことだけは確か。

よい一年でありますように。
(Jan.1)

12月のアトリエだより

■薪割りに鳩山へ。忙しなく日帰り

 毎年、正月といっても元旦と2日のみだが鳩山のアトリエで過ごすことにしている。日がな飲み続ける為にはストーブにくべる
薪を手当てしておかねばならない。チェーンソーで丸太を切る。頭も体も大鋸屑だらけだが、作業は嫌いではない。太い丸太も
乾燥していると、鉞で気持ちよく割れる。薪作りは一歩も外に出ず酩酊読書三昧する二日間のための儀式だ。このまま鳩山に
留まりたいのを我慢して渋谷に戻る。溜息が出る、年賀状書きが待っている。
(Dec.30) 

■コロコロ コロ玉 バランスボード……ゲーム盤試作


    
・木片張り込み位置ゲージ    ・試作版1     ・試作版2 (実際はコーナーと木球は着色される)

 

 『さがまちコンソーシアム』(2月開講)の受講者は小学1~3年生と同伴父兄。ここ数日ワークショップの”メニュー”を
考え試作している。創造的造形遊びが大きなテーマだが、楽しく作る、遊ぶ……頭より手を使う遊びを提案する。

 ① 「世界に一つのミラクル仮面」(大きな覆面タイプと吹き戻しを使うもの2作) ②「絵変わり仕掛け絵本……あんなかお、
こんなかお、どんなかお、みんなかお」 ③「イライライラ……コロ玉バランスボード」①を除き材料費がオーバー、受講者は
得した気持ちで帰るだろう。いや、何より自己表現の素晴らしさ、楽しさを体感するだろう。①は覆面デザインの自由度、
②は回転版使用によるユニークな絵本のおもしろさ(親子合作)、③の微妙な手加減が勝負のポイント!……魅力一杯と自負。
興味のある方はご参加ください。
(Dec.28)
 

■メリークリスマス!


    
・「ミンミン新聞」12月号カット    ・IDカードデザイン(3種制作)

 幼稚園、保育園、障がい者施設でのインターンシップ等で学生が着用するエプロンのシールや、IDカードのデザインを
制作。自分の年賀状も儘ならないのに大学の”雑事”に時間をとられる。この分だと年賀状は無理だ。
 このところ、マックが不調でパソコンに向かう時間が多くストレスとなっている。シラバス提出の時期だが、メール送信が
義務付けられており、何としても修復を図らねば。
 大学の図書館で冬休みに読む本を二冊借りた。アントワーヌ・ブールデル「芸術と人生に関する手記」これは昨年に
続きまた借りた。ミシェル・アンリ「見えないものを見る---カンディンスキー論」……デザイン学生時代が懐かしい……。
ウイスキー片手に酩酊読書の正月が、わが短くも豊かな幸せな時間。シラバス、仕事(紙芝居ほか)コンソーシアム大学の用意
(試作・レジュメ)教材購入手配……ああ読書三昧は夢と化すか。
(Dec.23)


■二十四節気<冬至>   七十二候(六十四候.六十五候.六十六候)

      12月22日は冬至           (1月5日)は小寒

・六十四候 (12月22日)       ・ふゆ しょうじ なつかる
                       冬生じ夏、枯る

・六十五候 (12月27日)       ・しか つの おつる
                       鹿角落つる

・六十六候 (12月31日)       ・ゆき わたりて むぎ のびる
                       雪下りて麦のびる

 文字通り”師走”。あたふた走り回っている。慌しさこの上ない。水金土曜日は大学の研究室にいた。月曜日返却する絵本AB2クラス
41点の講評に時間を費やした。
 昨日は今年最後の授業。何作かを取り上げ創作の魅力について話す。作品全部講評、合評も意義あることだが、学生は次の
課題に取り掛からねばならず数点のみとした。
 絵本制作を中心とした「楽習絵画造形系」はかなり時間に追われる。ミニサイズとはいえ3冊作るのは詰め込みぎみかも。しかしながら、
短期間、緊張感、集中力を持って制作にあたらせる。努力した後には達成感があるだろう、これも一つの狙い。
 ぼく自身の創作はこの後だ。大晦日までが勝負。
(Dec.22)

■切り紙の連続模様、パターン作成


    
・カメやカニ、いずれも一匹15×10㎝ほど。サンプルは掲示ボード一杯になるよう20種試作

 実践遊び学の「紋型切り紙」の応用編、造形表現「連続模様」演習(実際はペーパーチェーン制作)。この授業風景の
撮影が入った。来年度の大学案内の学科紹介用だが今年同様、ぼくの担当する美術図工系となった。撮影は90分授業の
始めと、学生の制作物が揃う終わり頃にしてもらう。
 前回は「不定形フォルム……お化け制作」がテーマだった。個性溢れるユニークなお化けたち、そして今回は壁面(構成)装飾や
絵カード等利用範囲が広い造形「ペーパーチェーン」。魅力的な作品が多いのにほんの一部しか掲載されないのが惜しい。

■師走ももはや数え日、テニスもまもなく打ち納め

 5面あるテニスコートにぼく一人。かつてクラブの休業日だったこの日は会員登録が少なく(クラブは利用曜日指定制)
振り替え利用でもない限り誰も現れない。50分、フォア、バック200球サーブ練習する。気温10度に満たない肌寒さでも、
一汗かき気持ちよく仕事場に向かう。これで、サーブの威力でも増せば嬉しいけれどそうは問屋が……。
  世田谷通りが渋滞。恒例のボロ市が開かれているのを忘れていた。繁華街は嫌いだが、この賑わいは楽しい。
”面白い物”をさがし、店主をひやかし、雑踏を押し合いへしあい歩く、年末の風物詩だが今年も通り過ぎただけ。残念!

■二十四節気<大雪>  七十二候(六十一候.六十二候.六十三候)

  今年の大雪は12月7日         (冬至は12月22日)

・六十一候 (12月7日)      ・そら さむく ふゆと なる
                      天が塞がり冬となる

・六十二候 (12月12日)     ・くま あなに こもる
                      熊が穴に入って冬眠する

・六十三候 (12月17日)      ・さけ うお むらがる 
                      鮭が群れをなして朔上する

 大学キャンパスの正門から図書館に続く銀杏並木は黄金のトンネル、であった。先週までは。今や降り落ちた黄葉でアスファルトの
両側は黄金の山。構内のイチョウは新校舎建設でダメージを負ったものの、まだ恵まれている。
 街路樹のイチョウは、近頃は黄葉する前に枝を切り落とされてしまう傾向にある。落葉の清掃に手を焼くからだが、これは人間の
傲慢だ。緑陰の恩恵にあずかった後は”はい、お仕舞い!か……。目を楽しませる初冬の景色が心の栄養なのに。役に立たない
ものは徹底的に排除される……効率主義の人間界の犠牲者だ、イチョウも受難、可哀想。
(Dec.7)


■[ピリペンコさんの手づくり潜水艦]・・・・人生に大切なものは?


   

・ハガキよりちょっとだけ大きいだけのリーフレット  ・「Ykpaiha」ウクライナで暮らす

 ミニシアターで『ピリペンコさんの手づくり潜水艦』を見る。
コルホーズでクレーン車の運転手をしていたピリペンコは30年来の夢「潜水艦を作って黒海にもぐる」を果たさんと
年金をすべてつぎ込み独り奮闘する。”道楽”に奥さんはしかめっつら。頼りは70年代のボロボロの雑誌
「水中スポーツマン」の記事。廃材を集め完成した”イルカ号”の試運転は村の沼。ピリペンコは水が漏れても
へこたれない。大草原に置かれた小さなワーゲンビートルを思わせる”イルカ号”がいい。リーフレット写真では
その手作り感が伝わらないが、工夫されたこの塊が可愛い。一つだけの夢をずうっと持ち続け、黙々と実行して
いく……、”静かな”執念に、その一途さに目が潤んだ。
 淡々としている奥さんがピリペンコが黒海に向けて発つ日、目頭を抑えていた。心配なのだ。愛しているのだ。村人も
温かい。祝い会では、みな”最高の笑顔”。この笑顔こそ、人生の宝だ。この笑顔に究極の幸せがある。
 今この世は金、金、金。政治もスポーツも。(たとえばプロ野球の年俸、たとえばゴルフの賞金王……金が目的化して
きた。いやだなあ)ピリペンコの生活は貧しいが、比べ物にならない大きな喜びがある。その表れが村人の笑顔だ。
現代人にあの笑顔は見られない。魚を獲って売る、ガチョウや羊や牛に囲まれる暮らし……昔は当たり前だった人間の
生活に感動を覚える。
 この映画、新聞で見た監督ヤン・ヒンリック・ドレーフスの一言で興味を持った。「ウラジミール・ピリペンコの存在により、
この映画を作ることができたことを幸せに思う。そして彼のような人々の存在がなかったら、世界は今よりも貧しい場所に
なっているだろう」  『ピリペンコさんの手づくり潜水艦』は一年間のドキュメント。エンドロール前に流れる(映画には
描かれなかった)冬景色や生活風景が美しい。心がほんわり温まった。観客数数人のミニシアターを出て仕事場まで歩いて
帰った。余韻で、寒ささえ心地よかった。
(Dec.3)


■[ブルノ・ムナーリの言葉]

    おとなのしるしに 懐中時計をつけてもらった
    そのとき 僕は10歳で
    でも 何時におとなになったらいいのか
    よくわからなかった。  -ブルーノ・ムナーリ-

 「遊び心」「創作・創造」「芸術とデザイン」それらの我が神様、ブルーノ・ムナーリ。ムナーリの絵本、「プレゼント」は
大大名作で、授業の始めに見せることにしている。同書と出会ったのが30年前、学生に見せて5年。超えるものナシ。
そのムナーリが生涯後半、新聞や雑誌、パンフレットに書き記した文章が『ムナーリの言葉』としてまとめられた。1~2分の
時間が空くと開いてみる。何処を開けてもよい。難しい言葉や記述は一つもない。闇雲に日々”独楽鼠”状態の自分には
自省の書だ。


 「誰かが これなら僕だってつくれるよ と言うなら それは 僕だって真似してつくれるよ という意味だ 
 でなけれ もうとっくにつくっているはずだもの」

 「芸術における 最大の障害は 芸術を頭で理解したがる人々」

 「貧しい芸術家は ゴミ箱の中から見つけた ちびた鉛筆で 素晴しい詩を書く
 金持ちの 芸術家は 純金のペン先のついた 高級万年筆で つまらない詩を書く」

 (by Bruno Munari)

11月のアトリエだより

■[絵本]に埋もれた一日

 人間社会学科、社会マネジメント学科の学生制作絵本を講評。30点余り見る。一冊ずつコメントを書く。面白い着眼をほめ、
「こうしたら効果的」「ネームの推敲を」とか次作への期待を記していく。一つ見るのに10分は掛かるから大仕事だ。
ほっとして研究室をでれば、もう夜の帳が下りていた。土曜日、補講授業しかなく学生姿もまばら。一人の先生とも出会わず、よって
本日は”会話ナシ”で終わった。もっとも、冷気が身に染む中、駐車場までの呟き「繰り言」は別だが………。
(Nov.28)

■「いないいないばー」工作のテキスト作り      (絵画造形表現活動 Ⅱ)

 「こんなこいるかな」の雑誌連載で人気が高かったものの一つに「いないいないばー」遊びがある。幼児は動きのあるものに
興味を抱き絵がパッと変わると目を見張る。
 「いないいないばー」は、紙の裏表に絵を描いたものや、ぺープサートなど色々考えられるが、学生には簡単な仕掛け
カードを制作させる。絵は自由に描かせる。そして、その”物語”をテーブルを挟んで学生同士演じさせる。つくりは簡単でも、
演じ方(言葉の間、絵を変えるタイミング、感情)が大事。”自分のもの(技)”にするためには数多く作って見ることだ。
(Nov.23)


   

■二十四節気 <小雪> 七十二候(五十八候.五十九候.六十候)

   小雪は11月22日        

・五十八候 (11月22日)      ・にじ かくれて みえず
                      虹が見えなくなる

・五十九候 (11月27日)     ・きたかぜ このはを はらう
                     北風が木の葉を吹き払うようになる

・六十候 (12月2日)        ・たちばな はじめて きばむ 
                      橘の葉が黄葉し始める

 二十四節季も「立冬」から「小雪」へ。北風が身に染む。北からは雪の便りも。キャンパスのイチョウも銀杏をすっかり落とし
一部は黄葉が始まっている。が、”すっかり”は誤りだった。15~16日の激しい雨に叩かれ一粒も残ってはいないと思ったら、
一本だけ根元にバラバラ、撒いたように転がっている。木々にも、それぞれの”個性”があるんだなあ。最後まで頑張ったその
太い幹を見上げて、ぼくは何故か嬉しくなった。

(Nov,18)

■古代ローマの遺産展を見る  (国立西洋美術館)

 

・豹を抱くディオニュソス(白大理石 高さ152cm、前一世紀) 中央はニンフの噴水(モザイク・200×240×177cm)

  

「黄金の腕輪の家」居間のVR(バーチャルリアリティ)映像に見入る

2000年前ヴェスヴィオス火山噴火で埋もれたポンペイ出土品と東京大学ソンマ・ヴェスビアーナ
発掘調査団の研究成果の紹介。ソンマ・ヴェスビアーナ出土の豹を抱くディオニュソスが優美。ポンペイ
出土のエロスの噴水彫刻(イルカを抱く天使)も完成された美しさ、息を飲んだ。古代ローマの美意識
たるや現代の比ではない。

豹を抱くディオニュソスは火山灰に埋もれ頭部だけ露出している発掘現場写真とを比べて見た。発見時の
興奮が伝わってくるようだ。金貨や装飾品も数多く出展されていたが、ぼくは、3つの火口のあるランプ、
ブロンズ製の秤、テーブルの足、ロシアのサモアールの原型やおそらく焚き火をしながら湯を沸かしたので
あろう砦形サモアール(取っ手が付いているからポータブル?)水道の弁、鉛製のフィルター(排水目皿?)
に興味を持った。水道の弁や目皿を除けば、いずれも精緻な装飾がほどこされている。家具調度が豪華
なのは帝政の皇族か大金持ちの邸宅からの出土だからだろう。ぼくの好みは“美術品”より、錆びた鉄の
鍬や熊手、30センチほどもある特大の庭バサミなど。

 ポンペイ非公開の遺跡「黄金の腕輪の家」居間の壁画(フレスコ画)には圧倒された。(パンフレット
右・下段)でかい!東壁一枚が200×257cmだという。部屋の三面を埋め尽くすように描かれた壁画は
(壁を剥いだものを日本まで運んできたことにも驚く)まさに庭の風景画。家の前には本物の海を見通せる
庭が広がる。狭い部屋にはベッドが。ここでワインを飲みながら、寝そべって四面庭風景を楽しんでいたの
だろう。それを想像させるのが、VR(バーチャルリアリティ)映像。高精細CGであたかもその場にいる
ような気持ちにさせられた。庭園にはハーブが育ち、ぶどう棚の葉は風を受けて揺れている。会場で見てきた
彫刻、家具や調度が部屋に納められリアリティ十分。ぼくはCGやSFXはあまり好きではないが、この
「黄金の腕輪の家の居間」の描画生成には納得。
VRの威力を認めよう。

(Nov,15)


■現代童画展終了

 展覧会最終日、上野に。美術館に通ずる公園のアスファルト道は、ケヤキの落葉が敷き詰められたように覆われている。
掃除人が掃いても掃いても追いつかない。一昨年前までは開催が12月で、落葉は黄金色のイチョウだった。

 会場を一巡り、描きたいモチーフの追求が甘く、心まで届く作品が極めて少ないと感じた。簡単に”描いてしまう”、
”描けてしまう”危うさに気づかない制作者が多い。止むに止まれぬ表現欲求……これに尽きるのだ。その想いなくして
筆をとるべきではなかろう。
(Nov,12)



■第35回現代童画展出品作 『SHED』       91・5×145㎝ アクリル ・ ガッシュ


  
 ・Father’s shed            ・Mother’s shed

  多くの方に見ていただきたい。上野の森にどうぞお出かけください。
  <東京都美術館・11月12日(最終日1時)まで>

■二十四節気<立冬>、  七十二候(五十五候 .五十六候. 五十七候)



  立冬は11月7日
      

・五十五候 (11月7日)      ・つばき ひらき はじめる
                     山茶花の花が咲き始める

・五十六候 (11月12日)     ・ち はじめて こおる
                     大地が凍り始める

・五十七候 (11月17日)      ・きんせんか こうばし
                     水仙の花が咲き始める


 風静か、穏やかな日和だが、テニスコートにポロシャツ、短パンの姿はぼくだけ。若ぶっているつもりはなく、
冬のウエアを取り出す時間の余裕がなかっただけ。試合後の汗が冷たい。固くなっていく体をヒーターを入れ
温めながら帰る。普段なら食料を集めていくスーパーにも立ち寄らずまっすぐ渋谷へ。仕事の合間の僅かな
時間、慌しいテニスも打ち納めが近づく。晩秋から冬へ、景色が変わってきた。

■ピアノとコンピュータの競演は激しいものだった。

「生成する身体知のクオリア」と題する音楽を聴いた。(東京オペラシティ)
[*偶然「投発」無常「投失」]は尺八に舞踏、映像のコラボ。[gatari]
ベースに映像、[*天使の梯子]がピアノ。フルートデュオあり弦楽四重奏あり。
他全7タイトル、いずれも難解。思考はやめ音に集中、風景や情景を頭に描き聞き入った。
CGのバックグラウンドのフラッシュが
まぶしい。波が集合拡散燃焼する映像が音を喰う。
作り手のテクニックがぼくには邪魔だった。

 [*天使の梯子](菅野由弘/曲・大竹紀子/ピアノ)は、大叙事詩。天使の梯子(厚い雲の
切れ間から、光の筋が何本も降りてくる光景をいう。光が降りてくる。が、私の中では、光の帯を
昇っていく感覚がある。〈菅野由弘〉パンフより)を、いつしかぼくも昇る体験をしていた。
演奏開始直後左端の鍵盤がドンドンドンドンドンと響く、まさに天に架かる梯子を一足一足
昇って行くようだ。腹に染み入ったころ静寂を破る嵐あるいは戦闘または破壊。これが激しい。
鍵盤を叩く大竹の腕が折れんばかりの強烈さ。シンセサイザーとのマッチングも流石、微動だに
できず
金縛り状態。演奏いや格闘が、強烈な、心地よい緊張を与えてくれた。鼓動の高鳴りは
幾条もの光が見えたからだろう。

 今日昼間、すべての時間を提出書類書きに費やし(過去の,データの処理)、うんざりしていた。
“後ろ向き”は嫌だ。義務付けられているとはいえ、苦手で嫌悪感さえある。前向き即ち、創造や
制作と対極の“後ろ向き生活”の後のコンサート。足を運ぶのが重かったが、救われた。芸術の持つ
力に救われた。感謝。

Nov.1

10月のアトリエだより

■もうすぐクリスマス。その前にハローウイン!

   
・1978年版グリーティグカードカタログ ・パンプキンランタン(2007)・ターシャ・チュダー作

 クリスマスカードに応用できるポップアップの仕掛けを教える。初日は3種、二日目は2種とそれらを組み合わせての
自由制作。これで仕掛け絵本のペーパーメカニズムの基本が分かったと思う。学生のもっとやりたいとの声があがるが、
次の課題に移らねばならない。いつも中途半端の感あり。先日は予定になかった「ハローウインペーパークラフト」を
はさんだ。”とび入り”だが喜ばれた。早速アルバイト先で創って飾ったとの報告も。かぼちゃのおばけ、魔法使い、コウモリ、
ゆうれい達が店先を飾ったのだろうか。

 写真は資料にひっぱり出したカードのカタログ。ぼくは数点制作している。表紙の三頭のトナカイのイラストもぼくの作品。
左下に「この ひもを 引いてください」とあり、引くと………お風呂のシャワーカーテンがめくれ……
入っているサンタさんが、大慌てで飛び出てくる仕掛け。他のもユーモア、面白さを重点に作ってある。
もう30年も前のもの。若さで仕事に挑戦していたころだ。

 ハローウインが近い。かぼちゃをくり抜きジャックオーランタンを作ったのは一昨年。まだ少しは余裕があったのだ。
慌しい毎日に、ちょっぴりでも息抜きを………出るは溜息のみ。
(Oct。26)

■現代童画セルビア展のポスターを受けとる

 セルビアに行ったメンバーK氏よりポスター、チケットを受け取る。ぼくの作品『雪催い』がデザインされている。
ツアーの写真ファイルをI氏が見せた。宿泊したコテージ、バイオリン製作所、絵描きのアトリエ、……
ぼくを羨ませるのに十分だった。行きたかった。コバチッツア村のナイーブアート美術館よりむしろ、I氏のカメラが
捉えた田園や、野外彫刻物、市場の風景に興味をもった。セルビア行きは仕事を考えると如何にしても不可能、
残念であった。
(Oct.24)

■二十四節気<霜降>   七十二候(五十二候.五十三候.五十四候)


   霜降は10月23日     (立冬は11月7日)

・五十二候 (10月23日)     ・しも はじめて ふる
                     霜が降り始める

・五十三候 (10月28日)     ・こさめ ときどき ふる
                     時雨が降るようになる

・五十四候 (11月2日)      ・もみじ つた きばむ
                     紅葉や蔦の葉が黄ばむ

 いよいよ展覧会の秋。現代童画展も今年、35回を迎える。23,24両日は審査会。上野の東京都美術館
地下3階に籠ることになる。窓がない、陽がない、風がない……窒息しそうで気が重い。それでも、ワクワクするような、
ドキドキときめくような絵に出合えればと……。(滅多にはないが)
 わが作品『』SHED』も、狭いアトリエで見るのと天井の高い展覧会場では感じが違う。搬入して暫くぶりに見る作品、
”ご対面”が楽しみだ。
(Oct.21)

■月刊幼児絵本「なかよしメイト」1月号は「もう いくつ ねると おしょうがつ……♪」


     

・「お話メイト」11月号『おばあちゃんのちいさなおうち』扉絵 ・「なかよしメイト」2010年1月号挿絵

 メイト刊「おばあちゃんのちいさなおうち」がおはなしメイト11月号として再刊された。15年ほど前でた初版本には
奥付にぼくのポートレートが載っている。若い。当たり前だが、別人かと思うほど若い。本人は別に何も変わらないと
思っているが、写真はまさに青年!”何も変わらない”点は創作姿勢、生活だ。「日々新生、日々創造」を座右の言葉として
描き創る日々……これからも生きている限り全くかわることないだろう。

 2010年新年号巻頭の「うた」は「おしょうがつ」もう いくつ ねると おしょうがつ。おしょうがつには たこあげて
こまを まわして あそびましょ。はやく こい こい おしょうがつ♪♪♪
 イラストには「おばあちゃんのおうち」に登場した面々を描いた。おばあちゃんと9ひきのネコたちだ。2009年11月号を
見た子どもが「あっ あの おばあちゃんだ!」「あっ、この ネコの絵本、持ってる」などと反応を示すだろうか。絵本と
月刊雑誌のリンク、おもしろいと思ってやってみた。
(Oct.20)


■サン・フランシスコ号漂着400周年
 日西墨三国交通発祥記念碑建立80周年 記念公募展

  

                   千葉県知事賞受賞  『守る』 F10号 木版画、手彩色コラージュ

展覧会 9月17日(木)~12月8日(火) 月の砂漠記念館

主催 御宿町、サン・フランシスコ号漂着400周年日西墨三国交通発祥記念碑
    建立80周年記念事業実行委員会
後援 外務省、メキシコ大使館、スペイン大使館、千葉県、NHK千葉放送局
 

■二十四節気<寒露>    七十二候 (四十九候.五十候.五十一候)

  寒露は10月8日      (霜降は10月23日)

・四十九候 (10月8日)     ・がん きたる
                    雁が飛来し始める

・五十候 (10月13日)     ・きくの はな ひらく
                    菊の花が咲き始める

・五十一候 (10月18日)    ・キリギリス とに あり
                    キリギリスが家の中で鳴く

 8日、台風で渋谷の旧山手通りのエンジュの木にも被害が。太い枝が道路に落ちていた。落ちたばかりだろう、車が
避けるようにして走っていた。ぼくはこの道が好きで、バスで仕事場に向かうときは、終点の渋谷駅の二つまえの大坂上で
降りて歩くことにしている。国道246の交差点から代官山に至る大使館が並ぶ広い通りの両側はエンジュの並木道だ。
 エンジュは今、長い莢豆を付けている。これが日ごと大きくなって降るように垂れ下がるのが見事だ。漢方の薬の材料と
聞き、4年前アトリエの庭に幼木を植えた。太さ7~8センチ、高枝バサミも届かぬほど伸びたが莢豆はいまだ付ける気配がない。
 以前、旧山手通りの西郷山公園付近で枝切りされた莢豆を仕事場に持ち帰り活けたことがある。(アトリエ便りでも紹介)
ウグイス色の数珠を包んだ莢の形がおもしろく、写真にも撮った。
 屋根が飛ぶかと心配させた強風だ。鳩山のエンジュは倒れてはいないだろうか。ここ暫くは出かけられず確認するすべもない。

9日(金)秋晴れ。風もなく”テニス日和”  朝1時間サーブの打ち込みに行こう。午後は大学へ。大学にも立派なコートがある。それを
横目に研究室と美術準備室に入る。
(Oct.9)

■愛用のくるみ割り器   胡桃の殻で”良いもの”作ろ!      仕事場のガラクタ達 vol,2



   
・ナッツクラッシャー 右が二十数年来愛用のもの ・オニグルミがたった一つ実を付けたのに……  

 鳩山に植えたオニグルミが実をつけた。たった一つだけど、嬉しくてアトリエに行く度に家に入る前に真っ先に見ては
楽しんでいた。それが、消えていた!姿かたちがみえない。落ちたのかと思い雑草を掻き分け探したがない。
胡桃には幼少時の思い出があり、”収穫”を心待ちしていた。残念だ。
 現代童画展出品作「SHED」をあらかた仕上げ、アトリエから運び出す。東京に運搬する車中も、消えたクルミが気になって
しかたなかった。

 ぼくはクルミが好きで、店頭で見かける必ずといって良いほど買う。胡桃の収穫時期は夏の終わりから秋の終わりだが、
年中店頭にはなく、さりとて大量に買い込んでおいても酸化して”油が回り”ダメ!今がクルミの時季。渋谷の仕事場では夜、
ウイスキーのつまみに、胡桃を割っている。ナッツクラッシャーは鋳鉄製のもの。写真右のものは二十数年来愛用の英国製。
フォルムが美しく機能性も抜群だ。木製のスクリュータイプも試したが、スクリューの溝が磨り減ってクルミの殻を押しつぶす
圧力が減じ、鋳物製には敵わない。写真左のものはクルミを置き叩き割るもの。昨年大学の帰り、相模大野で見つけた。
50~60年代のUSA製品だろうか、鋳物の裏面にはOKLAHOMAの刻印が。こちらも機能性は?上手く割るにはコツがいるから、
ウイスキーや本に集中できない。まあ、クルミを割る作業を楽しむためのものだろう。

 クルミ割り器はこれだけではない。最近では胡桃の袋に入っている三角の金属片を使うことが多い。胡桃の底の小さな穴に差込
ねじるようにすると、パカンときれいに割れるからだ。この胡桃の殻でぼくはいいものを作っている。いいもの?勿体ぶらないで
書いてしまおう。それは「鈴の鳴るクルミ」。 小さな鈴を入れボンドで張り合わせるだけだが、もう相当量たまった。何にするかって?
秘密、秘密。いずれ、使用時がきたらまた報告ということで……。
(Oct.7)

■漸く雨上がる。さあ額縁のペイントだ!


・大小さまざまな額縁をミルキーホワイトでペイント

 「現代童画展」出品作の額縁作り。ペイントは数回おこなうが、仕上げ予定の今日は生憎の雨。もう日もせまっており、
作品ともども完成させねばならない。午後漸く雨があがり薄日がさした。待ってましたとばかり、仕上げのペイント。
今回は使用しない、10号~30号の額縁も”この際”とばかり、塗りまくる。
 作品も完成間近だが、額装は乾燥させてから。
「ずっと描き続けたい……」後ろ髪引かれる思いで大急ぎ東京にもどった。ハローウインのクラフト、レジュメ、クレヨンまる、
雑誌の仕事……雑事も多く片付けられないでいる。すべて、やらねばならぬことだけは確か。しんどい!
(Oct.3)

9月のアトリエだより


■二十四節気<秋分>   七十二候(四十六候、四十七候、四十五候)

  気澄み空晴れ渡る。気分爽快といきたいところだが、ゆとりなく仕事を”こなす”日々。夏の休みもとれぬまま、
大学の秋学期を迎える。ひたすら仕事。ただただ仕事。仕事三昧が幸せであるか否かはぼくの場合、すべて
集中度(燃焼度)による。忙しさを忘れさすほど夢中になれる仕事は、結果はともかくそのとき心は満たされているはず。

 それにしても創作に拘われる時間が確保できない。16日学会、17日研修会での講演と慌しく過ぎていく時間に、
焦りもがく毎日。板絵制作も途中なのに鳩山のアトリエに行かれない。制作中の作品『SHED』(小屋)が「続きを描け!」と
呼んでいる。(幼き)わが子に幾年も合えぬような心持だ。筆をとりたい。うずうずしている。
(Sep.18)

   9月23日は秋分 

・四十六候 (9月23日)    ・かみなり こえを おさむ
                    雷が鳴らなくなる

・四十七候 (9月28日)    ・ちっちゅう とを とざす
                   虫が地中に巣籠りする

・四十八候 (10月3日)    ・みず はじめて かる
                    田の水を落として稲刈りの準備をする


          

  



■二十四節気<白露>   七十二候(四十三候、四十四候、四十五候)

 アトリエの下の田圃、稲穂が垂れ秋の風に揺れている。田の主、石井さんの麦刈りが始まる頃には
ぼくの板絵制作も終わっていることだろう。とは言え、やがては完成し”筆を置く”状態になれるか自信の欠片もない。
白いパネルに絵が現れるか……、今は創作に入るとき感じる恐れに似た気持ちだ。

     9月7日は白露   

・四十三候 (9月7日)     ・くさつゆ しろし
                   草の葉に白い梅雨が宿る

・四十四候 (9月13日)    ・せきれい なく
                   セキレイが鳴くようになる

・四十五候 (9月18日)    ・つばめ さる
                    ツバメが 南の国に 去って行く

 終日板絵制作に没頭する。

刈払い機のエンジン音が響いてくる。身の丈を越す伸び放題の雑草、手に負いかねて「シルバー人材センター」に
頼んで刈り取ることにした。枯れかけた栗の木も2本切ってもらう。切らないで残すものに赤いテープで目印をつけた。
 栗は大きな古木があと一本、それに数年前植え大きく成長した3本となった。いずれも栗は今、正に収穫のとき!栗の
木の周りから草刈を始めてもらったから栗拾いはしようと思えばできる。が、時間がない。それでもと、棒で叩き落し
(落ちているものはほとんど、虫が食っていてダメ)20分ほどで数十個。仕事を気にしながらで楽しくない。一分が貴重。
一分でも板絵に向かっていたい。

 制作は時間と戦うものではない。時間の経過に溜息をついては、進み具合に焦りを感じストレスでイラつく……、丸二日間、
仕事以外何もせず、腕や手や顔に地塗りの絵の具のついたままで、車を運転帰途につく。明日からは、大学の「絵画造形
表現活動Ⅱ(応用)」のレジュメを作成しなくてはならない。こちらも作品試作 → テキストだから時間を要す。ぼくは
”ほどほど”ができない。”これでもか” ”こんなのはどうだ!”となるから、止まらない。止められなくて時間が足りなくなる。
悪循環!いつものことだ。進歩なし!
(Sep.6)

   

・オニグルミの実  ・サトウカエデ(約2メートルほどに育つ)   ・あたり一面カラスウリの白いレースの花(暗闇のなか、幻想的)

 鳩山のアトリエで制作に入る。作品イメージはSHED……小屋。一体何が出てくるか。思い出か……、歴史か……。
板絵はタイトルやイメージが先行するときがある。描きたい世界が自然と溢れ出る状態がBEST。今回は時間が迫って
いるし、気が気ではなく辛い仕事だ。

 雑草生い茂る小道をなんとか進み建物にはいるも、いつものことながら、カビ!カビ!カビ!パネルすべてが白い
ポツポツ、運び出し並べて日光消毒する。制作に水を差される。嫌になってしまうが仕方ない。観念して一枚残らず
乾したが、半日費やしてしまった。その後は10時間はぶっ通し彫っただろうか、右腕がパンパンだ。中腰にもなるから
太ももが張った。腰も痛い。

 食料買出しにでる。薄明かりの中で、ボーと白く光るものがあちこちに……。カラスウリの花だ。レース状、繊細極まりなく
清らか。ボー、ボー、ボー……、幻想的な景色、朝にはしぼむ、ほんの今だけ、その姿ほとんど誰にも見せずひっそりと”
咲き誇って”いる。美しい。野辺が昼より美しい。

 庭も中に入れないくらい雑草が生い茂り、鬱蒼としている。かき分け少しだけ進む。メープルシロップを採ろうと、夢を
描いて植えたサトウカエデが心配だった。大きく伸びたイタリアンパインの木立に囲まれてしまい日が当たらなくなっていた。
少し枝落とし、根元の雑草を抜いた。サトウカエデを”優遇”する。

 大きな実が一つ、枝に突き刺さるように成っている。オニグルミだ。苗木を植えて5年目で、初めて実を付けた。6~7センチは
あろうか、大きな見事な実だ。たったの一つだが、嬉しい。信州藤沢村で少年期を過ごしたが、オニグルミを割るのに苦労した
思い出は忘れない。殻が西洋胡桃と
違ってバカ堅いのだ。鳩山のオニグルミは、いつ割ろうか。「板絵完成祝い」の、ささやかな楽しみにしよう。

(Sep.1)

8月のアトリエだより

■ジョルジュ・ビコー展に、駆けつける。閉館前、滑り込みセーフ!(東京都写真美術館)



・ジョルジュ・ビコー(1860-1927) 1882(22歳)来日、陸軍士官学校お雇い画学教師となる。99年離日

 ジョルジュ・ビコー「碧眼の浮世絵師が斬る明治」展を最終日に観る。いつも展覧会はお終いに近い頃になってしまう、慌しい。
珍しい来日前の作品や小説の挿絵、それに日本滞在中(1882-1899)の「クロッキー・ジャポネ」等の四大画帳と見ごたえあり。
痛烈な皮肉を籠めた風刺画もさることながら、ぼくはエピナール版画に興味があって出かけた。(エピナール版画=18世紀以来
フランス各地で発達した民衆版画の一種(展覧会図録より) は石版で刷られているからとは言え、その表現は1枚の漫画だ。  
聖人の画像、イソップの童話、各国の兵士像、道徳話、動物譚などがコマワリ漫画で描かれている。対象は女性や子どもだという。
行商人が宣伝用のチラシとして配ったとも。
 ノンブルをみると、3110とか4248。凄い号数だ。フランスのみならず外国の風俗絵、話満載で、「日本の子どもの遊び」では、
兵隊さんごっこ、羽根突き、鞠つき、凧揚げが紹介されている。楽譜と歌詞のついたエピナールも多数あった。たて40センチ×
よこ30センチの色彩版画を覗き込むようにして見入った。美しいというよりは、大人がまじめに子どもに作っている姿勢が熱い。
それに比べ、現代の幼児雑誌のレベルの低いこと。(内容の薄いこと、テレビ偏重、芸術性、アート感覚なし)それでも、
昭和30年代、40年代、50年代の月刊雑誌は違った。季節感、童謡、生活絵話、魅力たっぷりの付録(工作)、知恵遊びなど満載で、
そこには失われた”熱さ”があった。
 当時は通俗であっただろうエピナールが、ぼくにはとても”熱く”思えた。


 板絵のモチーフが漸く決まった。『SHED』……小屋、納戸、物置。
鳩山のアトリエ、訪れるのは実に久しぶり。小屋に続く小道は雑草に覆われているだろう。通れるかなあ。
例年より一ヶ月遅い制作開始だ。身魂傾けるしかない。
 

■二十四節気  <処暑>  七十二候(四十候、四十一候、四十二候)

 処暑は8月23日 

・四十候 (8月23日)     ・わたの はなしべ ひらく
                   綿を包むガクが開き始める

・四十一候 (8月28日)    ・てんち はじめて さむし
                   天地の暑さがようやく収まる

・四十二候 (9月2日)     ・いなほ みのる
                    稲が実る

 予定より一ヶ月遅れで展覧会用パネルを製作。キャンバスと違い前準備が大変だ。鳩山のアトリエには100号サイズが2枚
在庫あるものの、制作期間を考えると、今年は大作は無理だろう。60~80号が限界だ。

 ここ一週間、仕事が思うように進まず焦っている。相模原市のコンソーシアム(市民大学)に、開講講座のメニューを
提示しなくてはならない。対象は小学生とその親としたものの、ユニークで面白い「創造的造形遊び」表現を組み入れようと
頭を悩ましている。
 子どもは胸をワクワクさせて待っている(はず)。だが一旦つまらないと感じると直ぐそっぽを向いてしまう。
正直なのだ。おもしろくて、奥が深く……答えが一つではない……、右脳を刺激活性化する微細な手の運動を
ともなう、今まで見たこともないと言わせる造形表現(遊び)を提案しよう。


 (メニュー三つは近日発表します。)
(Aug.23)

■うっとり……、闇に開くカラスウリの花


 炎天下にノウゼンカズラのオレンジ色が暑苦しい。とはいえ、ぼくは橙色が大好きで、今日のTシャツも燃えるような
オレンジ。大学の頃、合宿にもって行ったオレンジの太糸木綿のサマーセーターを、今も覚えている。洗って洗って
色褪せしても着続けた。袖を通すときの肌触りがよく焼けた体に似合った(と思っていた)。
様々な記憶は飛んでいっても、色の思いではいつまでも鮮明。何故だろう。
 昼の耐え難い暑さが嘘のように、夜風が心地よい。納戸の格子に絡みついたカラスウリの花を摘み取る。写真は
ブルーのタオルを敷いて撮った。繊細なレースのような白い花は朝には萎んでしまう。儚さを微塵も感じさせず、一時
”満開の歌”を奏でる。静かに、厳かに……。太陽に対峙するノウゼンカズラと対極の美しさだ。
 わがアトリエのある鳩山の野辺が目に浮かんだ。夕刻から咲き始めるカラスウリの花は、月光の下、野辺の一角を
ボーと白く染める。その幻想的な風景を今年は東京で夢想するしかない。鳩山で板絵制作に入れるのは何時のことだろう。
(Aug.17)

■奇想の王国『だまし絵展』 (BUNKAMURAザ・ミュージアム) 6/13 ~ 8/16


  
・「だまし絵展」パンフ裏表                       ・「即興かげぼしづくし」歌川広重 ふじのやま、らんかんぎぼし1830-44年頃

 展覧会のチケットを無駄にすることが多い。この「だまし絵展」もまもなく終了とあって駆けつけた。ゴッホ展、フェルメール展の
ような混み具合。チケット売り場には長い列が。絵の面白さによることは確かだが、いささか複雑な思いだ。視覚を欺くような
仕掛けの絵は写実のもとで成り立っているのだが、”面白い”……目の満足はあるのだろうが、それまで。心の奥までは届か
ない、響かない。
 歌川広重のさまざまな身振りを影絵にした一連の「即興かげぼしづくし」シリーズにユーモアとしゃれ心を感じた。想像させる
意味でのおおらかな楽しさだった。
 連日満員、開館時間を21時まで延長している。美術が親しまれるのはよいことだが、視覚の満足から、どれくらい心を満たし、記憶に
残るのだろう。アイディア、面白さ、奇想……、ぼくはしっとりした絵を静かに見たくなった。
(Aug.13)


■二十四節気<立秋>   七十二候(三十七候、三十八候、三十九候)

立秋は8月7日      (処暑は8月23日)

・三十七候 (8月 7日)    ・すずかぜ いたる
                   秋風が吹き始める

・三十八候 (8月12日)    ・ひぐらし なく
                   蜩が鳴く

・三十九候 (8月18日)    ・のうむ まとう
                    濃い霧が立ちこめる

 暦の上では7日は「立秋」、なるも今、夏の真っ只中、この連日の暑さでは”立秋”など微塵も感じられない。今年も夏休みは早、
諦め、大人しく仕事のみの日々を過ごしている。とは言え噴出す汗に、仕事場からスターバックスへ”避難”。コーヒーのお代わりを
注文し、客が少なめ冷え過ぎの店内でアイディアを練ったり、講演の草稿を考えたりしている。快適は快適だが、ハサミを使ったり、
のり付けしたりの作業は憚られる。本を読む程度が一番だろうが、そのゆとりさえなく時間を気にしながら仕事に精を出している。
(Aug.6)記

 ”週一”となってしまったテニス。褐色の日焼けも褪せ、鏡に映る我が顔も生気イマイチ。今日はこれからコートへ向かう。
いざ参上……張り切ってはいるものの、常連さんに返り討ちに会うのは必定。夏休み、コートは学生たちに占領されているかも
しれない。ひとりサーブを打ち込みスカッとしたくても今日は無理だろう。それより、炎天の下で日干しにならないようにせねば。
午前中だけの暫しの息抜き。午後は睡魔と闘いながらの仕事と相成る。
(Aug.7)

 ■オープンキャンパス「紙で遊ぶ」切って折って組み合す……1枚の紙で君はどこまで遊べる?




   
・ありがくん大奮闘!       ・教室は定員オーバー、すごい熱気   ・ハートバスケットを編む

 体験授業は生憎の雨降り。にも拘わらず、受講者は開始時刻の30分前から集まり始めた。準備中であったが教室へ
入ってもらう。定員36名に42名の高校生と付き添いの母親2名、本学の先生と、連れの保育士……、もう超満員。熱気で溢れた。
補助椅子、テーブルを出して何とか凌ぐも、用意した教材は40セット。授業を進めながら何とか間に合わせた。

 今回は催しのコンテンツをレストランのメニュー形式にしたが、盛りだくさん過ぎたか、主菜Ⅱの「絵変わりカード18面相」を
賞味していただけなかった。メインディッシュは「デンマーククラフト・ハートバスケット」。本学に来る来ないは別にして、楽しんで
もらえたと思う。「頭ではなく先ず手を動かす……」「手先の微細な運動が右脳を活性化するんだ」「切り損ねても失敗と思うな。
そこに新しい形がある。ヒントがある」「1枚の紙でどれだけ遊べるかが勝負。想像力だね」「想像力は創造力につながるんだよ」……
そんなことを喋りながら、110分が過ぎた。あっという間だった。子ども教育学科の二年生3名のアシストがありがたかった。
 
 普段の授業さながら、与えるメニューは豊富。むしろ過食気味だったろう。ぼくはいつも多く与え、その内から何割かが消化できれば
よいという考え。今回出席した生徒たちも休む暇ナシで大変だったかもしれない。でも、充実した時間をすごせたことだろう。ときに緊張、
ときに集中……、これが肝要。ぼくの狙いは、ハードな作業の後の達成感を味合わせることだ。
(Aug.3)

      
 ・ペーパーチェーン。ネコの尻尾にしたものもあり   ・ツリー両側の大型バスケットでアシスタントがキャンディーを配った  

7月のアトリエだより

■オープンキャンパスは8月2日。子ども教育学科「実践遊び学」「造形表現活動」模擬授業

 2007年は「不定形フォルム……愉快な怪物たち」2008年は「ポップアップカードで遊ぼう!3種のメカ」
そして今年のテーマは「紙で遊ぶ……折って、切って、組み合わす!」盛りだくさんのメニューだ。
いかにして高校生に食いつかせるか。現代人は手工が苦手だからなあ。やるっきゃない!突っ走るぞー!
(Jul.31)


  
・コンテンツはメニュー仕立て。よってぼくは”料理長”。アシスタントは2年生3名   ・”スタンダードメニュー”の外にTODAY’S SPECIAL の用意あり

■春学期授業終了   (Jul.29)

六角絵変わり「怪人18面相」
 顔がパタパタ変化する。その数、18通り!
学生は面白い顔、おかしな顔、変な顔作りに
精をだした。期末試験のさ中の授業(今年の日程はキツイ)で皆、気もそぞろの
はずだが、夢中になって取り組み、何とか時間内に完成させた。
 試験勉強の合間、気分転換に、あるいは家族とパタパタやっているかもしれない。
    
・学生の作品とテキスト(レジュメ) ・「18面相」集合!(一年生制作)・牛乳パック絵変わりキューブ(7回イラストが変化)         

■二十四節気 <大暑>  七十二候(三十四候、三十五候、三十六候)

  今年の大暑は7月23日   (立秋は8月7日) 

・三十四候 (7月23日)    ・きり はじめて はなを むすぶ
                   桐の花が実を結ぶ

・三十五候 (7月28日)    ・つち うるおいて むしあつし
                     大地が熱を持ち蒸し暑くなる

・三十六候 (8月 2日)     ・たいう ときどき ふる
                    大雨が時々降る

 昨日2限の「絵画造形表現活動基礎」Aクラスの授業時間、11時過ぎ皆既日食が見られるはずであった。牛乳パックで
キューブパズルを作ろうというものだが、その手を休めて学生に日食を見る装置「ピンホール投影機」を制作させようと
材料を用意しておいた。が、生憎雨。雲は厚く、教室に入る前に日食のことは頭から消えていた。
 いえ昨年来の学生からの”リクエスト”の課題制作に、皆熱中してそれ所ではなかったのだ。全員一秒も休まず手を
動かし続けた。一部の者は完成をみなかったが、多くは手こずりながらも厄介なキューブパズルのメカを作り上げた。
次回の最終授業でイラストを描き貼り付け完成させる。学生は春季末試験直前だが、「イラスト下描き」の宿題にも嫌な顔を
見せなかった。やる気を感じた。それも物づくりの楽しさを感じているからだろう。充実した時間を過ごさせること……これに
すべてを注ぐ。
 8月2日はオープンキャンパス。ぼくは「1枚の紙の可能性」を追求する。ワクワク、ドキドキさせられる構成を考えねば。
山ほどのアイディアから選ぶのが大変。つい、制作に没頭、ぼく自身が遊びだしてしまうから。
(Jul.23)
 

■ペットボトルTOY 『イライラ ビー玉落とし』

  
・ビー玉がうまく落下するか試す(左)ステンレス物差しを使って棚紙を差し込む(右) ・教室の狭さを感じる一枚
     
・「イライラビー玉落とし」完成!たまたま写真は黄色のみだが、縦に貼ったカラーテープは5色あり ・アリガくんは900mlボトルで製作

 ”粗大な運動機能”に対しての”微細な運動機能”がある。”粗大な運動”は投げたり打ったり走ったり物を持ち上げたり、
体全体を使う運動。 ”微細な運動”は手先、指先を使うものであり、目と手の協働が不可欠。
(因みに他には、書字機能、音楽機能、口腔機能(話す)など)

 「ビー玉落とし」は正に微細な運動。7個のビー玉をボトルを振り落としていく遊びだが、これがなかなか厄介。6段の棚紙が微妙に
波打ち平らでなく、ビー玉がすんなり穴に入ってくれない。そこでまた、ガシャガシャ振るのだが、焦れば焦るほど上手くいかない。
イライラが募る。
 ビー玉はペットボトルの底に集めて又元に戻す。たとえ、往路がスムースにできたとしても、復路はそうは行かない。棚紙が
凹状であれば容易、凸状であれば、その丘なり山なりにある穴にそう簡単には入ってくれないのだ。所要時間を計らせる。
90秒もの、120秒もの、それ以上のものも。

 この「ビー玉落とし」は別名『イライラビー玉タワー』。そもそも、タワーを作る(棚板6枚を差し込むのが大変!)のが、イライラの
始まり!学生には「今日は、がんがんイライラさせてもらうからな」と言っておく。誰だってイライラなんかしたくない。逃れたいもの。
それを、進んでイライラしようと言うのだから……、学生は初めは戸惑いを見せる。が、誰も助けてくれない。でもイライラしていてばかり
では、はかどらない。 仕方なく我慢してやる。やるしかないのだ。力いっぱい引っ張っても紙が出ない。ペットボトルの中に入ってしまう……、
棚紙が渡せない、そんな苛立ちも、苦労の末、完成を見ると大いなる喜びに変わる。テーブルあちこちでガラガラ、ガラガラ、そして
歓声があがった。これでよい。してやったり。何事も夢中にさせることだ。
(Jul.20)

■Tシャツ屋開店?


    
 ・刷り上げたTシャツ       ・ミンミントートバッグ(スペシャル エディション)

 シルクスクリーン印刷で「ミンミン」キャラクターTシャツを作成。3バリエーション、それぞれ数枚の贅沢な少量生産。
狭い仕事場はプリント工場と化す。オープンキャンパスのアシスタントなど、協力してくれた学生に
プレゼントしよう。本日は白が中心だが、先日はピンクのTシャツ18枚を製作し学科長に届けた。
 学生は擁護施設、介護施設をボランティアで回っている。そのときに着用するエプロンにミンミンを入れたいと申し出る者あり。
数名集まったところで、「エプロン、Tシャツにプリントする会」を開いた。ぼくからは声をかけない。学生の積極性を
待ちたい。自主性を伸ばしたい。
(Jul.16)

■テニスコート「貸切」状態!……ありがくん、アリバイなし!   

 
関東甲信越地方が昨年より5日早く梅雨明けした。各地で猛暑日。東京も連日30度を超える暑さ。
このところ運動不足で気分が優れない。時間が取れない、仕事最優先、のせいにしてテニスもご無沙汰だ。
汗を流さねば、大したアイディアも浮かばない……、経験から分かっているのに「仕事」にかじりつく愚かさ。
思い切ってテニスコートへ。曜日を決めて規則正しく打ちに行った頃が懐かしい。今では出かけるのにも
決断がいる。
 オムニコートに人影なし。ひたすら一人サーブ練習。ぴったり一時間フォアサイド、バックサイドに300球打ち
込むが納得いったサーブは一割もない。ただでさえ上達しないぼくが二週間のブランクだものなあ。ああ、
またこれがストレスになる。誰にも会わず、誰にも見られず(ハードコートのクラックを補修する工事人はいたが)、
11時にはコートを後にした。
(Jul.14)





■二十四節気<小暑>  七十二候(三十一候、三十二候、三十三候)
   

 7月7日は小暑           (大暑は7月23日)

・三十一候 (7月 7日)    ・おんぷう いたる
                   暑い風が吹くようになる

・三十二候 (7月12日)    ・はす はじめて ひらく
                    蓮の花が咲き始める

・三十三候 (7月17日)    ・たか わざを ならう
                    鷹の子が巣立ちの練習をする

 降ったり止んだりの一日だった。研究室と美術室まで傘をさしていくのが難儀。いつも荷物をかかえているから。
「スタンピング」ではティッシュペーパー12箱、新聞紙約半月分を使いきった。いつもこの調子だ。今日は
「キューブブロックパズル」制作で、新聞紙を運んだ。返却作品もあり両手は塞がっている。傘をさせない。
小雨の中を走る。移動の時間もない。いつものことだが。
(Jul.6)

■授業時間が足りない!

 学生による教師評価(嫌な言葉だ)実施日が近づいている。非常勤も含め全教員が対象となる。肯定も否定もしないが、
アンケート記入に取られる時間が惜しい。学生の公欠願いも同様だ。介護施設や障がい者施設への実習に赴く学生が
堂々と「公欠届け」を持ってくる。本人がその日を望んだのではないが、ぼくの授業が受けられないのは痛いだろう。
演習科目は期末に試験をしないから、”帳尻合わせ”は不可能だ。体験が何をさておき肝要であり、欠席者は大変重要な
一コマを受講せずに終える。もったいない話だと思う。それくらい、ぼくは”中味の濃い講義を”やっているつもりだ。
半期15回授業にこだわる大学だが、学生評価に要する時間についても、当局は考えてほしいと思う。
(Jul.2)

■月の初めに……。     漢字が書けずとも、表現の楽しさを知っている学生は素晴らしい!エールをおくる!

 アトリエだよりの更新もままならぬ忙しさ。「時間に追いかけられるな!仕事を追いかけろ!」は、新宿の小さな活版印刷屋の
壁に貼ってあった言葉だ。30年以上も前、封筒や私家版の絵本の印刷を頼んだ気のよいおじさんの”信条”だった。
 今のぼくは、正に時間に追いかけられ、仕事にも追いかけられ四苦八苦の体。青息吐息、疲労困憊……、能力不足を認識
させられる日々。

 学生は普段の授業のほかに基礎学力UP総合講座を受講する。その中に漢字トレーニングがあり、成績一覧を
見る機会があった。”ダメ……劣る”の学生には相当の叱咤がなされた模様。ぼくはその氏名を見て目を見張った。
我が「絵画造形表現活動」において優れているあるいは、ひたむきに、また楽しく取り組んでいる者が数名いたからだ。
 無論、”漢字力”はあるに越したことはない。いや、基礎的、常識的な漢字くらい書けねばいけないだろうが、
さりとて、全面否定はいけない。ある部分が抜きん出ている者のそのポジティブな面を伸ばしたい。それを見逃さない、見つけて
応援するのがぼくの役目だ。漢字テストで傷を負った者たちを、次の授業で励ましたい。応援するぞ。答えのない、自由な表現の
世界で存分に自分を出してもらおう。「成績が何ぼのものじゃい!」と言わせたい。
(Jul.1)



 ・6月のアトリエだよりには1枚の写真も載せませんでした。カメラが壊れて以来の殺風景、ご容赦を!

 6月のアトリエだより

■キャラクタープリント用デザインを制作


    

 子ども教育学科の学生は授業の合間をぬって障がい者施設や保育参観、ボランティア活動に積極的に
取り組んでいる。先日は美術図工室でひとり教材の準備をしていると、学生が子どもを連れて入ってきた。
しばらく遊んでいってよいかと聞く。勿論大歓迎!マーカーと紙を使ってもらう。ダウン症の子どもを3人、学生たちは
精一杯のやさしさで相手をしていた。すごいネバリで、笑顔を作りもう必死だ。授業中には見せない底力を感じ
ぼくは嬉しくなった。確実に成長している。

 エプロンにミンミンのイラストを入れたいと、学生が申し出た。水曜日の6限(放課後)シルクスクリーン印刷の
実習にもなるしOkした。数人集まるもよう。Tシャツにプリント希望もあった。そのデザインをおこす。学生はどれを
選ぶのだろうか。ゆくゆくは学生オリジナルも作製させたい。
(Jun,25)

■ミンミンゼミナール  NO.22, NO.23, NO.24

 相模女子大学に子育て支援室開設される。そのパンフレットの表紙にミンミンと
ゆかいな仲間達(ゼミー、ナール、ケロッケ)が登場。障害がいを持つ子ども、親御さんに
親しまれるようになってくれるいといいな。ミンミンちゃん、笑って笑って、はりきって行こうね!!!(Jun.23)


■二十四節気 <夏至>     七十二候(二十八候、二十九候、三十候)



 夏至は6月21日            (小暑は7月7日)

・二十八候 (6月21日)     ・だいとう かる
                     夏草が 枯れる

・二十九候 (6月26日)      ・しょうぶ はな さく
                     菖蒲の 花が 咲きはじめる

・三十候  (7月 2日)       ・はんげしょうず
                     からすびしゃくが 生える                     



■忙中閑ナシ……寛ぎを望む心まで消え……

 コンパクトデジカメを壊して以来、ブログの更新も怠りがち。鳩山は黄金(本当は薄茶色)の麦秋から、天を映す鏡面の
ような水田の季節に変わった。田植え前は雑草の畑。今は整然と植えられた苗の緑が美しく、日々育ちが分かるくらい
伸びている。
 アトリエの庭に植えて10年、咲いたことがなかったリンデン(西洋シナノキ = 菩提樹)が可憐な白花を見せている。カメラがなくとも
その感動を記すことは出来るはず。なのに、表現をしない。絵を描く、語る……ことを面倒くさがる自分がいる。普段から、
そう考えもせず写真を撮って”一件落着”で済ませていたのだろう。ぼくにも「感官の塊」であった幼少期があったろうに。
ああ情けない。自省自戒。
 今回も『ミンミンゼミナール』掲載で凌ぐこと、お許しを!(Jun,18)

■ミンミンゼミナール  NO.19, NO.20, NO.21

 「絵画造形表現活動基礎」では様々な表現を試みる。デカルコマニー(転写)、フロッタージュ(こすりだし)、
ウオッシング(洗い出し)、スタンピング(摺り出し)、マーブリング(大理石模様)等々、それらのコラージュ作品を
制作。キーワードは”偶然を味方に”。多くの学生が、小学校、中学校の図工、美術でキズついてしまっている。
指導が写実に偏り、表現の巧拙に評価の基準が置かれたことによる自信喪失。本来楽しかるべき表現が苦痛にさえ
なっているのだ。そのトラウマを忘れさせるために”偶然の作用”で遊ばせるのだ。
 生み出される模様の見事さに、夢中になって手を動かす楽しさに、あちこちの机から歓声があがる。人が物を創る
喜び……本来性を「美術教育」は忘れがちだ。学生はやがて子ども教育に携わる。図工は遊びだ。”教える”のではなく、
まず自らが楽しむ……その姿勢が肝要。先生が夢中になって面白がる……率先垂範、これにつきる。(Jun,17)

   

■ミンミンゼミナール  NO.16, NO.17, NO.18



(Jun.13)

■「クレヨンまる」150話は花火のおはなし

    
  ・初めて見に行った花火大会。       ・コウモリのコモリンは線香花火を失敬!
   クレヨンまるの頭に手が伸びる。
   危うし!ミラクルクレヨン。

 月刊読み聞かせ絵本雑誌『おひさま』連載「ミラクルクレヨンのクレヨンまる」が8月号で150回となる。今回は
とても”小さな”おはなし。
 大きな事件をとも思ったが、ぼくは「どうしても線香花火をやってみたい」と願うオオカミのワルズーの気持ちを
描きたかった。
 親が子に、欲しがるものを何でも与える昨今、線香花火さえ買って貰えない子もいるんだと伝えたかった。              
高価な玩具もちっぽけな何でもない物も、欲しいと思う気持ちの強さは時に同じだ。いやいや切実さはその人に
よって違う。ワルズーの場合、(育ての親、ミイラばあやの)貧しさゆえ、線香花火さえ買って貰えない。
線香花火を一度でいいからやってみたい……、ワルズーの思いつめる気持ちを書きたかった。
 「ミイラばあやのけちんぼ!ミイラばあやなんか嫌い!」ワルズーは家を飛び出してしまう。
果たして、ささやかな希は叶うのでしょうか……。
(Jun.11)

■ミンミンゼミナール  NO.13, NO.14, NO.15


 「実践遊び学」では、伝承からくり郷土玩具の仕掛けのメカを研究した。学生は製作した「回転円盤」の上に
思い思いのデザインをほどこした。ミンミンやケロッケのフィギュアを描き乗せた者も。
 からくり玩具も動きは単純で「回転円盤」は他愛ない遊びだが、この素朴な遊びのよさを解ってほしかった。
手や指先を使う”微細な機能”(身体全体を使う”粗大な機能”に対して)の大切さ、”加減”のもつ意味は、
次の講義「回転クルリンリン(輪)」も同様だ。(機能はほかに書字機能、音楽機能まど)
(Jun,8)

■ミンミンゼミナール  NO.10, NO.11, NO.12

  

ミンミンゼミナール  NO.7, NO.8, NO.9

   

■二十四節気<芒種>、七十二候(二十五候、二十六候、二十七候)



    
今年の芒種は6月5日               (夏至は6月21日)

・二十五候 (6月 5日)    ・かまきり しょうず
                     カマキリが姿を見せる

・二十六候 (6月11日)    ・ふそう ほたるとなる
                     腐った草が蛍に姿を変える

・二十七候 (6月16日)    ・うめのみ きばむ
                     ウメの実が黄色に色づいてくる
                     



5月のアトリエだより

■「エルンスト」の絵を探す

   
・ビックリグミの木     ・ビックリグミの実(白=グローランプ)  ・桑の実

 ここ一週間ほど太陽が顔を見せない。今日も雨。迷ったが、鳩山のアトリエへ。周辺の田んぼは
今、田植えの真っ盛り。アトリエ下に軽4輪トラックが止っている。石井さんの車だ。畑に水を張りに来たのだろう。
代掻きが終われば辺り一面稲の苗で緑に染まる。

 細雨に麦畑が煙っている。緑の野辺に所々パッチワークのような薄茶色の麦穂が波打っている。黄金色とは思わないが、
美しい。麦秋=麦の秋とは言いえて妙なり。田植えが終わり稲の緑が目に染む頃には、もうこの
光景は消えている。

 昨日大学の図書館でエルンスト〔Max Ernst1891-1976ドイツ画家〕の画集を探した。授業で行う
フロッタージュ(こすりだし)の参考資料にしようと。2冊借りたものの、思うようなものは見当たらなかった。そこで、鳩山へ!
昔「美術手帳」で見た記憶が……。本の山を崩し、束を解き、見つける!あった!記憶は確かだった。
 1965年の12月号。特集「エルンストの博物誌」。板や葉っぱなどをこすって制作した作品
「振り子の起源」「光の車輪」「十四未満の光」など、モノクローム作品10点。
エルンストはダダイズム、シュールレアリズムの画家。『博物誌』はエルンストが初めて行ったと言われる
フロッタージュ技法による作品集だ。これを学生に見せたくて……、雨降りの中鳩山に来た甲斐があった。

黄変し表紙の破れた「美術手帳」の戦利品の他に、もうひとつの収穫あり。小ぬか雨に濡れながら摘んだ桑の実だ。
ぶつぶつが赤いのと黒いの。口中に広がる酸っぱさに、このところ、だるい、眠たいと愚痴るぼくも、

覚醒を促されり。朱紅色の艶やかな大粒のグミも収穫。こちらは甘みたっぷり。帰り道の慰めとなった。

May.31


■「タイヤチューブプリント」に使うローラーピン製作に鳩山へ

  
・サルナシの花             ・梅の実の収穫           ・ローラーピン製作

 絵画造形表現活動では廃材のタイヤチューブを用いプリンティングをする。ゴムチューブをカットし、長方形(カマボコ板状)や
円形板切れに貼り版画の素材とする。さらに連続模様のプリント効果を求めてローラーピンで遊んでみる。実はこの下ごしらえが
大変。教師用、練習用を含めて120個、ブナの木管を小さくカット、軸棒を通し固定するのに時間がかかった。
 ローラーピンをコンテナに詰め車に積もうと外に出れば、日が落ちるところ。おしゃもじ山の陰で我がアトリエはもう仄暗い。
鳩山のアトリエに来て一歩も外に出ないで帰るのも……と、カメラを片手に庭へ。腰丈まで伸びた雑草をかきわけ進めば、サルナシの
花が満開だった。今年もミニキウイのような実をたくさん実らせるのだろう。梅の実は正に今、収穫期。辺りに2,30個ころがっていた。
暮れかける中、大急ぎで梅をもいだ。ザルに山盛りの梅、庭に出てよかったと思う。ところが…………、
 いいことばかりじゃない……。大失敗をしでかしてしまった!ポケットに入れたカメラに剪定鋏をぶつけてしまったらしい。らしいと言うのは
気が付かなかったからだが、カメラの液晶が破損していたのだ。記憶媒体は大丈夫だが、カメラが壊れた。アーア、梅酒を、梅干を
見るたびに、思い出すだろうなあ。

■二十四節気<小満>    七十二候(二十二候、二十三候、二十四候)



    
  小満は5月21日       (芒種は6月5日)

・二十二候 (5月 21日)    ・かいこ おきて くわを くう
                     蚕が桑の葉を食べるようになる

・二十三候 (5月26日)    ・べにばな さかう
                     紅花の花が咲き乱れる

・二十四候 (5月31日)    ・ばくしゅういたる
                     麦が育ち、麦畑が黄金色になる
                   

 ミラクルクレヨンのクレヨンまる、150話制作中!

 小学館の読み聞かせお話絵本雑誌『おひさま』創刊以来連載のクレヨンまるが8月号で150話になります。
夏にふさわしくテーマは、「花火」。クレヨンまるはまだ花火大会に行ったことがありません。打ち上げ花火を見たくて
ハーブおばさんに連れて行ってもらいます。が、トラブルが……。クレヨンまるはミラクルクレヨンで解決できるでしょうか。
ところで、オオカミのワルズーは線香花火さえやったことがないのですよ。「一度やってみたい!」召使のミイラばあや
(もう300年以上生きている怪しい婆や)に頼みますが……果たして……?
 今月末発売の7月号は「たなばた」。クレヨンまるはハーブおばさんと七夕飾りを作ります。(作り方も載せます)短冊に
願い事を書きます。ところが、笹竹が消えてしまったのです!誰が、何の目的で……?

 ぼくの話には悪者も登場しますが、必ずやさしい心も描きます。今春入学した大学一年生(18歳)が「子どもの頃、
『おひさま』を買ってもらい、クレヨンまるをお母さんに読んでもらったり、自分でも見た」と言ってきました。(当時は
おおかみのワルズー、子分のこうもり、コモリン、ミイラばあやは未だ登場していなかった)。
クレヨンまる、長いなあ……。

 ぼくもちょっとだけ、ミラクルクレヨン借りて使ってみたい……。そして魔法の呪文を唱えてみたい……。
 「ミラクル クレヨン クルミラ ゴー!」
(May.20)

    


    

■教室にでんでん太鼓が鳴り響く。ポンポン、ボンボン、ゴンゴンゴンゴン……


   
・直径16センチの大型でんでん太鼓。左上2個はガムテープの巻き芯を利用 ・左はハート型でんでん太鼓、中央はキャラクター、ミンミン&ケロッケ

 「実践遊び学」では、光と遊ぶ、風と遊ぶ、廻して遊ぶ、転がして遊ぶ、折って切って遊ぶ、組合わせて遊ぶなど、様々な
遊びを考える。音と遊ぶは、でんでん太鼓。各自、和紙に絵の具で思い思いの図案を描き太鼓を製作する。
でんでん太鼓は民芸品店でしかお目にかかることもなくなったが、電子音全盛のこの世だからこそ、アナログの
温かい音色を創出し聞かせたい。どこか懐かしい音色。昔、赤ん坊がねんねこ半纏のおばあちゃんに背負われ聞いたで
あろう郷愁の音色を、今蘇らせたい。打ち鳴らすは棒を握る手の加減次第。
 三クラス100人がでんでん太鼓を打ち鳴らした。教室に豆太鼓の音が鳴り響いた。世界一にぎやか、うるさい教室であったで
あろう。みな嬉々として、自分の太鼓を打ち振っていた。不快な騒音ではなく創作の喜びに裏打ちされた、”音をつくり
楽しむ”手ごたえを感じながら。

 学生には、「何時の日か幼育、教育の現場でも子ども達に作るところを見せてあげてほしい。音を創り出す喜びを伝えてほしい。
さらには、君たちがお母さんになったとき、わが子のために小さなでんでん太鼓を手作りしてあげてはくれまいか。子どもの目から
耳から、温かい思いが刷り込まれていくだろう。わが子のために心をこめて作って鳴らす……何と素敵なお母さんでしょう……、
君達がそうなってくれたら、この上なくうれしいよ。」と話した。幼児期の体験のすべて、特に情操にかかわる良質な経験、感覚の
育ちが、いかにその後の人生に影響するかも。学生は直ちには理解できないかもしれない。無邪気にでんでん太鼓に興じていた。
(May.13)

■二十四節気<立夏>、七十二候(十九候、二十候、二十一候)


   立夏は5月5日
     (小満は5月21日)

・十九候 (5月 5日)    ・かわず はじめて なく
                   蛙が鳴き始める

・二十候 (5月10日)    ・みみず いずる
                   ミミズが姿を見せ始める

・二十一候 (5月15日)   ・たけのこ しょうず
                    筍が生ずる

 Gウイークが終わった。今年は渋谷の仕事場に籠っていた。自分に向き合う、創作に身を入れる、表現、がぼくの仕事。だが些か
疲れた。”ノンストップ”は金属疲労の旧式機体には堪える。鳩山のアトリエに行かれなかったのが残念だ。緑風に機体を
休めたかった。
 週末も仕事。月曜からは大学。先のことを考えると気が重くなる。やめよう。今日一日に集中、勝負と行こう。
(May.7)

■実践遊び学「音と遊ぶ」はでんでん太鼓製作


  
・ミニサイズのでんでん太鼓5個。手前はセロファンテープ巻き芯2個で作ったもの
・後方ミニでんでん太鼓の左は百円硬貨。手前は直径18cmの大型。右は木球をつける前のもの

 人工的なうるさい音、気を苛立たせる騒音……。現代社会から消えた静寂と闇。静けさと暗さが想像性を育てる。
”耳を澄ます””音を創出する”をテーマに実践遊び学「音と遊ぶ」では学生にでんでん太鼓を製作させた。
 そうっと打つ、小さく打つ、強く打つ、早く打つ、激しく打つ……、手加減だ。良い遊びの要件の一つに、加減が出来る、答えが
一つではない、があげられるが、まさにでんでん太鼓はシンプルで飽きがこない。
 昨年の「アトリエ便り」にはでんでん太鼓のバリエーションを掲載したから見ていただきたい。材料は何処にでもある。
太鼓の胴はセロファンテープやクラフトテープの巻き芯。6ポーションチーズの空き箱、ダンボールなどで出来る。皮(打つところ)は
和紙のほか障子紙、チラシ、ラシャ紙、薄でのケント紙などなんでも使える。球も木球のほか、ボタン、大豆、ドングリなど、要は
応用だ。創意工夫と遊び心、これがすべての基本だ。制作を通じて手わざの練磨も、手を使わなくなった、道具を使わなくなった
現代人には大事なことであるが。
(May.4)

■絵画造形演習『帽子百貨店』二日目は実物大の「覆面帽子」制作


  
・「壊れた顔」の面々大集合。テーブルごとに撮影。ユニークな造形、自由な表現の楽しさを満喫

 心地よいそよ風に誘われてテニスコートへ。久しぶりのクラブはテニス日和というのに閑散。Gウイークのせいではない。
クラブのプレーヤー無視の一方的規約変更で、普段打っていた面々、三十数名が退会していったのだ。”年間「利用曜日」
契約”というシステムが導入され、打ちたい日に自由に(正会員・平日会員が普通だろうが)打てなくなった。ぼくは午前中
”ほんの少し”だけしか打つ時間がない。それも時間が取れる日は不定期だ。プレー曜日指定性には参った。それでも、
家から近いという一点でぼくは辞めないでいる。

 コートはガラガラ。ダブルスが二組マッチングできない有様。ぼくはひたすら、サーブ練習に汗を流す。シャワーを浴びて帰る
時の爽快感。やはり運動することは素晴らしい。唇がヒリヒリする。顔や腕が焼けている。紫外線がかなり強いのだろう。

 4月29日は祝日授業だった。世間は休みというのに、学生はまじめだ。嬉しいなあ。在籍99人中、欠席は4名。
授業にリキが入る。熱くなる。

「絵画造形表現」で実物大の帽子を二週に渡り制作させている。ジャンジャン作ってジャンジャンかぶる、……18種すべて
出来るか心配だ。学生は夢中になっている。楽しんでいる。やがて学生たちは子どもを導く。この経験が役立つだろう。
制作ぐせ、創意工夫する心が力となる。ぼくは「即座性」という言葉(勿論、こんな言葉はない)を使う。あれがなければダメ、
あそこへ行かなければ出来ない……と言うのではなく、臨機応変、何時だって、何処でだって、
何らか作り出せる”底力”を養ってほしいのだ。

(May.1)

4月のアトリエだより

■手が絵の具だらけのまま、11時、家にたどりつく。

 今日も、2限、3限,5限授業。ガッシュを10色、6テーブル分カップに溶く。60カップ。ほかに白色も。授業が終われば
補充や教材の準備があり、今日も昼食とれず。カロリーメートを立ってかじった。5限が終わり、研究室へ戻れたのは8時。
普段しっかり食べ、テニスをたまに……で作ってきた体の”貯金”が急速に減っていくのを感じる。
 10時までは”自分の仕事”をと思うものの、疲労感に負けそうになる。コーヒーを淹れねじり鉢巻!研究室の「電気がついて
いたから」と学科長が顔を出す。励ましの言葉、嬉しいねえ。アート紙や教材購入を報告したり、聴覚に障害を持つ学生の指導
についてのアドヴァイスをいただく。
 筆を洗い、頭に、この大量の絵の具が、この時間が、「作品制作に向かったなら……」の思いがよぎる。もちろん、授業中は
必死、夢中でこんなことは考えもしないが。作家性が頭をもたげる。うずうずしている。
(Apr.27)

■時代の大波に飲まれるも、何としても”自分性”は死守せねば……

   
・クレヨン博士の発明した面白いクレヨンは20種を越えた ・300歳以上生き続けているミイラばあやはますます元気

 『おひさま』連載”ミラクルクレヨンの”クレヨンまる”が8月号で150回目を迎える。NHKおかあさんといっしょの
『こんなこいるかな』(『おともだち』『えくぼ』『おかあさんといっしょ』『げんき』ほか)の連載期間を超えそうだ。
”クレヨンまる”は画用紙に、クレヨンで描く”てざわり”感を表現したくて、イラストの黒い墨線のマチエールをクレヨン風に工夫、
色も線から敢てはみ出し塗りし柔らかさを出した。

 クレヨンまるが持つミラクルクレヨンは、描いたものが本物になるスーパークレヨンだが、それも効力は3分のみ。しかも、自分の
ために使ったことは一度もない。友達や、どんぐりタウンの人、そそっかしいハーブおばさん達を助けたり、ミラクルクレヨンを狙う
大泥棒(本当は、ちっとも”大泥棒”なんかじゃない = ミイラばあや、オオカミのワルズー、子分のコウモリ、コモリン)から、
ミラクルクレヨンを守ることに使うことがほとんど。ミラクルクレヨンが”悪用”されれば、大変なことになると、クレヨン博士から
聞かされているからだ。

 このミラクルクレヨンのクレヨンまるがピンチ!もっとも、作品制作に関してのことだが。ぼくの絵作りは墨線を描きマチエールを
切り貼りし、それを原寸大のフイルム化する。つまり、暗室作業をともなう。世の中、銀塩カメラの衰退とともに一部を除き、フイルム、薬品、
印画紙類の生産も終わってしまった。レントゲンフィルム大の大判フィルムや、感光材料(現像液他)が手に入らない。フィルムは
アグファ社から取り寄せ多めに在庫していたつもりだったが、底が見えてきた。暗室の機材、デザインスコープやプロセッサーも故障がち。
ハロゲンランプなどの消耗品も手に入らない。困り果てた。コピー機でフィルムを作製、急場しのぎをしたが、安定せず満足できない。

 世の流れだ。CGしかない。『こんなこいるかな』も連載十年を超えた頃からはパソコンで作画していた。
だから、”どうってこと、ないか?”いえ、全然違う。手作り感、温かさの表現にはフイルム作りから入り一色一色、筆でゆっくり
色を入れていく作業が大事。これがなくなる。”心が籠められる時間”がなくなる。

 しかしながら、ぼくは仕方なくコンピュータ作画に入った。パソコンのフリーズや言うことを聞かないストレスと格闘しながら、
どうやって”心を籠める”か、ぶつぶつ念じながら描いている。クレヨンまるや、ワルズーが救ってくれたら良いのだが。まだまだ
時間がかかりそうだ。
 そのお披露目は、7月号。連載第149話「七夕飾り」。乞うご期待。

(Apr.26)

■二十四節気<穀雨>     七十二候(十六候、十七候、十八候)

      穀雨は4月20日     (立夏は5月5日)

・十六候 (4月20日)    ・あし はじめて しょうず
                  葦が生え出す

・十七候 (4月25日)    ・しも やみ なえ しょうず
                  霜が止んで稲の苗が生長する

・十八候 (4月30日)    ・ぼたん はな さく
                  ボタンの花が咲く

 大学の特殊演習室(美術図工室)はキャパシティ36人と小さい。キャパがないことは、対面授業(机の間を廻っての
アドバイス、個人指導)には悪いことではないが、机は広いほうが望ましい。立ったり坐ったりの作業、水場に離れたり、
特にカッターナイフを用いるときは、肩が触れ合うような狭さは危険だ。学生は皆夢中になっての作業、ぼくは目を見張って
いなくてはならない。神経が疲れる。授業終了後も残って後始末、次の準備もある。研究室になかなか戻れない。
特に2限、3限授業の”間”がタイト。2限の終わりが12時10分。3限の始まるのが1時。食事時間は20分取れればいいほう。

 今日は悲惨だった。あと30分はある!大学構内に来る移動販売車で、ランチボックスを求めようとして並んだ。ぼくの前には
学生が3人。レンジで温めてもらっていたりするから、列が進まない。時間、時間……、焦って待つ。漸くぼくの番。ラッキー!
残り一つだった。「よかった」財布から500円玉を取り出したとき、後から声が!「先生!」ぼくの教えている学生だった。迷ったけど、
もちろん、ぼくはそのランチを学生に「どうぞ。買いなさい。お腹すくだろう」なんて格好つけちゃって。ぼくのお腹はペコペコ。
研究室での今日の昼食はビスコとコーヒー。
 3限が終わり、次の授業5限までには時間に余裕がある。パン屋に走ったのはいうまでもない。
5月5日は、もう”立夏”。暦の上では夏の始まりだ。今日も汗ばむ陽気。キャンパスを渡る風が気持ちよい。
(Apr.22)

■幼児誌の広告に見る子ども対する「真剣なまなざし」

昭和40~50年代の月刊幼児保育雑誌に見る「子ども目線」の企業広告
   
・「かわいい坊やの夢を追って」    ・描き入れ
  
・塗り絵                   ・探し絵 

 少子化、情報化社会、環境の変化、生活の変容等で子どもの生活は大きく様変わりした。遊べない子ども
遊ばない子ども……。いまや子どもの”遊び”が危うい。幼児雑誌の世界もかつての60年代黄金期から比べると、
見る影もない。種類、発行部数とも激減。数十万部を誇った雑誌も十万部を越えればまだ良いほうというのが現状だ。

 内容も全く違っている。昔は編集もおおらかだった。季節感たっぷり。餅つき、節分、節句、子供の日、七夕…。
毎月童謡唱歌が掲載され、しっかりした挿絵(イラストに非ず)がついていた。日本昔話、世界名作、生活絵話、学習記事、など
それは豊かなものだった。”だった”というのは、それらはすべて姿を消し、現在の幼児誌にはみられないからだ。

 現代の幼児雑誌は一口で言えば”華美”。テレビより、というよりはすべてがテレビキャラクター。かつて見られた「編集者の熱い
心意気」を感じられた巻末の編集後記もなく、毎号付く100~200枚のシールと、完成品の”玩具”の付録で存在を保っている、
極めて”寂しい”状態だ。
 上の4点の広告はいずれも子ども雑誌の本文に添えられていたもの。粗末な紙、狭いスペースながら、子どもに”遊んでもらおう”、
”楽しませよう”の意図を感ずる。編集部も、企業主も子どもを真剣な眼差しで見ていたことが伺える。
 ぼくは消えた”情操”という言葉を、ふと思い浮かべた。 心だよ。心。それしかないんだ……。嗚呼……
(Apr.21)


 ■「帽子百貨店」”総合カタログ”表紙を作らせる

   
 ”古美”仕上げの「帽子百貨店カタログ」表紙

  学生に”キレイ””超カワイー”の単純、記号化された美の概念を変えさせる。
「帽子百貨店カタログ」の表紙を古色蒼然とした装丁に制作させた。カビ、染み、汚れ、雨漏りの跡、はげた土壁……、
年月を経て褪色した古文書を思わせる表紙を作らせた。白かった紙が見る見るうちに”汚され”ていく。このマチエールの美しさに
気づいてほしかったのだ。

 美しいものは、純白?色のハーモニー?グラデーション?いまや春、ソフトなパステルカラー?………。いやいや、そんなものでは
なかろう。カビが生えたような、染みが付いたようなものでも、目を凝らして見れば実にキレイではないか。羊皮の風合い?土壁?
時代の古文書?学生は大はしゃぎして制作した。これでいい。驚きや歓びの声が上がればそれでいい。

 カタログの本文は次回制作する。新聞紙や、模造紙、ラシャ紙を使って実物大の帽子を十数個、製作する。(GIハット、ソンブレロ、
ペンギンハット、教皇帽、山高帽、黒面頭巾などなど)そして、そのミニチュア版をカタログページに見本として貼り付ける。学生は自分で
制作した自分だけの”生きた”教科書をつくるのだ。
(Apr.15)

■「ガラガラ引き車」一点を見に国立新美術館へ

    

・イラン「エラム王国」に作られた石灰岩の小像   ・ルーヴル美術館展のパンプ

 
このところ睡眠時間も満足にとっていない。レジュメつくりに明け暮れている。現代童画会春季展も出品はしたものの、
とうとう会場に足をはこべなかった。ゆとりのないこと、この上なく、心も荒みイライラが募る。
 思い切って、仕事場を出る。ルーブル美術館展「美の宮殿の子どもたち」を観に。中期エラム時代(紀元前12世紀頃)の
工芸品『台車に乗ったライオン』『台車に乗ったハリネズミ』を見たかった。
 新聞記事や、パンフレットではサイズまではわからない。何で出来ているか、重さは?……二つとも思っていたよりずっと
小さなものだった。10センチにも満たない(高さ数センチ)愛らしい玩具、石を彫って作られているが重さもさほど感じられない。
この引き車、幼児の玩具としてというより、(死んだ子どもを悼む)埋葬品として作られたものではなかろうか。ライオンもハリネズミの
造形が見事、車のつき具合も精巧で紐をつけ引けば車輪も廻りだしそうだ。
 子どもを題材にした絵画、彫刻、美術品の数々。人が初めて出会う玩具が「ガラガラ」だという。そのガラガラであろう土鈴も
見られたが、中ではやはり、この二つの台車の玩具の印象が深かかった。3000年以上も前の工芸品に、親の子を思う気持ち、
その深さを感じられて、何とも心ホッコリさせられたのだった。
(Apr.12)

■桜舞い落ちるキャンパス……春爛漫……花びらが頭に顔に体に……

 新入生八百余名を迎えての入学式。この中の106人が「子ども教育学科」を選んだ。会場を見渡しても、
勿論、誰が我が学科の学生かはわからない。が、決意新た。「まかせてもらおう、4年間。ぼくのすべてをぶつけるから」
 「子ども教育研究」誌創刊を受けて、子ども教育学会が開かれ出席する。同誌にぼくは研究・創作ノート『11片タングラム』を
寄稿。扉絵に『Father's Letter』を提供した。学会誌のイメージは”堅い”ものだが、少しは和らいだか。
(Apr.9)

■「墨洗い流し」のサンプル制作。おもしろくてたちまち十数枚。


    
・型押し、墨洗い流し    ・予めドローイング後、洗い流し   ・積み木ブロックプリンティング後、洗い流し

  ●Apr.1 の「スタンピング」の答え     キャベツの断面

(Apr.7)

■二十四節気 <清明>    七十二候 (十三候.十四候.十五候)

今年の清明は4月5日      (穀雨は4月20日)

・十三候 (4月5日)   ・つばめ きたる
               つばめが南から渡って来る

・十四候 (4月10日)  ・がん みずへ かえる
               がんが北へ渡って行く

・十五候 (4月15日)  ・にじを はじめて みる
               虹が見え始める

 朝夕に寒暖の差、春一歩手前。成城の桜は五~六分咲き。相模大野の大学キャンパスは満開近し。9日の入学式は
薄桃色の花びらが舞うことだろう。
 テニスの回数がめっきり減った。体が鈍ってしまいそう。テニスクラブの一方的な会則変更に嫌気をさした会員が
三十数名、いっぺんに退会した。よってコートは閑散。春風を受け、サーブ練習に汗を流す。やっても、やっても
追いつかない仕事を、一瞬でも忘れたい。が、頭から離れず渋谷の仕事場に。
(Apr.4)

■スタンピング遊び Ⅱ <教材参考資料つくり>

   
  
・A 円形物スタンピング       ・B 葉のスタンピング       ・C ???

 身の回りにある様々なものを教材参考資料として活用する。  Aは 円形物を片っ端からスタンピング。キャップ、容器の
底など色々。   Bは モミジ、ワイルドストロベリー、ツツジ、ヤツデ、ローズゼラニウム、ハナミズキ、シラカシ、アラカシ。
 Cは ?………答えは次回に。
(Apr.1)


3月のアトリエだより

■板絵「灯台POST」完成  

 現代童画会春季展出品作「灯台POST」(S10号)が描きあがった。アトリエから持ち出す前、額装してしばらく鑑賞する。いつも、
この”しばらく”が幸せな時間。完成してホッとすることもあるが、絵に見入り、その世界に浸る喜びが大きい。描き出したい心の
内が画面から伝わって来ると画家でよかった、画家でしかぼくはありえない……そう思う、強く。
(Mar.29)

(会場等は展覧会情報に)


■巣作りの季節

     
 ・巣作りの始まった巣箱をテーブルに針金で固定 ・今や満開!プラムの白い花

 鳥の声が途切れることがない。先日の本欄には写真を載せたが、裸木に鳥の巣を4個発見。葉が茂っている季節は
気づかなかったが、鳥達はほんの目と鼻の先で巣を作っていたのだ。
 先週、巣箱をかけようと、ガーデンテーブルに出しておいたものに、もう巣作りが始められていた。藁やコケのような
ものが運び込まれている。これには、ビックリ!木に取り付けたいが(昨年はヘビにやられた。注意せねば)、今移動して
警戒して寄り付かなくなるのではと、そのままにしておくことにした。ただ風に吹き飛ばされないように針金でテーブルに
固定。これで落下もしまい。ヘビも登れまい。人(ぼく)さえ寄り付かなければ、このテーブルの上が一番安全だ。ぼくは
ここではお茶を飲まないことに決めた。バードウオッチングさせてもらう楽しみを貰った。

(Mar.28)


■前回の写真……「スタンピング遊び」の答え    豆腐の容器

■二十四節気 <春分>   七十二候(十候.十一候.十二候)

今年の春分は3月20日            (清明は4月5日)

・十候 (3月20日)    ・すずめ はじめて すくう
               雀が巣作りを始める

・十一候 (3月25日)   ・さくら はじめて ひらく
               桜の花が咲き始める

・十二候 (3月30日)   ・かみなり こえを だす
               雷が鳴り始める

■スタンピング遊びいろいろ

  
・ご存知 懐かしの芋版 温かみがあるねえ! ・チーズ、カップ麺などの容器   ・????

 Mar.18クイズの答え = 食パンビニール袋の止め具(プラスティックの小片)
さて、今回もクイズを。中央の写真は、食品容器の底にゴムローラーでインクをつけ転写したものです。それでは、
右端は何をスタンプしたものでしょう?容器二個は形が違いますが同じ食品です。(答えは次回)

■「スタンピング」は版画造形のはじまり。その楽しさ、美しさを伝えたい

    
・年輪の美しさ (杉材の輪切り)  ・コルクの縞目に味がある  ・身の廻りにあるものを集めてスタンピング

 幼児は絵の具の付いた手をペタペタ……、紙に形が写ることに目を輝かせる。面白い形、色の重なり、偶然出来た模様に
興味津津だ。素材はほとんどすべての物。野菜、葉っぱ、木片、キャップ、ふた、プラスティック容器の底、壁紙、エンボス紙、
ミカンやタマネギのネット、畳、ザル、網など何でも大丈夫!
「造形表現あそび」は、子どもたちが材料(素材)を集めるところから始まる。そのヒントとなることを考えている。
今、テキストを作成中だが、”作品集”とならないよう心せねばならない。いつも、”ぼくは作りすぎて”しまうから。

●クイズ●
 上の右端の写真は一体何でしょう?ヒント・日頃よく手にするもの、とくに朝の食卓で。
小さなもののアレンジですが、右三列、それぞれ微妙に形が違います。三列目の上の一個とあわせて、4タイプの型が
あります。さあ、なんでしょう?  答えは次回に。
(Mar.18)

■テレビ絵本」のお知らせ

「えほん寄席」スペシャル放送 3月21日(土)15:30~15:55 NHK【教育テレビ】
2009年2月放送の「えほん寄席」が まとめて再放送されます!!


     

「えほん寄席」スペシャル放送 3月21日(土) NHK「教育テレビ」にて ”見てね”
お薦めは「反対車」……抱腹絶倒。面白いですよー!

放送時間 作品名 落語家

15:30~15:35
反対車 桂南なん 山下勇三
15:35~15:40 目黒のさんま 三笑亭夢太郎 有賀 忍
15:40~15:45 のっぺらぼー 柳家さん喬 山本容子
15:45~15:50 粗忽長屋 柳家はん治 五月女ケイ子
15:50~15:55 稽古屋 桂文也 林家二楽
(紙切り)

■風柔らか…… 画室を出て”春”を探す


   
   ・フキノトウ               ・ノビル   

 茶や梅ノ木の根元に蕗の薹が芽をだしている。ぼくの小さな”フキ畑”には木工小屋を建ててしまったので、
蕗は諦めていた。が、根はあちこちに伸びていた。おかげで今年も大好きな蕗の薹を味わえる。”フキ畑”の
蕗の根は移植しておいたが、こちらは未だ芽を出さず。来年以降の楽しみにしよう。
 ノビルの塊を見つける。辺りが土色だから、ノビルの鮮やかな緑は目に染みこむようだ。こちらも採取。
酢味噌和え、恰好の肴だ。ただ、ただ、美味い酒、美味い肴は昼間の仕事次第!絵の出来具合による。
(Mar.9)

■二十四節気<啓蟄>  七十二候 (7候.8候.9候)

今年の啓蟄は3月5日  (春分は3月20日)

・七候 (3月5日)    ・すごもりの むし とを ひらく
               冬眠していた虫が動き始める

・八候 (3月10日)   ・もも はじめて さく
               桃の花が咲き始める

・九候 (3月15日)   ・なむし  ちょうと  かす
               菜の虫が羽化して蝶となる

■あちこちに鳥の巣発見。緑の季節には気が付かず……

    
・スモークツリー     ・ロウバイ        ・キンモクセイ         ・モミの木 

 鳩山のアトリエで板絵制作開始。テーマ(モチーフ)は心象、「父性の原風景」。現代童画展に出品した『 Father's Letter』の
続きを描こうと思う。10号Sサイズのパネルにシナベニア板を張り付け釘で仮固定。乾くまでドローイング。
 鳥の声に誘われ庭に出る。わがアトリエは小鳥には別天地だろう。普段、人の姿ナシ、辺りに農薬ナシ、木の実多しなの
だから。
 ムクドリが数羽遊んでいる。ヒヨドリの番いはぼくの姿を見ても飛び立たない。絵の具だらけのカバーオールの絵描きは
”無害人”と無視しているかのようだ。
 葉を落とし裸になった木々に鳥の巣を発見。1時間くらいで4個見つける。モミの木は常緑樹だが、針葉。棘々が痛く
ないのだろうか。それにしても、モミの木は建物の脇に植えてある。小鳥のさえずりが繁くとも、その”居場所”は
分からなかった。こんなにも身近にあったとは驚きだ。
 落葉や雑草の捨て場にしていた竹薮にキジの番いを見ることがある。以前エッセーにも書いたが、なぜか心がほっとする。
野鳥観察は梢に葉が茂る前の今、この季節が一番だ。とはいえ、アトリエの主は閉じこもり、耳で楽しむことになる……。
(Mar.5)

■枯野に花謳う。2月は梅、ロウバイ。 未だ首をすくめる寒風、3月春の香は……?


    

 ・梅                  ・サンシュユ                ・ミツマタ

 庭は雑草も枯れ、土色一色。その中で、水仙の黄色が目に飛び込む。鮮やかだ。植えもしないのに、毎年同じ場所から
芽を出し増えていく。花が終わると存在を忘れてしまう。季節の訪れ、嬉しいプレゼントだ。
 ”フキ畑”と呼んでいた一角に 木工小屋を建てた。土を掘り、フキの根茎を集め移植しておいたが、未だ芽を出さず。
今年は大好物の春の味覚、”フキ味噌、蕗の薹の天ぷら、醤油炒め”もお預けか。スーパーの8個入りパック二百数十円
で我慢しよう。
(Mar.1)

2月のアトリエだより

■麦わら帽子から作ったマチエールボード

   
・大人用麦わらぼうし2個1000円。    ・無惨にも解体!

 フロッタージュやスタンピング素材は色々。排水溝の目皿、洗濯ネット、小包梱包用テープ、植木鉢の中敷、金網、
壁紙、ビニールのテーブルクロス、板、竹かご、ザル……、挙げればきりが無い。すべて応用できる。創意工夫これにあり!
 マチエールの研究には素材は多いほど良い。歩いていても、お店に入っても、目は”ごつごつ、ザラザラしたもの”に
行く。100円ショップで買うものも、本来の用途で使うものは少ない。紙をあて、こすったり、ローラーでインクを付け
写し取ったり……、このいマチエールボードの使い道は広く、仕事にも活かせそうだ。
(Feb.22)

■ある物を鋏でチョキチョキ……。一体何をカットしたのでしょう?

    
・季節はずれでも、売っていた。ホームセンターで2個求めた。(写真は1個から作製)

 フロッタージュやスタンピングの素材を集めている。身の廻りにあるもので、ザラザラやごわごわしたもの。凸凹したマチエールは
すべて利用できる。机の数分、6箱のコンテナーにそれぞれ四、五十種。今日新たに写真の素材を加えた。ローラーでインクをつけ
模様を写し取るのだが、これが楽しい。幾つかコラージュし作品を作る。
 写真はある物を切って2枚あわせてカードボードに貼り付けたものだが、一体何をカットしたのでしょう?答えは明日。
(Feb.21)

■二十四節気<雨水>、七十二候(四候.五候.六候)

今年の雨水は2月18日  (啓蟄は3月5日)

・四候 (2月18日)  ・つちが うるおいおこる
              土が湿り気を帯びてくる

・五候 (2月23日)  ・かすみ はじめて たなびく
              春霞がたなびき始める

・六候 (2月28日)   ・そうもく もえうごく
              草や木が芽吹き始める

 大学キャンパスのイチョウの並木。 根元に”残り銀杏”が転がっている。晩秋に枝から離れずにいたものが今、寒空から
落ちてくる。構内に人影少なく、もう拾う者なし。イチョウの木は、新校舎建設で傷められたにも拘わらず、実をたくさん付け
昨秋は袋一杯拾い集めた。。
 冷え込む夜はギンナンを炒り熱燗だ。臓腑に染み入るも、「仕事」「絵」の進み具合が酔いを左右する。
この「二十四節気」の、お銚子と杯のカット横の”酔歩マンサン”も連日となれば、肝臓が泣く。心せねばならぬが、
描いては喜びの酒を酌み、また、描けずに悩み飲む。この繰り返し……嗚呼、進歩全くなし。いたずらに歳を重ねるのみ。
(Feb.18)

■絵の具カップ置き台を製作

    
・板をくり抜いて作った絵の具カップ置き台  ・折り染め(墨)  ・絞り染め(色)

 「絵の具カップ置き台」を作る。30センチ角の板に径75ミリの穴が9つ。ヨーグルト容器やペットボトルががすっぽり入る寸法。
大学の美術室の机の数分製作した。早速使ってみたら、良い塩梅!使い勝手上々だ。ボックスに重量があり絵の具カップが
動かず粗い筆使いもこれなら大丈夫。絵の具を溶き,折りや絞り染めを楽しんだ。
(Feb.12)

■鳩山の野辺、北風が止む一瞬、日差しに春の兆しを感ず

    
  ・ブナ材の木管         ・ローラーピンとチューブプリント

 「絵画造形表現活動」で使うローラーを製作しに鳩山に来た。卓上丸鋸でブナ材の木管を切断。軸棒を挿入接着。
100個作るのに一日かかってしまった。このローラーピンを自転車のタイヤチューブに差し込み版画素材とする。
 「チューブプリント」の授業は2回行う。まず手始めに5センチほどの長方形や丸型の木片にチューブを貼り版画をする。2回目に
このローラーピンを転がしてパターンを作らせる。楽しんでもらえるだろうか。

 鳥の声に外に出る。庭と境界の斜面に数羽集まっている。見れば餌台のようなものが。鳥は餌台からこぼれたヒマワリの
種を啄んでいる。いや、これは餌台なんかじゃない。トラップを載せる台だ。今日は罠篭はなかったけれど、このところ何回か
仕掛けられているのを見た。嫌な気分だ。ぼくは幾つか鳥の巣箱をかけている。鳥が集まるように。それを捕まえようと
するなんて、ひどい。餌のない季節、鳥が哀れだ。境界にくいを打ち、縄を張った。こんなことはしたくないけれど、仕方ない。
庭に入り、ここで鳥を捕まえることはやめてもらいたいから。
 暗い心持で引きあげた。チューブプリント用ローラーを作り終え、ほっとする筈であったのに……。ロウバイの甘い香りも
今日は嬉しく感じられないくらい落ち込んだ。

■玉子計量器 <その二>試してみた

 手に入れた玉子計量器“JIFFY WAY”は玉子のサイズをSMALL,MEDIUM,LARGE,
EXTRA LARGEの4種に分けている。 重さは1.5オンスから2.5オンス(1オンス=約28.35g)まで計れる。
垂直にたらした金属棒で設置する場所の垂平を知らせる仕組みなど、もう大真面目なのだ。
WORLD‘S  LARGEST MFG’S  EGG  SCALESと豪語しているくらいだ(何とも大げさ!)。
裏側にはスケールの針を微調整する重りまでついている(TAKE  BALANCE AT RED POINT .
USE ADJUSTABLE SCRLW FOR SPEED.)。実際計ってみた。
日本のMサイズはLARGE,LサイズはEXTRA LARGEの域を超え針は振り切ってしまう。
この道具を作った当時、玉子は現在ほど大きくはなかったのかもしれない。

 しかしながら、この計量器、いったい誰が何の目的で使ったのだろう。家庭に一台だったのかなあ……、
まさか!食べる前に計ったのだろうか、まさか!今日はSサイズにしようとか、Lサイズを食べて元気に……とか。
ばかばかしくて面白い!


 ぼくは計量器にかけた玉子をゆで、「ありがたく」いただいた。手のひらに乗るほどコンパクト、
この愛らしい計量器はあの「コッコッコッコッ コッケッコ コッコッコッコッ コッケッコ 私はミネソタの
卵売り」の歌の
ミネソタ(MINN.)で製造とある。もっとも、「ミネソタの玉子売り」の歌は日本製だが。
(Feb・3)

■”幻の”「鶏卵サイズ選別機」入手!!!  「仕事場の片隅の埃をかぶったガラクタ達」VOL.1

     
   
・タマゴの大きさを計る機械(メカに工夫が、正確、遊び心……大真面目)・裏側

 「鶏卵サイズ選別機」……この、面白くも馬鹿馬鹿しい機械を、やっと手に入れた。30年ほど前、ぼくは銀座のデパートの
アンティーク雑貨売り場で見かけたが、値段を見て買うのを躊躇った。”幻の”と書いたのは、あれ以来、夢にまで出てくる始末で、
奮発して買えばよかったと後悔の念が収まらなかった一品だから。
 ぼくは”馬鹿馬鹿しいが生真面目に取り組み製造された”雑貨が好きだが、購入するには幾つかの条件がある。例えば、生活の用に
供する(した)もの(実動品でないとダメ)あるいは、機能的魅力、あるいは造形的な美しさ、あるいはユーモア、あるいはアイディア……
それに、ぼくの価値観に合致したプライス(高価なものは)と、かなりハードルは高い。
 この「鶏卵サイズ選別機」が以上にの条件を満たしているかはさておき、今回買わねば、また”幻”を追いかけ続けることになるのは確か。
ウソみたいだが幸運にもバザールで半額!喜んで買った次第だ。さて、試運転?の結果は後日当欄で。
(Feb.2)


■二十四節気<立春>  七十二候(一候.二候.三候)

●今年の立春は2月4日             (雨水  2月18日)

・一候 (2月4日)  ・とうふう、こおりをとく
              春風が吹き氷を解かす

・二候 (2月9日)  ・うぐいす、なく
              鶯が鳴き出す

・三候 (2月13日) ・さかな、こおりにあがる
              魚が氷の間から姿を現す

 昨日の東京は終日雨降り。風も強く、傘がさせないほどだった。ビニールが剥がれ骨が折れた傘も何度か目にした。持って帰る
気分ではないのは分かるが、そこらに打ち捨てるのはいただけない。
 今日、雨は上がったものの、風は収まらない。渋谷の仕事場から中学校のグランドが見えるが、野球練習も普段どおりにはいって
いないようだ。時おり吹く突風に練習試合も難儀をしている。
 工事現場の養生シートの留め金が取れ、バタバタバタバタ音を立てている。仕事は大雨の方が集中できる。強風は窓に当たり
ガラスを揺らす。ぶつかる音、はためく音、ゴミ容器などの転がる音……、風は本体のみならず、騒音を連れて来る。よって本日は
仕事進展せず。いや、風のせいにしてはイカン!
(Feb.1))

1月のアトリエだより

■トートバッグ シルクスクリーンでプリント

   
・スクリーン印刷・教師用    ・キャラクター「ミンミン」シール

 学生用は業者に頼んだが、教師用はぼくがプリント。写真は学生用と同サイズの試作品。現物はA2サイズの大型。
美術図工室の机に刷り上げたバッグを20枚、乾燥のため並べた。出来具合上々。
(Jan.28)

■トートバッグ製作

  
・帆布トートバッグ       ・「子ども教育学科」キャラクター 『ミンミン』

 相模女子大学子ども教育学科の学生にミンミンキャラクター入りトートバッグを配布。(紺色のものは四月新一年生の分)
キャッチコピーは「Make the best use of your talents.」美術図工室で画材、用具をたっぷり詰めて配ろうと思う。
(Jan.27)

■えほん寄席 落語「目黒のさんま」放送日決定


    

・NHK教育テレビ 「えほん寄席」
2月11日 朝7時45分~7時50分 「目黒のさんま」放送されます。(落語家=三笑亭夢太朗)

■二十四節気<大寒>、七十二候(七十候.七十一候.七十二候)

●今年の大寒は1月20日             (立春は2月4日)

・七十候 (1月20日)   ・ふきのはなさく
                   蕗の花が咲く

・七十一候 (1月25日)  ・みずさわあつくかたい
                  沢の水も寒さに氷る

・七十二候 (1月30日)  ・にわとりとやにつく
                  鶏が卵を抱く
     

 このところテニスクラブもご無沙汰している。仕事でなかなか行かれない。5日ほど風邪気味であったが、体を動かさないと気持ち悪い。
”荒療治”とばかり、思い切って大学のテニスコートで打つ。T先生とラリー、それにサーブも。ナイターの明りは、高く上がるボールが
よく見えない。それでも1時間少々楽しんだ。コートブラシをかけ終わると直ぐ雨が落ちてきた。一汗かき、「これで風邪菌は
吹っ飛んだぞ」と自ら言い聞かせ帰った。ラケットを握る手が凍えた。息が白い。体が冷え切って温まらない……、寒いわけだ。
昨日20日は大寒。今日は昨日よりも寒い。ナイターのコート、ほかに人影ナシ。
(Jan.21)

■学会誌「子ども教育」原稿ようやく脱稿


     
 ・学会誌原稿タイトル        ・ラクダ                ・構成図
   
                          ・11片構成タングラム    ・シナベニアで作製
  

  ・サントリー美術館のミュージアムショップで売られていた「清少納言の知恵の板」
                            ウイスキー樽の再利用で作られたもの。何となく香しい。堅いナラ材の質感もいい。

 学会誌「子ども教育」掲載原稿書きあがる。「創造的造形遊び(1)」。創刊号はタングラムをとりあげた。タングラムは裁ち合わせ
パズルの一種。シルエットからその組み合わせを考える遊びであり、いわゆる”答え”があった。そのタングラムを”自由な造形遊び”
とするのがぼくの提案。タングラムといえば七片であったが、ぼくは11片構成とし、形の細部が作りやすいようにした。
 ページの制限もあり、作成したシルエットも使用したのは約40点ほど。造形は無限、面白いようにできる。保育、教育の現場や、
家庭で、当たり前に置かれていたらいいなと思う。想像力、想像力、コミニュケーション能力(会話)の涵養も期待できる。
(Jan.19)

■アンドリュー・ワイエス死去
 アンドリュー・ワイエス展 bunkamura ザ・ミュージアム
                        

アンドリュー・ワイエスが亡くなった。ワイエスはアメリカン・リアリズムの代表的画家。水彩、
テンペラ画で一世を風靡した。「アンドリュー・ワイエス -創造のへの道程-」展を見たのが暮れも
押し迫った
12月の末。展覧会では「20087月アンドリュー・ワイエスは、夏を過ごすメイン州の家
91歳の誕生日を迎え~中略~91歳になる現在まで創作意欲は衰えることなく~後略」とあったので、
死去のニュースには驚いた。ペンシルバニア州チャッズフォードの自宅で死亡、老衰だという。

アメリカの原風景を描いた水彩画、テンペラ画の緻密な描写力に、ぼくは1995年の展覧会でも圧倒
され言葉を失った記憶が残っている。今回はテンペラ画にいたるまでの“道程”が同じモチーフの幾
枚もの水彩画(下絵には見えない。すべて作品だ)展示によって明らかになる仕組みの展覧会で見ご
たえがあった。

緻密な描写力といっても、一部の評論家からは「(作品の多くは)芸術で無く、技術重視のイラスト」
と酷評もされた(東京新聞)こともあるそうだが、芸術の解釈を別にして、ワイエスの描く平凡な田舎
の絵に“気”が漂っているのは確かだ。忠実な“写実”だけではこの“空気感”は出でない。

アメリカ人の心を捉えたのは日常の暮らしへのノスタルジーか。ワイエスの絵画世界はどことなく
哀愁が感じられる。ぼくの最も好きな作品は「松ぼっくり男爵」。ドイツ兵のヘルメット(鉄兜)に
盛られた松ぼっくりが松の大木の根元に置かれている絵だ。アンナが松ぼっくりを拾う手の素描や、
松ぼっくり一個だけ、ヘルメットに入った松ぼっくり……、習作を経て、
80×84センチのテンペラ画で
は遠近法で松並木が描かれそこに、松ぼっくりの入った鉄兜がある。木漏れ日の日差しと風と、
匂いまでもが伝わってくる。

先日ぼくは強風下、松ぼっくり拾いをした。ワイエスのあの一枚が鮮烈に頭にあって、あたかもあの
情景の中にいるような錯覚をおぼえたのだった。「松ぼっくりは夢のように燃え上がり、いい匂いを放
つものだ」

(展覧会図録より)とワイエスは言う。松笠は火を起こすのに最適なのだろう。図録にはアンナが拾
い集める松ぼっくりを落とす松の木はドイツ人カーナーが祖国の「黒い森」から持ってきて植えたものと
あり、その件は絵画にまつわるエピソードとして興味深く読んだ。

「今年はテンペラを2点完成させました。1点はペンシルバニア州で描いた大変大きな絵です。もう1
はメイン州の彼の島で描きました。彼の年齢から考えますと意欲と体力の持続に驚かされます。(図録、
学芸員メアリー・ランダ)最後の最後まで描き通した、歩み続けた、完璧な“画家生涯”……倣いたい。

(Jan.17)

■二十四節気<小寒>  七十二候(六十七候、六十八候、六十九候)

  「気候」という言葉は、二十四節気の”気”と七十二候の”候”がもとになっている。
めぐり来る季節、日一日夜一夜(ひ、ひとひ  よ、ひとよ)花鳥風月を愛で、日々是好日と
感謝する心を忘れぬよう、また、酔生酔歩の身を自省。更には現代社会の流れの速さを、
僅かばかり止めてみようと、ここに季節の言葉を書き記して行く。
  (2007年1月15日の「アトリエだより」より)

●今年の小寒は1月5日   (大寒は1月20日)

・六十七候 (1月5日)  ・せりさかう
                 芹が青々と生える

・六十八候 (1月10日) ・しみずあたたかさをふくむ
                  泉に温かさが残っている

・六十九候 (1月15日) ・きじはじめてなく
                 雉がメスを求めて鳴く
      

 上記は2007年1月15日の「アトリエだより」。二十四節気掲載の始まりの文章。”酔生酔歩の身を自省。”が
恥ずかしい。毎晩毎夜、酔生酔歩とまではならぬも、仕事を終えて一日の”痛み,傷み”を酒でおさえている。
  アトリエ開きは4日、仕事開始。  昨年と同じか……大晦日まで仕事日がノンストップであろうことは。
 ”日一日夜一夜(ひ、ひとひ よ、ひとよ)花鳥風月を愛で、日々是好日と感謝する心を忘れぬよう”………、この言葉、
多事多忙でも何とか”ゆとり”を見出せ!さもなくば、ロクな仕事は出来ないとの警句だ。
(Jan.6)

■『謹賀新年』……年賀状を書く。遅い?正月に出すのが年賀状


       
 ・アケビ篭のギョロ目三人衆     ・クヌギの語りに耳そばだてて  
      
・気のいい二人  ・煎餅焼き器とドングリせんべい(した)ドングリクッキー(上)  ・マテバシイのドングリ

  夜通し飲んでいた気がする。アルコール抜けやらぬ体、朦朧状態で年賀状を書く。今年はもう
年賀状を作ることをやめようかとも思った。時間がないとボヤキつつ流された日々、新年の挨拶すら
出来ないなんて、情けないなあ。一念発起、大英断、決意を固めて(何と大袈裟!)パソコンに向かう。

 小学生~高校の頃は木版。それから活版印刷、シルクスクリーン、プリントごっこ、コピー機と作法が
変わった。ここ十年は現代童画展出品作の絵葉書で出している。昨年はPC。「アトリエだより」の”号外”として
主に「鳩山の風景 = ささやかな幸せ = 蕗の薹の味噌炒めやてんぷら、新茶のおひたし、柚子の蜂蜜漬等の
田園の味覚」をプリントした。そこで、今年は……。松ぼっくりやドングリで作った人形。大黒様に似ている
カラスウリの種にも語らせました。里山の風の囁きを。

「本年もどうぞよろしくお願いします」
(Jan.2)

■新年明けましておめでとうございます。

         吉祥御神籤絵 大吉四枚揃え

 大晦日、東急ハンズへ。ジャンク台を漁り金属板やウレタンの切れ端を集める。すべてマチエールの研究、
フロッタージュの素材に、また版画にも利用できるかと、持って帰る重さを省みず買う。クリスマスの騒ぎが
終わったといえ、明日新年を迎える街は華やいでいる。が、普段と変わって静か。このところ大学の絵画造形の
授業が頭から離れない。創造の面白さ、自由な造形の楽しさを学生にどう伝えるか、そればかり考えている。
 自分だったらこうする、ああする……、創造の世界は想像に遊ぶこと。答えがない表現の可能性、多様性が
何よりも魅力。
 時に思う。「制作者を辞めて専ら教える人になったら?」……それは違う違う違う。ぼくは器用ではないから
あれやこれや出来ないが痩せても枯れても表現者。創作しない自分なんて考えられない。こんな考えが脳裏を
かすめるのは創作できない自分を許そうとしているのだろうか,逃げようとしているのだろうか。創作、表現は
精神作業、一年間休みナシで、確かにぼくは疲れている。
(Jan.1)
 

12月のアトリエだより

■ドングリで遊ぶ。 師走、最早今年も数え日。改年に想いを巡らす。

 
    
・せんべい焼き器、煎餅(手前)クッキー(後)  ・木の葉型とハート型のクッキー  ・クヌギのヤジロウベヱ

 学生時代、ぼくは期末試験が近づくと、おかしなもので決まって何か勉強以外のことをやりたくなった。今も変わらない。
忙しさの極みなのに、今日はドングリと遊んだのだった。ドングリのリース(蔓はアケビ、袴を接着剤でクヌギのドングリに
履かせ、小枝に二つより沿うように留らせた)や、ヤジロウベヱを作った。落ちそうで落ちないヤジロウベヱを飽きもせず
人差し指で小突いていた。 <この辺の写真は年賀状に掲載予定>

 古道具屋で見つけた「煎餅焼き器」でドングリ煎餅を焼いた。五円玉大の球状に丸めたドングリ粉(小麦粉3割)牛乳、
ベーキングパウダーを加え練る。ローラーでのし、型抜き。これが楽しい。ハート、木の葉、星、うさぎ等々。”ドングリ型”が
ないのが残念だ。火に掛け20秒ほどで、パリパリの煎餅が焼きあがる。素朴で、うまい。太古の昔、縄文人が主食にした
ドングリを、心して味わった。(ドングリクッキーは天火で15分)

 ドングリ粉になるまでの手間(マテバシイの皮を取り、グラインダーで砕く。更にコーヒーミルで細かく挽く。水を張りアク抜きを
一週間。毎日水を取り替えた)が、何でもないように思えるから不思議だ。

 あと二日で大晦日、何で今ドングリ?でも……、嬉しさがこみ上げてくる。作る楽しみ、少しづづ齧る楽しみ。喜び。忙中閑あり、
ぼくにとっては、これが幸せ。傷んだ心、静まる一日だった。だが、待てよ……、仕事はどうした!仕事はどうする!
 明日、地獄が待っている!終日仕事、覚悟せねば!嗚呼。
(Dec.29)

■正月の準備に鳩山へ。慌しく日帰り、疲労困憊

 年賀状を作る時間がない。正月の為の買出しもできない。教材教具を買い集めに奔走。ホームセンターや東急ハンズ、
100円ショップなどを歩き回るものの、自分のことは全く手付かずだ。
 鳩山のアトリエで毎年、年を越すが、今年はどうなることやら。それでも、少しでも掃除をと出かけたものの、やり残した
仕事が気になって仕方がない。這う這うの体で退散。

 冬枯れの庭の隅に鳥かごを発見!鳥かごと思ったら、それがトラップ!もうビックリだ。篭の中にオレンジの輪切りが入れられて
いて、小鳥が入って、出ようと羽根が一寸でも触れると蓋が落ちる仕組み。何と残酷!枯葉の地面に一個置かれ、ナナカマドの
幹に一個取り付けてあった。誰だ、こんなことをするのは。直ぐはずした。無人の庭に忍び込んで仕掛けたのだろう。嫌な気分だ。
 ぼくのアトリエは小鳥の楽園と思えるくらいよく集まってくる。農薬はナシ、人影もナシ、巣をヘビが狙うのが唯一の危険かと
思っていたが、油断できないのは人間であった。
 風は強く冷たいが空晴れ渡りいい天気。ヒヨドリが入れ替わりやってきて渋柿を突いている。行儀悪く、一つに集中せず
あれやこれや食べ放題!時おり実が落ちて潰れるが、果たして、あんな渋いのを……、そう思って高枝鋏で切って
熟し切った実を口に含んでみた。甘い!そうか、熟しきって渋が消えたんだ。今日は乱暴者のヒヨドリに教えられた。
(Dec.28)

■クレヨンまる 第148話は拡大版16ページ 『新発明は"いちごクレヨン"』

    
・「博士はどんな面白いクレヨン発明するのかなあ?」  ・クレヨン博士は発明に大忙し。  ・ミイラばあやも、”いちごクレヨン”で
 「ガムッチ王子のご褒美って何かなあ?」          ”いちごクレヨン”を作ろうと     勝負です。「博士より先に完成させて、
 クレヨンまるは、興奮して眠れません。            夜も寝ないで頑張ります。     ご褒美を、横取りするするざます」

 月間お話雑誌『おひさま』(小学館)が発売になりました。早いものです、雑誌の世界ではもう2月号です。今号では
「ミラクルクレヨンのクレヨンまる」が特集として掲載されています。16ページ、読み応え、見応えたっぷりです。ぜひご覧ください。

 クレヨン博士の下に一通の手紙が届きます。風船ガム王国のガムッチ王子からでした。「面白いクレヨンをつくってください。
ご褒美をあげます」………もちろん博士は挑戦します。考えた末!!いちごクレヨン” を発明することに決定。ところが大変!
大泥棒のオオカミ、ワルズーの子分、コウモリのコモリンが博士の計画を盗み見ていたのです。
 ワルズーは召使のミイラばあやに頼みます。「ばあやも”イチゴクレヨン”作って!クレヨンまるたちより、先回りして、
ガムッチ王子からご褒美をせしめてよ!」

 ワルズーとミイラばあやは、クレヨンまるたちの行く手を阻み到着を遅らせます。そして、ガムッチの下へ行き、”いちごクレヨン”を
披露します。果たしてご褒美はワルズーがせしめてしまうのでしょうか?
 遅れてやってくるクレヨンまるたちは?クレヨンはかせの”いちごクレヨン”とは一体……?  ご期待ください。



  次回のクレヨンまるは7月号掲載予定です。8月号で通算150話。「クレヨンまる」は歳をとりませんねえ。「こんなこいるかな」の
「やだもん」「ぶるる」「たずら」「まねりん」「はっぴ」たちも歳をとりませんねえ。
ぼくも心はそんなつもり(若・若・若……”一瞬懸命”)でおります。創作の心が些かでも曇ったり、鮮度が落ちたら、歳を認めざるを
えませんが、体力の低下だけは目に見えてしまいますね。それをカバーするのが気力。がんばれー!がんばるよー!
(Dec,27)

■二十四節気<冬至>   七十二候(六十四候.六十五候.六十六候)

  冬至は12月21日           (小寒は1月5日)

・六十四候 (12月22日)      ・ふゆ しょうじ なつかる
                      冬生じ夏、枯る

・六十五候 (12月26日)      ・しか つの おつる
                      鹿角落つる

・六十六候 (12月31日)      ・ゆき わたりて むぎ のびる
                      雪下りて麦のびる

■紙で帽子を折る。かぶってみようと頭に……前の作品が頭にのっている……。新作が出来る喜びは創作全般同じだ

 気忙しい師走だ。昨年の今頃は、まだ少しは心に”ゆとり”があったのだろう。鳩山で柚子を採ったり、まきを切ったりしている。
今年は何もできずに仕事に明け暮れている。いや、毎日バタバタしている。年賀状も手がけられず、気になるところ。

 ぼくは集中すると何も見えなくなるからいけない。レジュメ一つとってもそうだ。先に進まずどんどん深みにはまっていってしまう。
「子ども教育学科」の絵画造形に折り紙を加えようと、それも新聞紙や包装紙でつくる”すぐ役立つもの”をと考えた。
 決めたテーマが帽子。『CAP & HAT百貨店』と題して何点か作らせかぶらせる……、企画案は良いのだが、”集中して何も
見えなく”なってしまった。

 昨日までに作った帽子………GI帽三種、王冠ニ種(キング、クイーン)、トンガリ帽ニ種、コーンハットニ種、ソンブレロ、コンビニ帽、
ナースキャップ、ナポレオンハット、ペンギンハット、ウサギ帽、Cat & Dog、Holy Father's Hat(教皇帽)。

 作り方を製図するのに時間がかかったが、”定番”のものより、オリジナルを工夫して作るのが性に合っていて楽しい。
試作を重ね2~300は折っただろう。部屋中紙帽子が散乱している。狭い部屋の床が見えないくらい帽子の山だ。

 ぼくは帽子大好き人間。普段ベースボールキャップ(取っかえ引っかえ幾つも。アトリエでも)を愛用しているが、一番の好みは
”ルンペン帽”。(ルンペンの言葉は使ってはいけないのかも)黒のフエルトをただ釣鐘型にしたものだが、三十数年来の愛用だ。
これ以上好きな帽子はなく、帽子を主題に私家版絵本『プックリおじさんの独身時代』を作ったこともある。

  大学の授業、「帽子の造形」で学生にお披露目したら………、やはり笑われちゃうだろうなあ。
(Dec.22)

■カラスウリの種は招福財運?………あるものの形に似てる……感心!


    
・夕日に照り映えるカラスウリ  ・役には立たないと思ったが収穫 ・種の形は…自然の妙.大黒様の顔に見えませんか?

 鳩山の野、あちこちにカラスウリ。風に揺れ濃い橙色が光る。木々の枝に絡みついたまま、枯れ萎んでいく。
綺麗なうちに採取し種をとる。熟したカラスウリは簡単に潰れる。狙いは種。カラスウリの種のかたちは変わっている。
「打出の小槌」だと聞いたことがある。そう見れば確かに打出の小槌だ。でもぼくには、恵比寿大黒の顔に見える。

いずれにしてもお目出度い形だ。財布に2~3粒忍ばせれば財運来たりの伝承ありとも聞いた。
 ぼくは絵描き。画家の形容は昔から”貧乏絵描き”。ぼくも財布にカラスウリの種を入れておこうか。いや、絵描きは
絵さえ描ければそれで満足する人間だ。それ以外大した欲も持たず、”貧乏”を考えもしないから、この種も形を
楽しむだけで十分。財布は軽くともね。
(Dec.13)

■二十四節気<大雪>、七十二候(六十一候.六十二候.六十三候)

  今年の大雪は12月7日         (冬至は12月21日)

・六十一候 (12月7日)      ・そら さむく ふゆと なる
                      天が塞がり冬となる

・六十二候 (12月12日)     ・くま あなに こもる
                      熊が穴に入って冬眠する

・六十三候 (12月16日)      ・さけ うお むらがる 
                      鮭が群れをなして朔上する

 北風が冷たい。真冬並みの寒さになってきた。金曜日は強風下テニスコートへ。トスアップもラリーも儘ならぬ
”悪天候”なのに愛好者の熱心なこと!普段と変わりない賑わいぶりだった。2ゲーム、風に翻弄されながらも楽しみ、
その足で大学へ。

  〆切が迫り来る『創造的造形遊び』の原稿書き。原稿といっても、タングラム図形の創作。40点ほどだが
シルエット、実像、構成図をそれぞれ描くから100点以上になる。時間がない。忙しない師走だ。

 大学の裏門の駐車場で松ぼっくりを拾う。松の木の梢が揺れるほどの強風に、松ぼっくりがバラバラ落ちてくる。
ポトン、ポトン、地面にバウンドして転がる。オーバルなのと、尖ったものと二種類、拾った数4,50個。多くは車に
轢かれ潰されていく運命の松ぼっくり、ビニール袋一杯になるまで集めた。手にヤニがついたけれど何か嬉しい気分。

 松ぼっくりはクラフトに使う。「リース」「松ぼっくり人形」「モビール」……、直ぐには作れないけれど、
材料がたっぷりあることも嬉しい。でも今、クラフトを楽しめる心の余裕がないのが問題だ。

■ 大晦日、初詣の準備……静かな寺に人影が。

 法事で、港区三田にある魚籃寺(ぎょらんじ)へ。三田といえば泉岳寺だがこの地域は寺が多い。
田町駅を下り、桜田通りを歩くと寺また寺。魚藍坂の近くには「忍願寺」。寺の名前に思わず微笑む。
 日曜日、真冬並みの寒さとあって、寺参りの人の姿も見えない。中には、「何方でも除夜の鐘がつけます」
の張り紙も。師走なんだなあ。
 魚籃寺の境内には八分どおり葉を落としたケヤキと、常緑のスタジイの大木があった。「港区の指定樹」
は番号の名札をつけられ何か迷惑そう。吹いたり収まったり……風が線香の香りを運んできた。
(Dec.7)

■ 図書館の廃棄本を頒けていただく。

 大学の図書館で廃棄本の頒布が始まった。図書館にはぼくの研究室からは30秒足らずで行かれる。初日を含め何度か
のぞいてみた。
 素晴らしい本を入手!例えば、『初期ヨーロッパの美術』(1974年刊) 「総説・柳宗玄「ヨーロッパの美術の二潮流」。
「ケルトの伝統とその新展開」、「ゲルマンの伝統とその新展開」、「地中海美術」、「カロリング朝とヨーロッパ美術」……
この大冊、廃棄処分される理由がわからない。探しても容易には得られないだろう。座右に置こう。大切にしよう。

 他にも『弥生の布を織る』(竹内晶子・1989刊)、「羊飼の暦」(エドマンド・スペンサー・1976刊)など。「羊飼の暦」は
1579年、倫敦ヒュー・シングルトン書店で刊行された。1月~12月まで牧歌12編のスタンザ。アレゴリーが考えさせられる。
それぞれの牧歌に添えられた木版画に興味を惹かれた。

 良いものを見つけ嬉しかった。「初期ヨーロッパの美術」は大型本で重たくて持って帰れなかったが、電車の中では
『弥生の布を織る』を開いた。原始的な織り機の絵に魅せられた。「ぼくも織り機を作るぞ」……頭の中では、早や、”設計図”が
引かれていた。後は時間の確保だ。
(Dec.5)

■ 師走………走るも走るも追いつかず、時は非情に過ぎ行く

 当「アトリエ便り」も更新がままならない。『絵本的生活日誌』の”絵本的”も危うくなっている。立ち止まり空を仰ぐ、
自然に身を置き観照するゆとりがない。流されてはならぬと思いつも、目の前の”仕事”に押し流されている。
創作に充てられる時間の少なさを嘆く。噴出するエネルギーの押さえ込みが哀しい。
(Dec.3)



11月のアトリエだより

■鳩山は荒れ放題!

    
  ・照り映えるカラスウリの実   ・小粒なれど、”待っていた”ドングリ「マテバシイ」

 鳩山のアトリエを片付けに行く。今年は外に出る暇も無く庭は荒れ放題となっていた。足を踏み入れられないようなジャングル
状態だったが、草は枯れ木は葉を落とし視界が広がっていた。カラスウリの実が小鳥にも虫にも誰も相手にされずに揺れている。
ビワの木が細かな花が咲いている。6本サークルに植えたイタリア松の30センチほどの苗木は、身の丈以上に伸びていた。
 嬉しかったのは、剪定を失敗したマテバシイが、2年ぶりに小粒だがドングリをつけたこと。車の屋根に弾むように降り落ちた
忘れえぬ光景も復活しそうだ。
 母屋の階段は手すりに絡みつくノウゼンカズラの根とアリにやられボロボロ。木工小屋の階段も傷みが激しく取り替えることにした。
工務店に相談、湿気対策もありブロックを積み煉瓦タイル仕上げを依頼した。
 日差しは弱いが、それでも”恒例の”パネルの虫干し。カビがひどい。悩みの種だ。いつも、このお陰で仕事にスムースには入れない。
パンパスグラスの大株からヤマカガシがニョロニョロ。冬眠の準備をしているのだろう。アトリエの片付けもそこそこ、鳩山を後にする。
(Nov.25)

■懐かしい”コハゼ”……掌で踊る

          
  ・真鍮製コハゼ。ほかにスチールのも  ・主婦の友社刊「足袋と足袋カヴァーの作方」 ・同裏表紙(ハガキ大)

 足が直りコートへ。何日ぶりだろう、久々のテニス。初めは恐々打っていたが、いつしか夢中。すっかり良くなったと
勘違いさせるから困る。準備運動は怠ってはならない。足の具合もだが、嬉しかったことがある。

 テニス仲間のSさんが「持ってきたわよ。これも、よろしかったらどうぞ。」持ってきた、というのは「コハゼ」。よろしかったら、
というのは30年くらい前の図工の教科書や雑誌。以前もお嬢さんの子供の頃の本をくださった。コハゼは 「ぼくは、足袋を履いて
小学校に通った」 「当時の”足袋の作り方”の本を手に入れた」 と話したのを覚えていてくれたのだ。図工の教科書は
「参考になれば」というもの。感謝。ちょっと喋ったことを気にとめて置いて持ってきてくれた。(コートにいつ現れるか分からないぼくに)
 日差しは温かいが風があり、プレーが途切れると冷んやり。初冬の寒さの中でのテニスだったが、心はポカポカ、
嬉しいなあ。Sさん、ありがとう。

 写真の主婦の友社刊「足袋と足袋カヴァーの作方」は紙も粗末なハガキサイズ。定価50銭。驚くのは、いかに売れたかという事。
何と、昭和27年に105刷りがでている。それも30000部の発行。大ベストセラーではないか。家庭の主婦が端切れを集めて
足袋を作っている姿を想像する。(Sさんは8~9歳の頃、お母さんに教わりながら、足袋を作ったそう)。

 物が無かった時代とは言え、生活が変容したとは言え、人間の力(生活力)、工夫、一針一針縫い上げる気持ち(愛情)……
大切なものが滅びたのは確かだ。”利便”を追い求め、行き着くところが、想像力や創造力の衰退か……。愚かしい。
(Nov.22)

■二十四節気<小雪>、七十二候(五十八候.五十九候.六十候)

 各地から初雪の便りが……。初冬、挨拶文も「向寒の砌……」「お風邪にご用心」「今年も残すところ……」
師走が迫ってきた。忙しない気分ますます。「アトリエだより」を見ると、昨年の今頃ぼくは、白州次郎の武相荘を訪ね、
マテバシイのドングリを拾っている。忙しさは変わらないのに、心の余裕がまだあったということか。
(Nov.21)

  今年の小雪は11月22日         (大雪は12月7日)

・五十八候 (11月22日)      ・にじ かくれて みえず
                      虹が見えなくなる

・五十九候 (11月27日)     ・きたかぜ このはを はらう
                     北風が木の葉を吹き払うようになる

・六十候 (12月2日)        ・たちばな はじめて きばむ 
                      橘の葉が黄葉し始める

■学生行き交う中、銀杏を拾うは男一人

    
  ・拾っても拾っても落ちてきた……   ・明日、土に埋ける。「食す楽しみ」を肴に酒を酌む

 キャンパスの大銀杏がバラバラ銀杏を落としている。学生は頭に当たらぬように、踏まぬように避けて通っていく。
降るように落ちる銀杏にはまるで関心がない。ぼく一人、強い北風の中、しゃがんで銀杏拾い。潰され臭くなる前に
拾って片付けて居るとでも思っているのでは。掃除人か……、それも良い。 頭にあたる。背中にあたる。北風が梢をゆらし、
黄金の実を吹き落とす。バラバラ……、ターン!!トーン!!これは、アスファルトに当たった音。実が破れ白い殻が見えている。

 拾いきれない。教材の空き箱2つ、またたく間に一杯。拾うのは、(拾うというより、集めるという感じ)簡単!後の処理が大変だ。
ゴム手袋をして果肉を取り除くのだが、臭くて鼻が変になる。昔は土に埋けておいて腐らしたものだが……。
でも、苦労もなんのその、「酒の肴」にと思えば大したことではない。楽しい作業にさえ思えるから不思議だ。
 銀杏の木の恵みは、畏友の杜氏、宇都宮繁明君の大吟醸『月の滴』の酒の友としよう。
(Nov.19)

■寒さが苦手!冬対策!

 普段から”足が冷える”ぼくは暑さには強いが、寒いのは苦手。渋谷の仕事場では机の下に足温器、膝暖板を
置いている。新宿で仕事をしていた時は電気スリッパ、電気チョッキそれに、テーブルコタツを改造して使っていた。
空調機から吹き出る温風も気持ちよいものではなく、今年もまた寒さ対策の苦労が始まる。
じっとして仕事するため、血の廻りが悪くなるのだろう。低血圧……、ぼくの場合、テニスをするに限るが、この一年
打つ回数が半減した。体調維持が問題だ。
 大学の研究室、もちろん冷暖房完備(古い言い方だねえ)だが、それでも足元は寒い。スイッチさえ入れれば、研究室は
広くないからすぐ温まる。いや温まりすぎる。暖気が天井に集まり循環しない。シーリングファンを付ければ良いのだろうが、
そうもいかない。で、冷え対策としてセラミックヒーターの小型のものを購入した。これで、快適。研究室に居る時間が長くなりそう……。
(Nov.18)

■落語「目黒のさんま」アニメ原画イラスト14枚制作

        
・「えー、お笑いを一席」   ・殿様、目黒へ野駆け         ・「美味そうな匂いじゃ」
      
・「エンマですか?」「サンマじゃよ」    ・「殿様は何と申された?」「サンマが食べたい!と……」 

 落語「目黒のさんま」を、CDの音源をもとに作画。オチが、お終いの「サンマは、目黒に限る」だけなので、映像化では殿様の
目黒での”初めての体験”、サンマを食すシーンが重要な意味を持つ。原稿ではその辺があっさりし過ぎていて少々物足りなかった。
目黒の田舎風景を印象付けるため、1~2秒しか映らないであろうが野駆けの場面を描いた。アニメではお百姓さんの焼く
サンマの煙が立ち上るだろうか。焼けたサンマがにおい立つだろうか。
(Nov.17)

■体調万全。気力漲る。

 手の怪我は爪の割れは仕方ないとしても、包帯も取れ生活に支障はなくなった。何針も縫ったとはとても思えない。足の方も
痛みが薄れ、精神の”停滞期”を叱咤し、車を控え歩き廻っている。健康の身を感謝する。目一杯頑張れる喜びを感じている。
仕事場で、アトリエで、教室で、研究室で……。
 大学の研究室は1F にあり、”専用”と思えるような図書館に通ずる出入り口がある。目と鼻の先だが雨にも濡れずに図書館を
行き来できる。図工遊び関連の教材の搬入搬出を考えて、ぼくの研究室を1Fにきめてくれたのだが、窓のブラインドを下ろしたままに
せざるを得ない点を除けば、大いに気に入っている。
(Nov.14)

■幼児保育雑誌「マミー」が消える!

 小学館の月間保育雑誌「マミー」が1月31日発売の3月号で休刊となる。4月~6月の発行部数の平均は12万部以上も
あるのに……。少子化、電子媒体など読者環境の変化が発刊を取りやめる理由だろうが、十万部も出ていて惜しいなあと思う。
小学館ではかつて数十万部を発行した「よいこ」もいまや無く、「ベビーブック」「めばえ」「幼稚園」の三誌のみとなった。
 講談社でも「えくぼ」が休刊し「げんき」「おともだち」「たのしい幼稚園」の三誌だ。70~80年代の子供雑誌黄金時代には
数社から保育絵本雑誌が発行されていた。手元にあるものを見ても、詩があり、童謡あり、昔話あり、世界名作あり。
生活絵話(しつけ)あり盛りだくさんだ。季節感豊かで、叙情味ある絵が多く、いまや全盛のキャラクターものなど皆無。
しっとりしていて心が落ち着いてくる。編集後記も雑誌に賭ける心意気が伝わってくる熱いもので、現行の雑誌には一切
みられない「つたえたい心」がある。いまや、すべての雑誌に手描きの絵(イラスト)は乏しくオール、キャラクターのオンパレード。
CGのイラストを見せられ続ける子どもが心配だ。

 子どもの保育雑誌の仕事を長くやってきた。創刊から立ち会った本もある。”完成付録主義”の編集方針にぼくは首をついつい
傾げてしまう。雑誌文化の火が消えそうな気配に、世の流れに抗うような堅固な気骨を持つ編集者は現れないものか!

 ”消える”といえば、年賀状の季節に大活躍した「プリントごっこ」も姿を消すことになった。簡易孔版印刷機だが、ぼくは愛用した。
ファンも多いと思う。PCの利便さに敵うものではないが、”手仕事”の温かさは捨てがたい。アナログが又一つ消えていく。
人は”手作り”からまた遠ざかっていく。人間の力が衰えていくに等しいのに……。PCが手も汚れず綺麗だから……?
世の流れは万事こうだ。いも版画、紙版画、木版、ちぎり絵、貼り絵……、手作り年賀状なんて今や昔か。良しとしないぞ。

(Nov.10)


■立冬………、二十四節気、後3つで今年が終わる。

 時の流れの速さに、自らの非才に、嘆息。夏の終わりに指を、秋の終わりに足を、不注意から怪我し、
仕事も進度が落ちた。展覧会にも行かれず、唯一の気分転換のテニスももちろんダメ。仕事場に籠っては
いるものの集中力に欠け、楽しくない。「楽しくないなら、やめちまえ!」悪魔が囁く。逃げ出したい気分。弱気の自分を
叱咤するもう一人の自分が恐ろしい眼差しで睨みつける。かつてA新聞のK氏が手紙に書いてきた「甘えない。これでもか
これでもかと仕事を!」の言葉が脳裏に浮かぶ。ひたすら仕事に立ち向かうしか術は無いのは経験から分かってはいるが……。
(Nov.9)


今年の立冬は11月7日     (小雪は11月22日)

・五十五候 (11月7日)      ・つばき ひらき はじめる
                     山茶花の花が咲き始める

・五十六候 (11月12日)     ・ち はじめて こおる
                     大地が凍り始める

・五十七候 (11月17日)      ・きんせんか こうばし
                     水仙の花が咲き始める

■この秋初めての冷たい突風……木枯らし一号だった

  面目ない。今日は現代童画展の陳列日なのに行かれない。階段を駆け下り踏み外し左足首捻挫、ふくらはぎ肉離れ。
情けない。35年間こんなこと初めて。不注意といえばそうだが、階段は上がるのも下りるのも二段ずつ、体は鍛えていた
はずなのだが……踏み外すなんて。成城外科の先生に診てもらう。幸いギブスの世話にはならずにすんだが、歩くと痛い。
 冷たい突風は昨年より17日早い木枯らし一号だと知った。冷え込む中、足を引きずり歩いた……。情けなかった。
明日は表彰式。これも初めての欠席となる。残念だ。東京都美術館までが遠く感じられる。嗚呼……。
(Nov.1)

10 月のアトリエだより

■銀杏を拾うゆとりもなく……

 大学のイチョウの並木道に銀杏が落ちている。黒のアスファルトのあちこちに、イエローオレンジの実。行き交う学生は
見向きもしない。ああ、もったいない。が、ぼくには拾う時間がない。恰好の酒肴なのになあと、横目に見ながら、図書館へ。
 アリストテレスの弟子、テオフラストレスの「人さまざま」を借りに。生憎く蔵しておらず、図書館で購入依頼書を書いてきた。
性格を書き表している最も古い本だといわれる。興味津々……。到着が待たれる。
(Oct.27)

■閻魔大王の絵を描く。「閻魔様」なんて描いたことないよ



・彩色前の墨線画。「閻魔様」、「秋刀魚の買出し」

 落語「目黒のさんま」に絵を付けている。料理番が、殿様が「さんま」と言うのを「えんま」と聞き違える場面がある。えんま大王の
絵を描くのはもちろん初めてのこと。小さなカットだが、資料を集めて参考にした。その中の一冊が「地獄」。何と「地獄」は
子どもの絵本だ。驚いた!絵本に「地獄」があったなんて。この絵本、売れそうもない。多分、売れないだろう。暗い。恐い。悲しい。
 でも、存在感は凄い!三芳村延命寺に所蔵されている16幅の絵巻が元になっているこの絵本、見ごたえがある。折檻、
人殺しなど残虐なシーンが随所。死出の山、三途の川、奪衣婆、閻魔王、なます地獄、火あぶり地獄、火の車地獄、それから
極めつけの無間地獄、賽の河原と続き酷いことこの上なし。絵本が”愛らしいもの”と思っている方々は手に取ることも憚るだろう。

 刊行趣意書には、こう書かれている。”「地獄絵はいろいろな様相をもっていますから、見る人によって受け取る意味はそれぞれ
異なってくるでしょう。私たちは、これを見る子供が、「死ぬことは恐いことだ」ということを心に強く刻むであろうと、それを主題に
絵本づくりを思いたちました ー中略ー いま私たちが子供らにしてやらねばならぬこと、それは生きることのよろこび楽しさを
存分に教え、と同時に自らの生命を尊び、自らそれを強く守るという心を培ってやることでしょう。」”
 存在感が凄い!と言ったのは、この絵本の必要度も凄い!と思ったから。日頃、絵本はよく見るが、この初めて見る「地獄」に
しばらくは、頭を占領されそうな気がする。
(Oct.26)

■二十四節気<霜降>、七十二候(五十二候.五十三候.五十四候)


   霜降は10月23日     (立冬は11月7日)

・五十二候 (10月23日)     ・しも はじめて ふる
                     霜が降り始める

・五十三候 (10月28日)     ・こさめ ときどき ふる
                     時雨が降るようになる

・五十四候 (11月2日)      ・もみじ つた きばむ
                     紅葉や蔦の葉が黄ばむ

 23日は二十四節気の霜降。霜は下りないが23,24日と雨降りだった。24日は一時激しく降った。両日とも上野、東京都
美術館へ。第4回現代童画会展審査会に出席。毎年のことだが、美術館の地下三階にいると胸が重くなる。外気が
入らぬせいか、自然の光が届かぬせいか。審査を終えて”地上”にでると、東京の空気でもうまく感じる。靴も服もびしょ濡れで
渋谷に帰る。
 疲れで仕事に入れず、パソコンの前に坐る。疲れていてもキーボードは打てるからいけない。これが後で疲れを倍増させるのだから。
フォトショップ、イラストレーターで、大学のトートバッグのデザインを試作する。学生に画材を詰めて渡したり、ノベルティにも使える。
帆布製のバッグが最上だが、予算でコットンのエコバッグになるかも。見積もりを取らねばならない。雑用多し。
(Oct.24)


大学学長退任記念講演会とパーティーに出席

 小泉学長の挨拶は,大学の歴史と建学の精神についてだった。設立は1900年(明治33年)。
「日本女学校」として
文京区湯島に開校した。後に「帝国女子専門学校」の設立が認可されたが、昭和20年、
米軍の空襲により全校舎と7つの学寮が消失。当時の学生の手記が読み上げられた。
焼けて
倒壊した建物から取り残された学生を救出できず4人の命が失われたくだりでは、生々しい証言に目頭が熱くなった。
現在の相模原のキャンパスは昭和21年から。建学の精神は「高潔善美」……いい言葉だ。
銀杏並木を歩くとき、ぼくは、この「高潔善美」を呟いて
いる。ちなみに学習院は「自重互敬」。忘れえぬ言葉だ。

■訪問者は、秋の虫「カヤキリ」

   
・サンシュユの上のカヤキリ      ・ポリバケツで撮影

 板絵F100号作品が完成!画題は『Father’s Letter』額装し梱包。運送屋さんに搬入を託す。今さっきまではアトリエの
主は『Father’s Letter』だった。絵の前に座り、しばらく見ていた。いつもそうだが、ぼくにとって一番幸せな時間かもしれない。
アトリエで一人作品を眺める。仕上がったばかりの絵を飽きることなく見つめる。静かで心穏やか、何とも言えない時間が流れる。
これが”至福”というものだろう。
 運送屋が去り、アトリエは火が消えたよう。主がいない。魂が抜けたようだ。11月2日から開催される
第34回現代童画展(東京都美術館)会場での”再会”が待ちどうしい。

 今年は庭に出ることも無かった。雑草で荒れ放題、木々も伸び放題。入り口だけでもとナツメ、サンシュユ、サルスベリ、サンザシ
クリスマスホーリーをチェーンカッターで切断する。剪定なんてものではなく、乱暴に切り落とすだけなのだが、みるみる枝葉の山。
ホーリーの葉の鋸歯、ナツメとサンザシの枝の棘が痛い。捨てに運ぶのも一苦労。
ナツメが実を付けている。サンシュユも”大豊作”だ。艶やかな赤い実は美味しそうだが食べられない。ナツメ同様乾燥させ漢方薬
として用いられている。ぼくは薬草酒にしようと少しだけ集めた。5センチくらいの虫がとまった。ウマオイかと思ったが、ウマオイにしては
大きすぎる。図鑑で調べたらカヤキリ(キリギリス科)だった。「ススキの原に住み、ジーンと強く鳴く」と書いてあった。さすがにカメラの
前では鳴いてくれない。みどりの訪問者は写真を撮り藪に返した。外はもう真っ暗だった。
(Oct,18)

■古書に感激

 図書館で『清少納言の知恵の板』を借りる。ハガキ大の小さな和とじ本。1742年(寛保2年)刊行、{知恵の板}タングラムの
図形が42題、問題と答えが載っている。正方形を切り分けた三角形5片、四角形2片の7片で構成する図形が美しい。
 中国の文献『七巧八分図』(1803年刊行)は図書館には無く、他大学に借用依頼をした。どんなものか、早く見てみたい。
(Oct.16)

■大学のイチョウ並木。銀杏の降るキャンパスを歩く。

 テニスコート前のクヌギからドングリが降り落ちている。まさに”降る”状態。地面はドングリで覆われている。辺りは
幼稚園送迎のお母さん方の車が駐車してあるが、屋根に弾む音がする。キズがつかないのかなあ。
 はかまのついたもの幾つか拾った。袋を持っていなかったので、ポケットに入れた。左のポケットには
松ぼっくりが入っている。形のいいのを見つけると嬉しくなる。秋風が気持ちよい。研究室に戻りたくなくなるから困る。
(Oct.15)

■秋便り

    
・ふじばかま             ・おみなえし

 秋の空、雲、風……、庭もノウゼンカズラやマンジュシャゲような激しい色合いの花から穏やかな菊にかわった。ふじばかま、
オミナエシも腰丈より伸び風に大きく揺れている。今年はワレモコウを見ない。ジャングルと化した庭で背丈の低い草花は
雑草に覆われ太陽が届かず育たない。手いれを今年は一度もしなかったなあ。アトリエに来ても庭には出ず仕舞いだったなあ。
 栗の木が草に囲まれてしまっている。栗の木に近づけず、今年は栗拾いもしなかった。時間の余裕無く、高齢者事業団の方に
頼んで草刈をしてもらう。栗はもう収穫の時機をすぎていた。枝に残っているものも多くあったが、これとて叩き落す暇さえない。
目で秋の始まりをほんのちょっぴり楽しんだだけ。東京での仕事が待っている。テキパキと片付けられない仕事と、時間のなさを
恨めしく思う。慌しく帰京。
(OCT.9)

■山椒の実が弾けたよ

   
・朝倉山椒の実が熟れた     ・実が割れ、黒い種が弾け出た

 増えて困るものが杉と山椒。至る所に芽を出し、雑草にも負けずに育ってしまう。”しまう”と言うのは
後で抜き取る手間が大変だから。一昨年まではマテバシイがそうだった。マテバシイは雨のようにドングリを降らし、
芽を出した。が、剪定を失敗してから、めっきり発芽が減った。元気がないマテバシイを眺めては、「ごめんな。なんとか又、
大きく伸びてくれ」と、勝手なお願いをしている。
 写真(右)は山椒の種が弾けるところ。決定的写真。この黒い種が多数落ち、発芽するんだなあ。あたりはすっかり秋の
景色。紅葉はまだまだだが、秋の花々が寂しげに風と話している。囁きが聞こえるようで、そっと耳を傾けてしまう。
風の向きによってキンモクセイの甘い香りが漂って来、鼻腔をくすぐる。3本植えた1メートルほどのキンモクセイの苗木は今や
屋根より高くなり、盛んに香りを振りまいている。アトリエの窓辺には白い花のギンモクセイを植えた。香りは弱いと聞いたが
どうして、鼻を近づけると、むせ返るほどの芳香だ。いずれも、好きな香り。でも、風に漂ってくるくらいが丁度よい。
(OCT.8)


■二十四節気<寒露>、七十二候(四十九候.五十候.五十一候)

今年の寒露は10月8日  (霜降は10月23日)

・四十九候 (10月9日)     ・がん きたる
                    雁が飛来し始める

・五十候 (10月14日)     ・きくの はな ひらく
                    菊の花が咲き始める

・五十一候 (10月19日)    ・キリギリス とに あり
                    キリギリスが家の中で鳴く

■あまり見られなくなった稲架(はさ)掛け。懐かしい風景、刈り取りの終わった田んぼを歩き廻る

 ・稲架(はさ)掛け
 鳩山のアトリエで100号大の板絵の制作に明け暮れる。鳥の声以外、物音一つしない。静寂が何よりだ。
軽トラックが止まり、石井さんご夫妻が降りてきた。下の田んぼでの主。新米を届けてくださった。ぼくの大好きな
玄米も。それに、奥さんの栗の渋皮煮も作ってきてくださった。。さっそく一つ丸ごとほうばる。形の崩れが無い見事な渋皮煮だが、
砂糖の分量がほどよく、栗の風味を邪魔していない。美味い。二つ目を口に入れる。見ている前で箱を開け、食べる失礼を
許してくださいと言うと、「すぐに食べてくれるのが嬉しい」と笑った。
 昨日まで稲穂が頭を垂れていたのに、今日は刈り終わっている。昨今は機械だから刈り取りもアッという間だ。稲架掛けは?
と聞くと、「今、そんなもん、やってるとこ、ないよ。機械乾しさ。早やいからねえ」と笑っていった。
 そうなると、子供の頃見た、田舎の稲刈りや稲架掛けが懐かしく思われてならず、カメラを持って、探した。
あった。ありましたよ。いいねえ、稲架掛け。(写真)長閑な田園風景、瞼に焼き付けておこう。

■横殴りの雨の中、松涛美術館「大道あや展」へ。


  
・大道あや展パンフ(渋谷松涛美術館)

 相変わらずの忙しなさ。大道あや展も最終日に美術館に駆け込んだ。
台風の余波で横殴りの雨で全身びっしょりになって。
 大道あやのまとまった作品群をみるのは初めて。
2009年に100歳になる大道あやの初の回顧展で、
どうしても見たかった。
大道あやの母は丸木スマ、(長男,位里その妻俊子=原爆の図=丸木美術館はぼくのアトリエの
ある鳩山からすぐの所にある)ぼくはあやより、スマの絵がよいと思っている。
スマは70歳を過ぎて描き始めたが天真爛漫な子どもの絵。さいたま市の県立近代美術館で
「丸木スマ展 樹・花・生きものを謳う」と題して開催中で、大道あや展に行くか、
丸木スマ展にいくか大いに迷った。が、時間がとれず残念だが丸木スマはあきらめた。

 あやとて、描き出したのは遅い。絵筆をとったのは花火工場で夫が爆発事故で亡くなった61歳から。
大道あやはの絵は「けとばし山のいばりんぼ」などの絵本で知っていたが大画面の絵は見る機会がなかった。
自然描写がいい。とくにニワトリがたくさん画面を埋め尽くす絵は、良く見て描いてるなと思った。
空間が全く無い絵だが描きたかった気持ちが分かる気がする。
大道あやらしさは院展出品作の大作より自由に描いた作品や絵本のほうにある。

 とはいえ、やはりスマだ。スマの展覧会に行かなかった自分を責める。見たかった。
あやよりスマが自然体、自由度100パーセントだ。
心に響いてくるのは、生きる喜びがそこに表現されているからだ。



9月のアトリエだより

■朝夕冷え込み、まさに「秋冷の候」と相成れり……制作時間の確保が難題、嗚呼忙しなし。

 幾つかの仕事を抱え、すべてをやりきる気概はあり、今まで(ぼくにとっての難局)何とか乗り切ってきたが、走り続ける
速度は減じた。力が衰えたのは認めざるをえない。芸術の表現欲求は些かの衰退もなく、ますます身体中に横溢を感じる
のだから、そのギャップにとまどう。が、負けるわけにはいかない。勝ち負けでは無論ないが、挑戦とか,自らに負荷を
与えるなどとの考えが少しでも浮かんだら、それは甘えだ。選びし、この道。選びし、最良の孤独の時間なのだ。誰に言われた
わけでもない。自然体でこの道をひた走る以外、他に何も余計な考えなど無用なはず。忍び寄る邪念は、まだ仕事に余裕が
あるということか。忙しなく過ぎる日々に,溜息ついている場合ではない。カツを入れて仕事に精出そう!
 信州の方言では頑張ることを”ずく”を出すという。休みたいなんて考えたら、それは”ずくなし”ということ。”ずくなし”は嫌だ。
(Sep,28)

■秋分の日。雨上がり快晴。空には秋の雲。

 秋学期始まる。 昨日は大学の研究室で10時まで仕事。プリント作りに精をだす。
一昨日は鳩山のアトリエに閉じこもり制作に没頭。外には一歩も出なかったが、夜の静寂の中に響く虫の声に秋の訪れを
感じた。早朝、川越街道を走る。上福岡あたりで白い彼岸花を見かけた。多くは赤い花だが、白い蔓珠沙華は
混じることなく所どころに固まって咲いていた。毒々しく見える赤に対して、形は同じでも清らかだ。辺りの緑に映える赤と白が
しばらくの間、目の奥に残っていた。
(Sep.23)

  秋分は9月23日 

・四十六候 (9月23日)    ・かみなり こえを おさむ
                    雷が鳴らなくなる

・四十七候 (9月28日)    ・ちっちゅう とを とざす
                   虫が地中に巣籠りする

・四十八候 (10月3日)    ・みず はじめて かる
                    田の水を落として稲刈りの準備をする

■夜、天を走る稲妻、闇に轟く雷鳴に身をすくめる……朝、乾いた風心地よく空晴れ渡る。鳩山、秋の始まり

 板絵制作に取り掛かる。昨年より一ヶ月遅れだ。鳩玉のアトリエに籠ってひたすら板と向かう。「3時間彫って1時間休む」の
繰り返し。初日、プロパンガスが出ず、コーヒーメーカーで湯を沸かしての食事。シャワーは水。10時間は彫っただろう、右腕が
ぱんぱんだ。
 2日目、巡回サービスマンにガスを見てもらう。単純なバルブ開栓忘れだった。ああ恥ずかしい。人の良い青年の
笑顔に救われる。三日間で唯一話した人だ。
 3日目、左手のケガは治りつつあるものの、彫刻刀を握る右手との”呼吸”が合わない。ベニア板を抑える指をかばってしまい
力が入らないのだ。彫り進み具合に不満だが、爪が割れているので仕方ない。仕事ができるだけマシと、感謝する。
 腕に続いて肩が張って痛い。腰も限界だ。エスキースと板を眺めながら、作品のタイトルを思案。テーマは「手紙」。4月に
見た「GRAND FATHER’S LETTER」展のイギリスの退役軍人ヘンリー卿が4人の孫にあてた100通以上の絵手紙が
まぶたに残っている。が、ぼくの「手紙」は特定の誰かが誰かに届けるというものではない。「父さんの手紙」「父からの手紙」
「FATHER’S LETTER」……、いずれかだ。
 三日間の彫りも半ば、いつも以上の”立ち去りがたい”思いで鳩山を後にする。移動は気分転換、さあ、渋谷で仕事が待っている。
新たな気持ちで立ち向かおう。
(Sep.10)

9月7日は白露    (秋分は9月23日)

・四十三候 (9月7日)    ・くさつゆ しろし
                   草の葉に白い梅雨が宿る